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電磁波による鉄筋コンクリート構造物の非破壊検査装置及び方法

国内特許コード P190016124
整理番号 H18-076
掲載日 2019年6月14日
出願番号 特願2006-210270
公開番号 特開2008-039429
登録番号 特許第4038578号
出願日 平成18年8月1日(2006.8.1)
公開日 平成20年2月21日(2008.2.21)
登録日 平成19年11月16日(2007.11.16)
発明者
  • 田中 正吾
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 電磁波による鉄筋コンクリート構造物の非破壊検査装置及び方法
発明の概要 【課題】 内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物のクラック、空洞等からの反射波信号をより確実に検出する。
【解決手段】 内部に鉄筋9が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物6の表面上の複数位置に移動可能な検査装置本体1と、検査装置本体に搭載され、鉄筋コンクリート構造物に向けて電磁波を照射する電磁波照射手段2と、検査装置本体に搭載され、前記電磁波照射装置から照射された電磁波の反射波信号を取得する受波手段3と、受波手段によって取得された反射波信号を信号処理することによって鉄筋コンクリート構造物の欠陥を検出する信号処理手段4とを有し、受波手段は、検査装置本体の移動にともなって、位置の異なる複数の反射波信号を取得し、信号処理手段は、前記受波手段によって取得された位置の異なる複数の反射波信号を加算又は平均することによって前記鉄筋からの反射波信号成分を低減し、鉄筋コンクリート構造物の欠陥を検出する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要

近年、コンクリート構造物の劣化による事故が多発する中、これらの早急な検査及び補修が叫ばれている。このようなコンクリート構造物には、トンネル壁のように基本的には鉄筋が含まれない構造物と、ビルディング、橋梁を始めとする鉄筋コンクリート構造物がある。これらに対する非破壊検査手法としては、打音法、超音波法、電磁波レーダ法、レーザ法、赤外線法など各種の手法が研究開発されて来てはいるが、それぞれ得失があり、いまだ安心して使えるものはない。

また、レーダ(電磁波)を使用した非破壊検査手法も研究開発されて来ている。レーダは稼働性が良いという利点がある。ただ、従来の濃淡画像方式では、レーダ受信信号の濃淡画像を目視でみて異常の有無を判断するという方式であり、信頼度、精度が共に低く、推奨できない。

従来方式である濃淡画像を用いた非破壊検査について説明する。濃淡画像とは、電磁波レーダで走査する際、一定距離ごとに電磁波パルスの送受信が行われるが、各ポイントにおいて得られた受信信号を整流した全波整流波形に応じて深度方向、走査方向に2次元的に濃淡をつけた画像である。そして、この濃淡画像を検査員が目視で観察することにより、コンクリート内部の異常を推測・診断するものである。参考のため、図27に深度80mm及び150mmの2層にわたって直径15.9mmの鉄筋が格子状に配筋されている鉄筋コンクリートに対し,隣り合う鉄筋の中央を通って、他の直交する鉄筋に交差するようレーダを走査したときの濃淡画像を示す。図のほぼ中央に現れる(上に凸の) 円弧状のパターンが、上部の交差鉄筋からの反射波によるものである。このパターンは、電磁波レーダと交差鉄筋との距離が近ければ、鉄筋からの反射波の到達時刻が早く、かつ反射波の振幅が大きいが、距離が遠ざかるにつれて到達時刻が遅れ、かつ振幅が小さくなるために生じるものである。また、これらの円弧状の画像の間で深度の深い箇所に、上に凸の薄い円弧状の画像が現れるが、これは下部の交差鉄筋からの反射波によるものである。このように、鉄筋コンクリートにおいては、鉄筋からの反射波が極めて大きいことがわかる。従って、クラック等が内部にあっても、これらからの反射波は鉄筋からの反射波に比べて小さく、濃淡画像からクラックを検知することは極めて困難である。

特許文献1には、本発明の従来技術である、電磁波を用いた鉄筋コンクリート構造物の非破壊検査技術が記載されている。測定された反射波の極値などを健全データと比較することにより鉄筋周辺のクラックを検出するものである。また、特許文献2にも同様に、本発明の従来技術が記載されている。実際の受波信号と予測受波信号波形とをパターンマッチングすることによりコンクリート構造物を非破壊検査するものである。
【特許文献1】
特開2005-331404号公報
【特許文献2】
特開2003-207463号公報

産業上の利用分野

本発明は、内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物を電磁波により非破壊検査する装置及び方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物の表面上を略直線的に移動する検査装置本体と、
前記検査装置本体に搭載され、前記鉄筋コンクリート構造物に向けて電磁波を照射する電磁波照射手段と、
前記検査装置本体に搭載され、前記電磁波照射手段から照射された電磁波の反射波信号を取得する受波手段と、
前記受波手段によって取得された反射波信号を信号処理することによって前記鉄筋コンクリート構造物の欠陥を検出する信号処理手段と、
を有する鉄筋コンクリート構造物検査装置であって、
前記検査装置本体の移動範囲は、鉄筋に最も近い表面上の位置と、前記鉄筋に平行で隣接する別の鉄筋との間の略中間の表面上の位置と、の間を少なくとも含み、
前記受波手段は、前記検査装置本体の移動にともなって、前記移動範囲内で連続した異なる位置の複数の反射波信号を取得し、
前記信号処理手段は、前記受波手段によって取得された反射波信号のうち、鉄筋に最も近い表面上の位置と、前記鉄筋に平行で隣接する別の鉄筋との間の略中間の表面上の位置と、の間の連続した異なる位置の複数の反射波信号を加算又は平均することによって前記検査装置本体の移動方向に略直交する前記鉄筋からの反射波信号成分を低減し、加算又は平均された反射波信号から前記鉄筋コンクリート構造物の表面に略平行な面を含む欠陥を検出することを特徴とする鉄筋コンクリート構造物検査装置。

