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(In Japanese)膜電位時系列を用いた細胞内分子群の生化学反応経路の推定方法及び装置 NEW_EN

Patent code P190016429
File No. S2018-0450-N0
Posted date Oct 28, 2019
Application number P2018-044724
Publication number P2019-154299A
Date of filing Mar 12, 2018
Date of publication of application Sep 19, 2019
Inventor
  • (In Japanese)作村 諭一
  • (In Japanese)山田 達也
  • (In Japanese)西山 誠
  • (In Japanese)ホン,キョンスウ
Applicant
  • (In Japanese)国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学
Title (In Japanese)膜電位時系列を用いた細胞内分子群の生化学反応経路の推定方法及び装置 NEW_EN
Abstract (In Japanese)
【課題】
 膜電位変化の時系列データといった間接情報を用いて、細胞が生きている状態下での細胞内に存在する分子群の生化学反応経路の推定方法及び装置を提供する。
【解決手段】
 誘導因子のセカンドメッセンジャーのシグナルによる膜電位変化の時系列データを計測し、膜電位変化を生成する生化学反応経路の全候補を数理モデルで表し、数理モデルにおける、個々の細胞に依存しない細胞共通パラメータと、個々の細胞に依存する細胞固有パラメータとに関する事前確率分布を設定し、膜電位変化の時系列データの数理モデルに対する尤もらしさを表す確率分布と、事前確率分布とから、細胞共通パラメータ及び細胞固有パラメータに関する事後確率分布を算出し、事前確率分布で指定するパラメータの範囲で膜電位変化と同様な変化を示す数理モデルを抽出し、生化学反応経路を推定する。
【選択図】
 図1
Outline of related art and contending technology (In Japanese)

細胞の様々な機能は、細胞内の様々な分子群からなる生化学反応によって実現される。細胞の機能解明のためには、細胞内分子群の生化学反応経路を知ることが重要である。細胞内の生化学反応は試験管内の反応と大きく異なるため、細胞内という環境を維持した状態で反応経路を明らかにしなければならない。しかしながら、現在の生物学の観測技術では、細胞内分子群の生化学反応経路を直接観測することは非常に困難である。

従来、細胞内に存在する分子を同定し、分子と分子が結合する割合を計測して、細胞内分子群の生化学反応経路を推定する方法として、主に次の2つの方法が知られている。1つ目の従来方法は、図36(1)に示すように、細胞1内の標的分子に抗体を結合させた複数の細胞をつぶし、電気泳動により分子間の結合割合を調べるものである(非特許文献1を参照)。この場合、細胞内の環境で、かつ細胞が生きている状態における分子間の親和性を計測することができないといった問題がある。また、細胞が生きている状態で時間変化する分子間相互反応を観測することも困難である。
2つ目の従来方法は、図36(2)に示すように、細胞1内の標的分子に蛍光タンパク(プローブ)を発現させ、細胞内の分子間相互反応を観測するものである(非特許文献2,3を参照)。この場合、分子に結合させる蛍光タンパクの種類が最大で3種程度であるため、1~2種類の分子間相互反応しか観測することができないといった問題がある。

一方、神経細胞間の情報伝達は、軸索と樹状突起で構築されるシナプスを介して行われるが、神経系細胞の発達段階において、神経ネットワークを確立するために軸索誘導は不可欠である。軸索誘導は、神経細胞から軸策が誘導因子に従って伸長して標的細胞に向かう。神経突起の先端にある成長円錐は、細胞外の様々なシグナルに対して応答することにより、神経線維を正確な標的細胞まで導くことが知られている。成長円錐の誘導方向の決定の主な要因として誘導因子の存在がある。成長円錐は、細胞外のシグナルを細胞膜上の受容体により受取り、軸索が標的細胞へと誘導される。また、誘導因子のセカンドメッセンジャーの濃度によって誘導方向がスイッチングする現象が知られ、細胞内の分子群による分子ネットワーク(以下、分子システム)と誘導因子によるシグナルとの関連性など成長円錐の誘導メカニズムの解明が要望されている。西山らは、成長円錐の膜電位を人工的に変化させることにより、成長円錐の誘導方向を決定できることを示し(非特許文献4を参照)、成長円錐の膜電位が膜電位依存のイオンチャネルを制御して成長円錐の誘導方向を決定するといったモデルを提唱している。

しかしながら、成長円錐の膜電位を制御する細胞内分子システムについては部分的にしか解明されていないのが実情である。神経突起先端の成長円錐のように、構造的に小さく、応力に弱い細胞では、実験が困難であり、限られた観測データに基づいて、細胞内分子システムの分子間相互作用のメカニズムを解明していかなければならない。

本発明者の一人である山田は、西山らが示した成長円錐の生物学的知見を用いて、成長円錐の膜電位の時系列データを用いて、分子システムの同定を試みている(非特許文献5を参照)。非特許文献5では、誘導因子(Semaphorin 3A;Sema 3A)のセカンドメッセンジャー(細胞外のシグナルを細胞内へ伝達する際に変換される分子)であるcGMPの細胞内濃度を人工的に操作した条件下のシグナルによる膜電位変化の時系列データを用い、西山らが提唱する分子システムにおいて、未だ明らかでない分子間相互作用の解明を行っている。具体的には、西山らが計測した膜電位変化の時系列データに対し、生化学反応方程式を用いて数理モデル化する。そして、同一条件においても、細胞により膜電位変化の時系列データがばらつくことから、このデータのばらつきを数理モデルのモデルパラメータのばらつきとして扱い、ベイズ推定により、分子システムの同定を行っている。

