TOP > 国内特許検索 > 潜熱蓄熱体マイクロカプセルおよび潜熱蓄熱体マイクロカプセルの製造方法

潜熱蓄熱体マイクロカプセルおよび潜熱蓄熱体マイクロカプセルの製造方法 新技術説明会

国内特許コード P190016034
整理番号 (S2016-0744-N0,S2016-1145-N0)
掲載日 2019年5月9日
出願番号 特願2018-518338
出願日 平成29年5月17日(2017.5.17)
国際出願番号 JP2017018587
国際公開番号 WO2017200021
国際出願日 平成29年5月17日(2017.5.17)
国際公開日 平成29年11月23日(2017.11.23)
優先権データ
  • 特願2016-098815 (2016.5.17) JP
発明者
  • 能村 貴宏
  • 秋山 友宏
  • 盛 楠
  • 半崎 大揮
出願人
  • 国立大学法人北海道大学
発明の名称 潜熱蓄熱体マイクロカプセルおよび潜熱蓄熱体マイクロカプセルの製造方法 新技術説明会
発明の概要 本発明においては、コア粒子の表面を、Alイオンを含む溶液中でベーマイト処理して一次被膜を形成した後に、溶液をAlイオンが過飽和となる温度にまで冷却して一次被膜の表面にアルミニウム水酸化物を析出させて二次被膜を形成し、この二次被膜を酸化雰囲気中で熱処理してコア粒子の表面にAl酸化被膜を形成する。このため、二次被膜を形成した分だけシェルの厚膜化が図られ、カプセルの繰り返し強度が担保され、製造プロセス中におけるPCMの組成変化も顕著に抑制される。
従来技術、競合技術の概要

熱を貯蔵する方法として、温度変化を利用する顕熱蓄熱(例えば、特許文献1:特開平6-50681号公報)と、物質の相変化を利用する潜熱蓄熱(例えば、特許文献2:特開平10-238979号公報)が知られている。

このうち、顕熱蓄熱技術は、高温での蓄熱が可能である反面、物質の温度変化による顕熱のみを利用するものであるため、蓄熱密度が低いという問題があった。斯かる問題を解決する方法として提案されたのが、溶融塩等の潜熱を利用して蓄熱する潜熱蓄熱技術である。

潜熱蓄熱技術では、相変化物質(PCM: Phase Change Material)の固液相変化潜熱を利用する。このため、顕熱蓄熱技術に比べて高密度の蓄熱が可能であることに加え、温度が一定のままで反応熱由来の排熱を回収・輸送・供給が可能であることから、太陽熱利用や排熱利用の技術分野で注目されている。

PCMは蓄熱時に溶融状態となる。そのため、溶融状態のPCMの漏出を防止するためのカプセル化が必要となり、これまでに様々なカプセル化法が提案されている。例えば、特許文献3(特開平11-23172号公報)には、一層、二層または三層の金属被膜を潜熱蓄熱材の表面に被成したことを特徴とする潜熱蓄熱カプセルや、潜熱蓄熱材に電解めっき法によって金属被膜を被覆することを特徴とする潜熱蓄熱カプセルの製造方法等の発明が開示されている。

しかし、特許文献3に開示の潜熱蓄熱体カプセルは、マイクロ化は可能であるものの、電解めっき法によって金属製被膜を形成するものであるために耐熱性が低い。そのため、高温状態での使用に際し金属製被膜に破れが生じ、溶融状態のPCMが漏出してしまうという問題がある。

また、伝熱性能の観点および熱輸送用途における操作性の観点からは、PCMをマイクロサイズでカプセル化することが有利である。そのため、特許文献4(特開2012-140600号公報)では、150℃以下に融点をもつPCMをマイクロカプセル化する技術が提案されており、塩水和物及び糖アルコールから選択された少なくとも1種の水溶性潜熱蓄熱材と、水溶性単官能単量体及び水溶性多官能単量体の水溶性単量体混合物より得られた重合体とを含むコアが、疎水性樹脂から形成されているシェルで被覆されている蓄熱体マイクロカプセルの発明が開示されている。

しかし、特許文献4に開示の蓄熱体マイクロカプセルでは、潜熱蓄熱材は水溶性のものに限られ、高温で且つ腐食等を生じ易い過酷な環境下において使用することが極めて困難であるという問題がある。

