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パラジウム錯体固体、錯体触媒、及びそれらの製造方法 コモンズ

国内特許コード P190016141
整理番号 P2017-193913
掲載日 2019年6月21日
出願番号 特願2017-193913
公開番号 特開2019-063760
出願日 平成29年10月3日(2017.10.3)
公開日 平成31年4月25日(2019.4.25)
発明者
  • 金 仁華
  • 貝掛 勝也
出願人
  • 学校法人神奈川大学
発明の名称 パラジウム錯体固体、錯体触媒、及びそれらの製造方法 コモンズ
発明の概要 【課題】安定で繰り返し用いることが可能であって、且つ触媒として用いた場合に高い収率を実現可能な、新規なパラジウム錯体固体、及びそれを用いた錯体触媒、並びにその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、プリン誘導体骨格を備えた2つ以上の残基がスペーサ基で連結されてなる配位子とパラジウム(II)化合物との配位結合によるパラジウム錯体が集合してなる1μm~100μmの大きさの三次元構造体であり、X線回折試験(XRD)において2θ≦10°の範囲にピークを備えることを特徴とするパラジウム錯体固体、並びにその合成及び応用に関する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要

医薬品の合成を初めとした有機合成化学の分野において、炭素-炭素結合を生成させる化学反応は極めて重要である。このような化学反応として、グリニャール試薬のように、電気陰性度の小さな金属原子を炭素に結合させることでその炭素を陰性に分極させ、これを求核試薬とすることで炭素-炭素結合を生成させる反応が古くから用いられてきた。しかしながら、このような試薬は、その反応性の高さから水の存在下では取り扱うことができず、それを用いた化学合成は高度な注意を必要とするものといえる。

そのような中、有機ホウ素化合物とハロゲン化アリールとの間で炭素-炭素結合を生成させる鈴木・宮浦カップリング反応が報告された。この反応は、パラジウム触媒及び塩基の存在下、温和な条件で収率良く進行させることができるので、有機合成化学において非常に利用価値の高いものである。後に、この反応を報告した研究者の一人にノーベル化学賞が授与されたことは記憶に新しい。

鈴木・宮浦カップリング反応に用いられるパラジウム触媒としては、3価のリンであるホスフィン配位子がパラジウムに配位した錯体が選択され、これを反応系に溶解させて均一系で反応させる方法が広く採用されている。しかしながら、ホスフィン配位子は酸化されやすく、触媒としての使用過程でホスフィン配位子に含まれる3価のリンが5価に酸化される。5価に酸化されたリンは、もはやパラジウムに配位することができないので、配位子がそのような酸化を受けてしまうと触媒活性を失うことになる。したがって、1分子のパラジウム錯体で10000分子の基質を反応させようとする場合のように、触媒を高回転で使用しようとする場合には、反応系内の脱酸素を完全に行うなどといった細心の注意を払う必要がある。

ところで、この反応で触媒として用いられるパラジウムは貴金属であり高価なものなので、活性を失ったパラジウム触媒を含む廃液などといった、パラジウムを含む各種の廃棄物からパラジウムを回収することも重要である。そのような背景から、カフェインを用いて廃棄物からパラジウムを抽出する技術が提案されている(非特許文献1を参照)。この技術は、カフェインを初めとしたプリン誘導体骨格を有する化合物が、パラジウムに対して高い配位能を有することに注目して完成されたものである。具体的には、二環からなるプリン誘導体であるキサンチン骨格に含まれるイミダゾール環における、無置換の窒素の孤立電子対がパラジウムに配位して錯体を形成する性質を利用し、パラジウムを抽出する。

産業上の利用分野

本発明は、パラジウム錯体固体、錯体触媒、及びそれらの製造方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
プリン誘導体骨格を備えた2つ以上の残基がスペーサ基で連結されてなる配位子とパラジウム(II)化合物との配位結合によるパラジウム錯体が集合してなる1μm~100μmの大きさの三次元構造体であり、X線回折試験(XRD)において2θ≦10°の範囲にピークを備えることを特徴とするパラジウム錯体固体。

