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形質転換植物及びその作出方法

国内特許コード P190016049
整理番号 180045JP01
掲載日 2019年5月21日
出願番号 特願2018-178097
公開番号 特開2020-048428
出願日 平成30年9月21日(2018.9.21)
公開日 令和2年4月2日(2020.4.2)
発明者
  • 鈴木 栄
  • 室井 達哉
出願人
  • 国立大学法人東京農工大学
発明の名称 形質転換植物及びその作出方法
発明の概要 【課題】遺伝子組み換え(GM)作物、またはGM作物の花粉や種子の拡散を確実に防止する、新規な技術の提供が必要とされている。
【解決手段】第1のポリヌクレオチド及び該ポリヌクレオチドの発現のための植物由来プロモーターを含む第1のベクターと、該プロモーターのメチル化を誘導する第2のポリヌクレオチドを含む第2のベクターとを植物に導入することを特徴とする、植物の形質転換方法を提供する。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要

遺伝子組み換え(GM; Genetically Modified)により新たな形質を作物に導入する技術は、従来の交配育種では利用できなかった、異なる生物種の遺伝子を利用することができる。現在、この手法を用いて作出された複数のGM作物が商業的に栽培され、その面積を拡大させている。GM作物は、例えば自然界にはない特質を有する植物として、あるいは抗体等の医薬品の合成のための植物として利用されている。

一方、GM作物栽培の問題点として、「GM作物の意図しない拡散と生態系への影響」が以前より指摘されている。

GM作物自体の野生化や、GM作物に導入された外来遺伝子の自然界への拡散等を防ぐ方法としては、GM作物の花粉・種子形成の抑制や、非形質転換体(既存の栽培品種)および近縁の野生植物との交雑防止が知られている。具体的には、不稔種子形質、雄性・雌性稔性抑制形質、葉緑体形質転換、周縁キメラ形質などを利用し、植物体や遺伝子の流出等を防ぐ方法である。

不稔種子形質は、GM作物の種子形成を直接阻害することにより、種子の拡散を防止する技術であり、ターミネーター技術とも呼ばれる。雄性・雌性稔性抑制形質は、花粉形成の阻害、花粉や雌ずいの生殖機能の抑制等により、遺伝子の拡散を防止する技術である。例えば、雄性生殖器官特異的に発現するプロモーターを用い、有害なタンパク質を組織特異的に作らせ、花粉形成を阻害する方法が報告されている(特許文献1及び2)。また、RNA干渉(RNAi)やゲノム編集技術を用い、減数分裂期や花粉形成期に機能する重要な遺伝子の発現を抑制させる等の方法も報告されている(特許文献3)。

葉緑体形質転換は、葉緑体が母性遺伝する性質を利用し、花粉細胞に含まれない葉緑体ゲノムに外来遺伝子を導入することにより、花粉による遺伝子拡散を防ぐ方法である(特許文献4及び5)。周縁キメラ形質は、花粉細胞や胚珠細胞層がL2細胞層に由来することを利用し、外来遺伝子が表層のL1細胞層にのみ含まれるGM作物を作出する技術である(特許文献6)。これらの方法では、GM作物の外来遺伝子は花粉や種子には含まれないことになる。

産業上の利用分野

本発明は、緑色植物の白色化が制御された形質転換植物、及びその作出方法に関する。より具体的には、本発明は、DNAメチル化制御機構を用いた自発的な枯死の誘導による形質転換植物の拡散防止技術に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
第1のポリヌクレオチド及び該ポリヌクレオチドの発現のための植物由来プロモーターを含む第1のベクターと、該プロモーターのメチル化を誘導する第2のポリヌクレオチドを含む第2のベクターとを植物に導入することを特徴とする、植物の形質転換方法。

【請求項2】
第1のベクター及び第2のベクターを同時に、又は別個に導入する、請求項1記載の方法。

【請求項3】
第1のポリヌクレオチドがカロテノイド生合成遺伝子の発現を抑制するポリヌクレオチドである、請求項1又は2記載の方法。

【請求項4】
第2のポリヌクレオチドが上記プロモーターの塩基配列と相補的な配列を含み、該プロモーターのメチル化を誘導するものである、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。

【請求項5】
カロテノイド生合成遺伝子の発現を抑制するポリヌクレオチドを発現する第1のベクターと、該ポリヌクレオチドの発現を制御する植物由来プロモーターのメチル化を誘導する第2のベクターとを植物に導入することを含む、白色化が制御された形質転換植物の作出方法。

【請求項6】
カロテノイド生合成遺伝子の発現を抑制することにより植物の白色化を誘導することを含む、形質転換植物における白色化の制御方法であって、
カロテノイド生合成遺伝子の発現の抑制が、植物由来プロモーターの制御下で発現し、該カロテノイド生合成遺伝子の塩基配列の一部に相補的な配列を有する第1のsiRNAによる抑制であり、
該プロモーターが、該プロモーターの塩基配列の一部に相補的な配列を有する第2のsiRNAの存在下でメチル化され、該第2のsiRNAの不存在下で脱メチル化される、
上記方法。

【請求項7】
カロテノイド生合成遺伝子の発現を抑制する第1のポリヌクレオチドと、該第1のポリヌクレオチドの発現を制御する植物由来プロモーターとを含む第1のベクターと、該プロモーターのメチル化を誘導する第2のポリヌクレオチドを含む第2のベクターとを植物に導入して白色化が制御された形質転換植物を作出し、
該形質転換植物を栽培して、該第1のポリヌクレオチドの発現が制御され、かつ該第2のポリヌクレオチドを含まない後代植物を選択する
ことを含み、該後代植物が、自殖若しくは交配後に、又は栄養繁殖による栽培により、該プロモーターの脱メチル化により白色化することを特徴とする、形質転換植物の拡散を防止する方法。

【請求項8】
緑色組織の白色化が制御された形質転換植物であって、カロテノイド生合成遺伝子の発現を抑制するポリヌクレオチドが、該ポリヌクレオチドの発現を制御する植物由来プロモーターと共に導入された、上記植物。

【請求項9】
上記植物由来プロモーターが緑色組織特異的に発現を誘導するプロモーターである、請求項8記載の植物。

【請求項10】
上記植物由来プロモーターがメチル化されている、請求項8又は9記載の植物。

【請求項11】
更に上記植物由来プロモーターの配列に相補的な配列を有するRNAをコードするポリヌクレオチドが導入された、請求項8~10のいずれか1項記載の植物。

【請求項12】
更に目的のタンパク質をコードする遺伝子が導入された、請求項8~11のいずれか1項記載の植物。

【請求項13】
種子繁殖性又は栄養繁殖性である、請求項8~12のいずれか1項記載の植物。

【請求項14】
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法に使用するための、又は請求項8~13のいずれか1項に記載の植物を作出するための、カロテノイド生合成遺伝子の発現を抑制するポリヌクレオチドと、該ポリヌクレオチドの発現を制御する植物由来プロモーターとを含むベクター。

【請求項15】
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法に使用するための、又は請求項11~13のいずれか1項に記載の植物を作出するための、上記プロモーターのメチル化を誘導するポリヌクレオチドを含むベクター。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
※ 国立大学法人東京農工大学では、先端産学連携研究推進センターにおいて、知的財産の創出・権利化・活用に取り組んでいます。上記の特許・技術の内容および導入に興味・関心がありましたら、当センターまでお気軽にお問い合わせください。


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