特許文献5(特開2012-111825号公報)には、150℃以上の温度で使用可能な高温用PCMのカプセル化の技術が提案されており、蓄熱性を有する物質からなる内部蓄熱体と、この内部蓄熱体を内包し相対密度が75%以上のセラミックスからなる外殻とを備えた蓄熱体の発明が開示されている。この発明では、PCMとして、150℃以上の融点をもつ硝酸塩、塩化物塩、炭酸塩、フッ化塩、及び金属が提案され、これらのPCMとの高温での耐腐食性の観点から、Al、AlN、SiC、Si等のセラミックスをカプセル材質として用いている。

しかし、特許文献5に開示の蓄熱体カプセルは、耐熱性や耐腐食性の観点では好ましい特性を示すものの、蓄熱体の外殻と、外殻の内部形状に対応した内部蓄熱体を別々に作製した上で、2つに分割した外殻の内部に内部蓄熱体を配置し、外殻の接合面を接合して製造されるものであるため、成型や加工が極めて困難な上に、そのサイズは自ずと大きなものとならざるを得ず、マイクロカプセル化は事実上、不可能である。

このような問題に鑑み、本発明者らは、Al基合金PCM粒子をコア粒子として使用し、これに化成皮膜処理及び酸化被膜処理を施すことにより、Al基合金PCM粒子のコア表面をセラミック被膜(シェル)が覆う態様のPCMマイクロカプセルを提案した(特許文献6:国際出願番号PCT/JP2015/002204の明細書)。

このPCMマイクロカプセルの製造工程では、合金組成にAlを含む合金粒子に比較的低温度(80~374℃)で化成被膜処理(ベーマイト処理など)を行い、上記合金粒子の表面にAl・HO被膜を形成する。このAl・HO被膜は、約500℃以上の熱処理を加えると水和水が脱離し、緻密なAl被膜となる。

続いて、空気中ないし高濃度酸素雰囲気中で、化成被膜処理後の試料をPCMの融点以上に昇温してPCMを融解させると、PCMは固液相変化によって体積膨張してAl被膜に亀裂が発生し、その結果、被膜内部の溶融したPCMが酸化雰囲気に晒される。この時、溶融PCM中のAl成分が酸素と反応し、亀裂はその酸化被膜によって補修され、Al被膜をシェルとしたカプセル化が達成される。

このようにして得られたPCMマイクロカプセルは、被膜がセラミックスであるために耐熱性・耐摩耗性・耐腐食性に優れる。また、PCMの組成の一部をカプセルの基材として使うため、マイクロサイズの合金粒子に上記処理を施すだけで容易に製造できる。さらに、化成被膜処理における溶媒の種類、処理温度や時間、及び酸化被膜処理の条件(雰囲気ガス、温度、時間など)を調整することで、カプセル膜厚を自在に制御可能であり、雰囲気ガスの変更により、被膜の耐熱性・耐摩耗性・耐腐食性を自在に制御することも可能である。

そして、Al基合金の融点はその組成により概ね300~1200℃の範囲にあるから、合金の組成を適宜選択することで、様々な熱源に対応可能なPCMマイクロカプセルの製造が可能となり、上述したような従来技術の抱えていた問題が解決される。

産業上の利用分野

本発明は蓄熱技術に関し、より詳細には、比較的高温でも利用可能で、蓄熱密度と熱伝導性に優れた、マイクロサイズの潜熱蓄熱体およびその製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
コア粒子の表面を化成被膜処理して一次被膜を形成する第1のステップと、
該第1のステップ終了後の前記コア粒子をAlイオンを含む溶液中で処理するステップであって、該溶液をAlイオンが過飽和となる温度にまで冷却して前記一次被膜の表面にアルミニウム水酸化物を析出させて二次被膜を形成する第2のステップと、
前記二次被膜を酸化雰囲気中で熱処理して前記コア粒子の表面にAl酸化被膜を形成する第3のステップを備える、潜熱蓄熱マイクロカプセルの製造方法。

【請求項2】
コア粒子の表面を、Alイオンを含む溶液中で化成被膜処理して一次被膜を形成する第1のステップと、
前記溶液をAlイオンが過飽和となる温度にまで冷却して前記一次被膜の表面にアルミニウム水酸化物を析出させて二次被膜を形成する第2のステップと、
前記二次被膜を酸化雰囲気中で熱処理して前記コア粒子の表面にAl酸化被膜を形成する第3のステップを備える、潜熱蓄熱マイクロカプセルの製造方法。

【請求項3】
前記Alイオンを含む溶液はAl(OH)を含む溶液であり、前記アルミニウム水酸化物はAl(OH)を含む、請求項1または2に記載の潜熱蓄熱体マイクロカプセルの製造方法。

