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ミトコンドリアtRNA修飾の検出法 NEW

国内特許コード P190016510
整理番号 (S2017-0228-N0)
掲載日 2019年11月25日
出願番号 特願2018-559612
出願日 平成29年12月27日(2017.12.27)
国際出願番号 JP2017047099
国際公開番号 WO2018124235
国際出願日 平成29年12月27日(2017.12.27)
国際公開日 平成30年7月5日(2018.7.5)
優先権データ
  • 特願2016-255808 (2016.12.28) JP
発明者
  • 富澤 一仁
  • 魏 范研
出願人
  • 国立大学法人熊本大学
発明の名称 ミトコンドリアtRNA修飾の検出法 NEW
発明の概要 本発明の目的は、ミトコンドリア転移RNA(mt-tRNA)の修飾ヌクレオシドの検出法を提供することなどである。本発明により、タンデム質量分析を用いた、尿などの体液試料又は培養上清中の試料中の修飾ヌクレオシド(例えば、5-taurinomethyl-2-thiouridine(τm5s2U)、5-taurinomethyluridine(τm5U))、2-methylthio-N6-isopentenyl adenosine(ms2i6A))を検出することを含む、mt-tRNA中の修飾ヌクレオシド検出方法などが提供された。
従来技術、競合技術の概要

ミトコンドリアにはミトコンドリアDNAに由来する22種類の転移RNA(tRNA)が存在し、同じくミトコンドリアDNAに由来する13種類のタンパク質が翻訳に必須である。mt-tRNAは多くの化学修飾を含むことが知られており、これまでにmt-tRNAを構成する塩基のうち、118箇所の塩基に計15種類の化学修飾が同定されている。例えば、mt-tRNAのうち、5つのtRNAが34番のウリジンにタウリン修飾を含む。そのうち、mt-tRNALeu及びmt-tRNATrpがタウリノメチル化(τm5U)されており、mt-tRNAGln、mt-tRNAGlu及びmt-tRNALysがタウリノメチルチオール化(τm5s2U)されている(図1)。また、mt-tRNATrpにおいては、37番目のアデノシンも修飾されms2i6Aとなっている。

ミトコンドリアにおけるタウリン修飾の重要性はミトコンドリア病患者での知見から示唆されている(非特許文献1)。また、ms2i6Aもミトコンドリア病との関連が示唆されている。ミトコンドリア病は主にミトコンドリアDNAの点変異に起因し、エネルギー需要の多い心筋や骨格筋が障害される遺伝疾患である。一例をあげると、ミトコンドリアDNA点変異のうち、mt-tRNALeuをコードするDNA領域に生じるA3243G点変異、およびmt-tRNALysをコードするDNA領域に生じるA8344G点変異の頻度が特に高い。興味深いことに、A3243G点変異を有する患者では、mt-tRNALeuのτm5修飾が消失していた。また、A8344G点変異を有するミトコンドリア病患者でも、mt-tRNALysのτm5s2修飾が消失していた。これらのことから、タウリン修飾の低下がミトコンドリア病の発症原因であることが強く示唆されている。

すなわち、タウリン修飾ウリジンを初めとする修飾ヌクレオシドの量を解析することにより、ミトコンドリア病が診断できる。しかし、従来の技術では、例えば、タウリン修飾ウリジンを解析するためには、患者から大量の筋組織を採取する必要があり、小児に多く発症するミトコンドリア病の診断には応用できなかった。

産業上の利用分野

本発明は、ミトコンドリア転移RNA(mt-tRNA)修飾の検出法に関するものである。詳細には、タンデム質量分析を用いた試料中の修飾ヌクレオシドの検出方法、尿などの体液試料又は培養上清中の修飾ヌクレオシド、例えば、タウリン修飾ウリジン(5-taurinomethyl-2-thiouridine(τm5s2U)又は5-taurinomethyluridine(τm5U))や2-methylthio-N6-isopentenyl adenosine(ms2i6A)を検出することを特徴とする、mt-tRNA中の修飾ヌクレオシドの検出方法、当該方法を用いたミトコンドリア病の診断方法などに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
被検動物におけるミトコンドリアtRNA(mt-tRNA)中に含まれる修飾ヌクレオシドの量を決定する方法であって、以下の工程:
(1)該被検動物由来の体液試料及び該被検動物由来の細胞の培養上清からなる群より選択される試料中の修飾ヌクレオシドの量を、タンデム質量分析法を用いて決定する工程、および
(2)工程(1)により決定された試料中の修飾ヌクレオシド量が、被検動物におけるmt-tRNAにおける該修飾ヌクレオシドの量に関連付けられる工程、
を含む方法。

