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集束電極一体型電界放出素子及びその作製方法 新技術説明会

国内特許コード P190016166
掲載日 2019年6月27日
出願番号 特願2008-218897
公開番号 特開2010-055907
登録番号 特許第5062761号
出願日 平成20年8月28日(2008.8.28)
公開日 平成22年3月11日(2010.3.11)
登録日 平成24年8月17日(2012.8.17)
発明者
  • 長尾 昌善
  • 吉田 知也
  • 金丸 正剛
出願人
  • 国立研究開発法人産業技術総合研究所
発明の名称 集束電極一体型電界放出素子及びその作製方法 新技術説明会
発明の概要 【課題】現実的に作製可能な構造原理をもってエミッタから放出される電子ビームを十分に集束する機能を呈することができる集束電極一体型電界放出素子提案する。
【解決手段】基板10上に、先端11tpが先鋭な電子放出端となっているエミッタ11と、エミッタ先端11tpを露呈する開口を有する絶縁膜12と、この絶縁膜12上に形成され、エミッタ先端11tpを露呈する開口を有する引き出しゲート電極13を形成し、引き出しゲート電極13上には集束電極積層構造20を形成する。集束電極積層構造20は、一層の絶縁膜25,26,27,28と、その上に形成された一層の集束電極21,22,23,24とを単位積層段として、この単位積層段を基板10の鉛直方向に沿って少なくとも四段積層して構成される。最下段に位置する単位積層段の絶縁膜25は引き出しゲート電極13の上に形成されていると共に、全ての単位積層段の絶縁膜25,26,27,28及び集束電極21,22,23,24には、エミッタ先端11tpを露呈する開口を開ける。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要

電界放出素子(FED)は、当初、古典的な熱電子放出タイプの陰極線管(CRT)に代わり、主としてフラットパネルディスプレイ(FPD)型の画像表示装置に適当なる電子放出源として用いるべく研究、開発されてきた。その目処が付いてくるに連れ、さらなる要求として、電子ビームリソグラフィの電子源としてとか、超高精細の要求されるFPDにも適当なるよう、エミッタ先端から放出される電子ビームを十分に集束できるような機能をも持つ電界放出素子が求められ始めた。

これに応えるべく研究された電界放出素子として、下記非特許文献1に開示されているように、エミッタ先端周囲に設けられた引き出しゲート電極の他に、電子ビームを集束させるための集束電極(レンズ電極)を設けた、一般にダブルゲート型と略称される集束電極一体型電界放出素子がある。ちなみに、レンズ一体型FEDとも呼ばれるこの種の集束電極一体型電界放出素子では、引き出しゲート電極も集束電極も、基板上に形成されたエミッタの先端を上方空間に露呈する開口(望ましいのは極力真円に近い円形開口)を持つように形成される。そのため、これら電極は、エミッタを囲む電極という意味で、形態的な呼称からはリング状電極と呼ばれることもある。
【非特許文献1】
“Fabrication of Silicon Field emitter arrays Integrated with beam focusing lens”,Yoshikazu Yamaoka他, Jpn. J. Appl.Phys., Vol.35, Part 1, No.12B, (1996) pp.6626-6628.

非特許文献1に開示の素子では、集束電極は引き出しゲート電極との位置関係において三姿態が開示され、集束電極を引き出しゲート電極の上方に設ける場合、引き出しゲート電極を囲むように同一平面に設ける場合、そして、引き出しゲート電極の上方に積層して設けられるけれども、引き出しゲート電極の開口縁部分がコニーデ式火山の噴火口のように、高さ方向に立ち上がって集束電極の開口内に侵入し,盛り上がった形になっている結果、集束電極の開口縁の高さ位置が当該引き出しゲート電極開口縁とほぼ同じ高さになっている場合が示されている。

