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内部分解型ポリロタキサンおよびその合成方法

国内特許コード P190016039
整理番号 (S2016-0719-N0)
掲載日 2019年5月9日
出願番号 特願2018-515730
出願日 平成29年5月1日(2017.5.1)
国際出願番号 JP2017017133
国際公開番号 WO2017191827
国際出願日 平成29年5月1日(2017.5.1)
国際公開日 平成29年11月9日(2017.11.9)
優先権データ
  • 特願2016-092550 (2016.5.2) JP
発明者
  • 由井 伸彦
  • 田村 篤志
  • 有坂 慶紀
  • 伏見 麻由
出願人
  • 国立大学法人東京医科歯科大学
発明の名称 内部分解型ポリロタキサンおよびその合成方法
発明の概要 本発明は、製造が簡便で、分解時の物性変化が大きい、分解性のポリロタキサン化合物を提供する。より具体的には、線状高分子が少なくとも1つの分解性部分を介して連結された少なくとも2つの線状高分子部分を含む、ポリロタキサン化合物を合成することにより上記のポリロタキサン化合物を提供する。このようなポリロタキサン化合物は、線状高分子主鎖の内部に分解性部分を有していることから、両末端に分解性結合を有する従来的な分解性ポリロタキサン化合物に比べて、分解時により大きな分子量変化を生じることが可能であり、粘度・溶解性・ガラス転移点などの高分子の基本的物性を劇的に変化させうる。
従来技術、競合技術の概要

ポリロタキサンは、線状高分子が複数の環状分子空洞部を貫通した骨格を有する超分子である。たとえば、生体適合性の高いポリエチレングリコール(PEG)(線状高分子)と医薬や食品に使用されているシクロデキストリン(CD)(環状分子)を水溶液中で混合した場合、自発的にPEGがCDの空洞部を貫通した包接錯体を沈殿として回収できることが知られている。また、この包接錯体の線状高分子末端に嵩高い官能基(封鎖基)を修飾することによってポリロタキサンを調製することができる。

国際公開パンフレットWO2015/025815(特許文献1)では、線状高分子の両末端と封鎖基の間に生体内分解性結合を含む官能基団を配置したポリロタキサンが合成され、末端分解による封鎖基の解離に伴ってポリロタキサン全体の分解消失が誘起されることが示されている。従来の分解型高分子は分解性基を修飾した一部分のみが順次分解して経時的に低分子量化していく性質をもっているが(非特許文献1および2)、分解型ポリロタキサンは封鎖基の解離によって線状高分子から環状分子が遊離する大きな分子量変化を伴う分解特性を有している。このような分解型ポリロタキサンの分解性官能基団を目的に応じて選択することによって、この分解型ポリロタキサンを生体内など様々な環境下で活用することが可能である。更にグルコースがα-1,4結合で環状に結合したCDは多数の水酸基を有するため様々な官能基をポリロタキサンに修飾することが可能であり、ポリロタキサンを容易に機能化することができる。

産業上の利用分野

本発明は、線状高分子の内部に少なくとも1つの分解性結合を有する分解性のポリロタキサン化合物、およびその合成方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
複数の環状分子と、末端基を有する1つの線状高分子とを含み、該線状高分子が少なくとも1つの分解性部分を介して連結された少なくとも2つの線状高分子部分を含む、ポリロタキサン化合物。

【請求項2】
前記線状高分子が以下の式:
-Y(-Z-Y-X
に示される構造を有し、ここで、XおよびXは同一もしくは異なる末端基であり、YおよびYは同一もしくは異なる線状高分子部分であり、Zは分解性部分であり、(-Z-Yは、分解性部分Yと線状高分子部分Zから成る繰り返し単位がi個存在することを示し、線状高分子中の各ZおよびYは同一でも異なっていてもよく、iは1~500の整数である、請求項1記載のポリロタキサン化合物。

【請求項3】
前記線状高分子が以下の式:
-Y-Z-Y-X
に示される構造を有し、ここで、XおよびXは同一もしくは異なる末端基であり、YおよびYは同一もしくは異なる線状高分子部分であり、Zは分解性部分である、請求項1記載のポリロタキサン化合物。

