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エステル結合を含む非天然タンパク質の製造方法 NEW 実績あり 外国出願あり

国内特許コード P190016269
整理番号 07380
掲載日 2019年8月20日
出願番号 特願2009-542600
登録番号 特許第5419220号
出願日 平成20年11月21日(2008.11.21)
登録日 平成25年11月29日(2013.11.29)
国際出願番号 JP2008071221
国際公開番号 WO2009066761
国際出願日 平成20年11月21日(2008.11.21)
国際公開日 平成21年5月28日(2009.5.28)
優先権データ
  • 特願2007-302452 (2007.11.22) JP
発明者
  • 横山 茂之
  • 坂本 健作
  • 柳沢 達男
  • 向井 崇人
  • 小林 隆嗣
出願人
  • 国立研究開発法人理化学研究所
発明の名称 エステル結合を含む非天然タンパク質の製造方法 NEW 実績あり 外国出願あり
発明の概要 リボソームにおける生体内翻訳系を用いて、ポリペプチド主鎖に少なくとも1つのエステル結合を含む非天然タンパク質を合成する。(a)α-ヒドロキシ酸を活性化しうるアミノアシルtRNA合成酵素と、(b)前記アミノアシルtRNA合成酵素の存在下において前記α-ヒドロキシ酸と結合可能なサプレッサーtRNAと、(c)所望の位置にナンセンス変異又はフレームシフト変異を受けた所望のタンパク質をコードする遺伝子と、を前記α-ヒドロキシ酸の存在下に細胞内又は細胞抽出液内で発現させる。
従来技術、競合技術の概要 近年のタンパク質翻訳系に関する技術開発の進展に基づき、非天然アミノ酸を組み込んだ種々のペプチドやタンパク質の合成が可能となっている。これらの非天然構造物は、新規な生理活性物質の開発や工学的な高性能ナノデバイスを作り出す上で重要な技術基盤となる。しかし、細胞内の翻訳系に適合するような非天然の基礎単位が少ないことが、多様な非天然ペプチドや非天然タンパク質を合成する上での一つの障害となっている。

タンパク質に新たな機能を付加する上で、ポリペプチド側鎖の構造のみならず、主鎖の
構造が重要な役割を果たすことも指摘されている。例えば、膜タンパク質の膜貫通ドメインにおける1つのアミド結合をエステル結合に置換すると、主鎖のペプチド結合に由来する水素結合が破壊されて、当該タンパク質の膜への透過性や受容体活性に大きな影響を与えることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。このような非天然タンパク質を合成するために、部位特異的にポリペプチド主鎖のアミド結合をエステル結合へ置換するいくつかの方法がある。

その第一は、試験管内もしくはマイクロインジェクション可能な細胞において、α-ヒドロキシ酸を遺伝暗号に基づいてポリペプチド中に導入する方法である(例えば、非特許文献2及び3参照)。α-ヒドロキシ酸を、酵素的反応ではなく有機化学的反応によって非センスコドン(アンバーコドン、4文字コドンなど)に対応するtRNAに結合させ、試験管内翻訳系に導入する。それによって、α-ヒドロキシ酸が非センスコドン特異的にリボソームでの翻訳反応でポリペプチドへと導入される。しかし、この方法ではα-ヒドロキシ酸を結合させたtRNAが一度反応で使用されると再利用されることはない。従って、合成するポリペプチドの分子数以上のα-ヒドロキシ酸を結合させたtRNA(20~40μM)を有機化学的反応で合成し、試験管内に加えなければならない。その有機化学的な操作が非常に煩雑でありコストもかかる。また、このような系で合成されるα-ヒドロキシ酸を含むポリペプチドの収量は非常に少ない。

第二に、試験管内において,リボザイムを用いてα-ヒドロキシ酸を遺伝暗号に基づいてポリペプチド中に導入する方法がある(例えば、非特許文献4参照)。α-ヒドロキシ酸をリボザイムによる酵素的反応によって、非センスコドン(アンバーコドン、4文字コドンなど)に対応するtRNAに結合させ試験管内翻訳系に導入する。それによってα-ヒドロキシ酸が非センスコドン特異的にリボソームでの翻訳反応でポリペプチドへと導入される。しかし、この方法でも、α-ヒドロキシ酸を結合させたtRNAが一度反応で使用されると再利用されることはない。従って、操作の煩雑さ及び合成収量の点に関し、上記と同様の問題がある。

