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白斑毒性及び黒皮症毒性の試験方法

国内特許コード P190016032
整理番号 (S2016-0771-N0)
掲載日 2019年5月9日
出願番号 特願2018-519185
出願日 平成29年5月11日(2017.5.11)
国際出願番号 JP2017017957
国際公開番号 WO2017203999
国際出願日 平成29年5月11日(2017.5.11)
国際公開日 平成29年11月30日(2017.11.30)
優先権データ
  • 特願2016-104698 (2016.5.25) JP
発明者
  • 加藤 昌志
  • 飯田 真智子
出願人
  • 国立大学法人名古屋大学
発明の名称 白斑毒性及び黒皮症毒性の試験方法
発明の概要 高感度で白斑毒性又は黒皮症毒性を評価できる評価方法の提供を課題とする。メラニン産生能を有するヘアレスマウスの尾に被験物質を適用するステップと、前記ヘアレスマウスの尾における白斑の誘発の有無及び/又は程度を評価し、評価結果に基づき被験物質の白斑毒性を判定するステップを含む、白斑毒性の試験方法が提供される。
従来技術、競合技術の概要

近年、2%のロドデノールを含む美白剤の使用による「白斑」被害が社会的に大きな問題となった。白斑とは、皮膚がまだらに白く抜ける(脱色素)を伴う疾患である(非特許文献1)。また、当該美白剤を使用した白斑患者の内、約38%は、色素沈着を伴う「黒皮症」を発症することも報告されている(非特許文献2)。発症時期に関しては、早い人では1~2ヶ月、多くの場合は3~5ヶ月と報告されており、感受性に対する個人差が大きいことも特徴の一つといえる。ロドデノールは、すでに白斑毒性が報告されているラズベリーケトンの還元体であるが、厚生労働省が定める、数種類の動物を用いた安全基準をクリアしたため美白剤として商品化された。それにも関わらず今回の白斑問題が生じた背景を鑑みると、現行の安全性試験に要求される感度は十分とはいえない。さらに、厚生労働省はロドデノール以外にも19件の化粧品等に含まれる化学物質に白斑誘発毒性が疑われることを報告しており、美白剤による白斑被害が今後さらに拡大することが懸念される。

美白剤の毒性発覚は企業生命を脅かす大問題であり、その対策は急務である。また、化粧品に限らず、工場などで職業として化学物質を取り扱う人にも白斑被害は多数報告されており、産業衛生的な問題でもある。さらに、輸入食品の増加による食の安全という面からも、動物モデルを用いた安全性試験の化粧品・食品・医薬品メーカーからの需要は非常に高い。

白斑毒性の評価に関連するものとして、有毛モルモットを用いた技術が報告されている(非特許文献3)。この技術では、剃毛や紫外線などの人為的刺激により色素産生を増強させた皮膚において、30%ロドデノール外用により白斑を誘発している。しかしながら、低濃度(例えば2%)のロドデノールでは白斑毒性は評価されておらず、10%ロドデノールでも白斑を誘導できていない。また、化学物質をロドデノールに限定した評価技術であり、黒皮症毒性については評価されていない。一方、ヘアレスhk14-SCF Tgマウスを用いた評価法も報告されているが(非特許文献4)、30%ロドデノール外用に限定した白斑毒性評価技術であり、低濃度(例えば2%)のロドデノールによる白斑毒性は評価されていない。また、化学物質をロドデノールに限定した白斑毒性の評価技術であり、黒皮症毒性については評価されていない。

産業上の利用分野

本発明は白斑毒性及び黒皮症毒性を評価する技術に関する。詳しくは、実験動物を用いた白斑毒性及び黒皮症毒性の試験方法に関する。本出願は、2016年5月25日に出願された日本国特許出願第2016-104698号に基づく優先権を主張するものであり、当該特許出願の全内容は参照により援用される。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下のステップ(1)及び(2)を含む、白斑毒性の試験方法:
(1)メラニン産生能を有するヘアレスマウスの尾に被験物質を適用するステップ、
(2)前記ヘアレスマウスの尾における白斑の誘発の有無及び/又は程度を評価し、評価結果に基づき被験物質の白斑毒性を判定するステップ。

【請求項2】
前記ヘアレスマウスが、メラニン産生能が正常なヘアレスマウスである、請求項1に記載の試験方法。

【請求項3】
前記ヘアレスマウスの遺伝的背景がC57BL/6である、請求項1に記載の試験方法。

【請求項4】
前記ヘアレスマウスが、活性化型RET遺伝子がヘテロ型に遺伝子導入されたRET/o-トランスジェニックマウスに、遺伝的背景がC57BL/6のヘアレスマウスを戻し交配して得られたヘアレスRETマウス、又は該マウスを兄妹交配して得られたヘアレスRETマウスである、請求項3に記載の試験方法。

