TOP > クイック検索 > 国内特許検索 > 熱安定化変異体予測装置、熱安定化変異体予測方法、および、プログラム

熱安定化変異体予測装置、熱安定化変異体予測方法、および、プログラム

国内特許コード P190016522
整理番号 K10404JP1
掲載日 2019年11月26日
出願番号 特願2018-096317
公開番号 特開2018-160255
登録番号 特許第6533324号
出願日 平成30年5月18日(2018.5.18)
公開日 平成30年10月11日(2018.10.11)
登録日 令和元年5月31日(2019.5.31)
優先権データ
  • 特願2014-130560 (2014.6.25) JP
発明者
  • 村田 武士
  • 木下 正弘
  • 安田 賢司
  • 高椋 勇樹
  • 水谷 健二
  • 鈴木 七緒
  • 梶原 佑太
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 熱安定化変異体予測装置、熱安定化変異体予測方法、および、プログラム
発明の概要 【課題】膜タンパク質において熱安定化させるアミノ酸変異をコンピュータにて予測することができる、熱安定化変異体予測装置、熱安定化変異体予測方法、および、プログラムを提供することを課題とする。
【解決手段】膜タンパク質のアミノ酸配列にアミノ酸変異を導入することにより、アミノ酸変異体のアミノ酸配列を生成し、膜タンパク質および各アミノ酸変異体について、アミノ酸配列に基づいて構造最適化を伴った膜貫通部位における、一次構造から三次構造形成まで或いは二次構造から三次構造形成までの溶媒和エントロピー変化を計算し、膜タンパク質における溶媒和エントロピー変化とアミノ酸変異体における溶媒和エントロピー変化との差分に基づいて、熱安定化させるアミノ酸変異体の候補を抽出する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要

膜タンパク質は、ゲノムにコードされる全タンパク質の30%を占め、シグナル伝達、物質輸送、生体エネルギー産生・変換などの細胞機能において重要な役割を果たしている。また同時に、市販の医薬品の60%程度が膜タンパク質に作用することから、創薬においても重要なターゲットである。特に、ホルモンや神経伝達物質など受容体であるGタンパク共役型受容体(GPCR)は、約800種のファミリーを形成し、280種程度が創薬標的であると見積もられている。

近年、副作用が少なく効果の高い薬剤の設計・改良のために、医薬標的となるタンパク質の立体構造に基づいた医薬分子設計(SBDD)が有効であると示されている。しかしながら、GPCRは、(1)熱安定性が低く大量生産が難しい、(2)結晶化のための親水性表面が少なく結晶化が難しい、という問題点があり、2007年までヒトGPCRの詳細構造は得られていなかった。

2007年、非特許文献1に記載のように、B.KobilkaとR.Stevensらは、ヒト・アドレナリン受容体の細胞内第3ループにT4リゾチーム(T4L)を融合することにより、受容体を熱安定化させるのと同時に親水性表面を拡張し、脂質メソフェーズ法と呼ばれる方法で結晶化し、X線結晶構造解析に成功した。このように、GPCRの(2)結晶化が難しいという問題はT4L融合や抗体を用いることにより克服できるものの、(1)熱安定性が低く大量生産が難しい問題に関しては十分ではなくGPCRの9割以上は未だ大量生産ができていない。

ここで、特許文献1等では、熱安定性を高めるため、GPCRの各アミノ酸を網羅的にアラニンへ置換し、熱安定性の向上をもたらす変異箇所を実験的に調べ、それらの変異箇所の組み合わせによって熱安定性を大きく向上させて結晶構造解析をおこない、GPCRの構造が互いに似ていることを利用して他の種類のGPCRについても熱安定性を向上させるStaR(登録商標)技術が開示されている。

