TOP > 国内特許検索 > ターミネータ配列を含む高発現用リバースプライマー及びリニアDNA

ターミネータ配列を含む高発現用リバースプライマー及びリニアDNA NEW 外国出願あり

国内特許コード P190016126
整理番号 H22-024
掲載日 2019年6月14日
出願番号 特願2013-511949
出願日 平成24年4月27日(2012.4.27)
国際出願番号 JP2012002936
国際公開番号 WO2012147370
国際出願日 平成24年4月27日(2012.4.27)
国際公開日 平成24年11月1日(2012.11.1)
優先権データ
  • 特願2011-101015 (2011.4.28) JP
発明者
  • 赤田 倫治
  • 星田 尚司
  • 中村 美紀子
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 ターミネータ配列を含む高発現用リバースプライマー及びリニアDNA NEW 外国出願あり
発明の概要 細胞における、目的とするRNAを発現しうるDNA配列の運搬体としてはプラスミドベクターが広く使用されているが、その構築は技術的な熟練及び時間を要するため、より簡便で迅速な方法が望まれている。その解決方法としてPCR法により増幅したリニアDNAを用いた方法が検討されているが、細胞内でのRNA発現が非常に低いという欠点がある。そこで発明者らは、主にPCR法を用いるだけで作製することができ、高いRNA発現が可能なリニアDNAによるRNA発現方法を開発することを課題とした。
発明者らはリニアDNAに用いるターミネータの配列について鋭意検討を重ねた結果、リニアDNAにおいてもプラスミドベクターを用いた場合と同等の発現を可能とする最小単位のターミネータ配列を見出した。かかるターミネータ配列を備えたリニアDNAは簡便かつ迅速に作製することが可能であり、さらに高いRNA発現を実現できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
従来技術、競合技術の概要 様々なタンパク質を細胞に発現させる技術は、細胞や細胞内におけるタンパク質の機能解析、有用タンパク質の生産などに広く用いられており、今日では欠かせない技術である。細胞内で特定のタンパク質を発現させるためには、細胞内へ遺伝子を導入する方法が有用であり、導入する遺伝子の運搬体としてプラスミドベクターを利用した方法が広く利用されている。プラスミドは細菌や酵母の細胞質内に存在し、染色体のDNAとは独立して自律的に複製を行う、環状二本鎖の構造体である。遺伝子工学分野においては、様々な改変が施され、外来遺伝子が挿入されたプラスミドがプラスミドベクターとして細胞に導入され、遺伝子発現に利用されている。

多くのプラスミドベクターは主に、大腸菌等の宿主細胞において複製するための複製起点、プロモーター配列、ターミネータ配列(ポリA付加配列、ポリA配列と呼ばれるものもある)、薬剤耐性や栄養要求性のマーカー遺伝子、外来遺伝子を挿入するための様々な制限酵素サイトを含むマルチクローニングサイトなどを有している。プロモーター配列は遺伝子の転写の開始を制御する配列であり、多くの場合500~1000塩基程度の配列が使用されている。これらの配列はプラスミドベクターによる遺伝子発現に最適化するために、ウィルスなどの遺伝子発現量の多いプロモーターが用いられ、また元来のプロモーター配列から改変されていることも多い。また、ターミネータ配列は遺伝子の転写の終了を制御し、また転写されたRNAを安定化する配列であり、多くの場合200~1000塩基程度の配列が使用されている。

プラスミドベクター構築の一般的で最も容易な例は、以下のとおりである(図1);(1)目的RNA発現DNA配列を、制限酵素サイトを含むプライマーを用いてPCR法により増幅し、両端に制限酵素サイトを持つ目的RNA発現DNA配列の増幅産物を得る;(2)工程(1)にて得た増幅産物及びプラスミドベクターを制限酵素により処理する;(3)工程(2)の制限酵素処理物を精製する;(4)工程(3)のプラスミドベクター及び増幅産物をライゲーション反応により連結し、環状化する;(5)工程(4)のライゲーション反応物を大腸菌に形質転換し、選択薬剤を含むプレートにまいて37℃で一晩インキュベーションする;(6)工程(5)のプレートから大腸菌コロニーをひろい、液体培地にて大腸菌を増殖させる;(7)工程(6)の大腸菌よりプラスミドベクターを精製し、得たプラスミドベクターの配列や構成などを確認する;(8)工程(7)で確認された目的のプラスミドベクターをもつ大腸菌を増殖させ、プラスミドベクターを精製し必要量を得る。これらの工程を全て終えるには、5日~1週間、あるいはそれ以上の日時を要するのが通例であり、プロジェクトの進行において律速となる実験の一つといえる。

