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ヒトゲノムDNA検出方法

国内特許コード P190016500
整理番号 (S2017-0155-N0)
掲載日 2019年11月25日
出願番号 特願2018-554221
出願日 平成29年11月30日(2017.11.30)
国際出願番号 JP2017042943
国際公開番号 WO2018101375
国際出願日 平成29年11月30日(2017.11.30)
国際公開日 平成30年6月7日(2018.6.7)
優先権データ
  • 特願2016-233119 (2016.11.30) JP
発明者
  • 明石 英雄
  • 船越 広大
出願人
  • 国立大学法人秋田大学
発明の名称 ヒトゲノムDNA検出方法
発明の概要 被験試料中のヒトゲノムDNAを高感度に検出及び/又は定量する方法を提供すること。
46のヒトAluサブファミリーのコンセンサス配列を代表する一つの「ヒトAluモデル配列」を同定し、このヒトAluモデル配列を用いてAlu検出用PCRプライマー・プローブ候補を選択する。次に、ヒトAlu配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド配列であって、且つ、ダイマーの形成を最小限に抑え得るオリゴヌクレオチド配列からなるプライマー・プローブセットを、独自のクライテリアを用いて選択する。このようにして得られたAlu検出用PCRプライマー・プローブを用いて定量リアルタイムPCRを行うことにより、被験試料中のヒトゲノムDNAを高感度に検出及び/又は定量することができる。
従来技術、競合技術の概要

Alu配列は、レトロトランスポゾンであるSINE(short interspersed element)の一種であり、ヒトを含む霊長類のゲノムに特異的に存在する反復配列である。Alu配列は、レフトモノマー及びライトモノマーと呼ばれる2つの7SL RNA由来配列と、それらに挟まれたA-rich配列から構成されている。Alu配列は霊長類のゲノムに特異的な配列であるが、その一部を構成する7SL RNA由来配列はげっ歯類のゲノム中にも存在することが分かっている。また、最近の研究により、ヒトゲノム中のAlu配列は全てが同一の配列からなるものではなく、46のサブファミリーからなることが明らかにされている(非特許文献1)。

Alu配列は、ヒトゲノム中に100万コピー以上存在し、ヒトゲノムの10%以上を占めることが知られている。ヒトゲノムの全長は約30億ヌクレオチド対であることから、単純に計算すると、ヒトゲノムDNA3000ヌクレオチド対につき平均1コピーのAlu配列が存在していることになる。重量に換算すると、一倍体のヒトゲノム全体の重さは3pgであることから、0.003fgのヒトゲノムDNAに平均1コピーのAlu配列が含まれると考えられる。このように、Alu配列はごく微量のヒトゲノムDNAにも必ず存在し、また、霊長類に特異的なヌクレオチド配列であることから、ヒト細胞の検出・定量のための理想的な標的であると考えられている。

Alu配列を標的とした定量リアルタイムPCR法(以下、「Alu-qPCR」と称する場合がある)を用いてヒトゲノムを検出・定量する方法は、これまでに複数報告されている(例えば、特許文献1、非特許文献2等)。また、Alu-qPCRのためのキットとして、Innoquant(登録商標)(InnoGenomics Technologies 社製)や、Femto(登録商標)Human DNA Quantification Kit(ZYMO RESEARCH社製)が既に市販されている。さらに、Alu-qPCRを利用して、マウス等に異種移植したヒト幹細胞の生着・増殖の程度を確認できること(非特許文献3)、血中DNA濃度を測定して癌の診断ができること(非特許文献4)、法医学分野で使用される陳旧試料中のヒトゲノムDNAを検出できることが報告されている(非特許文献5)。

しかし、これまでに報告されているAlu-qPCRはいずれも十分な感度を持つものではない。すなわち、理論的には、リアルタイムPCRにより0.1fg程度のヒトゲノムDNAからAluを検出できるはずであるが、既知のAlu-qPCRでは数pg以上のヒトゲノムDNAが必要であるとされており(非特許文献5)、理論的な検出限界と比較して極めて低い感度しか得られていない。また、既知のAlu-qPCR用プライマーには、ヒト以外の生物種ゲノムの一部と同一のヌクレオチド配列が含まれており、他の生物種由来のゲノムDNAとヒトゲノムDNAとが混在したサンプルを用いた場合に、微量のAluを特異的に検出することは不可能であった。以上のことから、より高い感度と特異性を有するAlu-qPCRの開発が求められていた。