いずれにしても、少なくとも引き出しゲート電極の他に集束電極をも有する集束電極一体型電界放出素子の場合、例えばエミッタ電位を0Vとすると、引き出しゲート電極には、当然のことではあるが、電子を引き出すためにある一定の正の電圧Vexを印加する。対して集束電極には、放出された電子ビームを集束させるため、少なくともVexよりも低い電圧Vf(Vf<Vex)を印加する。もちろん、Vfが低い程、集束効果はより強くなるが、Vfを低くして行き、0V近くにまで低下させると、エミッタから取り出し得る電流量は大きく減少してしまう。これは、Vexよりも低い電圧Vfによりエミッタ先端での電界集中が緩和されてしまい、結果としてエミッタ先端に印加される電界強度が弱くなってしまうことに起因している。

この問題を克服するために、本発明者等が関与した下記非特許文献2では、集束電極の開口縁位置を引き出しゲート電極の開口縁位置よりも低くすることで、集束電極の創る低い電位分布がエミッタ先端には及ばないようにし、エミッタ先端に印加される電界強度を維持しつつ、放射される電子ビームの集束効果を得るようにした。
【非特許文献2】
“Focusing Characteristics of Double-Gated Field-Emitter Arrays with a Lower Hight of the Focusing Electrode”,Yoichiro Neo他, Appl.Phys.Exp.1 (2008), 053001-3.

しかし、このような構造であっても、より強い集束効果を得ようとすると、やはり集束電極の作る電位の低いポテンシャル障壁がエミッタ先端の上方に形成され、放出された電子ビームの一部がそのポテンシャル障壁を越えることができずにゲート電極の方に戻って来てしまい、やはり取り出し得る電流量が減ってしまうと言う別の問題に直面した。

そこで、電子放出点となるエミッタ先端の鉛直線上にポテンシャル障壁を形成しないように、さらにもう一段集束電極を設けて、ここにプラスの電圧を印加してはどうかという試みがなされた。実際、下記特許文献1の図2及び下記特許文献2の図9には、そのような場合に使える二枚の集束電極を有する構造が開示されている。
【特許文献1】
特開平7-192682号公報
【特許文献2】
特開平6-275189号公報

産業上の利用分野

本発明は、基板上に設けられたエミッタの先鋭な先端に高電界を印加し、当該エミッタ先端から冷電子を放出させる電界放出素子(冷電子放出素子とも言う)に関し、特に放出される電子を集束しながらアノード電極に向けて出力するための集束電極を一体に有する電界放出素子とその作製方法における改良に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
基板上に設けられ、先端が先鋭な電子放出端となっているエミッタと,該基板上に設けられ、該エミッタ先端を露呈する開口を有する絶縁膜と,該絶縁膜の上に形成され、該エミッタ先端を露呈する開口を有する引き出しゲート電極と,該引き出しゲート電極の上に形成された集束電極積層構造と,を含んで成り;
上記集束電極積層構造は、一層の絶縁膜と、その上に形成された一層の集束電極とを単位積層段として、該単位積層段を上記基板の鉛直方向に沿って少なくとも四段以上の複数段に積層して構成され、最下段に位置する単位積層段の上記絶縁膜は上記引き出しゲート電極の上に形成されていると共に、全ての単位積層段の上記絶縁膜及び上記集束電極には上記エミッタ先端を露呈する開口が開けられていること;
上記集束電極積層構造において最下段の上記単位積層段から上段の単位積層段に行く程、各単位積層段の上記絶縁膜及び上記集束電極に開けられている上記開口は大径となっていること;
上記各単位積層段の絶縁膜の上記開口の内周縁は、同じ単位積層段に属する集束電極の上記開口の内周縁よりも半径方向外方に後退していること;
上記各単位積層段の上記絶縁膜の上記開口内周縁の上記後退距離は、下段の単位積層段の上記絶縁膜程、長くなっていること;
を特徴とする集束電極一体型電界放出素子。

