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ヒト赤血球前駆細胞株及びヒト脱核赤血球の製造方法 実績あり 外国出願あり

国内特許コード P190016281
整理番号 08054
掲載日 2019年8月21日
出願番号 特願2013-150872
公開番号 特開2014-036651
登録番号 特許第6288615号
出願日 平成25年7月19日(2013.7.19)
公開日 平成26年2月27日(2014.2.27)
登録日 平成30年2月16日(2018.2.16)
優先権データ
  • 特願2012-161878 (2012.7.20) JP
発明者
  • 中村 幸夫
  • 栗田 良
出願人
  • 国立研究開発法人理化学研究所
発明の名称 ヒト赤血球前駆細胞株及びヒト脱核赤血球の製造方法 実績あり 外国出願あり
発明の概要 【課題】 脱核赤血球を効率よく安定的に生産することができる、不死化したヒト赤血球前駆細胞株の製造方法、並びに該製造方法によって得られるヒト赤血球前駆細胞株からヒト脱核赤血球を製造する方法を提供すること。
【解決手段】 血液幹細胞のゲノムDNAに、DOXの存在下にてHPV-E6/E7遺伝子の発現を誘導することが可能な発現カセットを導入した。そして、該血液幹細胞を、DOX及び血液系増殖因子の存在下にて培養することにより、ヒト赤血球前駆細胞の不死化細胞株を樹立した。さらに、HPV-E6/E7遺伝子の発現が誘導されない条件下にて、前記細胞株を培養することにより、高い比率にて脱核赤血球に分化誘導できることを見出した。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要

献血を基本とする輸血医療体制は、現在では確固たる体制ではあるが、問題が全く存在しない訳ではない。一つには、少子高齢化社会の進行に伴う供給者の相対的減少の問題があり、将来的には輸血用製剤が大幅に不足する事態が危惧されている。また、肝炎ウィルス、エイズウィルス等の感染の初期には、検査で必ずしも陽性と判定できないため、これらウィルスの感染者を完全に特定することは難しく、感染性ウィルス保有者が血液供給者になる可能性を完全に排除することは難しい。従って、不特定多数の供給者からの献血体制においては、感染症のリスクを完全に払拭することは難しいという現実がある。加えて、最近判明した輸血関連急性肺障害(TRALI:Transfusion Related Acute Lung Injury)は輸血製剤中に存在する抗体が原因であると考えられている。故に、安全性を確認したリソース、例えば、幹細胞、不死化細胞株から、人工的に赤血球を生産することが可能となれば、かかる感染症のリスクやTRALI等の現存する問題点を解決できる可能性が高い。

人工的な赤血球生産が熱望されるもう一つの理由に、きわめて稀な血液型に係る輸血医療を担保する必要性がある。例えば、世の中の大半の人間が有する赤血球抗原を有していない赤血球を持つ人(Rh-null型、-D-型等の人)には、当該抗原を有しない赤血球の輸血が必要となる。こうした特殊な血液型の人に関しては、その人達自身から先ずはiPS細胞を樹立し、樹立したiPS細胞から必要とする血液を人工的に生産するという戦略が考えられる。

ES細胞やiPS細胞等の多能性幹細胞から赤血球を生産すること、すなわち、インビトロにて多能性幹細胞から血液幹細胞に、さらに赤血球前駆細胞への分化を介して、成熟した赤血球(脱核赤血球)を生産することは可能となっている(特許文献1)。また、臍帯血由来等の血液幹細胞から赤血球前駆細胞を経て脱核赤血球を生産することも可能となっている(特許文献2)。

しかしながら、これらの方法において、多能性幹細胞又は血液幹細胞から脱核赤血球までに分化誘導するためには、多種かつ大量の増殖因子等を必要とするため、大きなコストが必要となる。何故ならば、多能性幹細胞から分化誘導を実施した場合には、分化誘導後初期には血液系以外の細胞も含まれているため、必要な血液細胞量を得るために多くの培養期間・培養量を必要とするからである。また、多能性幹細胞から分化誘導した血液幹細胞を使用する場合であれ、臍帯血等由来の血液幹細胞を使用する場合であれ、血液幹細胞から赤血球系細胞の分化誘導を実施する場合には、分化誘導後初期には赤血球系以外の血液系細胞も含まれているため、必要な赤血球量を得るために多くの培養期間・培養量を必要とする。従って、赤血球の人工的な生産において、効率良く安定的に脱核赤血球を生産できる方法の開発が求められていた。

