TOP > 国内特許検索 > 環状DNAの増幅方法

環状DNAの増幅方法 新技術説明会

国内特許コード P190016042
整理番号 (IP14P002)
掲載日 2019年5月10日
出願番号 特願2018-518326
出願日 平成29年5月17日(2017.5.17)
国際出願番号 JP2017018472
国際公開番号 WO2017199991
国際出願日 平成29年5月17日(2017.5.17)
国際公開日 平成29年11月23日(2017.11.23)
優先権データ
  • 特願2016-099157 (2016.5.17) JP
発明者
  • 末次 正幸
  • 辻本 寛子
  • 篠原 赳
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 環状DNAの増幅方法 新技術説明会
発明の概要 無細胞系において、環状DNA、特に長鎖環状DNAを簡便かつ指数的に増幅することのできる方法を提供する。
具体的には、複製開始配列(origin of chromosome(oriC))を有する環状DNAを、以下の酵素群:
(1)環状DNAの複製を触媒する第一の酵素群;
(2)岡崎フラグメント連結反応を触媒して、カテナンを形成する2つの姉妹環状DNAを合成する第二の酵素群;および
(3)2つの姉妹環状DNAの分離反応を触媒する第三の酵素群
ならびに、緩衝液、NTP、dNTP、マグネシウムイオン源、およびアルカリ金属イオン源を含む反応液と混合して生成した反応混合物を反応させることを含む、環状DNAの増幅方法を提供する。
従来技術、競合技術の概要

バイオテクノロジー発展の基盤となったDNAクローニング技術は、DNA断片の切り貼りにより調製した環状DNAを大腸菌等の細胞内でプラスミドとして増幅させる手法である。細胞を用いたDNAクローニング技術を用いて環状DNAを増幅する場合、細胞培養および増幅産物の抽出・精製等の煩雑な手順が必要となる。また、細胞を用いたDNAクローニングを行うためには遺伝子組換え生物を作出する必要があるため、実験できる環境に制限がある。

試験管内でDNAを増幅する方法としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が一般的に用いられている。しかし、PCRによる試験管内DNA増幅法では、環状DNAをそのまま増幅することはできない。環状DNAの試験管内増幅法としては、ローリングサークル増幅法(RCA)などがある(非特許文献1、特許文献1、特許文献2、特許文献3)。しかし、ローリングサークル増幅法で環状DNAを増幅するためには、標的DNAに特異的なプライマーを都度設計する必要がある。また、ローリングサークル増幅法による直接的な増幅産物は直鎖型DNAであり、得られた増幅産物を環状化するためには、組換え酵素とインキュベーションする等のさらなる環状化工程が必要となる。大腸菌のミニ染色体(oriC環状DNA)を複製したのち、これを分離し、単量体の環状複製産物を得る方法も報告されている(非特許文献2~5)。しかしながら、これらの文献で用いられている反応条件においては、環状DNA分子としての複製効率は、加えた鋳型DNAの15-40%程度にとどまるものであり、増幅量としては倍にも達しないことが実験的に示されている(非特許文献3~6)。さらに、これらの文献において鋳型として使用されている環状DNAのサイズは10 kbp未満にとどまる。

このように、従来の試験管内DNA増幅法で環状DNAを増幅するためには、プライマーの鋳型DNAへの結合が必要であり、増幅産物は直鎖型DNAであり、また、増幅可能なDNAサイズは数kbpにとどまるものであった。さらに、大腸菌ミニ染色体複製系をもちいて環状の増幅産物を産生しようとした場合には、鋳型環状DNAは倍にすら増幅されないという問題があった。

産業上の利用分野

本発明は、環状DNAの増幅方法に関する。より詳細には、無細胞系において環状DNAを指数的に増幅することのできる方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
環状DNAの増幅方法であって、以下の工程:
(1)鋳型となる環状DNAと、以下:
環状DNAの複製を触媒する第一の酵素群;
岡崎フラグメント連結反応を触媒して、カテナンを形成する2つの姉妹環状DNAを合成する第二の酵素群;
2つの姉妹環状DNAの分離反応を触媒する第三の酵素群;
緩衝液;
ATP;
GTP、CTPおよびUTP;
dNTP;
マグネシウムイオン源;および
アルカリ金属イオン源;
を含む反応液との反応混合物を形成する工程、
ここで当該環状DNAはDnaA活性を有する酵素と結合可能な複製開始配列(origin of chromosome(oriC))を含む;および
(2)工程(1)において形成した反応混合物を等温条件下で保温する工程;
を含む、前記方法。