【請求項4】
前記第3のステップの熱処理において、少なくとも下記の式に従う反応を伴うことにより、前記二次被膜をAl被膜とする、請求項3に記載の潜熱蓄熱体マイクロカプセルの製造方法。
Al(OH)→0.5Al+1.5HO↑

【請求項5】
前記第3のステップの熱処理を、前記コア粒子の融点以上の温度で実行する、
請求項1~4の何れか1項に記載の潜熱蓄熱体マイクロカプセルの製造方法。

【請求項6】
前記第3のステップの熱処理を、前記Al被膜がα-Al被膜となる温度で実行する、請求項4に記載の潜熱蓄熱体マイクロカプセルの製造方法。

【請求項7】
前記Alイオンを含む溶液のpH値を6.0以上で9.0未満の範囲に設定する、請求項1~6の何れか1項に記載の潜熱蓄熱体マイクロカプセルの製造方法。

【請求項8】
前記Alイオンを含む溶液に核発生促進剤を含有させておく、請求項1~7の何れか1項に記載の潜熱蓄熱体マイクロカプセルの製造方法。

【請求項9】
前記核発生促進剤はドデシル硫酸ナトリウム(NaDS:sodium dodecyl sulfate)である、請求項8に記載の潜熱蓄熱体マイクロカプセルの製造方法。

【請求項10】
前記コア粒子はAl合金である、請求項1~9に記載の潜熱蓄熱体マイクロカプセルの製造方法。

【請求項11】
前記Al合金はAl-Si合金である、請求項10に記載の潜熱蓄熱体マイクロカプセルの製造方法。

【請求項12】
前記化成被膜処理は、ゾル・ゲル法、陽極酸化処理、アルカリ-クロム塩酸法、ベーマイト法、クロム塩酸法、リン酸-クロム塩酸法、リン酸亜鉛法、ノンクロメート化成被膜処理法の何れかである、請求項1~11の何れか1項に記載の潜熱蓄熱体マイクロカプセルの製造方法。

【請求項13】
前記Al酸化被膜の表面に化学的若しくは物理的処理を行い、機械的強度の強化のための金属被膜もしくはセラミックス被膜を形成するステップをさらに備えている、請求項1~12の何れか1項に記載の潜熱蓄熱体マイクロカプセルの製造方法。

【請求項14】
前記Al酸化被膜の表面に触媒材料を担持または析出させるステップをさらに備えている、請求項1~12の何れか1項に記載の潜熱蓄熱体マイクロカプセルの製造方法。

【請求項15】
前記金属被膜もしくはセラミックス被膜の表面に触媒材料を担持または析出させるステップをさらに備えている、請求項13に記載の潜熱蓄熱体マイクロカプセルの製造方法。

【請求項16】
請求項1~15に記載の方法で得られた潜熱蓄熱体マイクロカプセルを、耐熱性母材中に分散して担持させる工程を備えている、熱交換材料の製造方法。

【請求項17】
潜熱蓄熱材料から成るコア粒子の表面が酸化被膜で被覆されている潜熱蓄熱体マイクロカプセルであって、
前記酸化被膜は、前記コア粒子の表面を直接被覆する第1の酸化被膜と、該第1の酸化被膜を被覆する第2の酸化被膜と、該第2の酸化被膜を被覆する第3の酸化被膜から成る3層の酸化被膜であり、
前記第1の酸化被膜は、前記コア粒子の組成元素の酸化物からなる緻密な酸化被膜であり、
前記第2の酸化被膜は、前記コア粒子の組成元素の酸化物からなる多孔質の酸化被膜であり、
前記第3の酸化被膜は、前記第2の酸化被膜とは構造が異なる、前記コア粒子の組成元素の酸化物からなる多孔質の酸化被膜である、
ことを特徴とする潜熱蓄熱体マイクロカプセル。

【請求項18】
前記コア粒子はAl合金である、請求項17に記載の潜熱蓄熱体マイクロカプセル。

【請求項19】
前記Al合金はAl-Si合金である、請求項18に記載の潜熱蓄熱体マイクロカプセル。

【請求項20】
前記第1の酸化被膜がα-Alの緻密な膜である、請求項18に記載の潜熱蓄熱体マイクロカプセル。

【請求項21】
前記第2の酸化被膜が主としてα-Alから成る多孔質の膜である、請求項18に記載の潜熱蓄熱体マイクロカプセル。

【請求項22】
前記第3の酸化被膜がα-Alとθ-Alが混在する多孔質の膜である、請求項18に記載の潜熱蓄熱体マイクロカプセル。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2018518338thum.jpg
出願権利状態 公開
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close