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六方晶窒化ホウ素薄膜とその製造方法 NEW

国内特許コード P190016516
整理番号 (K203P09)
掲載日 2019年11月26日
出願番号 特願2018-560410
出願日 平成30年1月5日(2018.1.5)
国際出願番号 JP2018000107
国際公開番号 WO2018128193
国際出願日 平成30年1月5日(2018.1.5)
国際公開日 平成30年7月12日(2018.7.12)
優先権データ
  • 特願2017-001291 (2017.1.6) JP
発明者
  • 吾郷 浩樹
  • 河原 憲治
  • 内田 勇気
  • 仲村渠 翔
  • 田中 大地
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 六方晶窒化ホウ素薄膜とその製造方法 NEW
発明の概要 本発明は、大面積で、1nm以上の均一な厚さを有し、かつグレインバンダリーの少ない六方晶窒化ホウ素薄膜を安価に製造することができる、エレクトロニクスへの応用などの工業的な利用に適した新規な六方晶窒化ホウ素薄膜の製造方法と六方晶窒化ホウ素薄膜を提供する。本発明の六方晶窒化ホウ素薄膜は、厚さが1nm以上であり、ラマンスペクトルにより得られるE2gピークの半値幅の平均値が9~20cm-1であることを特徴とする。
従来技術、競合技術の概要

六方晶窒化ホウ素(h-BN)は、ホウ素原子と窒素原子が交互に配列した六方格子からなる層状構造を有し、バルク結晶はこの層が多数積層したものである。六方晶窒化ホウ素は、バンドギャップが5.9eVと大きく、優れた絶縁体である。また、六方晶窒化ホウ素は原子レベルで高い平坦性を有している。

このような特徴から、六方晶窒化ホウ素薄膜は、グラフェンなどの二次元原子膜材料の絶縁基板として優れた特性を示すことが知られている。例えば、グラフェンを酸化シリコン基板上で電極を取り付けてデバイス化し、キャリア移動度を測定すると2,000-20,000 cm2/Vsという値が得られるのに対して、グラフェンと酸化シリコン基板の間に厚さ10 nm程度の六方晶窒化ホウ素薄膜を挟むことで、キャリア移動度が15,000-60,000 cm2/Vsまで向上できることが知られている。

遷移金属カルコゲナイドと呼ばれる遷移金属と硫黄などのカルコゲンとの層状材料の原子膜も六方晶窒化ホウ素薄膜により大きく特性が向上することが知られている。例えば、二枚の六方晶窒化ホウ素薄膜で二硫化モリブデンの二次元原子膜を挟むことで、キャリア移動度が10 Kの低温で34,000 cm2/Vsまで高くなることが報告されている。さらに、二硫化タングステンの下に六方晶窒化ホウ素薄膜を配置することで、二硫化タングステンの蛍光強度が強くなり、発光ピークの半値幅も大幅に小さくなることが報告されている。酸化シリコン基板には表面凹凸や光学フォノン、表面の電荷不純物が存在し、それらが酸化シリコン基板上の二次元原子膜材料の特性低下につながるのに対し、六方晶窒化ホウ素薄膜はこのような影響を遮蔽することができ、二次元材料の電気的、光学的な特性の大幅な向上につながる。このため、六方晶窒化ホウ素薄膜は多様な原子膜材料の絶縁性基板として理想的なものである。

このような用途で用いられる従来の六方晶窒化ホウ素薄膜のほぼ全てが、小さな六方晶窒化ホウ素のバルク結晶粒から剥離することで作られている。六方晶窒化ホウ素の単結晶合成には高温・高圧が必要な上、剥離転写された六方晶窒化ホウ素薄膜は約1 μm程度とサイズが非常に小さく、また厚さや形状も制御が困難である。そのため、六方晶窒化ホウ素の絶縁膜としての産業応用は非常に難しいとされてきた。

そのような中、バルク結晶粒からの剥離に代わる方法として、基板表面に化学気相成長(CVD)法等により窒化ホウ素の膜を形成することが提案されている。

例えば、特許文献1では、化学的に溶解可能な金属または金属化合物からなる基体の表面に単結晶構造を形成し、原料ガスを接触させるCVD法によりこの単結晶表面上に厚さが1原子分のh-BNの単原子膜を形成することが提案されている。

