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吸器形成阻害剤 NEW

国内特許コード P190016314
整理番号 S2018-0282-N0
掲載日 2019年8月27日
出願番号 特願2018-010715
公開番号 特開2019-127462
出願日 平成30年1月25日(2018.1.25)
公開日 令和元年8月1日(2019.8.1)
発明者
  • 吉田 聡子
  • 和田 将吾
  • ツイ スンクイ
出願人
  • 国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学
発明の名称 吸器形成阻害剤 NEW
発明の概要 【課題】寄生植物の吸器形成阻害方法を提供すること。
【解決手段】ジフェニレンヨードニウム(DPI)又はその塩を含む、吸器形成寄生植物の吸器形成阻害剤。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要

寄生植物は他の植物から水分や養分を奪う能力を有する。寄生植物全般に共通するのは、他植物に付着し、その組織に侵入するための特別な器官を発達させてきたことである。これらの器官を総称して「吸器(haustorium)」と呼んでいる。例えば、根寄生植物は、宿主となる植物の根が近くにやってくると、自分の根または茎の一部を吸器へと変形させる。この吸器は宿主となる植物へと付着し、組織の侵略を始める。そして、宿主植物の維管束まで到達すると、吸器細胞の一部を道管要素へと分化させ、自分自身の道管と宿主植物の道管をつなげてしまう。このようにしてできた宿主との連結を通して、水分や栄養分を奪うのである。

寄生植物は、宿主への依存度合いによって、条件的寄生(光合成能を持ち独立して生活できるが、宿主植物が近傍にいる場合には寄生を開始する)、絶対半寄生(光合成能を持つが、生活には宿主の存在が不可欠)、絶対全寄生(光合成能をもたず、栄養は完全に宿主依存)と分類される。

寄生植物の中でもハマウツボ科に属する根寄生植物について精力的に研究が進められている。ハマウツボ科に属するStriga属(絶対半寄生)とOrobanche属(絶対全寄生)はさまざまな農業作物に寄生し、収量を大幅に減収させてしまうためである。本明細書では、特にStriga属に属する植物をまとめてストライガと呼ぶ。

効率よく寄生を行うには宿主植物の存在を適切に認識する必要がある。特に絶対寄生植物にとって宿主は必要不可欠な存在なので、宿主の存在しないところで発芽することは自殺行為となってしまう。寄生植物の持つ宿主植物認識機構として、宿主植物の分泌するストリゴラクトンを用いた発芽制御がある。枝分かれを制御する植物ホルモンであるストリゴラクトンは、もともとストライガの種子の発芽を誘導する物質(Strigol)として、ワタの根から同定された。土壌中では不安定なストリゴラクトンを発芽のシグナルとして利用することで、宿主植物のごく近傍での発芽が可能となっている。

同様に、他の植物がいないところに吸器を形成しても意味がなく、どこに他の植物が存在するかを適切に認識することは吸器形成においても重要である。寄生植物がどのように宿主植物を認識し吸器を形成するのか調べるために、根の滲出液や抽出液から吸器誘導物質(HIF: haustorium inducing factor)を単離、同定する研究が行なわれてきた。その結果、ソルガムの根の抽出液から2、6-dimethoxy-1、4-benzoquinone(DMBQ) がS. asiaticaの吸器を誘導する物質として同定された。一般にベンゾキノン類は、植物内でシキミ酸経路、フェノール酸の酸化的脱炭酸、ペルオキシダーゼやラッカーゼによる細胞壁フェノールの分解などによって生じる。しかし、DMBQがソルガムの根から検出されたのは、ソルガムの根を物理的に磨り潰した時か、ストライガと共培養した時だけであった。このことから、寄生植物が動的にHIFの生成を制御することで、宿主植物の近傍での吸器形成を可能にしていることが考えられた。その後の研究から、ストライガ根端で生成されたHが宿主植物またはストライガのペルオキシダーゼを活性化し、このペルオキシダーゼが細胞壁のフェノールを酸化することでHIFが生成されるというメカニズムが提唱されている(Keyes et al.Plant Physiology、2001等)。

DMBQが吸器誘導能をもつ物質として同定されたことから、他のフラボノイドやキノンなどのフェノール誘導体が同じように吸器誘導活性を持つかどうかがテストされた。その結果、活性に差はあるものの、シリンガ酸やバニリン酸やクマル酸などの単純な構造を持つフェノール類、ペオニジンやペラルゴニジンなどのフラボノイドも吸器を誘導できることが確認されている。DMBQを含むベンゾキノンのアナログのうち、吸器誘導活性を持つものが特定の範囲の酸化還元電位を持つことから、HIFシグナリングには酸化還元サイクルが関わっていることが示唆されている。ハマウツボ科条件的半寄生植物のTriphysaria versicolor から単離されたキノン還元酵素をコードするTvQR1をノックダウンした際、誘導される吸器の数が減少することが示された(Bandaranayake et al.、Plant Cell 2010)ことから、吸器形成を開始するシグナルとして、酸化還元シグナルが関わっていることが現在のモデルとなっている。

産業上の利用分野

本発明は、吸器形成寄生植物の吸器形成阻害剤等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
NADPHオキシダーゼ阻害剤を含む、吸器形成寄生植物の吸器形成阻害剤。

【請求項2】
ジフェニレンヨードニウム(DPI)又はその塩を含む、吸器形成寄生植物の吸器形成阻害剤。

【請求項3】
吸器形成寄生植物が、吸器形成根寄生植物である、請求項1又は2に記載の吸器形成阻害剤。

【請求項4】
吸器形成根寄生植物がハマウツボ科根寄生植物である、請求項3に記載の吸器形成阻害剤。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
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