【請求項2】
環状DNAの増幅方法であって、以下の工程:
(1)鋳型となる環状DNAと、以下:
環状DNAの複製を触媒する第一の酵素群;
岡崎フラグメント連結反応を触媒して、カテナンを形成する2つの姉妹環状DNAを合成する第二の酵素群;
2つの姉妹環状DNAの分離反応を触媒する第三の酵素群;
緩衝液;
ATP;
GTP、CTPおよびUTP;
dNTP;
マグネシウムイオン源;および
アルカリ金属イオン源;
を含む反応液との反応混合物を形成する工程、
ここで当該環状DNAはDnaA活性を有する酵素と結合可能な複製開始配列(origin of chromosome(oriC))を含む;および
(2)工程(1)において形成した反応混合物を、30℃以上でのインキュベーションおよび27℃以下でのインキュベーションを繰り返す温度サイクル下で、インキュベートする工程;
を含む、前記方法。

【請求項3】
反応液が、さらにタンパク質の非特異吸着抑制剤、および/または核酸の非特異吸着抑制剤を含む、請求項1または2に記載の方法。

【請求項4】
反応液が、さらに直鎖状DNA特異的エキソヌクレアーゼおよび/またはRecG型ヘリカーゼを含む、請求項1または2に記載の方法。

【請求項5】
反応液が、さらにアンモニウム塩を含む、請求項1または2に記載の方法。

【請求項6】
第一の酵素群が、DnaA活性を有する酵素、1種以上の核様体タンパク質、DNAジャイレース活性を有する酵素または酵素群、一本鎖DNA結合タンパク質(single-strand binding protein(SSB))、DnaB型ヘリカーゼ活性を有する酵素、DNAヘリカーゼローダー活性を有する酵素、DNAプライマーゼ活性を有する酵素、DNAクランプ活性を有する酵素、およびDNAポリメラーゼIII*活性を有する酵素または酵素群、の組み合わせを含み、
第二の酵素群が、DNAポリメラーゼI活性を有する酵素およびDNAリガーゼ活性を有する酵素の組み合わせを含み、
第三の酵素群が、トポイソメラーゼIII活性を有する酵素および/またはトポイソメラーゼIV活性を有する酵素を含む、
請求項1または2に記載の方法。

【請求項7】
第二の酵素群がさらに、RNaseH活性を有する酵素を含む、請求項6に記載の方法。

【請求項8】
第三の酵素群がさらに、RecQ型ヘリカーゼ活性を有する酵素を含む、請求項6に記載の方法。

【請求項9】
第一の酵素群において、
1種以上の核様体タンパク質がIHFまたはHUであり、
DNAジャイレース活性を有する酵素または酵素群が、GyrAおよびGyrBからなる複合体であり、
DnaB型ヘリカーゼ活性を有する酵素がDnaBヘリカーゼであり、
DNAヘリカーゼローダー活性を有する酵素がDnaCヘリカーゼローダーであり、
DNAプライマーゼ活性を有する酵素がDnaGプライマーゼであり、
DNAクランプ活性を有する酵素がDnaNクランプであり、
DNAポリメラーゼIII*活性を有する酵素または酵素群が、DnaX、HolA、HolB、HolC、HolD、DnaE、DnaQ、およびHolEのいずれかを含む酵素または酵素群である、
請求項6に記載の方法。