産業上の利用分野

本発明は、ヒトAlu検出用PCRプライマー対の設計方法や、それを用いて設計されたヒトAlu検出用PCRプライマー対や、該ヒトAlu検出用PCRプライマー対を用いて被験試料中のヒトゲノムDNAを検出及び/又は定量する方法等に関する。また、本発明は、ヒトAlu検出用PCRプローブの設計方法や、それを用いて設計されたヒトAlu検出用PCRプローブや、該ヒトAlu検出用PCRプローブ及び上記ヒトAlu検出用PCRプライマーを用いて、被験試料中のヒトゲノムDNAを検出及び/又は定量する方法等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
配列番号4に示されるヌクレオチド配列からなるヒトAluモデル配列の一部又は全部の領域を増幅することができるフォワードプライマー群及びリバースプライマー群から、以下のクライテリア1’~7’を満たすフォワードプライマー及びリバースプライマーを選択する工程A’を含む、ヒトAlu検出用PCRプライマー対の設計方法;
[クライテリア1’]フォワードプライマー及びリバースプライマー中の連続した17以上のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列が、非ヒト生物からなる群から選択される1種又は2種以上のゲノムDNAのヌクレオチド配列中に2ヶ所以上存在しない;
[クライテリア2’]フォワードプライマー及びリバースプライマーのヌクレオチド長がそれぞれ18以上である;
[クライテリア3’]少なくともプライマーの5’末端又は3’末端のヌクレオチドがG又はCであり、プライマーの5’末端がG又はCでない場合は、5’末端から2番目のヌクレオチドがG又はCであり、プライマーの3’末端がG又はCでない場合は、3’末端から2番目のヌクレオチドがG又はCである;
[クライテリア4’]プライマーの3’末端から3番目までのヌクレオチド(3’末端から1~3番目のヌクレオチド)のうちの、少なくとも1つがA又はTである;
[クライテリア5’]フォワードプライマー同士、及びリバースプライマー同士の二分子間において、いずれか一方の分子の3’末端から3番目までのヌクレオチド配列(3’末端から1~3番目のヌクレオチド配列)と相補的なヌクレオチド配列を、もう一方の分子が含まない;
[クライテリア6’]フォワードプライマー同士、リバースプライマー同士、及びフォワードプライマーとリバースプライマーの二分子間において、いずれか一方の分子に含まれる連続する5ヌクレオチド以上のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列を、もう一方の分子が含まない;
[クライテリア7’]フォワードプライマー同士、及びリバースプライマー同士の二分子間において、いずれか一方の分子に含まれるG又はCからなる連続する4ヌクレオチド以上のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列を、もう一方の分子が含まない;

【請求項2】
以下のクライテリア1~7を満たすフォワードプライマー及びリバースプライマーを選択する工程Aを含む、請求項1記載のヒトAlu検出用PCRプライマー対の設計方法;
[クライテリア1]フォワードプライマー及びリバースプライマー中の連続した19ヌクレオチドからなるヌクレオチド配列が、非ヒト生物からなる群から選択される1種又は2種以上のゲノムDNAのヌクレオチド配列中に2ヶ所以上存在しない;
[クライテリア2]フォワードプライマー及びリバースプライマーのヌクレオチド長がそれぞれ20以上である;
[クライテリア3]少なくともプライマーの5’末端又は3’末端のヌクレオチドがG又はCであり、プライマーの5’末端がG又はCでない場合は、5’末端から2番目のヌクレオチドがG又はCであり、プライマーの3’末端がG又はCでない場合は、3’末端から2番目のヌクレオチドがG又はCである;
[クライテリア4]プライマーの3’末端から3番目までのヌクレオチド(3’末端から1~3番目のヌクレオチド)のうちの、少なくとも1つがA又はTである;
[クライテリア5]フォワードプライマー同士、リバースプライマー同士、及びフォワードプライマーとリバースプライマーの二分子間において、いずれか一方の分子の3’末端から3番目までのヌクレオチド配列(3’末端から1~3番目のヌクレオチド配列)と相補的なヌクレオチド配列を、もう一方の分子が含まない;
[クライテリア6]フォワードプライマー同士、リバースプライマー同士、及びフォワードプライマーとリバースプライマーの二分子間において、いずれか一方の分子に含まれる連続する5ヌクレオチド以上のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列を、もう一方の分子が含まない;
[クライテリア7]フォワードプライマー同士、リバースプライマー同士、及びフォワードプライマーとリバースプライマーの二分子間において、いずれか一方の分子に含まれるG又はCからなる連続する4ヌクレオチド以上のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列を、もう一方の分子が含まない;

