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修飾されたスチレン-無水マレイン酸共重合体及びその使用 UPDATE

国内特許コード P190016308
整理番号 S2018-0140-N0
掲載日 2019年8月26日
出願番号 特願2018-003539
公開番号 特開2019-123773
出願日 平成30年1月12日(2018.1.12)
公開日 令和元年7月25日(2019.7.25)
発明者
  • 長崎 幸夫
  • 池田 豊
  • ホン ビン ロン
  • 金 雅覽
  • 稲垣 拓也
  • トラン ティ ハオ
  • 萩野 遼
  • 中井 彬恵
出願人
  • 国立大学法人筑波大学
発明の名称 修飾されたスチレン-無水マレイン酸共重合体及びその使用 UPDATE
発明の概要 【課題】 効果的なドラッグデリバリーを可能にする担体又は生体接触基材表面の修飾に用いることの材料の提供
【解決手段】 無水マレイン酸とスチレンの共重合体であって、無水マレイン酸単位を介してポリ(エチレングリコール)鎖がグラフト鎖として、かつ、環状ニトロキシドラジカル、ホウ素含有化合物、ヨウ素含有化合物及びトリアルコキシシリルアルキルアミンから選ばれる作用化合物残基がペンダント基として共有結合した共重合体、並びにその使用。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要

近年、新薬の創出は、低分子有機化合物を中心とした合成物質から天然物やタンパク質へと移行してきており、まさに薬物ターゲットのパラダイムシフトが起こりつつある。しかし分子標的薬などのタンパク質や核酸を医薬に用いようとする場合、内在性の酵素による分解を受けるため、バイオアベイラビリティーが極めて短いだけでなく、その抗原性や腎臓からの排出など、様々な問題が避けられない。米国ラトガース(Rutgers)大学のDavisらはタンパク質にポリエチレングリコール(PEG)を共有結合させると言う奇抜なアイディアで、その抗原性の回避や滞留性の延長を示した(非特許文献1参照)。デリケートなタンパク質に合成高分子を共有結合させるという無謀とも言える試みではあるものの、初の高分子化薬物が誕生し、現在10種以上のPEG化タンパク質が上市されている。しかしタンパク質とPEGを直接反応させるため、著しい活性低下やコスト増大など問題が残る。

我が国では1986年、前田らが癌に高分子物質が受動的に集積するEPR効果を発見した(非特許文献2又は特許文献1参照)。すなわち固形癌組織内の血管は、その構造が正常組織内の血管に比べて粗雑で、低分子物質のみならず高分子物質も容易に血管から癌組織へ漏出する。癌組織内に漏れ出した低分子物質は拡散や毛細リンパ管によって回収されるのに対し、高分子は拡散性が乏しく、毛細リンパ系での回収が間に合わない。このため、長時間にわたり癌組織内に蓄積される。この結果、固形癌組織には、高分子物質が選択的に滞留・蓄積することになり、これがEPR効果と名付けられた。そこで前田らはポリ(スチレン-co-無水マレイン酸)共重合体に抗癌剤、ネオカルシノスタチンを結合し、1993年に世界初の高分子型抗癌剤スマンクスとして認可・販売された。高分子化薬の腫瘍集積効果は確認されたものの、分散安定性が悪く、動脈からのカテーテル投与のみが認可され、普及には至らなかった。そうであっても、ポリ(スチレン-co-無水マレイン酸)共重合体を、その他の抗癌剤をはじめとする医薬化合物の担体として使用する多くの試みが行われてきた(例えば、パクリタキセルコンジュゲートに関する非特許文献3参照)。