【請求項5】
前記遺伝的背景がC57BL/6のヘアレスマウスが、Hos:HRMヘアレスマウスにC57BL/6マウスを戻し交配して得られたマウス、又は該マウスを兄妹交配して得られたマウスである、請求項4に記載の試験方法。

【請求項6】
以下のステップ(1)及び(2)を含む、黒皮症毒性の試験方法:
(1)活性化型RET遺伝子がヘテロ型に遺伝子導入されたRET/o-トランスジェニックマウスに、遺伝的背景がC57BL/6のヘアレスマウスを戻し交配して得られたヘアレスRETマウス、又は該マウスを兄妹交配して得られたヘアレスRETマウスの皮膚(但し、尾の皮膚を除く)に被験物質を適用するステップ、
(2)前記ヘアレスRETマウスの前記皮膚における黒皮症の誘発の有無及び/又は程度を評価し、評価結果に基づき被験物質の黒皮症毒性を判定するステップ。

【請求項7】
前記皮膚が背、腹又は頭の皮膚である、請求項6に記載の試験方法。

【請求項8】
以下のステップ(1)~(3)を含む、白斑毒性と黒皮症毒性の同時試験方法:
(1)活性化型RET遺伝子がヘテロ型に遺伝子導入されたRET/o-トランスジェニックマウスに、遺伝的背景がC57BL/6のヘアレスマウスを戻し交配して得られたヘアレスRETマウス、又は該マウスを兄妹交配して得られたヘアレスRETマウスの尾と、皮膚(但し、尾の皮膚を除く)とに被験物質を適用するステップ、
(2)前記ヘアレスRETマウスの尾における白斑の誘発の有無及び/又は程度を評価し、評価結果に基づき被験物質の白斑毒性を判定するステップ、
(3)前記ヘアレスRETマウスの前記皮膚における黒皮症の誘発の有無及び/又は程度を評価し、評価結果に基づき被験物質の黒皮症毒性を判定するステップ。

【請求項9】
前記皮膚が背、腹又は頭の皮膚である、請求項8に記載の試験方法。

【請求項10】
前記活性化型RET遺伝子がc-RET遺伝子とRFP遺伝子のハイブリットによって生じたRFP-RET遺伝子である、請求項4、6~9のいずれか一項に記載の試験方法。

【請求項11】
前記活性化型RET遺伝子がメタロチオネインIプロモーターに連結している、請求項4、6~10のいずれか一項に記載の試験方法。

【請求項12】
前記RET/o-トランスジェニックマウスが、192系統RET/o-トランスジェニックマウス、242系統RET/o-トランスジェニックマウス、304系統RET/o-トランスジェニックマウス、又は304/B6系統RET/o-トランスジェニックマウスである、請求項4、6~11のいずれか一項に記載の試験方法。

【請求項13】
以下の(i)又は(ii)のマウスからなる、白斑毒性及び黒皮症毒性に感受性のマウス:
(i)活性化型RET遺伝子がヘテロ型に遺伝子導入されたRET/o-トランスジェニックマウスに、遺伝的背景がC57BL/6のヘアレスマウスを戻し交配して得られたヘアレスRETマウス、
(ii)(i)のマウスを兄妹交配して得られたヘアレスRETマウス。

【請求項14】
前記活性化型RET遺伝子がc-RET遺伝子とRFP遺伝子のハイブリットによって生じたRFP-RET遺伝子である、請求項13に記載の感受性マウス。

【請求項15】
前記活性化型RET遺伝子がメタロチオネインIプロモーターに連結している、請求項13又は14に記載の感受性マウス。

【請求項16】
前記RET/o-トランスジェニックマウスが、192系統RET/o-トランスジェニックマウス、242系統RET/o-トランスジェニックマウス、304系統RET/o-トランスジェニックマウス、又は304/B6系統RET/o-トランスジェニックマウスである、請求項13~15のいずれか一項に記載の感受性マウス。

【請求項17】
メラニン産生能を有するヘアレスマウスの尾から採取されるメラノサイト又はその継代細胞を用いて被験物質の白斑毒性を評価することを特徴とするin vitro試験方法。