山田が行った分子システムの同定では、モデルパラメータとして、cGMPの拡散時定数、カリウムチャネルの膜電位寄与度、Hill係数、イオンチャネル濃度電位変換係数、定常速度係数、解離定数などを用い、これらのモデルパラメータを一括りとして全ての細胞に共通するモデルパラメータとして扱っていた。また、数理モデルの候補については、1~3種類のモデルパラメータを用いた限定されたモデル候補から尤もらしい分子システムを示す数理モデルを選択していた。このため、モデル候補に挙がっていない数理モデルや、細胞毎に存在する個性を考慮できず、細胞内分子システムの分子間相互作用のメカニズムを解明するには不十分であった。

Field of industrial application (In Japanese)

本発明は、細胞内の生化学反応経路の推定に関するものであり、特に、非直接的観測データである膜電位の時系列データを用いた生化学反応経路の推定に関するものである。

Scope of claims (In Japanese)
【請求項1】
 
観測対象の細胞内に存在する分子群の生化学反応経路の推定方法であって、
膜電位変化を生成する前記経路の数理モデルに対して、個々の細胞に依存しない細胞共通パラメータと、個々の細胞に依存する細胞固有パラメータとの少なくとも2種類のパラメータを設定し、誘導因子のセカンドメッセンジャーのシグナルによる膜電位変化の時系列データと同様な変化を示す前記数理モデルをベイズ推定により抽出し、前記経路を推定することを特徴とする生化学反応経路の推定方法。

【請求項2】
 
1)誘導因子のセカンドメッセンジャーのシグナルによる膜電位変化の時系列データを計測する計測ステップと、
2)膜電位変化を生成する生化学反応経路の全候補を数理モデルで表すモデル化ステップと、
3)前記数理モデルにおける、個々の細胞に依存しない細胞共通パラメータと、個々の細胞に依存する細胞固有パラメータとに関する事前確率分布を設定するパラメータ設定ステップと、
4)前記膜電位変化の時系列データの数理モデルに対する尤もらしさを表す確率分布と、前記事前確率分布とから、前記細胞共通パラメータ及び前記細胞固有パラメータに関する事後確率分布を算出し、前記事前確率分布で指定するパラメータの範囲で前記膜電位変化と同様な変化を示す前記数理モデルを抽出し、前記経路を推定する推定ステップ、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の生化学反応経路の推定方法。

【請求項3】
 
前記細胞固有パラメータは、
セカンドメッセンジャーの細胞内基質内での拡散時定数、及び、
各イオンチャネルによる膜電位の変化量である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の生化学反応経路の推定方法。

【請求項4】
 
前記細胞共通パラメータは、
Hill係数、各分子の正規化反応速度、各イオンチャネル密度の反応速度、及び、各イオンチャネルの膜電位への寄与度の平均値である、ことを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の生化学反応経路の推定方法。

【請求項5】
 
前記経路の全候補の最大数は、
前記分子群の内で経路を構成する分子間相互作用の経路数と、各分子からイオンチャネルへ向かう径路数との合計数をべき数とし、
分子間相互作用の態様数を基数として算出される、ことを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の生化学反応経路の推定方法。

【請求項6】
 
分子間相互作用の態様は、
相互作用無し、活性作用有り、及び、抑制作用有り、の3態様であることを特徴とする請求項5に記載の生化学反応経路の推定方法。

【請求項7】
 
前記パラメータ設定ステップにおける事前確率分布は、
膜電位変化へのイオンチャネルの作用を抑制するか否かの制御パラメータと、
分子群の何れかの分子の作用を抑制するか否かの制御パラメータとの少なくとも何れかが、
更に含まれることを特徴とする請求項1~6の何れかに記載の生化学反応経路の推定方法。

【請求項8】
 
請求項1~7の何れかの生化学反応経路の推定方法の各ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラム。

【請求項9】
 
観測対象の細胞内に存在する分子群の生化学反応経路の推定装置であって、
1)誘導因子のセカンドメッセンジャーのシグナルによる膜電位変化の時系列データを計測する膜電位変化時系列データ計測部と、
2)膜電位変化を生成する前記経路の全候補を数理モデルで表し、前記数理モデルにおける、個々の細胞に依存しない細胞共通パラメータと、個々の細胞に依存する細胞固有パラメータとに関する事前確率分布を設定し、前記膜電位変化の時系列データの数理モデルに対する尤もらしさを表す確率分布と、前記事前確率分布とから、前記細胞共通パラメータ及び前記細胞固有パラメータに関する事後確率分布を算出し、前記事前確率分布で指定するパラメータの範囲で前記膜電位変化と同様な変化を示す前記数理モデルを抽出し、前記分子群の生化学反応経路を推定する生化学反応経路推定部、
を備えたことを特徴とする生化学反応経路の推定装置。
IPC(International Patent Classification)
F-term
Drawing

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JP2018044724thum.jpg
State of application right Published
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