【請求項2】
前記タンデム質量分析法が、前処理として液体クロマトグラフィー(LC)を含みイオン化源がエレクトロスプレーイオン化源(ESI)であるLC-ESI-MS/MSであり、かつ、使用される質量分析モードが選択反応モニタリングである、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
前記試料が、被検動物由来の尿を含む請求項1又は2に記載の方法。

【請求項4】
前記試料がメタノールにより除タンパク処理された尿試料である、請求項3に記載の方法。

【請求項5】
前記試料が、ミトコンドリア病を疑われるヒトからの尿試料である、請求項1~4のいずれか一つに記載の方法。

【請求項6】
さらに以下の工程:
(3)工程(2)により関連づけられた被検動物におけるmt-tRNAにおける修飾ヌクレオシド量が、該被検動物におけるミトコンドリア病の疾患の程度に関連づけられる工程、を含む、請求項1~5のいずれか一つに記載の方法。

【請求項7】
前記修飾ヌクレオシドが、タウリン修飾ウリジンである請求項1~5のいずれか一つに記載の方法。

【請求項8】
前記タウリン修飾ウリジンが、5-タウリノメチル 2-チオウリジン(τm5s2U)である請求項7に記載の方法。

【請求項9】
前記工程(1)が、
(a)τm5s2Uを含有することが疑われる試料を液体クロマトグラフィーに供してτm5s2Uが濃縮された画分を得る工程、
(b)質量分析により検出し得るτm5s2U前駆イオンを発生させるのに適した条件下で、τm5s2Uが濃縮された画分をイオン化源に供する工程、及び
(c)タンデム質量分析(MS/MS)によりτm5s2U生成イオンの量を決定する工程、
を含み、
工程(c)におけるタンデム質量分析(MS/MS)が、396±0.5の質量対電荷比(m/z)を有する前駆負イオンを、τm5s2U前駆負イオンが124±0.5のm/zを有するτm5s2U生成負イオンを発生する条件下で、衝突反応に付し、該衝突反応により生じた124±0.5のm/zを有する生成イオン量を決定することを含み、
工程(c)で決定されたイオンの量が、前記試料中のτm5s2Uの量に関連づけられる工程である、請求項8に記載の方法。

【請求項10】
前記試料が、被検動物由来の尿をメタノールにより除タンパク処理した尿試料である請求項9に記載の方法。

【請求項11】
前記タウリン修飾ウリジンが、5-タウリノメイルウリジン(τm5U)である請求項7に記載の方法。

【請求項12】
前記工程(1)が、
(a)τm5Uを含有することが疑われる試料を液体クロマトグラフィーに供してτm5Uが濃縮された画分を得る工程、
(b)質量分析により検出し得るτm5U前駆イオンを発生させるのに適した条件下で、τm5Uが濃縮された画分をイオン化源に供する工程、及び
(c)タンデム質量分析(MS/MS)によりτm5U生成イオンの量を決定する工程、
を含み、
工程(c)におけるタンデム質量分析(MS/MS)が、380±0.5の質量対電荷比(m/z)を有する前駆負イオンを、τm5U前駆負イオンが124±0.5のm/zを有するτm5U生成負イオンを発生する条件下で、衝突反応に付し、該衝突反応により生じた124±0.5のm/zを有する生成イオン量を決定することを含み、
工程(c)で決定されたイオンの量が、前記試料中のτm5Uの量に関連づけられる工程、である請求項11に記載の方法。