第三に、アミノアシル-tRNA合成酵素(aaRS)とtRNAを用いた生細胞中での非天然型アミノ酸の導入技術が挙げられる。これは、もともと非天然型アミノ酸を認識するか、もしくは認識するように人為的に改変した外来のaaRSと、これによって認識され、かつ非センスコドンを認識するサプレッサーtRNAの遺伝子を大腸菌などの生細胞に導入し発現させる。それにより、酵素的に細胞中で非天然型アミノ酸がサプレッサーtRNAに結合され、リボソーム上の翻訳反応により部位特異的に非天然型アミノ酸がポリペプチド(タンパク質)へと導入される。aaRSとtRNAの組み合わせとして、大腸菌内では古細菌型チロシル-tRNA合成酵素(TyrRS)とアンバーサプレッサーtRNATyr変異体、リジル-tRNA合成酵素と4文字コドンに対応するtRNA、ピロリジル-tRNA合成酵素(PylRS)とtRNAPyl(例えば、特許文献1参照)が、真核生物では細菌型TyrRSとアンバーサプレッサーtRNATyr変異体(例えば、非特許文献5参照)、ロイシル-tRNA合成酵素とアンバーサプレッサーtRNALeu変異体、PylRSとtRNAPylが用いられている。しかし、いずれの酵素についてもaaRSのもつα-アミノ酸に対する特異性のため、人為的改変によって側鎖の異なるα-アミノ酸の導入には成功しても、これまでα-ヒドロキシ酸の導入に成功した例はない。また、そのように改変することは実際に困難であると考えられている。

第四に、大腸菌メチオニル-tRNA合成酵素を用いて、対応するtRNAに酵素的にメチオニンに対応するα-ヒドロキシ酸を結合させ特殊な試験管内翻訳系でα-ヒドロキシ酸をタンパク質に導入した例が報告されている(非特許文献6参照)。この方法では、tRNAは試験管内翻訳系の反応溶液中で何度もα-ヒドロキシ酸を酵素的に結合され、リボソームで用いられるというサイクルを経るため効率はよい。しかし、翻訳系そのもの
が特殊なアミノアシル-tRNA合成酵素とtRNAの組成をもつものでなければならず、また全てのメチオニンコドンにα-ヒドロキシ酸が導入されるという問題がある。さらに、生細胞では使用することができない。
産業上の利用分野 本発明は、エステル結合を含む非天然タンパク質の製造方法に関し、より詳細には、アミノアシル-tRNA合成酵素とリボソームにおける翻訳系とを用いて、部位特異的にα-ヒドロキシ酸をタンパク質へ導入する方法に関する。
特許請求の範囲 【請求項1】
ポリペプチド主鎖に少なくとも1つのエステル結合を含む非天然タンパク質の製造方法であって、
(a)α-ヒドロキシ酸を活性化しうるアミノアシル-tRNA合成酵素と、
(b)前記アミノアシル-tRNA合成酵素の存在下において前記α-ヒドロキシ酸と結合可能なサプレッサーtRNAと、
(c)所望の位置にナンセンス変異又はフレームシフト変異を受けた所望のタンパク質をコードする遺伝子と、
を前記α-ヒドロキシ酸の存在下に細胞内又は細胞抽出液内で発現させることを特徴とし、
前記アミノアシル-tRNA合成酵素が、ピロリジル-tRNA合成酵素遺伝子を持つ古細菌又は細菌由来のピロリジル-tRNA合成酵素又はその変異体であり、
前記変異体は、野生型ピロリジル-tRNA合成酵素のC末端側ドメインにおけるクラス-IIaaRSに特徴的な7個のアンチパラレルβ-シートを構成するアミノ酸配列から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が別のアミノ酸残基に置換される変異のみを持つ、
非天然タンパク質の製造方法。

【請求項2】
前記古細菌が、メタノサルシナ・マゼイ(Methanosarcina mazei)、メタノサルシナ・バ
ルケリ(Methanosarcina barkeri)、又は、メタノサルシナ・アセチボランス(Methanosarcina acetivorans)、である請求項1に記載の方法。

【請求項3】
前記アミノアシル-tRNA合成酵素が、メタノサルシナ・マゼイ(Methanosarcina mazei)由来のピロリジル-tRNA合成酵素又はその変異体であり、
前記変異体は、配列番号2に示した野生型ピロリジル-tRNA合成酵素のアミノ酸配列において302位のアラニン、306位のチロシン、309位のロイシン、346位のアスパラギン、348位のシステイン、384位のチロシン、及び417位のトリプトファンから選択される少なくとも1つのアミノ酸残基が別のアミノ酸残基に置換される変異のみを持つ、請求項2に記載の方法。

【請求項4】
前記アミノ酸置換が、
302位のアラニンからフェニルアラニンへ、
306位のチロシンからアラニンへ、
309位のロイシンからアラニンへ、
346位のアスパラギンからセリンへ、
348位のシステインからバリン又はイソロイシンへ、及び
384位のチロシンからフェニルアラニンへ
の少なくとも1つのアミノ酸置換を含む請求項3に記載の方法。

【請求項5】
前記α-ヒドロキシ酸が、N置換6-アミノ-2-ヒドロキシヘキサン酸、又は置換基を有していてもよい3-フェニル乳酸である請求項1~4の何れか1項に記載の方法。

【請求項6】
前記N置換6-アミノ-2-ヒドロキシヘキサン酸におけるアミノ基の置換基が、t-ブトキシカルボニル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基、ベンジル基、若しくはベンジルオキシカルボニル基である請求項5に記載の方法。

【請求項7】
大腸菌細胞内で発現させることを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の方法。

【請求項8】
哺乳動物細胞内で発現させることを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
出願権利状態 登録
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