TOP > 国内特許検索 > 脂質二重膜の水透過性の評価システム、脂質二重膜の水透過性の評価方法、および、脂質二重膜の水透過性を制御する薬剤のスクリーニング方法

脂質二重膜の水透過性の評価システム、脂質二重膜の水透過性の評価方法、および、脂質二重膜の水透過性を制御する薬剤のスクリーニング方法

国内特許コード P190016102
整理番号 FU828
掲載日 2019年6月12日
出願番号 特願2019-012092
公開番号 特開2020-118636
出願日 平成31年1月28日(2019.1.28)
公開日 令和2年8月6日(2020.8.6)
発明者
  • 老木 成稔
  • 岩本 真幸
  • 矢野 啓太
出願人
  • 国立大学法人福井大学
発明の名称 脂質二重膜の水透過性の評価システム、脂質二重膜の水透過性の評価方法、および、脂質二重膜の水透過性を制御する薬剤のスクリーニング方法
発明の概要 【課題】簡便かつ正確に、脂質二重膜の水透過性、および、脂質二重膜に埋め込まれた水チャネルの水透過性を評価し、水チャネルの制御機構や水チャネルに対する薬物作用を明らかにするための、システムおよび方法を実現する。
【解決手段】本発明の脂質二重膜の水透過性の評価システムは、内部に、第1の水溶液、脂質二重膜、および、第1の水溶液よりも高い浸透圧濃度である第2の水溶液をこの順番にて配置し、かつ、開閉部(15)を備えている管(5)と、脂質二重膜の移動距離を計測するための移動距離計測計(50)と、脂質二重膜を介した電位差と電流とを測定・制御および/または計測するための電極対(40・41)と、を備えている。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要

細胞は、一般的に、脂質二重膜にて形成されている細胞膜によって覆われており、当該細胞膜によって、細胞と外界との境界が形成されている。

細胞膜は、外界から細胞内へ物質が自由拡散することを防ぐ機能を有しているのみならず、外界から細胞内へ物質を選択的に取り込む機能も有している。このような細胞膜の機能は、細胞膜を形成している脂質や、細胞膜中に埋め込まれている様々な膜タンパク質などによって発現している。

近年、細胞膜が有している様々な機能に注目が集まっており、当該機能を解析しようとする試みがなされている。

例えば、細胞膜は外界から細胞内へ物質が自由拡散することを防ぐ機能を有しているため、体内における薬剤の拡散に影響を及ぼし得る。それ故に、薬剤の開発にあたっては、薬剤の細胞膜の透過性を解析しようとする試みがなされている。

例えば、細胞膜は外界から細胞内へ物質が自由拡散することを防ぐ機能を有しているものの、有毒な化合物の中には、細胞膜を貫通して拡散し得るものがある。それ故に、有毒な化合物の毒性評価にあたって、当該化合物の細胞膜の透過性を解析しようとする試みがなされている。

例えば、膜タンパク質は細胞膜から分離すると変性する場合がある。それ故に、膜タンパク質の機能を解析するために、膜タンパク質を人工的に細胞膜に埋め込もうとする試みがなされている。

例えば、細胞膜は水を透過させる機能を有しており、脂質二重膜の脂質組成によって細胞膜の水透過性が異なるだけでなく、脂質二重膜に埋め込まれた膜蛋白質である水チャネル(アクアポリン)によって細胞膜の水透過性が調節されている。細胞および組織の細胞膜の局所にアクアポリンが分布することによって、細胞内外および組織内に、組織化された水の流れ(水流ネットワーク)が生み出される。そして、当該水流ネットワークが、細胞の移動等の様々な生命現象に深く関与していることが明らかになりつつある(非特許文献1)。

細胞膜が有している水流形成機能を解析するためには、脂質二重膜を人工的に作製し、脂質二重膜それ自体の水透過性と、脂質二重膜に埋め込まれた水チャネルの水透過性と、を測定する技術が必要であって、このような技術の開発が進められてきた。