かかる状況を鑑み、本発明者らは、赤血球に分化する直前の赤血球前駆細胞を、半永久的な増殖能を有する不死化した細胞株として樹立することを試みた。そして、試験管内における分化誘導操作により、マウスES細胞からかかる赤血球前駆細胞の不死化細胞株を得ることに成功した。さらに、該細胞株から脱核赤血球も安定的に効率よく生産できることも明らかにした(非特許文献1)。

産業上の利用分野

本発明は、ヒト赤血球前駆細胞株及びヒト脱核赤血球の製造方法に関し、より詳しくは、ヒト血液幹細胞から不死化したヒト赤血球前駆細胞(ヒト赤血球前駆細胞株)を製造する方法、該製造方法によって得られるヒト赤血球前駆細胞株からヒト脱核赤血球を製造する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ヒト脱核赤血球を産生するためのヒト赤血球前駆細胞株を、製造するための方法であって、
ヒトパピローマウィルス16型E6遺伝子及びE7遺伝子の発現を外的刺激に応答して誘導することが可能な発現カセットを、ヒト血液幹細胞に導入する工程と、
前記発現カセットが導入されたヒト血液幹細胞を、外的刺激及び血液系増殖因子の存在下にて培養する工程と、
を含み、かつ前記ヒト血液幹細胞が、TAL1遺伝子を発現しているヒト多能性幹細胞から分化誘導して得られた細胞である、方法。

【請求項2】
TAL1遺伝子を発現しているヒト多能性幹細胞から分化誘導してなるヒト血液幹細胞に、ヒトパピローマウィルス16型E6遺伝子及びE7遺伝子の発現を外的刺激に応答して誘導することが可能な発現カセットが導入されてなる細胞株であり、前記外的刺激及び血液系増殖因子の存在下にて増殖し、前記外的刺激の非存在下にて培養することによりヒト脱核赤血球の産生能を有する、ヒト赤血球前駆細胞株。

【請求項3】
ヒト脱核赤血球の製造方法であって、
ヒト赤血球前駆細胞株を、外的刺激の非存在下にて培養する工程を含み、
前記ヒト赤血球前駆細胞株が、
ヒトパピローマウィルス16型E6遺伝子及びE7遺伝子の発現を前記外的刺激に応答して誘導することが可能な発現カセットが導入されており、前記外的刺激及び血液系増殖因子の存在下にて増殖し、前記外的刺激の非存在下にて培養することによりヒト脱核赤血球の産生能を有する、ヒト赤血球前駆細胞株、又は、
TAL1遺伝子を発現しているヒト多能性幹細胞から分化誘導してなるヒト血液幹細胞に、ヒトパピローマウィルス16型E6遺伝子及びE7遺伝子の発現を前記外的刺激に応答して誘導することが可能な発現カセットが導入されてなる細胞株であり、前記外的刺激及び血液系増殖因子の存在下にて増殖し、前記外的刺激の非存在下にて培養することによりヒト脱核赤血球の産生能を有する、ヒト赤血球前駆細胞株
である、方法。

【請求項4】
ヒト脱核赤血球の製造方法であって、
ヒトパピローマウィルス16型E6遺伝子及びE7遺伝子の発現を外的刺激に応答して誘導することが可能な発現カセットを、ヒト血液幹細胞に導入する工程と、
前記発現カセットが導入されたヒト血液幹細胞を、外的刺激及び血液系増殖因子の存在下にて培養してヒト赤血球前駆細胞を得る工程と、
前記外的刺激の非存在下にて、前記ヒト赤血球前駆細胞を培養する工程と、
を含む方法。

【請求項5】
前記ヒト血液幹細胞が、TAL1遺伝子を発現しているヒト多能性幹細胞から分化誘導して得られた細胞である、請求項に記載の方法。

【請求項6】
TAL1遺伝子を発現しているヒト多能性幹細胞から分化誘導してなる細胞であり、ヒトパピローマウィルス16型E6遺伝子及びE7遺伝子の発現を外的刺激に応答して誘導することが可能な発現カセットが導入されている、ヒト血液幹細胞
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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