【請求項13】
前記試料が、被検動物由来の尿をメタノールにより除タンパク処理した尿試料である請求項12に記載の方法。

【請求項14】
前記修飾ヌクレオシドが、2-メチルチオ-N6―イソペンテニルアデノシン(ms2i6A)である請求項1~5のいずれか一つに記載の方法。

【請求項15】
前記工程(1)が、
(a)ms2i6Aを含有することが疑われる試料を液体クロマトグラフィーに供してms2i6Aが濃縮された画分を得る工程、
(b)質量分析により検出し得るms2i6A前駆イオンを発生させるのに適した条件下で、ms2i6Aが濃縮された画分をイオン化源に供する工程、及び
(c)タンデム質量分析(MS/MS)によりms2i6A生成イオンの量を決定する工程、
を含み、
工程(c)におけるタンデム質量分析(MS/MS)が、382±0.5の質量対電荷比(m/z)を有する前駆正イオンを、ms2i6A前駆正イオンが182±0.5のm/zを有するms2i6A生成正イオンを発生する条件下で、衝突反応に付し、該衝突反応により生じた182±0.5のm/zを有する生成イオン量を決定することを含み、
工程(c)で決定されたイオンの量が、前記試料中のms2i6Aの量に関連づけられる工程、である請求項14に記載の方法。

【請求項16】
前記試料が、被検動物由来の尿をメタノールにより除タンパク処理した尿試料である請求項15に記載の方法。

【請求項17】
タンデム質量分析により試料中のτm5s2Uの量を決定する方法であって、
(a)τm5s2Uを含有することが疑われる試料を液体クロマトグラフィーに供してτm5s2Uが濃縮された画分を得る工程と、
(b)質量分析により検出し得るτm5s2U前駆イオンを発生させるのに適した条件下で、τm5s2Uが濃縮された画分をイオン化源に供する工程と、
(c)タンデム質量分析によりτm5s2U生成イオンの量を決定する工程とを含み、
工程(c)におけるタンデム質量分析が、396±0.5の質量対電荷比(m/z)を有する前駆負イオンを、τm5s2U前駆負イオンが124±0.5のm/zを有するτm5s2U生成負イオンを発生する条件下で、衝突反応に付し、該衝突反応により生じた124±0.5のm/zを有する生成イオン量を決定することを含み、
工程(c)で決定されたイオンの量が、前記試料中のτm5s2Uの量に関連づけられる、方法。

【請求項18】
タンデム質量分析により試料中のτm5Uの量を決定する方法であって、
(a)τm5Uを含有することが疑われる試料をLCに供してτm5Uが濃縮された画分を得る工程と、
(b)質量分析により検出し得るτm5U前駆イオンを発生させるのに適した条件下で、τm5Uが濃縮された画分をイオン化源に供する工程と、
(c)タンデム質量分析によりτm5U生成イオンの量を決定する工程とを含み、
工程(c)におけるタンデム質量分析が、380±0.5の質量対電荷比(m/z)を有する前駆負イオンを、τm5U前駆負イオンが124±0.5のm/zを有するτm5U生成負イオンを発生する条件下で、衝突反応に付し、該衝突反応により生じた124±0.5のm/zを有する生成イオン量を決定することを含み、
工程(c)で決定されたイオンの量が、前記試料中のτm5Uの量に関連づけられる、方法。

【請求項19】
タンデム質量分析により試料中のms2i6Aの量を決定する方法であって、
(a)ms2i6Aを含有することが疑われる試料をLCに供してms2i6Aが濃縮された画分を得る工程と、
(b)質量分析により検出し得るms2i6A前駆イオンを発生させるのに適した条件下で、ms2i6Aが濃縮された画分をイオン化源に供する工程と、
(c)タンデム質量分析によりms2i6A生成イオンの量を決定する工程とを含み、
工程(c)におけるタンデム質量分析が、382±0.5の質量対電荷比(m/z)を有する前駆正イオンを、ms2i6A前駆正イオンが182±0.5のm/zを有するms2i6A生成正イオンを発生する条件下で、衝突反応に付し、該衝突反応により生じた182±0.5のm/zを有する生成イオン量を決定することを含み、
工程(c)で決定されたイオンの量が、前記試料中のms2i6Aの量に関連づけられる、方法。

【請求項20】
前記イオン化源がエレクトロスプレーイオン化源である、請求項17~19のいずれか一つに記載の方法。

【請求項21】
試料が体液試料又は細胞培養上清を含む、請求項17~20のいずれか一項に記載の方法。

【請求項22】
試料が尿を含む、請求項17~20のいずれか一項に記載の方法。

【請求項23】
試料が、除タンパク処理された体液試料又は細胞培養上清である、請求項17~22のいずれか一項に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 公開
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