【請求項2】
前記加算又は平均された反射波信号は、前記鉄筋コンクリート構造物の構造に起因する複数の反射波信号と、クラックからのクラック反射波信号との和で表現され、
前記信号処理手段は、前記複数の反射波信号、及び、前記クラック反射波信号の各成分を抽出・解析することにより、クラックを検出することを特徴とする請求項1記載の鉄筋コンクリート構造物検査装置。

【請求項3】
前記鉄筋コンクリート構造物の構造に起因する複数の反射波信号は、少なくとも、前記鉄筋コンクリート構造物の表面からの反射波である表面反射波信号、及び、前記鉄筋コンクリート構造物の底面からの反射波である底面反射波信号を含むことを特徴とする請求項2記載の鉄筋コンクリート構造物検査装置。

【請求項4】
前記鉄筋コンクリート構造物は表面に1つ以上の表面層を有しており、
前記鉄筋コンクリート構造物の構造に起因する複数の反射波信号は、さらに、前記1つ以上の表面層の各底面からの反射波である表面層底面反射波信号を含むことを特徴とする請求項3記載の鉄筋コンクリート構造物検査装置。

【請求項5】
前記鉄筋コンクリート構造物の構造に起因する複数の反射波信号は、さらに、前記検査装置本体の移動方向に平行な鉄筋からの反射波である平行鉄筋反射波信号を含むことを特徴とする請求項3又は4記載の鉄筋コンクリート構造物検査装置。

【請求項6】
前記表面反射波信号は、走査方向に平行な鉄筋からの反射波信号及び欠陥からの反射波信号が現れない正常箇所の表面を走査したときの反射波信号の平均値で近似されることを特徴とする請求項3乃至5いずれか記載の鉄筋コンクリート構造物検査装置。

【請求項7】
前記欠陥は、クラック、空洞、又は底面形状の欠陥である、請求項1乃至6いずれか記載の鉄筋コンクリート構造物検査装置。

【請求項8】
検査装置本体を、内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物の表面上の、鉄筋に最も近い表面上の位置と、前記鉄筋に平行で隣接する別の鉄筋との間の略中間の表面上の位置と、の間を少なくとも含む移動範囲で、略直線的に移動させる検査装置本体移動工程と、
前記検査装置本体に搭載された電磁波照射手段により、前記鉄筋コンクリート構造物に向けて電磁波を照射する電磁波照射工程と、
前記電磁波照射工程で照射された電磁波の反射波信号を、前記検査装置本体に搭載された受波手段により取得する工程であって、前記検査装置本体の移動にともなって、前記移動範囲内で連続した異なる位置の複数の反射波信号を取得する受波工程と、
前記受波工程によって取得された反射波信号を信号処理することによって前記鉄筋コンクリート構造物の欠陥を検出する工程であって、取得された反射波信号のうち、鉄筋に最も近い表面上の位置と、前記鉄筋に平行で隣接する別の鉄筋との間の略中間の表面上の位置と、の間の連続した異なる位置の複数の反射波信号を加算又は平均することによって前記検査装置本体の移動方向に略直交する前記鉄筋からの反射波信号成分を低減し、加算又は平均された反射波信号から前記鉄筋コンクリート構造物の表面に略平行な面を含む欠陥を検出する信号処理工程と、
を有する鉄筋コンクリート構造物検査方法。

【請求項9】
前記加算又は平均された反射波信号は、前記鉄筋コンクリート構造物の構造に起因する複数の反射波信号と、クラックからのクラック反射波信号との和で表現され、
前記信号処理工程は、前記複数の反射波信号、及び、前記クラック反射波信号の各成分を抽出・解析することにより、クラックを検出することを特徴とする請求項8記載の鉄筋コンクリート構造物検査方法。

【請求項10】
前記鉄筋コンクリート構造物の構造に起因する複数の反射波信号は、少なくとも、前記鉄筋コンクリート構造物の表面からの反射波である表面反射波信号、及び、前記鉄筋コンクリート構造物の底面からの反射波である底面反射波信号を含むことを特徴とする請求項9記載の鉄筋コンクリート構造物検査方法。

【請求項11】
前記鉄筋コンクリート構造物は表面に1つ以上の表面層を有しており、
前記鉄筋コンクリート構造物の構造に起因する複数の反射波信号は、さらに、1つ以上の表面層の各底面からの反射波である表面層底面反射波信号を含むことを特徴とする請求項10記載の鉄筋コンクリート構造物検査方法。

【請求項12】
前記鉄筋コンクリート構造物の構造に起因する複数の反射波信号は、さらに、前記検査装置本体の移動方向に平行な鉄筋からの反射波である平行鉄筋反射波信号を含むことを特徴とする請求項10又は11記載の鉄筋コンクリート構造物検査方法。

【請求項13】
前記表面反射波信号は、走査方向に平行な鉄筋からの反射波信号及び欠陥からの反射波信号が現れない正常箇所の表面を走査したときの反射波信号の平均値で近似されることを特徴とする請求項10乃至12いずれか記載の鉄筋コンクリート構造物検査方法。

【請求項14】
前記欠陥は、クラック、空洞、又は底面形状の欠陥である、請求項8乃至13いずれか記載の鉄筋コンクリート構造物検査方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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JP2006210270thum.jpg
出願権利状態 登録
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