また、特許文献2では、金属または金属化合物からなる基体の表面を、表面粗さ(Rmax)5nm以下に研磨した後、この被研磨面をテンプレートとして、基体表面に厚さが1~2原子層分の単原子層または2原子層からなるh-BN薄膜を形成することが提案されている。

また、特許文献3には、半導体基板の上にグラフェン層を形成する方法に関し、基板とグラフェン層との間に窒化ホウ素層を含めることが記載されており、この窒化ホウ素層は、単層または2層以上の単原子層膜厚の窒化ホウ素層の連続層とすることが記載されている。なお、特許文献3では、半導体基板の表面に金属膜が形成され、グラフェン層と窒化ホウ素層は、半導体基板の表面と金属膜裏面との間に形成されることが記載されている。

産業上の利用分野

本発明は、六方晶窒化ホウ素薄膜とその製造方法および六方晶窒化ホウ素薄膜を含む積層体に関するものであり、さらに詳しくは、触媒としての金属膜を用いた六方晶窒化ホウ素薄膜とその製造方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
厚さが1nm以上であり、ラマンスペクトルにより得られるE2gピークの半値幅の平均値が9~20cm-1である六方晶窒化ホウ素薄膜。

【請求項2】
光学顕微鏡によって得られるRGB画像のG成分の強度分布の変動係数が5%以下である請求項1に記載の六方晶窒化ホウ素薄膜。

【請求項3】
前記G成分の強度分布が単峰性を示す請求項2に記載の六方晶窒化ホウ素薄膜。

【請求項4】
厚さが1nm以上、50nm以下である請求項1~3のいずれか一項に記載の六方晶窒化ホウ素薄膜。

【請求項5】
3層以上の層からなる請求項1~3のいずれか一項に記載の六方晶窒化ホウ素薄膜。

【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の六方晶窒化ホウ素薄膜の製造方法であって、
金属薄膜の表面にホウ素原子、窒素原子、またはホウ素原子と窒素原子の両方を含む原料ガスを接触させることによりこの金属薄膜の表面上に厚さが1nm以上の窒化ホウ素の膜を生成する工程を含み、
前記金属薄膜が、2つ以上の元素を主成分元素として含む六方晶窒化ホウ素薄膜の製造方法。

【請求項7】
前記金属薄膜が、NiとFe、CoとFe、またはCrとFeを主成分元素として含む、請求項6に記載の六方晶窒化ホウ素薄膜の製造方法。

【請求項8】
前記金属薄膜がNiとFeを主成分元素として含み、前記金属薄膜の表面が面心立方格子の(111)面、(100)面、または(110)面を有する、請求項7に記載の六方晶窒化ホウ素薄膜の製造方法。

【請求項9】
前記金属薄膜がNiを10%以上含む、請求項8に記載の六方晶窒化ホウ素薄膜の製造方法。

【請求項10】
化学気相成長(CVD)法により六方晶窒化ホウ素薄膜を形成する、請求項6~9に記載の六方晶窒化ホウ素薄膜の製造方法。

【請求項11】
ホウ素原子または窒素原子を含む第二の原料ガスをさらに供給する、請求項10に記載の六方晶窒化ホウ素薄膜の製造方法。

【請求項12】
厚さが1nm以上、50nm以下の六方晶窒化ホウ素薄膜を形成する、請求項6~11のいずれか一項に記載の六方晶窒化ホウ素薄膜の製造方法。

【請求項13】
3層以上の層からなる六方晶窒化ホウ素薄膜を形成する、請求項6~11のいずれか一項に記載の六方晶窒化ホウ素薄膜の製造方法。

【請求項14】
請求項1~5のいずれか一項に記載の六方晶窒化ホウ素薄膜を含む積層体。

【請求項15】
請求項14に記載の積層体を用いた薄膜トランジスタ。

【請求項16】
請求項15に記載の薄膜トランジスタを備える電子デバイス。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
参考情報 (研究プロジェクト等) さきがけ 素材・デバイス・システム融合による革新的ナノエレクトロニクスの創成 領域
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