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可溶性ペンタセンを用いた動的核偏極による核スピン高偏極化方法 新技術説明会 外国出願あり

国内特許コード P190016248
整理番号 08404
掲載日 2019年8月19日
出願番号 特願2015-129912
公開番号 特開2017-015443
出願日 平成27年6月29日(2015.6.29)
公開日 平成29年1月19日(2017.1.19)
発明者
  • 立石 健一郎
  • 上坂 友洋
  • 根耒 誠
  • 北川 勝浩
出願人
  • 国立研究開発法人理化学研究所
  • 国立大学法人大阪大学
発明の名称 可溶性ペンタセンを用いた動的核偏極による核スピン高偏極化方法 新技術説明会 外国出願あり
発明の概要 【課題】核スピンの偏極率を向上させる方法を提供する。
【解決手段】下記式(A)で表されるペンタセン誘導体を偏極源に利用したトリプレットDNPによって、核スピンの偏極率を効果的に向上させることができる。
(式省略)
(式(A)中、Rはそれぞれ独立して水素原子(-H)、重水素原子(-D)、又は酸素原子、硫黄原子、及びケイ素原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1~20の炭化水素基を表す。但し、Rの少なくとも1つは、酸素原子、硫黄原子、及びケイ素原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1~20の炭化水素基である。)
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要

核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance、以下 NMRと略記する。)とは、静磁場中で核スピンが電磁波と相互作用する現象である。NMRの信号強度は、核スピンの揃い具合の程度を示す「偏極率」に比例する。しかしながら、通常の偏極率は10-4~10-6%に過ぎないため、信号強度はまだ1万倍以上も増大され得る可能性を秘めているとも言える。
NMR分光法は、化学分析において重要な手法の1つである。しかしながら感度の面において、他の分析手法(紫外分光法、赤外分光法、質量分析等)に比べて大きく劣ることが知られている。その原因の1つである偏極率の低さを改善するとによって、これまで感度の面で困難であった極微量試料などの測定が可能となる。
また、医療分野で広く用いられている核磁気共鳴撮像法(Magnetic Resonance Imaging、以下 MRIと略記する。)においても、偏極率を向上させた物質は造影剤として使用することができる。この造影剤によれば、代謝過程など従来のMRIでは撮影することができない画像を撮ることができるようになる。

後掲の参考文献等にも記載されているように、偏極率を向上させる方策の1つとして、動的核偏極法(Dynamic Nuclear Polarization、以下 DNPと略記する。)が注目を集めており、近年盛んに研究が行われている(例えば、特許文献1、2、及び3参照)。DNPは、以下の(1)~(3)の手順 すなわち、(1)試料に偏極源となる電子スピン共鳴(Electron Spin Resonance、以下 ESRと略記する。)アクティブな分子を混ぜる、(2)温度を下げるなどで、電子スピン偏極を向上させる(3)マイクロ波を用いてその偏極状態を核スピンへ移す、の手順で行われる。このように、電子スピンは核スピンの偏極状態を増大させる機能を有し、このようなことから電子スピンは偏極源と称されることがある。一般的なDNPでは、ラジカル中の不対電子を偏極源に使用し、100K以下の低温環境を用いて電子スピンを1%以上に偏極させている。しかしながらNMR信号測定時に、[1]ラジカル分子が不要な緩和や分解能の低下を引き起こすこと、[2]原理的な最大信号増大比がHスピンの場合660倍にすぎないこと、さらに、[3]近年のヘリウム高騰で運用コストが上昇しており、普及の足枷になっていることなどの問題があった。
このような問題点は、偏極源にラジカル中の常磁性電子を用いることに起因しており、これを解決するために偏極源に光励起三重項状態にある電子スピンを使用するDNP(以下、トリプレットDNPと略記する。)を利用することが提案されている。この電子スピンの偏極率は実験環境に依存せず、またトリプレットDNP終了後すみやかに基底状態に戻るのでNMR信号測定の障害とならないといった特長を有する。
本願発明者を含む研究者による研究成果が以下のURLに掲載されており、それによるとペンタセンが高い信号強度を得ることができるという観点では有効であることが示されている。
http://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2014/20140513_1

産業上の利用分野

本発明は核スピン偏極率の向上方法に関し、より詳しくはペンタセン誘導体の光励起三重項電子を利用した動的核偏極による核スピン偏極率の向上方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
トリプレットDNPによる核スピン偏極率の向上方法であって、
トリプレットDNPの偏極源が、下記式(A)で表されるペンタセン誘導体及び/又はその塩の光励起三重項電子であることを特徴とする、偏極率の向上方法。
【化1】
(省略)
(式(A)中、Rはそれぞれ独立して水素原子(H)、重水素原子(D)、又は酸素原子、硫黄原子、及びケイ素原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1~20の炭化水素基を表す。但し、Rの少なくとも1つは、酸素原子、硫黄原子、及びケイ素原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1~20の炭化水素基である。)

【請求項2】
下記の(1)~(3)の操作を含む、請求項1に記載の核スピン偏極率の向上方法。
(1)研究対象化合物、前記ペンタセン誘導体及び/又はその塩、及び溶媒を含む組成物を準備する。
(2)前記ペンタセン誘導体及び/又はその塩を光励起三重項状態とするために、静磁場の中で(1)で準備した組成物にレーザー照射を行う。
(3)トリプレットDNPを行うために、静磁場の中で(2)の操作を行った組成物に磁場の掃引とマイクロ波照射を行う。

【請求項3】
化学分析の測定対象の核スピンの偏極率を向上させる方法である、請求項1又は2に記載の核スピン偏極率の向上方法。

【請求項4】
MRI用造影剤の核スピンの偏極率を向上させる方法である、請求項1又は2に記載の核スピン偏極率の向上方法。

【請求項5】
下記式(A)で表されるペンタセン誘導体及び/又はその塩を含むNMR測定用組成物。
【化2】
(省略)
(式(A)中、Rはそれぞれ独立して水素原子(H)、重水素原子(D)、又は酸素原子、硫黄原子、及びケイ素原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1~20の炭化水素基を表す。但し、Rの少なくとも1つは、酸素原子、硫黄原子、及びケイ素原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素数1~20の炭化水素基である。)
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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