【請求項3】
ヒトAluモデル配列が配列番号5に示されるヌクレオチド配列からなる、請求項1又は2記載のヒトAlu検出用PCRプライマー対の設計方法。

【請求項4】
非ヒト生物がげっ歯類である請求項1~3のいずれかに記載のヒトAlu検出用PCRプライマー対の設計方法。

【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載のヒトAlu検出用PCRプライマー対の設計方法により設計されたヒトAlu検出用PCRプライマー対。

【請求項6】
以下の(a)又は(a’)のフォワードプライマー及び(b)又は(b’)のリバースプライマーにより構成される、ヒトAlu検出用PCRプライマー対。
(a)配列番号18に示されるヌクレオチド配列;又は配列番号18に示されるヌクレオチド配列中の少なくとも連続する16ヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含み、且つ、配列番号18に示されるヌクレオチド配列において1若しくは数個のヌクレオチドが欠失、置換、若しくは付加されたヌクレオチド配列;からなるフォワードプライマー;
(a’)配列番号123に示されるヌクレオチド配列;又は配列番号123に示されるヌクレオチド配列中の少なくとも連続する16ヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含み、且つ、配列番号123に示されるヌクレオチド配列において1若しくは数個のヌクレオチドが欠失、置換、若しくは付加されたヌクレオチド配列;からなるフォワードプライマー;
(b)配列番号19に示されるヌクレオチド配列;又は配列番号19に示されるヌクレオチド配列中の少なくとも連続する16ヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含み、且つ、配列番号19に示されるヌクレオチド配列において1若しくは数個のヌクレオチドが欠失、置換、若しくは付加されたヌクレオチド配列;からなるリバースプライマー;
(b’)配列番号148に示されるヌクレオチド配列;又は配列番号148に示されるヌクレオチド配列中の少なくとも連続する16ヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含み、且つ、配列番号148に示されるヌクレオチド配列において1若しくは数個のヌクレオチドが欠失、置換、若しくは付加されたヌクレオチド配列;からなるリバースプライマー;

【請求項7】
配列番号18に示されるヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー、及び配列番号19に示されるヌクレオチド配列からなるリバースプライマーにより構成される、請求項6記載のヒトAlu検出用PCRプライマー対。

【請求項8】
配列番号123に示されるヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー、及び配列番号148に示されるヌクレオチド配列からなるリバースプライマーにより構成される、請求項6記載のヒトAlu検出用PCRプライマー対。

【請求項9】
被験試料より抽出されたDNAを鋳型として、請求項5~8のいずれかに記載のヒトAlu検出用PCRプライマー対を用いたPCRを行う工程を含む、前記被験試料中のヒトゲノムDNAを検出及び/又は定量する方法。

【請求項10】
被験試料が、非ヒト動物にヒト細胞を移植して作製された異種移植モデル動物由来の生体試料、又は古人骨由来の陳旧試料である、請求項9記載の方法。

【請求項11】
配列番号4に示されるヌクレオチド配列からなるヒトAluモデル配列のうち、請求項5~8のいずれかに記載のヒトAlu検出用PCRプライマー対により増幅される領域にハイブリダイズすることができるプローブの群から、以下のクライテリア8’~11’を満たすプローブを選択する工程B’を含む、ヒトAlu検出用PCRプローブの設計方法;
[クライテリア8’]プローブ中の連続した17以上のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列が、非ヒト生物からなる群から選択される1種又は2種以上のゲノムDNAのヌクレオチド配列中に2ヶ所以上存在しない;
[クライテリア9’]プローブのヌクレオチド長が18以上である;
[クライテリア10’]フォワードプライマーとプローブ及びリバースプライマーとプローブの二分子間において、いずれか一方の分子の3’末端から3番目までのヌクレオチド配列(3’末端から1~3番目のヌクレオチド配列)と相補的なヌクレオチド配列を、もう一方の分子が含まない;
[クライテリア11’]プローブ同士、フォワードプライマーとプローブ、及びリバースプライマーとプローブの二分子間において、いずれか一方の分子に含まれる連続する5ヌクレオチド以上のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列を、もう一方の分子が含まない;

