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チオプリン高感受性キメラ抗原受容体遺伝子改変リンパ球 NEW

国内特許コード P190016440
整理番号 (S2017-0066-N0)
掲載日 2019年10月28日
出願番号 特願2018-547662
出願日 平成29年10月23日(2017.10.23)
国際出願番号 JP2017038217
国際公開番号 WO2018079497
国際出願日 平成29年10月23日(2017.10.23)
国際公開日 平成30年5月3日(2018.5.3)
優先権データ
  • 特願2016-209066 (2016.10.25) JP
発明者
  • 中沢 洋三
  • 松田 和之
  • 盛田 大介
  • 村松 秀城
  • 奥野 友介
  • ▲高▼橋 義行
出願人
  • 国立大学法人信州大学
  • 国立大学法人名古屋大学
発明の名称 チオプリン高感受性キメラ抗原受容体遺伝子改変リンパ球 NEW
発明の概要 CAR療法の臨床応用を更に進めるべく、安全性の高い方法によって投与後のキメラ抗原受容体遺伝子改変リンパ球の制御を可能にする、新たな自殺遺伝子システムの提供を課題とする。標的抗原特異的キメラ抗原受容体遺伝子とともに、NUDT15遺伝子を標的とするsiRNAを細胞内で生成する第1核酸コンストラクト及び/又はTPMT遺伝子を標的とするsiRNAを細胞内で生成する第2核酸コンストラクトを標的細胞に導入し、キメラ抗原受容体を発現する遺伝子改変リンパ球を調製する。
従来技術、競合技術の概要

キメラ抗原受容体(CAR)遺伝子あるいはT細胞受容体(TCR)遺伝子を導入した遺伝子改変リンパ球(T細胞、NK細胞など)を用いる細胞療法(CAR療法)が、難治性がんに対する効果的な治療法として期待されている。とりわけCD19を標的としたCAR-T細胞療法はB細胞性腫瘍に対して劇的な治療効果をもたらす。治療効果の持続と体内におけるCAR-T細胞の存続は密接に関係する。遺伝子改変リンパ球の投与においては、on/off-target副作用や高サイトカイン血症が問題となる。さらに、同種ドナーから製造された遺伝子改変リンパ球の投与においては、移植片対宿主病(GVHD)のリスクも伴う。

CAR/TCR遺伝子とともに自殺遺伝子をリンパ球に導入することによって、上記のリスクを回避できるもしくは軽減化できると考えられる。自殺遺伝子としては、単純ヘルペスウイルス1型チミジンキナーゼ(HSV-TK)、CD20、inducible Caspase9 (iCasp9)の開発が進んでいる(非特許文献1、2)。これらの自殺遺伝子システムはすべて、自殺遺伝子と対応する自殺起動薬の組み合わせで作用する。通常、自殺システムには不可逆な細胞死誘導経路が利用されているため、一旦自殺システムが作動すると期待される治療効果もその時点で終了する。しかしながら、高サイトカイン血症やGVHDのような可逆的な副作用に対して自殺遺伝子システムを起動させる場合には、適量(少量)の自殺起動薬の投与によって異常活性化した遺伝子改変リンパ球のみが除去され、副作用の解決後には再びCAR/TCR遺伝子改変リンパ球の機能が持続することが治療効果と医療コストの面から望ましい。

HSV-TK自殺遺伝子は、ガンシクロビルによって作動する。従って、治療を受けている患者はウイルス感染症の際にガンシクロビルを使用できない。ガンシクロビルはヒトにおける用量・用法及び安全性が確立されているため、その投与量を調節することによって、遺伝子改変リンパ球の自殺機能を調節できる可能性がある。しかし、HSV-TKの遺伝子産物は免疫原性の高いウイルス由来蛋白であるため、遺伝子導入されたリンパ球は患者の免疫系によって排除され、体内では長期間生存できない。CD20自殺遺伝子は、リツキシマブによって作動する。リツキシマブの投与によってon-target副作用としてのB細胞減少も生じる。リツキシマブもヒトにおける用量・用法が確立されていて、比較的安全性の高い薬剤である。遺伝子導入されるCD20に免疫原性はない。しかし、CD20自殺遺伝子の作用は、補体依存性細胞傷害活性及び抗体依存性細胞傷害活性によるため、T細胞表面におけるCD20の発現の程度や患者の免疫状態(エフェクター細胞の有無)に大きく依存する。iCasp9は、CID(chemical inducer of dimerization; AP1903)という低分子化合物によって二量体化され、内因性のCaspase3を活性化することによりT細胞にアポトーシスを誘導する。Caspase9には免疫原性がなく、その殺細胞効果は迅速かつ強力で、患者の免疫状態に依存しない。しかし、CIDは医薬品ではないため、その適切な用量・用法及び安全性が明らかでなく、用量依存的な自殺機能の調節は現時点では困難である。