プラスミドベクターは、導入した培養細胞内でも比較的安定に維持され、高いRNA発現を得ることができるという利点を有する。しかし、プラスミドベクターの構築は、上述のとおり酵素処理や大腸菌の生育に多くの時間が必要で完成に時間を要する上、技術的な熟練が求められる。また、構築されたプラスミドベクターを大腸菌内で増幅させる工程だけでも、大腸菌にプラスミドベクターを形質転換し、コロニーを形成させるのに一晩、プラスミドベクターを有する大腸菌の培養に12時間から通常一晩程度の時間がかかり、プラスミドベクターの増幅にも時間がかかる。そのため、技術的に容易で、発現用DNAの構築及び増幅に要する時間が大幅に短縮された、遺伝子発現の方法が求められていた。

近年、正確性の高いポリメレースが開発されたことから、PCR法により遺伝子を数時間で合成することが可能になった。そこで、作製に手間と時間がかかる環状のプラスミドベクターに代わって、PCR法により増幅した線状のリニアDNAをそのまま細胞内に導
入し、遺伝子発現を行う方法が検討されている。この方法で作製した導入用遺伝子が細胞内で十分な遺伝子発現を達成できれば、従来の手間と時間のかかるプラスミド構築を、簡便で迅速なPCR法によるリニアDNAの作製に替えることが可能となり、大幅な時間の短縮、ハイスループット化が期待できる。しかしながら、PCR法で作製したリニアDNAを細胞に遺伝子導入しても、同じ遺伝子配列を持たせたプラスミドと比べ、著しく発現量が低い、あるいは発現しないという問題があった。

特許文献1には、細胞での発現に必要な配列である、プロモーター配列、目的遺伝子、発現マーカー遺伝子、ターミネータ配列、ポリアデニレーションシグナル配列を含むDNA断片をPCR法を用いて調製する方法が記載されている。しかし、特許文献1記載の方法は細胞内においてリニアDNAが分解されやすく高い発現を得られにくいという問題を解決するために、かかるDNA断片を環状化する手法が採られており、従来法と同様に細胞内に環状プラスミドベクターを導入するものである。したがってDNAの環状化や環状化したDNAの選択などに要する手間や時間も従来どおりであり、従来法と比べて著しく手間や時間を短縮できるものではない。

また特許文献2には、プロモーター、コード領域などを含むリニアDNAが、線状発現エレメントとして記載されている。この特許文献2記載の方法はプロモーターなどの各構成要素を単独に増幅し、それぞれの末端にオーバーハングする一本鎖DNA同士のアニーリングにより構成要素同士を非共有結合により連結するものであり、このためにはdUMP含有PCRプライマー及びウラシルDNAグリコシラーゼを用いる方法や、非塩基ホルホルアミデートを用いる方法、rU/RNaseAを用いる方法などを利用することができる。しかし、いずれの方法も高価な試薬や煩雑な操作が必要であるという問題があり、ハイスループットに適用できるような、技術的に容易で、時間が大幅に短縮された遺伝子発現の方法とはいえないものである。そして特許文献3には、無細胞系における遺伝子発現のための、プラスミドベクター上のプロモーター、ターミネータを含む、線状DNA断片を簡便に作製するための方法が記載されているが、培養細胞におけるリニアDNAによる遺伝子発現の低さを解決することはできていない。