【請求項4】
前記分解性部分に連結された2つの線状高分子部分の長さの比が1:1~1:4に含まれる、請求項1~3のいずれか一項記載のポリロタキサン化合物。

【請求項5】
前記分解性部分が、酸分解性、酵素分解性、熱分解性、または光分解性である、請求項1~4のいずれか一項記載のポリロタキサン化合物。

【請求項6】
前記分解性部分が、少なくとも一つの分解性基を含み、該分解性基が、p-メトキシフェナシル基、2-ニトロベンジル基、2-ニトロベンジルオキシカルボニル基、2-ニトロフェニルエチレングリコール基、ベンジルオキシカルボニル基、3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル基、α,α-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル基、3-ニトロフェニル基、3-ニトロフェノキシ基、3,5-ジニトロフェノキシ基、3-ニトロフェノキシカルボニル基、フェナシル基、4-メトキシフェナシル基、α-メチルフェナシル基、3,5-ジメトキシベンゾイニル基、2,4-ジニトロベンゼンスルフェニル基、(クマリン-4-イル)メチル基、7-ニトロインドリニル基、アリールアゾ燐酸エステル、エステル結合、シッフ塩基結合、カーバメート結合、ペプチド結合、エーテル結合、アセタール結合、ヘミアセタール結合、ジスルフィド結合、有機過酸化物、およびアシルヒドラジン結合から成る群より選択される、請求項1~5のいずれか一項記載のポリロタキサン化合物。

【請求項7】
環状分子が、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、およびγ-シクロデキストリンから成る群より選択される、請求項1~6のいずれか一項記載のポリロタキサン化合物。

【請求項8】
環状分子が1つ又は複数の置換基を有する、請求項1~7のいずれか一項記載のポリロタキサン化合物。

【請求項9】
置換基が、2-ヒドロキシエトキシエチル(HEE)基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシエトキシエチル基、N,N-ジメチルアミノエチル基、カルボキシル基、メチル基、スルホ基、一級アミノ基、ポリエチレングリコール、コラーゲン、トランスフェリン、RGDペプチド、オリゴアルギニン、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、(メタ)アクリロイルチオ基、ビニル基、アリール基、スチリル基、および(メタ)アクリルアミド基から成る群より選択される、請求項8記載のポリロタキサン化合物。

【請求項10】
線状高分子部分が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの共重合体、ポリエチレンイミン、ポリアミノ酸、およびポリメチルビニルエーテルから成る群より選ばれる、請求項1~9のいずれか一項記載のポリロタキサン化合物。

【請求項11】
末端基が、2,4-ジニトロフェニル基、3,5-ジニトロフェニル基、シクロデキストリン、アダマンタン基、O-トリフェニルメチル(O-Trt)基、S-トリフェニルメチル(S-Trt)基、N-トリフェニルメチル(N-Trt)基、N-トリチルグリシン、ベンジルオキシカルボニル(Z)基、9-フレオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基、ベンジルエステル(OBz)基、第三ブチルカルボニル(Boc)基、アミノ酸第三ブチルエステル(OBu基)、トリチル基、フルオレセイン、ピレン、置換ベンゼン、置換されていてもよい多核芳香族、MPC(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)、BMA(n-ブチルメタクリレート)、MPCとBMAとの組み合わせ、およびステロイドから成る群より選択される、請求項1~10のいずれか一項記載のポリロタキサン化合物。

【請求項12】
下記構造式を有する、α-シクロデキストリンと直鎖状分子を含むポリロタキサン化合物であって、
【化1】
(省略)
ここで、nはポリエチレングリコールの繰返し単位の数を示す整数であり、
直鎖状分子がポリエチレングリコールであり、α-シクロデキストリンの数が20~40であり、末端基がアダマンタン基から成り、分解性基が2-ニトロベンジル基であるポリロタキサン化合物。

【請求項13】
下記構造式を有する、メタクリロイル基とブチルイソシアナート基が結合したα-シクロデキストリンと直鎖状分子を含むポリロタキサン化合物であって、
【化2】
(省略)
ここで、nはポリエチレングリコールの繰返し単位の数を示す整数であり、
α-シクロデキストリン1分子あたり1~10個のメタクリロイル基と5~20個のブチルイソシアナート基を有し、直鎖状分子がポリエチレングリコールであり、α-シクロデキストリンの数が20~40であり、末端基がアダマンタン基から成り、分解性基が2-ニトロベンジル基であるポリロタキサン化合物。

