Top > Search of Japanese Patents > (In Japanese)疾患モデル動物および疾患治療剤

(In Japanese)疾患モデル動物および疾患治療剤 commons

Patent code P190016219
File No. (NU-665)
Posted date Jul 26, 2019
Application number P2018-527612
Date of filing Jul 11, 2017
International application number JP2017025273
International publication number WO2018012497
Date of international filing Jul 11, 2017
Date of international publication Jan 18, 2018
Priority data
  • P2016-139308 (Jul 14, 2016) JP
Inventor
  • (In Japanese)祖父江 元
  • (In Japanese)石垣 診祐
  • (In Japanese)横井 聡
Applicant
  • (In Japanese)国立大学法人名古屋大学
Title (In Japanese)疾患モデル動物および疾患治療剤 commons
Abstract (In Japanese)本発明は、脳におけるシナプス異常を伴う疾患の症状を呈する新規な特異的ノックアウトモデル動物、およびその製造方法、または当該疾患の治療剤を提供することを主な課題とする。
本発明として、例えば、脳におけるFUS遺伝子を、例えば、Cre-loxPシステムとCamK2プロモーターとを用いて特異的にノックアウトして作製されることを特徴とする、シナプス異常を伴う疾患(例えば、前頭側頭葉変性症(FTLD))の症状を呈するモデル動物、その製造方法、または当該モデル動物を使用した当該疾患の治療薬のスクリーニング方法などを挙げることができる。
Outline of related art and contending technology (In Japanese)

近年、医療および科学技術の進歩により、特に先進国における平均寿命は大きく延長された。しかし、それに伴い、過去には問題にならなかった脳の老化によって発生する様々な機能低下、疾患、病態が大きな社会問題となってきている。それらの中でも認知症は、患者本人のクオリティ・オブ・ライフを大きく低下させ、また、介護する家族への負担も非常に大きい。認知症による症状としては、記憶障害、視覚障害、言語障害、問題行動、睡眠障害、うつ症状等の多岐にわたる。このような認知症をきたす脳の変性疾患としては、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、脳血管性認知症、前頭側頭葉変性症(FTLD:Frontotemporal lobar degeneration)等が知られている。

FTLDによる認知症は、特に欧米では、アルツハイマー病に次いで多い進行性認知症である。FTLDの主な特徴は、前頭葉と側頭葉が変性部位であることであり、その組織病理的所見は、前頭葉変性型、ピック病型、運動ニューロン病型の3つである。症状としては、人格障害および社会的行動の異常といった高次脳機能障害に起因する行動異常が見られる。しかし、FTLDの病態は非常に複雑であり、これまで診断法、治療法に関する研究が十分に進められてこなかったため、根本的な治療法は未だ確立されていない。

非常に複雑な病態を呈するFTLDの詳細な研究を更に進めるためには、その病態を示す均一なモデル動物の系の存在が必要不可欠である。そのようなモデル動物の系としては、遺伝子組み換えモデル動物、例えば、ノックアウトマウスであることが好ましい。従来、FTLDは、神経細胞内でFUSやTDP-43タンパク質の異常凝集・蓄積や異常局在により神経変性を引き起こすと言われている。そのため、FTLD等の認知症モデル動物は、認知症関連遺伝子の過剰発現により、例えば、遺伝子のノックインにより作製されてきた。しかし、これらは当該特定の遺伝子が大量に発現することによる毒性が、神経変性を引き起こしている可能性を否定できず、モデルそのものが異常所見によっているものではないかという批判が存在した。

特許文献1には、筋萎縮性側索硬化症および/または前頭側頭葉変性症のモデルマウスが開示されている。当該モデルマウスは、内在性のTDP-43の少なくとも一方のアレルに変異型のTDP-43を置き換えたノックインマウスである。当該モデルマウスは、筋萎縮性側索硬化症および前頭側頭葉変性症と同様の病態を呈するが、ノックインマウスであるため、モデルそのものが異常所見によるかものどうかの判断が困難である。

本発明者らのグループは、マウスを用いて上述のFTLDの病態の研究を行い、その結果、マウスの脳においてFUS(Fused in sarcoma)遺伝子を、shRNA発現レンチウイルスを用いてノックダウンしたマウスが、FTLD様の病態を示すことを示した(非特許文献1参照。)。さらにFUS遺伝子をノックダウンした培養細胞において、シナプスに存在するグルタミン酸受容体GluA1タンパク質の量が顕著に低下すること、そしてFUSはGluA1のmRNAに特異的に結合し安定化させる働きを有すること、そして上述のFUSをノックダウンしたマウスのFTLD様の病態が、GluA1の遺伝子導入により回復することを示した。

上述の実験でその発現抑制(機能喪失)がFTLDの原因のひとつとして示唆されたFUS遺伝子について、更に精密に研究を進めるには、FUS遺伝子ノックアウトマウスの作製が必要である。しかしながら、FUS遺伝子ノックアウトマウスは、通常は胎生致死であるため、これまで交雑系のマウスにおける作製報告があるものの(例、非特許文献2、非特許文献3参照。)、それ以外は報告が見当たらない。また、ほぼ同じ遺伝子バックグラウンドを有する近交系のマウスにおけるノックアウトマウスの作製はさらに困難であり、今まで報告がなかった。FTLD型認知症は、非常に複雑な病態を有するため、信頼できる実験結果を得るためには、個体差の大きい交雑系では限界がある。