産業上の利用分野

本発明はキメラ抗原受容体を発現する遺伝子改変リンパ球(CAR遺伝子導入リンパ球)に関する。詳細には、自殺遺伝子システムを利用して安全性を高めたCAR遺伝子導入リンパ球及びその用途等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
標的抗原特異的キメラ抗原受容体遺伝子とともに、NUDT15遺伝子を標的とするsiRNAを細胞内で生成する第1核酸コンストラクト及び/又はTPMT遺伝子を標的とするsiRNAを細胞内で生成する第2核酸コンストラクトを標的細胞に導入するステップ、を含む、キメラ抗原受容体を発現する遺伝子改変リンパ球の調製方法。

【請求項2】
標的抗原特異的キメラ抗原受容体遺伝子、第1核酸コンストラクト、及び第2核酸コンストラクトの導入が、トランスポゾン法によって行われる、請求項1に記載の調製方法。

【請求項3】
トランスポゾン法がpiggyBacトランスポゾン法である、請求項2に記載の調製方法。

【請求項4】
標的抗原特異的キメラ抗原受容体遺伝子と、第1核酸コンストラクト及び/又は第2核酸コンストラクトが同一のベクターに搭載され、該ベクターが標的細胞に導入される、請求項1~3のいずれか一項に記載の調製方法。

【請求項5】
標的細胞がT細胞である、請求項1~4のいずれか一項に記載の調製方法。

【請求項6】
キメラ抗原受容体を発現するとともに、NUDT15遺伝子を標的とするsiRNA及び/又はTPMT遺伝子を標的とするsiRNAを標的とするsiRNAが細胞内で生成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の調製方法で得られた遺伝子改変リンパ球。

【請求項7】
請求項6に記載の遺伝子改変リンパ球を治療上有効量含む、細胞製剤。

【請求項8】
請求項6に記載の遺伝子改変リンパ球を、治療上有効量、がん患者に投与するステップを含む、がんの治療法。

【請求項9】
請求項8に記載の治療法を受けた前記がん患者にチオプリン製剤を投与するステップを含む、前記遺伝子改変リンパ球の細胞死を誘導する方法。

【請求項10】
標的抗原特異的キメラ抗原受容体遺伝子を含むキメラ抗原受容体発現カセットとともに、NUDT15遺伝子を標的とするsiRNAを細胞内で生成する第1核酸コンストラクト及び/又はTPMT遺伝子を標的とするsiRNAを細胞内で生成する第2核酸コンストラクトを含むsiRNA発現カセットを搭載したベクター。

【請求項11】
キメラ抗原受容体発現カセットとsiRNA発現カセットが一対のトランスポゾン逆向き反復配列に挟まれた構造を備える、請求項10に記載のベクター。

【請求項12】
請求項11に記載のベクターと、トランスポザーゼ発現ベクターを含む、キメラ抗原受容体を発現する遺伝子改変リンパ球の調製キット。

【請求項13】
標的抗原特異的キメラ抗原受容体遺伝子を含むキメラ抗原受容体発現カセットを搭載したベクターと、
NUDT15遺伝子を標的とするsiRNAを細胞内で生成する第1核酸コンストラクト及び/又はTPMT遺伝子を標的とするsiRNAを細胞内で生成する第2核酸コンストラクトを含むsiRNA発現カセットを搭載したベクターと、
を含む、キメラ抗原受容体を発現する遺伝子改変リンパ球の調製キット。

【請求項14】
キメラ抗原受容体発現カセットが一対のトランスポゾン逆向き反復配列に挟まれた構造を備え、
siRNA発現カセットが一対のトランスポゾン逆向き反復配列に挟まれた構造を備え、
トランスポザーゼ発現ベクターを更に含む、請求項13に記載の調製キット。

【請求項15】
標的抗原特異的キメラ抗原受容体遺伝子を含むキメラ抗原受容体第1発現カセットを搭載したベクターと、
NUDT15遺伝子を標的とするsiRNAを細胞内で生成する第1核酸コンストラクトを含む第1siRNA発現カセットを搭載したベクターと、
TPMT遺伝子を標的とするsiRNAを細胞内で生成する第2核酸コンストラクトを含む第2siRNA発現カセットを搭載したベクターと、
を含む、キメラ抗原受容体を発現する遺伝子改変リンパ球の調製キット。

【請求項16】
キメラ抗原受容体発現カセットが一対のトランスポゾン逆向き反復配列に挟まれた構造を備え、
第1siRNA発現カセットが一対のトランスポゾン逆向き反復配列に挟まれた構造を備え、
第2siRNA発現カセットが一対のトランスポゾン逆向き反復配列に挟まれた構造を備え、
トランスポザーゼ発現ベクターを更に含む、請求項15に記載の調製キット。

【請求項17】
トランスポザーゼがpiggyBacトランスポザーゼである、請求項12、14、16のいずれか一項に記載の調製キット。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 公開
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