【請求項14】
複数の環状分子と、末端基を有する1つの線状高分子とを含み、該線状高分子が少なくとも1つの分解性部分を介して連結された少なくとも2つの線状高分子部分を含む、ポリロタキサン化合物を含有する、接着用組成物。

【請求項15】
複数の環状分子と、末端基を有する1つの線状高分子とを含み、該線状高分子が少なくとも1つの分解性部分を介して連結された少なくとも2つの線状高分子部分を含む、ポリロタキサン化合物を含有する、歯科材料組成物。

【請求項16】
複数の環状分子と、末端基を有する1つの線状高分子とを含み、該線状高分子が少なくとも1つの分解性部分を介して連結された少なくとも2つの線状高分子部分を含む、ポリロタキサン化合物を含有する、表面コーティング剤。

【請求項17】
複数の環状分子と、末端基を有する1つの線状高分子とを含み、該線状高分子が少なくとも1つの分解性部分を介して連結された少なくとも2つの線状高分子部分を含む、ポリロタキサン化合物を含有する、癒着防止剤。

【請求項18】
複数の環状分子と、末端基を有する1つの線状高分子とを含み、該線状高分子が少なくとも1つの分解性部分を介して連結された少なくとも2つの線状高分子部分を含む、ポリロタキサン化合物を含有する、体内埋植剤。

【請求項19】
複数の環状分子と、末端基を有する1つの線状高分子とを含み、該線状高分子が少なくとも1つの分解性部分を介して連結された少なくとも2つの線状高分子部分を含む、ポリロタキサン化合物を含有する、組織再生器材。

【請求項20】
複数の環状分子と、末端基を有する1つの線状高分子とを含み、該線状高分子が少なくとも1つの分解性部分を介して連結された少なくとも2つの線状高分子部分を含む、ポリロタキサン化合物を含有する、疾患の治療または予防に用いるための医薬組成物。

【請求項21】
請求項12または請求項13に記載のポリロタキサン化合物を含有する、接着用組成物、歯科材料組成物、表面コーティング剤、癒着防止剤、体内埋植剤、組織再生器材、または疾患の治療もしくは予防に用いるための医薬組成物。

【請求項22】
複数の環状分子と、末端基を有する1つの線状高分子とを含み、該線状高分子が少なくとも1つの分解性部分を介して連結された少なくとも2つの線状高分子部分を含む、ポリロタキサン化合物の製造方法であって、a)線状高分子部分の両末端に反応性基を付加する工程、b)両末端に反応性基を付加した線状高分子部分を分解性部分を介して連結させて、少なくとも1つの分解性部分を介して連結された少なくとも2つの線状高分子部分を含む線状高分子を得る工程、c)線状高分子を環状分子と反応させて、擬ポリロタキサンを得る工程、およびd)擬ポリロタキサンの両末端に末端基を付加する工程を含む、製造方法。

【請求項23】
線状高分子部分の両末端に付加する反応性基が、アミノ基、カルボキシル基、アルデヒド基、スルファニル基、アジド基、アルキニル基、トシル基、および活性エステル基から成る群より選択される、請求項22記載の製造方法。

【請求項24】
請求項12または請求項13に記載のポリロタキサン化合物の製造方法であって、a)線状高分子部分の両末端に反応性基を付加する工程、b)両末端に反応性基を付加した線状高分子部分を分解性部分を介して連結させて、少なくとも1つの分解性部分を介して連結された少なくとも2つの線状高分子部分を含む線状高分子を得る工程、c)線状高分子を環状分子と反応させて、擬ポリロタキサンを得る工程、およびd)擬ポリロタキサンの両末端に末端基を付加する工程を含む、製造方法。

【請求項25】
線状高分子部分の両末端に付加する反応性基が、アミノ基、カルボキシル基、アルデヒド基、スルファニル基、アジド基、アルキニル基、トシル基、および活性エステル基から成る群より選択される、請求項24記載の製造方法。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 公開
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