産業上の利用分野

本発明は、熱安定化変異体予測装置、熱安定化変異体予測方法、および、プログラムに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
膜タンパク質を熱安定化させるアミノ酸変異体の候補を予測する、記憶部と制御部とを備えた熱安定化変異体予測装置において、
上記記憶部は、
上記膜タンパク質のアミノ酸配列を記憶し、
上記制御部は、
上記膜タンパク質の上記アミノ酸配列にアミノ酸変異を導入することにより、上記アミノ酸変異体のアミノ酸配列を生成する変異導入手段と、
上記膜タンパク質および上記各アミノ酸変異体について、上記アミノ酸配列に基づいて構造最適化を伴った膜貫通部位における、一次構造から三次構造形成まで或いは二次構造から三次構造形成までの溶媒和エントロピー変化を、排除容積、露出表面積、露出表面の平均曲率の積分値、および、露出表面のガウス曲率の積分値の4つの幾何学的指標に基づく形態計測学的表現と積分方程式論との統合型方法論を用いて計算する計算手段と、
上記膜タンパク質における上記溶媒和エントロピー変化と上記アミノ酸変異体における上記溶媒和エントロピー変化との差分に基づいて、上記熱安定化させるアミノ酸変異体の候補を抽出する候補抽出手段と、
を備えたことを特徴とする熱安定化変異体予測装置。

【請求項2】
請求項1に記載の熱安定化変異体予測装置において、
上記計算手段は、
更に、上記膜タンパク質および上記各アミノ酸変異体について、上記アミノ酸配列に基づいて上記構造最適化を伴った上記膜貫通部位における、上記一次構造から上記三次構造形成まで或いは上記二次構造から上記三次構造形成までのエネルギー変化を計算し、
上記候補抽出手段は、
上記膜タンパク質における上記エネルギー変化と上記アミノ酸変異体における上記エネルギー変化との差分、ならびに、上記膜タンパク質における上記溶媒和エントロピー変化と上記アミノ酸変異体における上記溶媒和エントロピー変化との差分に絶対温度を乗じた値、の和である変化量に基づいて、上記熱安定化させるアミノ酸変異体の候補を抽出することを特徴とする熱安定化変異体予測装置。

【請求項3】
請求項1または2に記載の熱安定化変異体予測装置において、
上記計算手段は、
上記膜タンパク質および上記各アミノ酸変異体について、上記アミノ酸配列に基づいて上記構造最適化を伴った上記膜貫通部位における、上記一次構造から上記三次構造形成まで或いは上記二次構造から上記三次構造形成までの上記溶媒和エントロピー変化(S)を、以下の数式1を用いて計算することを特徴とする熱安定化変異体予測装置。
S/k=CV+CA+CX+CY・・・(数式1)
(ここで、k:ボルツマン定数、V:排除容積、A:露出表面積、X:露出表面の平均曲率の積分値、Y:露出表面のガウス曲率の積分値、ならびに、
、C、CおよびC:複数の異なる球状(剛体球)溶質直径(d)を有する孤立剛体球溶質の溶媒和エントロピー変化(Ssphere)を積分方程式論を用いて計算し、Ssphere/k=C(4πR/3)+C(4πR)+C(4πR)+C(4π),R=(d+d)/2(ここで、d:溶媒分子直径)を適用して最小二乗法によって決定した係数)

【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の熱安定化変異体予測装置において、
上記記憶部は、更に、
上記膜タンパク質の構造データを記憶し、
上記計算手段は、
上記アミノ酸配列および上記構造データに基づいて構造最適化を行うことを特徴とする熱安定化変異体予測装置。

【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一つに記載の熱安定化変異体予測装置において、
上記計算手段は、
まず、上記膜タンパク質の重原子を固定してミニマイズし、つぎに、Cα炭素およびCβ炭素を固定してミニマイズし、最後に、固定なしでミニマイズすることにより、段階的に拘束を外しながら上記構造最適化を行うことを特徴とする熱安定化変異体予測装置。

【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一つに記載の熱安定化変異体予測装置において、
上記計算手段は、
上記構造最適化を行ってから上記膜貫通部位を取り出した上記三次構造の溶媒和エントロピーと、当該三次構造を引き離した上記二次構造の溶媒和エントロピーとの変化を上記溶媒和エントロピー変化として計算することを特徴とする熱安定化変異体予測装置。

【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか一つに記載の熱安定化変異体予測装置において、
上記計算手段は、
上記膜貫通部位を取り出してから上記構造最適化を行った上記三次構造の溶媒和エントロピーと、取り出した当該膜貫通部位を引き離したのち上記構造最適化を行った上記二次構造の溶媒和エントロピーとの変化を上記溶媒和エントロピー変化として計算することを特徴とする熱安定化変異体予測装置。