【請求項18】
活性化型RET遺伝子がヘテロ型に遺伝子導入されたRET/o-トランスジェニックマウスに、遺伝的背景がC57BL/6のヘアレスマウスを戻し交配して得られたヘアレスRETマウス、又は該マウスを兄妹交配して得られたヘアレスRETマウスの皮膚(但し、尾の皮膚を除く)から採取されるメラノサイト又はその継代細胞を用いて被験物質の黒皮症毒性を評価することを特徴とするin vitro試験方法。

【請求項19】
以下のステップ(a)~(d)を含む、白斑毒性及び/又は黒皮症毒性を評価するためのin vitro試験方法:
(a)活性化型RET遺伝子がヘテロ型に遺伝子導入されたRET/o-トランスジェニックマウスに、遺伝的背景がC57BL/6のヘアレスマウスを戻し交配して得られたヘアレスRETマウス、又は該マウスを兄妹交配して得られたヘアレスRETマウスの皮膚メラノサイトを含む試料を用意し、試験群と対照群に分けるステップ、
(b)試験群を被験物質の存在下で培養するステップ、
(c)ステップ(b)後の試験群と、被験物質が非存在下であること以外は同一の条件で培養した対照群について、c-Met、RFP-RET、c-Ret、Enothelin receptor B (Ednrb)、c-kit、Mc1r、Mitf-m、Tyrosinase、Tyrosinase-realted protein-2、TGF-beta type receptor 2 (Tgfr2)、Fibroblast growth factor (Fgfr)、Bcl2、p53、survivin、CCAAT-enhancer-binding protein homologous protein (CHOP)、Glutamate cysteine ligase (GCLC)、NF-E2 related factor2(Nrf2)、Heat shock protein (HSP) 70、Foxp1、Foxp3、CCR6、Bach2、NACHT leucine-rich-repeat protein 1 (Nalp)、Cytotoxic T-lymphocyte antigen-4 (Ctla4)及びGranzyme B(GZMB)からなる群より選択される一以上のマーカー分子の発現又は活性を検出するステップ、
(d)試験群と対照群の間で検出結果を比較し、比較結果に基づき被験物質の白斑毒性及び/又は黒皮症毒性を判定するステップ。

【請求項20】
以下のステップ(A)~(D)を含む、白斑毒性及び/又は黒皮症毒性を評価するためのin vitro試験方法:
(A)活性化型RET遺伝子がヘテロ型に遺伝子導入されたRET/o-トランスジェニックマウス由来のメラノサイト系細胞株を用意し、試験群と対照群に分けるステップ、
(B)試験群を被験物質の存在下で培養するステップ、
(C)ステップ(B)後の試験群と、被験物質が非存在下であること以外は同一の条件で培養した対照群について、c-Met、RFP-RET、c-Ret、Enothelin receptor B (Ednrb)、c-kit、Mc1r、Mitf-m、Tyrosinase、Tyrosinase-realted protein-2、TGF-beta type receptor 2 (Tgfr2)、Fibroblast growth factor (Fgfr)、Bcl2、p53、survivin、CCAAT-enhancer-binding protein homologous protein (CHOP)、Glutamate cysteine ligase (GCLC)、NF-E2 related factor2(Nrf2)、Heat shock protein (HSP) 70、Foxp1、Foxp3、CCR6、Bach2、NACHT leucine-rich-repeat protein 1 (Nalp)、Cytotoxic T-lymphocyte antigen-4 (Ctla4)及びGranzyme B(GZMB)からなる群より選択される一以上のマーカー分子の発現又は活性を検出するステップ、
(D)試験群と対照群の間で検出結果を比較し、比較結果に基づき被験物質の白斑毒性及び/又は黒皮症毒性を判定するステップ。

【請求項21】
以下のステップ(a)~(c)を含む、白斑の予防又は治療用薬剤のスクリーニング方法:
(a)メラニン産生能を有するヘアレスマウスの尾に白斑誘発処理を施すステップ、
(b)前記ヘアレスマウスに被験物質を投与するステップ、
(c)被験物質の予防効果又は治療効果を判定するステップ。

【請求項22】
以下のステップ(A)~(C)を含む、黒皮症の予防又は治療用薬剤のスクリーニング方法:
(A)活性化型RET遺伝子がヘテロ型に遺伝子導入されたRET/o-トランスジェニックマウスに、遺伝的背景がC57BL/6のヘアレスマウスを戻し交配して得られたヘアレスRETマウス、又は該マウスを兄妹交配して得られたヘアレスRETマウスの皮膚(但し、尾の皮膚を除く)に黒皮症誘発処理を施すステップ、
(B)前記ヘアレスRETマウスに被験物質を投与するステップ、
(C)被験物質の予防効果又は治療効果を判定するステップ。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 公開
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