また、非特許文献1には、同一ベクター上に、目的遺伝子の一つの下流にAATAAA配列を改変したSV40のポリAシグナルを備え、もう一つの目的遺伝子の下流にはAATAAA配列を改変していないSV40のポリAシグナルを備えることにより、一つのベクターを用いて、それぞれ発現量の異なる複数の遺伝子発現を行う方法が記載されている。また、特許文献4には、順次コード領域、翻訳終止コドン、およびポリアデニル化シグナルを含む非翻訳領域からなるDNAの、非翻訳領域のヌクレオチド配列を翻訳終止コドンとAATAAAポリアデニル化シグナルとの間の距離が300塩基対以下となるように改変して、ベクターDNAで用いることにより、タンパク質生産を増加させる方法が記載されている。しかしながら、これらはいずれも環状のプラスミドベクターを利用した方法であり、ベクターの作製にかかる手間と時間は従来よりも増加するものである。したがって、培養細胞においてプラスミドベクターに匹敵する高い遺伝子発現を可能とする、技術的に容易で、作製に要する時間が大幅に短縮されたリニアDNAによる遺伝子発現の方法は開発されていないのが現状である。
産業上の利用分野 本発明は、ターミネータ配列を含むDNA配列の相補配列からなる哺乳動物等の細胞におけるRNA発現用のリバースプライマーや、プロモーター配列と目的RNA発現DNA配列とターミネータ配列とを順次備えた二本鎖DNA配列からなる細胞におけるRNA発
現用のリニアDNAや、該リニアDNAを用いて細胞においてRNAを高発現させる方法に関する。
特許請求の範囲 【請求項1】
ターミネータ配列を含むDNA配列の相補配列からなり、リニアDNAによる細胞におけるRNA発現用のリバースプライマーであって、前記ターミネータ配列が、30~200塩基からなり、(A/T/G),(A/T/G),T,A,A,A,(A/T/G/C),(A/T/G/C),(A/G/C)の連続した9塩基の配列を含むことを特徴とするリバースプライマー。

【請求項2】
ターミネータ配列を含むDNA配列の相補配列が、増幅対象の目的RNA発現DNA配列の特異的配列とターミネータ配列とを順次備えたDNA配列の相補配列であることを特徴とする請求項1記載のリバースプライマー。

【請求項3】
ターミネータ配列を含むDNA配列の相補配列が、アニーリング配列とターミネータ配列とを順次備えたDNA配列の相補配列であることを特徴とする請求項1記載のリバースプライマー。

【請求項4】
ターミネータ配列が、β-グロビン(β-globin)又はSV40(シミアンウイルス40)のターミネータ配列由来であることを特徴とする請求項1~3のいずれか記載のリバースプライマー。

【請求項5】
ターミネータ配列が、配列番号1又は2で示される配列の一部又は全長であることを特徴とする請求項1~4のいずれか記載のリバースプライマー。

【請求項6】
プロモーター配列と、目的RNA発現DNA配列と、ターミネータ配列とを順次備えた二本鎖DNA配列からなる、細胞におけるRNA発現用のリニアDNAであって、前記ターミネータ配列が、30~200塩基からなり、(A/T/G),(A/T/G),T,A,A,A,(A/T/G/C),(A/T/G/C),(A/G/C)の連続した9塩基の配列を含むことを特徴とするリニアDNA。

【請求項7】
目的RNA発現DNA配列とターミネータ配列との間に、アニーリング配列を備えたことを特徴とする請求項6記載のリニアDNA。

【請求項8】
ターミネータ配列が、β-グロビン(β-globin)又はSV40(シミアンウイルス40)のターミネータ配列由来であることを特徴とする請求項6又は7記載のリニアDNA。

【請求項9】
ターミネータ配列が、配列番号1又は2で示される配列の一部又は全長であることを特徴とする請求項6~8のいずれか記載のリニアDNA。

【請求項10】
目的RNA発現DNA配列がshRNA発現DNA配列であることを特徴とする請求項6~9のいずれかに記載のリニアDNA。

【請求項11】
請求項6~10記載のリニアDNAを、細胞内に導入することを特徴とするリニアDNAを用いたRNA発現方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

thum_2013-511949.gif
出願権利状態 公開
山口TLOは平成11年11月に山口大学の教官50名の出資により設立された、リエゾン一体型のTLO活動会社です。山口大学を主とし、山口県内の大学・高専の研究成果をご紹介致します。特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close