【請求項8】
請求項1乃至5のいずれか一つに記載の熱安定化変異体予測装置において、
上記計算手段は、
上記構造最適化を行ってから上記膜貫通部位を取り出した上記三次構造の溶媒和エントロピーと、上記膜貫通部位を取り出し当該膜貫通部位を引き離したのち上記構造最適化を行った上記二次構造の溶媒和エントロピーとの変化を上記溶媒和エントロピー変化として計算することを特徴とする熱安定化変異体予測装置。

【請求項9】
請求項1乃至5のいずれか一つに記載の熱安定化変異体予測装置において、
上記計算手段は、
上記構造最適化を行ってから上記膜貫通部位を取り出した上記三次構造の溶媒和エントロピーと、上記膜貫通部位を取り出し当該膜貫通部位を伸ばしたのち上記構造最適化を行った上記一次構造の溶媒和エントロピーとの変化を上記溶媒和エントロピー変化として計算することを特徴とする熱安定化変異体予測装置。

【請求項10】
請求項1乃至5のいずれか一つに記載の熱安定化変異体予測装置において、
上記計算手段は、
上記膜貫通部位を取り出してから上記構造最適化を行った上記三次構造の溶媒和エントロピーと、上記膜貫通部位を取り出し当該膜貫通部位を引き離して伸ばしたのち上記構造最適化を行った上記一次構造の溶媒和エントロピーとの変化を上記溶媒和エントロピー変化として計算することを特徴とする熱安定化変異体予測装置。

【請求項11】
膜タンパク質のアミノ酸配列を記憶する記憶部と制御部とを備えたコンピュータにおいて実行される、上記膜タンパク質を熱安定化させるアミノ酸変異体の候補を予測する熱安定化変異体予測方法であって、
上記膜タンパク質の上記アミノ酸配列にアミノ酸変異を導入することにより、上記アミノ酸変異体のアミノ酸配列を生成する変異導入ステップと、
上記膜タンパク質および上記各アミノ酸変異体について、上記アミノ酸配列に基づいて構造最適化を伴った膜貫通部位における、一次構造から三次構造形成まで或いは二次構造から三次構造形成までの溶媒和エントロピー変化を、排除容積、露出表面積、露出表面の平均曲率の積分値、および、露出表面のガウス曲率の積分値の4つの幾何学的指標に基づく形態計測学的表現と積分方程式論との統合型方法論を用いて計算する計算ステップと、
上記膜タンパク質における上記溶媒和エントロピー変化と上記アミノ酸変異体における上記溶媒和エントロピー変化との差分に基づいて、上記熱安定化させるアミノ酸変異体の候補を抽出する候補抽出ステップと、
を含むことを特徴とする熱安定化変異体予測方法。

【請求項12】
膜タンパク質を熱安定化させるアミノ酸変異体の候補を予測するため、上記膜タンパク質のアミノ酸配列を記憶する記憶部と制御部とを備えたコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
上記膜タンパク質の上記アミノ酸配列にアミノ酸変異を導入することにより、上記アミノ酸変異体のアミノ酸配列を生成する変異導入ステップと、
上記膜タンパク質および上記各アミノ酸変異体について、上記アミノ酸配列に基づいて構造最適化を伴った膜貫通部位における、一次構造から三次構造形成まで或いは二次構造から三次構造形成までの溶媒和エントロピー変化を、排除容積、露出表面積、露出表面の平均曲率の積分値、および、露出表面のガウス曲率の積分値の4つの幾何学的指標に基づく形態計測学的表現と積分方程式論との統合型方法論を用いて計算する計算ステップと、
上記膜タンパク質における上記溶媒和エントロピー変化と上記アミノ酸変異体における上記溶媒和エントロピー変化との差分に基づいて、上記熱安定化させるアミノ酸変異体の候補を抽出する候補抽出ステップと、
を実行させるためのプログラム。
国際特許分類(IPC)
  • G16B  15/30    
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2018096317thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) さきがけ ライフサイエンスの革新を目指した構造生命科学と先端的基盤技術 領域
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、問合せボタンを押してください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close