【請求項10】
工程(2)における等温条件が、25℃~50℃の範囲に含まれる一定の温度である、請求項1に記載の方法。

【請求項11】
反応液が、さらにRecG型ヘリカーゼおよび/または一本鎖DNA特異的エキソヌクレアーゼを含む、請求項1または2に記載の方法。

【請求項12】
反応液が、さらに直鎖状DNA特異的エキソヌクレアーゼおよび/または一本鎖DNA特異的エキソヌクレアーゼを含む、請求項1または2に記載の方法。

【請求項13】
反応液が、さらにDNAの安定化因子を含む、請求項1または2に記載の方法。

【請求項14】
工程(1)が
(1-1)以下:
環状DNAの複製を触媒する第一の酵素群;
岡崎フラグメント連結反応を触媒して、カテナンを形成する2つの姉妹環状DNAを合成する第二の酵素群;
2つの姉妹環状DNAの分離反応を触媒する第三の酵素群;
緩衝液;
ATP;
GTP、CTPおよびUTP;
dNTP;
マグネシウムイオン源;および
アルカリ金属イオン源;
を含む反応液をプレインキュベーションする工程;
(1-2)当該反応液と鋳型となる環状DNAとの反応混合物を形成する工程;および
を含む、請求項1または2に記載の方法。

【請求項15】
工程(2)を、油中水滴型エマルジョン内で行う、請求項1または2に記載の方法。

【請求項16】
工程(2)に続いてさらに、
(3)反応後処理を行う工程;を含み、ここで、当該反応後処理は、
(i)第一から第三の酵素群を含まない反応液で五倍以上に希釈した後、再保温する処理;
(ii)直鎖状DNA特異的エキソヌクレアーゼおよび/または一本鎖DNA特異的エキソヌクレアーゼによる処理;および/または
(iii)ギャップリペア酵素による処理;である、
請求項1または2に記載の方法。

【請求項17】
環状DNAの増幅用組成物であって、
環状DNAの複製を触媒する第一の酵素群;
岡崎フラグメント連結反応を触媒して、カテナンを形成する2つの姉妹環状DNAを合成する第二の酵素群;
2つの姉妹環状DNAの分離反応を触媒する第三の酵素群;
緩衝液;
ATP;
GTP、CTPおよびUTP;
dNTP;
マグネシウムイオン源;および
アルカリ金属イオン源;
を含む、前記組成物。

【請求項18】
さらにタンパク質の非特異吸着抑制剤、および/または核酸の非特異吸着抑制剤を含む、請求項17に記載の組成物。

【請求項19】
さらに直鎖状DNA特異的エキソヌクレアーゼおよび/またはRecG型ヘリカーゼを含む、請求項17に記載の組成物。

【請求項20】
さらにRecG型ヘリカーゼおよび/または一本鎖DNA特異的エキソヌクレアーゼを含む、請求項17に記載の組成物。

【請求項21】
さらに直鎖状DNA特異的エキソヌクレアーゼおよび/または一本鎖DNA特異的エキソヌクレアーゼを含む、請求項17に記載の組成物。

【請求項22】
さらにDNAの安定化因子を含む、請求項17に記載の組成物。

【請求項23】
環状DNAの増幅用キットであって、
環状DNAの複製を触媒する第一の酵素群;
岡崎フラグメント連結反応を触媒して、カテナンを形成する2つの姉妹環状DNAを合成する第二の酵素群;
2つの姉妹環状DNAの分離反応を触媒する第三の酵素群;
緩衝液;
ATP;
GTP、CTPおよびUTP;
dNTP;
マグネシウムイオン源;および
アルカリ金属イオン源;
の組み合わせを含む、前記キット。

【請求項24】
さらにタンパク質の非特異吸着抑制剤、および/または核酸の非特異吸着抑制剤との組み合わせを含む、請求項23に記載のキット。

【請求項25】
さらに直鎖状DNA特異的エキソヌクレアーゼおよび/またはRecG型ヘリカーゼとの組み合わせを含む、請求項23に記載のキット。

【請求項26】
さらにRecG型ヘリカーゼおよび/または一本鎖DNA特異的エキソヌクレアーゼを含む、請求項23に記載のキット。

【請求項27】
さらに直鎖状DNA特異的エキソヌクレアーゼおよび/または一本鎖DNA特異的エキソヌクレアーゼを含む、請求項23に記載のキット。

【請求項28】
さらにDNAの安定化因子を含む、請求項23に記載のキット。

【請求項29】
さらにギャップリペア酵素を含む、請求項23に記載のキット。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2018518326thum.jpg
出願権利状態 公開
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、問合せボタンを押してください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close