【請求項2】
請求項に記載の集束電極一体型電界放出素子であって;
上記集束電極積層構造中に全部で複数枚ある上記集束電極の中、少なくとも一枚または複数枚の集束電極の上記開口内周縁は、そこからの電界放出を抑えるために、表面が角を持たない滑らかな形状になっていること;
を特徴とする集束電極一体型電界放出素子。

【請求項3】
基板上に先端が先鋭な電子放出端となるエミッタを形成する工程と;
該基板上に、該エミッタの外径形状に関しコンフォーマルに絶縁膜と導電性薄膜を順次成膜する工程と;
該導電性薄膜にあって該エミッタの直上に当たる部分のみを選択的にエッチングし、開口を開けて引き出しゲート電極とする工程と;
一層の絶縁膜とその上に形成された一層の導電性薄膜とを単位積層段として、一つ上の単位積層段を積層する前に自身の単位積層段に属する導電性薄膜の上記エミッタ先端上に位置する部分をエッチング除去して該導電性薄膜の該エミッタ先端上に位置する部分に開口を形成し、開口付きの集束電極を形成する手順を繰り返しながら上記引き出しゲート電極上に四段以上の単位積層段を積層する工程と;
高さ方向に隣接する二段の単位積層段において上段の単位積層段の集束電極に開けられた開口を介し、該上段の単位積層段の絶縁膜を等方性エッチングして上記エミッタ先端上に位置する部分に開口を開け、かつ、該上段の単位積層段の集束電極の開口内周縁に対し該絶縁膜の開口内周縁を半径方向外方に後退させたならば、下段の単位積層段の絶縁膜を等方性エッチングする前にポジ型のフォトレジストを塗布し、該フォトレジストを露光、現像して該フォトレジストの露光部分は除去するが該フォトレジストの未露光残存部分で上記上段の集束電極の下における上記絶縁膜の後退距離に相当する空隙部分を埋め、その後に下段の絶縁膜を等方性エッチングして上記エミッタ先端上に位置する部分に開口を開け、かつ、該下段の単位積層段の集束電極の開口内周縁に対し該絶縁膜の開口内周縁を半径方向外方に後退させる手順を最上段の単位積層段から最下段の単位積層段まで順次繰り返す工程と;
その後、上記引き出しゲート電極の下に残っている絶縁膜を等方性エッチングして上記エミッタ先端上に位置する部分に開口を開ける工程と;
を含んで成る集束電極一体型電界放出素子の作製方法。

【請求項4】
請求項に記載の集束電極一体型電界放出素子の作製方法であって;
上記各絶縁膜は、テトラエトキシシランガスを用いての化学気相成長法で形成すること;
を特徴とする集束電極一体型電界放出素子の作製方法。

【請求項5】
請求項に記載の集束電極一体型電界放出素子の作製方法であって;
上記各単位積層段の上記集束電極の上記開口の径は、上段の集束電極の開口程、大径となっていること;
を特徴とする集束電極一体型電界放出素子の作製方法。

【請求項6】
請求項に記載の集束電極一体型電界放出素子の作製方法であって;
上記各単位積層段の上記各絶縁膜の上記開口内周縁に関する後退距離は、下段に行く程、長くなっていること;
を特徴とする集束電極一体型電界放出素子の作製方法。

【請求項7】
請求項に記載の集束電極一体型電界放出素子の作製方法であって;
少なくとも上記引き出しゲート電極の下の上記絶縁膜に開口を開ける工程の前に、複数の上記集束電極の中、一枚または複数枚の集束電極に関しては、その開口内周縁の表面を角を持たない滑らかな形状に加工する工程を有すること;
を特徴とする集束電極一体型電界放出素子の作製方法。

【請求項8】
請求項に記載の集束電極一体型電界放出素子の作製方法であって;
上記加工は、上記集束電極の上記開口内周縁に対するイオン照射により行うこと;
を特徴とする集束電極一体型電界放出素子の作製方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) ナノエレクトロニクス研究部門 カスタムデバイスグループ
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