長崎をはじめとする本発明者らは、高分子薬が低分子に比較して飛躍的にバイオアベイラビリティーが延長されることと体内臓器分布を著しく変化されることで、抗酸化ナノメディシンに関する開発を進めてきた(特許文献2参照)メディシンに関する開発を進めてきた(下記先行特許参照)。すなわち、酸素から誘導される過剰な活性酸素種(ROS)は様々な疾病の原因となる。このような疾病に関与するROSを消去するため、ビタミンCやEなどの天然物や様々な合成抗酸化剤が開発され、検討されてきたものの、殆どすべての臨床結果で「良い」という結果が出たものはない。本発明者らはこれら低分子抗酸化剤が非特異的に体内に広がり、正常細胞のミトコンドリア内のレドックス反応を破壊し、副作用を誘引してしまうことに注目した。特許文献2の図19に示す自己組織化ナノ粒子に抗酸化能を創り込み、正常な細胞やそのミトコンドリアに入り込むことなく、疾病に関与するROSを選択的に取り除く新しいナノメディシンの設計を進めてきた。その結果、例えば、高分子化抗酸化剤(TEMPOL)は産まれたばかりのゼブラフィッシュが低分子抗酸化剤(TEMPOL)で全滅する3mMの10倍高濃度条件でも、完全にミトコンドリアのダメージを抑制し、ほぼ100%生存することを確認した(非特許文献4)。こ
のようにして従来の抗酸化剤の欠点を克服したRNPはROSが関与する種々疾病に対し著しい治療効果を示すことを確認してきた。しかし、これまでのブロック共重合体による抗酸化ナノ粒子は合成に高真空条件を必要とし、合成にコストがかかる難点があった。また、リガンドの導入も難しく、粒子調製時に凝集しやすいなどの難点があった。これまでの低分子薬やタンパク薬と異なり、長いバイオアベイラビリティーと副作用を削減するためにはデザインが容易で非特異核酸を抑制し、安定に分散する材料を提供する材料が求められている。

前述の前田らが利用したポリ(スチレン-co-無水マレイン酸)共重合体は古くから知られている合成高分子であり、その環式無水物残基が求核試薬と容易に反応するため、例えば、前記共重合体とTEMPOL(4-ヒドロキシ-TEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル)及び4-アミノ-TEMPO)の反応生成物とみられる生体または生体に由来する物質と接触する表面を改質するのに使用できることが示唆されている(特許文献3参照)。

産業上の利用分野

本発明は、修飾されたスチレン-無水マレイン酸共重合体及びその使用に関し、特に、ポリ(エチレングリコール)グラフト化スチレン-無水マレイン酸共重合体及びそのナノメディシン材料としての使用に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
次式(I)に表される各反復単位を含んでなる共重合体:
【化1】
(省略)
式中、
x+yは5~1400の整数であり、nは5~1400の整数であり、x+y:nは1:1~5の比率にあり、x:yは1~60:1の比率にある。
(1)下付き記号yの付された反復単位において、L-PEG-A中、
Lは、O又はNHであり、PEGは次式で表され、
【化2】
(省略)
ここで、pは1~6の整数であり、qは5~500の整数であり、
Aは、 A1:非置換若しくは置換C-C12アルコキシ基を表し、置換されている場合の置換基は、ホルミル基、式RCH-(ここで、R及びRは独立して、C-CアルコキシまたはRとRは一緒になって-OCHCHO-、-O(CHO-もしくは-O(CHO-を表す。)の基、又は
A2:次式
【化3】
(省略)
で表される基を表し、当該反復単位は式(I)で表される共重合体の総単位の2%~15%を占める。
(2)下付き記号xの付された反復単位において、
(a)R又はRのいずれか一方は、
a1 :次式
【化4】
(省略)
で表され、ここで、
TEMPOは、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル-4-イル、2,2,5,5-テトラメチルピロリジン-1-オキシル-3-イル、2,2,5,5-テトラメチルピロリン-1-オキシル-3-イル、2,4,4-トリメチル-1,3-オキサゾリジン-3-オキシル-2-イル、2,4,4-トリメチル-1,3-チアゾリジン-3-オキシル-2-イル及び2,4,4-トリメチル-イミダゾリンジン-3-オキシル-2-イルからなる群より選ばれる環状ニトロキシドラジカル化合物の残基;
a2:次式
【化5】
(省略)
のいずれかで表される残基;
a3:次式
【化6】
(省略)
のいずれかで表される残基;
a4:次式
【化7】
(省略)
で表され、ここで、RはC1-3のアルキル基であり、rは2~6の整数である、残基;
からなる群より選ばれる残基であり、
他方はOHであり、又は
(b)R及びRは、一緒になって-O-を表し、環式無水物残基を形成し、又は
(c)R及びRは、各OHを表す。
かつ、前記xの付された反復単位において、
(i)(a)を含む単位中のa1~a4のいずれか1つの残基のみを含むか、
(ii)(a)を含む単位中のa1~a4のいずれか1つの残基を含む単位と(b)及び(c)を含む単位のいずれか1つが相互に独立してランダムに存在し、(a)を含む単位中のa1~a4のいずれか1つを含む単位はxの付された反復単位の総数の15%~60%を占めるか、
(iii)(a)を含む単位中のa1~a4のいずれか1つの残基を含む単位と(b)を含む単位と(c)を含む単位が共に独立してランダムに存在し、(a)を含む単位中のa
1~a4のいずれか1つの残基を含む単位はxの付された反復単位の総数の15%~60%を占めるか、
(iv)(a)を含む単位の中の、a4の残基を含む単位とa1~a3のいずれか1つの残基を含む単位と(b)及び(c)のいずれか1つを含む単位が共に独立してランダムに存在し、(a)を含む単位中のa1~a3のいずれか1つの残基を含む単位はxの付された反復単位の総数の15%~60%を占めるか、
(v)(a)を含む単位の中の、a4の残基を含む単位とa1~a3のいずれか1つの残基を含む単位と(b)を含む単位と(c)を含む単位が共に独立してランダムに存在し、(a)を含む単位中のa1~a3のいずれか1つの残基を含む単位はxの付された反復単位の総数の15%~60%を占める。