一方、SynGAP(Synaptic Ras GTPase activating Protein)は、シナプス後厚部(PSD)に存在するタンパク質であり、グルタミン酸受容体の活性化の下流で小分子Gタンパク質シグナリングを負に制御することが知られている。SynGAPタンパク質は、線虫から高等哺乳動物まで存在することがわかってきている。また、SynGAPタンパク質には、現在までに複数の種類のC末端ドメイン(α1、α2、β、γ等)と、複数の種類のN末端ドメイン(A、B、C等)の組み合わせからなる多種スプライシングバリアントの存在が示されており、その多様な機能を示唆している(例、非特許文献4、非特許文献5参照。)。

Field of industrial application (In Japanese)

本発明は、遺伝子組み換え実験動物、および疾患の治療剤の技術分野に属する。本発明は、シナプス異常を伴う疾患(例えば、前頭側頭葉変性症)の症状を呈する、脳におけるFUS遺伝子特異的ノックアウトモデル動物、その製造方法、もしくは当該モデル動物を使用した当該疾患に有効な治療薬のスクリーニング方法、または当該疾患の治療剤などに関するものである。

Scope of claims (In Japanese)
【請求項1】
 
脳におけるFUS遺伝子の特異的ノックアウトにより作製されることを特徴とする、シナプス異常を伴う疾患の症状を呈するモデル動物。

【請求項2】
 
ノックアウトが、Cre-loxPシステムとCamK2プロモーターとを用いて行われる、請求項1に記載のモデル動物。

【請求項3】
 
シナプス異常を伴う疾患が、前頭側頭葉変性症(FTLD)または運動ニューロン疾患である、請求項1または2に記載のモデル動物。

【請求項4】
 
動物がマウスである、請求項1~3のいずれか一項に記載のモデル動物。

【請求項5】
 
動物が近交系である、請求項1~4のいずれか一項に記載のモデル動物。

【請求項6】
 
請求項1~5のいずれか一項に記載のモデル動物から取得されるモデル神経細胞またはモデル神経細胞株。

【請求項7】
 
脳におけるFUS遺伝子を特異的にノックアウトする操作工程を有することを特徴とする、シナプス異常を伴う疾患の症状を呈するモデル動物の製造方法。

【請求項8】
 
脳におけるFUS遺伝子を特異的にノックアウトする操作工程が、Cre-loxPシステムとCamK2プロモーターとを用いるものである、請求項7に記載の製造方法。

【請求項9】
 
シナプス異常を伴う疾患が、前頭側頭葉変性症(FTLD)または運動ニューロン疾患である、請求項7または請求項8に記載の製造方法。

【請求項10】
 
動物がマウスである、請求項7~9のいずれか一項に記載の製造方法。

【請求項11】
 
動物が近交系である、請求項7~10のいずれか一項に記載の製造方法。

【請求項12】
 
請求項1~5のいずれか一項に記載のモデル動物、または請求項6に記載のモデル神経細胞もしくはモデル神経細胞株を用いる工程を有することを特徴とする、シナプス異常を伴う疾患の治療薬を探索するためのスクリーニング方法。

【請求項13】
 
シナプス異常を伴う疾患が、前頭側頭葉変性症(FTLD)または運動ニューロン疾患である、請求項12に記載のスクリーニング方法。

【請求項14】
 
対象薬物の適用によるSynGAPα2の増減を測定する工程を有することを特徴とする、シナプス異常を伴う疾患の治療薬を探索するためのスクリーニング方法。

【請求項15】
 
シナプス異常を伴う疾患が、前頭側頭葉変性症(FTLD)または運動ニューロン疾患である、請求項14に記載のスクリーニング方法。

【請求項16】
 
SynGAPα2をコードする遺伝子もしくはSynGAPα2タンパク質、または脳におけるSynGAPα2遺伝子の発現を促進する薬物もしくはSynGAPα2タンパク質を増加しうる薬物を有効成分として含有することを特徴とする、シナプス異常を伴う疾患の治療剤。

【請求項17】
 
シナプス異常を伴う疾患が、前頭側頭葉変性症(FTLD)または運動ニューロン疾患である、請求項16に記載の治療剤。

【請求項18】
 
SynGAPα2を脳に補充または増加させる工程を有することを特徴とする、シナプス異常を伴う疾患の治療方法。

【請求項19】
 
シナプス異常を伴う疾患が、前頭側頭葉変性症(FTLD)または運動ニューロン疾患である、請求項18に記載の治療方法。
IPC(International Patent Classification)
F-term
Drawing

※Click image to enlarge.

JP2018527612thum.jpg
State of application right Published
(In Japanese)名古屋大学の公開特許情報を掲載しています。ご関心のある案件がございましたら、下記まで電子メールでご連絡ください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close