【請求項12】
以下のクライテリア8~11を満たすプローブを選択する工程Bを含む、請求項11記載のヒトAlu検出用PCRプローブの設計方法;
[クライテリア8]プローブ中の連続した19ヌクレオチドからなるヌクレオチド配列が、非ヒト生物からなる群から選択される1種又は2種以上のゲノムDNAのヌクレオチド配列中に2ヶ所以上存在しない;
[クライテリア9]プローブのヌクレオチド長が20以上である;
[クライテリア10]プローブ同士、フォワードプライマーとプローブ、及びリバースプライマーとプローブの二分子間において、いずれか一方の分子の3’末端から3番目までのヌクレオチド配列(3’末端から1~3番目のヌクレオチド配列)と相補的なヌクレオチド配列を、もう一方の分子が含まない;
[クライテリア11]プローブ同士、フォワードプライマーとプローブ、及びリバースプライマーとプローブの二分子間において、いずれか一方の分子に含まれる連続する5ヌクレオチド以上のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列を、もう一方の分子が含まない;

【請求項13】
工程B’又はBにより複数のプローブが選択されたとき、以下のクライテリア12~15の少なくとも1つ又は2つ以上を満たすプローブを選択する工程Cをさらに含む、請求項11又は12記載のヒトAlu検出用PCRプローブの設計方法。
[クライテリア12]フォワードプライマーとプローブ、又はリバースプライマーとプローブの二分子間において、いずれか一方の分子に含まれるG又はCからなる連続する4ヌクレオチド以上のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列を、もう一方の分子が含まない;
[クライテリア13]プローブの5’末端のヌクレオチドがGでない;
[クライテリア14]プローブ同士、フォワードプライマーとプローブ、及びリバースプライマーとプローブの二分子間で、最も安定なダイマーを形成させた場合の自由エネルギーの変化が-7kcal/mol以上である;
[クライテリア15]ヌクレオチド長が最も短い;

【請求項14】
ヒトAluモデル配列が配列番号5に示されるヌクレオチド配列からなる、請求項11~13のいずれかに記載のヒトAlu検出用PCRプローブの設計方法。

【請求項15】
非ヒト生物がげっ歯類である、請求項11~14のいずれかに記載のヒトAlu検出用PCRプローブの設計方法。

【請求項16】
請求項11~15のいずれかに記載のヒトAlu検出用PCRプローブの設計方法により設計された、ヒトAlu検出用PCRプローブ。

【請求項17】
配列番号37、39、42、47若しくは149に示されるヌクレオチド配列;又は配列番号37、39、42、47若しくは149に示されるヌクレオチド配列中の少なくとも連続する16ヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含み、且つ、配列番号37、39、42、47若しくは149に示されるヌクレオチド配列において1若しくは数個のヌクレオチドが欠失、置換、若しくは付加されたヌクレオチド配列;からなるヒトAlu検出用PCRプローブ。

【請求項18】
配列番号42又は149に示されるヌクレオチド配列からなる、請求項17記載のヒトAlu検出用PCRプローブ。

【請求項19】
プローブの5’末端が蛍光物質により、3’末端がクエンチャー物質によりそれぞれ標識されている、請求項16~18のいずれかに記載のヒトAlu検出用PCRプローブ。

【請求項20】
請求項5~8のいずれかに記載のヒトAlu検出用PCRプライマー対と、請求項16~19のいずれかに記載のヒトAlu検出用PCRプローブとを備えた、ヒトAlu検出用PCRプライマー・プローブセット。

【請求項21】
請求項20記載のヒトAlu検出用PCRプライマー・プローブセットを用いて被験試料中のヒトゲノムDNAを検出及び/又は定量する方法であって、以下の(I)~(III)の工程を含む、方法。
(I)前記被験試料より抽出されたDNAを鋳型として、前記プライマー・プローブセットを用いたリアルタイムPCRを行う工程;
(II)既知量のヒトゲノムDNAを段階希釈して調製された標準試料を鋳型として、上記工程(I)と同様の条件においてリアルタイムPCRを行い、検量線を作成する工程;
(III)前記検量線から、前記被験試料中のヒトゲノムDNA量を算出する工程;

【請求項22】
被験試料が、非ヒト動物にヒト細胞を移植して作製された異種移植モデル動物由来の生体試料、又は古人骨由来の陳旧試料である、請求項21記載の方法。

【請求項23】
請求項5~8のいずれかに記載のヒトAlu検出用PCRプライマー対及び/又は請求項16~18のいずれかに記載のヒトAlu検出用PCRプローブを備えた、ヒトゲノムDNA検出及び/又は定量用キット。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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