【請求項2】
前記三次元構造体が、無数のナノシート又はナノリボン状の構造が折り重なって集合した階層構造を備えることを特徴とする請求項1記載のパラジウム錯体固体。

【請求項3】
前記残基が、下記一般式(1)で表す、キサンチン骨格を有する基である請求項1又は2記載のパラジウム錯体固体。
【化1】
(省略)
(上記一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1~8のアルキル基である。)

【請求項4】
前記スペーサ基が、途中にエーテル酸素や環状構造を含んでもよい、炭素数2以上の2価以上の炭化水素鎖である請求項1~3のいずれか1項記載のパラジウム錯体固体。

【請求項5】
前記配位子が、下記一般式(2)又は(3)で表す構造を備える請求項1~4のいずれか1項記載のパラジウム錯体固体。
【化2】
(省略)
(上記一般式(2)中、各R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1~8のアルキル基であり、Xは、途中にエーテル酸素を含んでもよい炭素数2以上のアルキレン基である。上記一般式(3)中、各R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1~8のアルキル基であり、各Xは、それぞれ独立に、途中にエーテル酸素を含んでもよい炭素数1以上のアルキレン基であり、Aは、芳香環又は置換されたメタンを表し、Aが芳香環の場合、nは2~6の整数を表し、Aが置換されたメタンの場合、nは2~4の整数を表す。このAが芳香環の場合、当該芳香環は、複数の芳香環が共有結合で連結されたものであってもよい。)

【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項記載のパラジウム錯体固体を含んでなる、炭素-炭素カップリング反応用の錯体触媒。

【請求項7】
炭素-炭素カップリング反応における触媒として請求項1~5のいずれか1項記載のパラジウム錯体固体を用いる化学反応工程を備えることを特徴とする化合物の製造方法。

【請求項8】
パラジウム(II)化合物を含む溶液と、プリン誘導体骨格を備えた2つ以上の残基がスペーサ基で連結された配位子を含む溶液と、を混合し、これらの錯体固体を沈殿させて得ることを特徴とするパラジウム錯体固体の製造方法。

【請求項9】
前記残基が、下記一般式(1)で表す、キサンチン骨格を有する基である請求項8記載のパラジウム錯体固体の製造方法。
【化3】
(省略)
(上記一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1~8のアルキル基である。)

【請求項10】
前記スペーサ基が、途中にエーテル酸素や環状構造を含んでもよい、炭素数2以上の2価の炭化水素鎖である請求項8又は9記載のパラジウム錯体固体の製造方法。

【請求項11】
前記配位子が、下記一般式(2)又は(3)で表す構造を備える請求項8~10のいずれか1項記載のパラジウム錯体固体の製造方法。
【化4】
(省略)
(上記一般式(2)中、各R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1~8のアルキル基であり、Xは、途中にエーテル酸素を含んでもよい炭素数2以上のアルキレン基である。上記一般式(3)中、各R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1~8のアルキル基であり、Xは、途中にエーテル酸素を含んでもよい炭素数1以上のアルキレン基であり、Aは、芳香環又は置換されたメタンを表し、Aが芳香環の場合、nは2~6の整数を表し、Aが置換されたメタンの場合、nは2~4の整数を表す。このAが芳香環の場合、当該芳香環は、複数の芳香環が共有結合で連結されたものであってもよい。)

【請求項12】
前記パラジウム(II)化合物が塩化パラジウム(II)である請求項8~11のいずれか1項記載のパラジウム錯体固体の製造方法。

【請求項13】
請求項8~12のいずれか1項記載の製造方法によりパラジウム錯体固体を得る工程を備え、この工程で得たパラジウム錯体固体をパラジウム錯体触媒とすることを特徴とするパラジウム錯体触媒の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
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