【請求項2】
請求項1に記載された共重合体であって、前記(a)を含む単位が、a1の残基を含む単位である、共重合体。

【請求項3】
請求項1に記載された共重合体であって、前記(a)を含む単位が、a2の残基を含む単位である、共重合体。

【請求項4】
請求項1に記載された共重合体であって、前記(a)を含む単位が、a3の残基を含む単位である、共重合体。

【請求項5】
請求項1に記載された共重合体であって、前記(a)を含む単位が、a4の残基を含む単位である、共重合体。

【請求項6】
請求項1に記載された共重合体であって、前記(a)を含む単位が、a1の残基を含む単位とa4の残基を含む単位である、共重合体。

【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載された共重合体であって、下付き記号yの付された反復単位において、L-PEG-A中のAが、A2の式
【化8】
(省略)
で表される基である、共重合体。

【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載された共重合体であって、TEMPOが、次式
【化9】
(省略)
上式中、R’はメチル基である、
で表されるいずれかの残基である、共重合体。

【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載された共重合体であって、水性媒体中で動的光散乱を測定すると、平均粒径がナノサイズにあるナノ粒子として存在する、共重合体。

【請求項10】
請求項1~8のいずれかに記載された共重合体と塩化ベンザルコニウムを含んでなる複合体。

【請求項11】
請求項1~8のいずれかに記載された共重合体と抗癌剤含んでなる医療用組成物。

【請求項12】
抗癌剤がパクリタキセル又はソラフェニブである請求項11に記載の医療用組成物。

【請求項13】
次式(II)で表される共重合体。
【化10】
(省略)
式中、
1-1又はR2-1のいずれか一方は、
a1 :次式
【化11】
(省略)
で表され、ここで、
TEMPOは、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル-4-イル、2,2,5,5-テトラメチルピロリジン-1-オキシル-3-イル、2,2,5,5-テトラメチルピロリン-1-オキシル-3-イル、2,4,4-トリメチル-1,3-オキサゾリジン-3-オキシル-2-イル、2,4,4-トリメチル-1,3-チアゾリジン-3-オキシル-2-イル及び2,4,4-トリメチル-イミダゾリンジン-3-オキシル-2-イルからなる群より選ばれる環状ニトロキシドラジカル化合物の残基;
a2:次式
【化12】
(省略)
のいずれかで表される残基;
a3:次式
【化13】
(省略)
のいずれかで表される残基;
a4:次式
【化14】
(省略)
で表され、ここで、RはC1-3のアルキル基であり、rは2~6の整数である、残基;
からなる群より選ばれる残基であり、
他方はOHであり、式(II)における環式無水物残基部分はm1の10%まで加水分解され開環していてもよく、
そして
m1+m2は、5~1400の整数であり、nは5~1400の整数であり、m1+m2:nは1:1~5の比率にある。

【請求項14】
下付き記号m2の付された反復単位において,R1-1又はR2-1のいずれか一方が、
a1 :次式
【化15】
(省略)
で表される請求項13に記載の共重合体。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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