脂質二重膜を人工的に作製する技術としては、例えば、脂質一重膜によって覆われた液滴と、脂質一重膜によって覆われた他の液滴とを、機械的な外力によって接触させる方法が挙げられる(特許文献1)。また、脂質二重膜を人工的に作製する技術としては、油の中で予め脂質一重膜によって覆われた液滴を形成させ、その液滴をマニピュレータなどで操作することによって、脂質二重膜を作製する方法も挙げられる(非特許文献2)。

一方、水透過性の測定方法は、限られており、リポソームの体積変化を光散乱に基づいて観察する技術が挙げられる(非特許文献3)。非特許文献4に記載の技術は、イオン電極を用いて、膜近傍のイオン濃度分布から水流束を測定する技術である。

産業上の利用分野

本発明は、脂質二重膜の水透過性の評価システム、脂質二重膜の水透過性の評価方法、および、脂質二重膜の水透過性を制御する薬剤のスクリーニング方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
内部に、所定の浸透圧濃度である第1の水溶液、脂質二重膜、および、上記第1の水溶液よりも高い浸透圧濃度である第2の水溶液をこの順番にて配置するための管であって、当該管を開閉する開閉部を備えている管と、
上記脂質二重膜の移動距離を計測するための移動距離計測計と、
上記脂質二重膜を介した電位差と電流とを制御および計測するための電極対と、
を備えていることを特徴とする、脂質二重膜の水透過性の評価システム。

【請求項2】
上記脂質二重膜は、イオノフォア、または、ポリペプチドを含有するものであることを特徴とする、請求項1に記載の脂質二重膜の水透過性の評価システム。

【請求項3】
上記脂質二重膜の水透過性の評価システムは、水流束の評価システム、非撹拌水層の評価システム、または、流動電位の評価システムであることを特徴とする、請求項1または2に記載の脂質二重膜の水透過性の評価システム。

【請求項4】
上記管は、
上記管内に上記第1の水溶液を導入するための第1の開口と、
上記管内に上記第2の水溶液を導入するための第2の開口と、
上記第1の開口と上記第2の開口との間にて上記管に設けられている第3の開口であって、上記第3の開口から上記管内に配置されている、上記脂質二重膜を形成するための油を吸引するための第3の開口と、を備えていることを特徴とする、請求項1~3の何れか1項に記載の脂質二重膜の水透過性の評価システム。

【請求項5】
上記脂質二重膜の水透過性の評価システムは、上記管を複数備えていることを特徴とする、請求項1~4の何れか1項に記載の脂質二重膜の水透過性の評価システム。

【請求項6】
上記水透過性の評価システムは、複数の上記第1の開口のうちの少なくとも2つと接続されている第1の副管と、複数の上記第2の開口のうちの少なくとも2つと接続されている第2の副管と、を備えていることを特徴とする、請求項5に記載の脂質二重膜の水透過性の評価システム。

【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載の脂質二重膜の水透過性の評価システムを用いる脂質二重膜の水透過性の評価方法であって、
上記管内に配置されている脂質二重膜の移動距離の計測、および、上記管内に配置されている脂質二重膜を介した電位差と電流との制御および/または計測、を行う計測工程を有することを特徴とする、脂質二重膜の水透過性の評価方法。

【請求項8】
上記脂質二重膜の水透過性の評価方法は、水流束の評価方法、非撹拌水層の評価方法、または、流動電位の評価方法である請求項7に記載の脂質二重膜の水透過性の評価方法。

【請求項9】
請求項1~6の何れか1項に記載の脂質二重膜の水透過性の評価システムを用いる、脂質二重膜の水透過性を制御する薬剤のスクリーニング方法であって、
上記管内に配置されている第1の水溶液、脂質二重膜、および、第2の水溶液からなる群から選択される少なくとも1つに薬剤の候補物質を加える添加工程と、
上記管内に配置されている脂質二重膜の移動距離の計測、および、上記管内に配置されている脂質二重膜を介した電位差と電流との制御および/または計測を行う、計測工程と、
上記計測工程によって得られた計測値と、参照値とを比較する比較工程と、を有することを特徴とする、スクリーニング方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2019012092thum.jpg
出願権利状態 公開
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close