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遊星歯車装置 NEW

国内特許コード P200016543
整理番号 (S2017-0289-N0,S2017-0285-N0)
掲載日 2020年1月15日
出願番号 特願2018-562412
出願日 平成30年1月18日(2018.1.18)
国際出願番号 JP2018001290
国際公開番号 WO2018135552
国際出願日 平成30年1月18日(2018.1.18)
国際公開日 平成30年7月26日(2018.7.26)
優先権データ
  • 特願2017-008496 (2017.1.20) JP
  • 特願2017-008497 (2017.1.20) JP
発明者
  • 藤本 康孝
  • 道家 輝
出願人
  • 国立大学法人横浜国立大学
発明の名称 遊星歯車装置 NEW
発明の概要 遊星歯車装置(30)は、3K型の複合遊星歯車機構を備える。複合遊星歯車機構は、第1内歯車(I1)、第2内歯車(I2)、および外歯車(S)と、第1遊星歯車(PI)と、第2遊星歯車(P)と、キャリア(H)と、を備える。第1遊星歯車(PI)は、第1内歯車(I1)に噛み合い、第1内歯車(I1)の半径よりも大きな直径を有する外歯車部(PI2)と、外歯車(S)に噛み合う内歯車部(PI1)とを具備する。第2遊星歯車(P)は、第2内歯車(I2)に噛み合い、第2内歯車(I2)の半径よりも大きな直径を有する。第1遊星歯車(PI)および第2遊星歯車(P)は相互の回転速度が同期されるように形成されている。
従来技術、競合技術の概要

産業機械、車両、ロボット、OA機器等の各種の駆動系又は動力等伝達系を構成する減速(増速)装置として、太陽歯車、遊星歯車、内歯車、及びキャリアから構成される遊星歯車機構が知られている(非特許文献1:「歯車応用機構の設計」)。遊星歯車機構は、他の減速装置に比べて、比較的高い減速比を実現可能にするとともに、減速比及び伝達トルクに比して機構又は構造が比較的コンパクトである。しかも、遊星歯車機構は、入力軸及び出力軸を同軸配置し得ることから、多種多様な駆動装置又は動力伝達装置等の駆動系又は動力伝達系において広く実用に供されている。

遊星歯車機構として、例えば、単純遊星歯車機構、ラビニヨ遊星歯車機構、複合遊星歯車機構、及び不思議遊星歯車機構等が知られている。一般には、高効率、高トルク、及び高減速比の歯車機構は、各種産業機器又は民生機器などに多くの需要があるので、遊星歯車機構の他、波動歯車機構(ハーモニックギヤ)及びサイクロイド歯車機構などの歯車機構も開発され、実用化されている。

このような各種歯車機構によって得られる減速比は、概ね以下のとおりであると考えられている。
単純遊星歯車機構(1段):減速比1/4~1/10程度
ラビニヨ遊星歯車機構(1段):減速比1/10程度
複合遊星歯車機構:減速比1/100程度
不思議遊星歯車機構:減速比1/100程度
波動歯車機構:減速比1/30~1/200
サイクロイド歯車機構:減速比1/60~1/200

このような多種の歯車機構の中で、不思議遊星歯車機構、波動歯車機構、及びサイクロイド歯車機構は、比較的特殊な構造の歯車を使用した構成を有するので、生産性の低下、設計自由度向上の困難性、構造強度向上の困難性、又は製造コストの高額化等の課題が生じ易い。このため、汎用的な平歯車を用いた単純遊星歯車機構等の遊星歯車機構が、生産性、製造コスト、設計自由度、及び構造強度等の観点より望ましいと考えられる。殊に、複数の遊星歯車機構を組合せてなる複合遊星歯車機構は、上記のとおり、1/100程度の減速比を実現し得るので、高い減速比を要する遊星歯車装置の歯車機構として好ましく採用し得ると考えられる。

遊星歯車機構においては、内歯車及び太陽歯車と噛合う複数個の遊星歯車が周方向に配列されるので、遊星歯車機構が機構的に成立するための制約又は設計条件として、同軸条件、組立条件、及び隣接条件の3条件が一般に考慮される。同軸条件は、太陽歯車、内歯車及びキャリアの軸心が同軸上に位置するための条件である。組立条件は、等間隔に配置された複数の遊星歯車が太陽歯車及び内歯車と噛合うための条件である。隣接条件は、隣り合う遊星歯車が互いに干渉しないための条件である。

図24~図27は、太陽歯車、遊星歯車、内歯車、及びキャリアから構成される従来の遊星歯車機構の構成を示す概念図である。

図24には、単純遊星歯車機構の構成が示されている。太陽歯車Sの歯数Zs、遊星歯車Pの歯数Zp、内歯車Iの歯数Zi、遊星歯車Pの個数N(自然数)を夫々設定するとともに、内歯車Iを固定し、太陽歯車Sを入力軸に設定し、キャリアHを出力軸に設定した場合、遊星歯車機構の減速比、同軸条件、組立条件、及び隣接条件は、下記数式(1)で表される。なお、図24において、符号Kは、太陽歯車S及び内歯車Iを包含する広義の太陽歯車を意味しており、図13に示す遊星歯車機構は、最も一般的な2K-H型に属する。

【数1】
(省略)

図25には、ラビニヨ式遊星歯車機構の構成が示されている。太陽歯車Sの歯数Zs、径方向外方の遊星歯車P1の歯数Zp1、径方向内方の遊星歯車P2の歯数Zp2、内歯車Iの歯数Zi、遊星歯車P1、P2の個数2Nを夫々設定するとともに、内歯車Iを固定し、太陽歯車Sを入力軸に設定し、キャリアHを出力軸に設定した場合、遊星歯車機構の減速比、同軸条件、組立条件、及び隣接条件は、下記数式(2)で表される。なお、ラビニヨ式遊星歯車機構では、第1段の遊星歯車P2が回転方向を反転させることから、キャリアHを基準とすると、太陽歯車Sと内歯車Iとが同一方向に回転するので、減速比を示す下記数式(2)の分母において、太陽歯車Sの歯数Zsに掛かる符号が反転する。また、隣接条件は、複数の式によって定義されるが、これは、各式のいずれにも適合することによって隣接条件が満たされることを意味する。
下記数式(2)において、角度φは、太陽歯車Sの中心軸線と遊星歯車P1の中心軸線とを結ぶ直線と、太陽歯車Sの中心軸線と遊星歯車P2の中心軸線とを結ぶ直線とが交差する角度である。

【数2】
(省略)

図24及び図25に示す遊星歯車装置は、同一構面内のギア列(ギアトレーン)によって構成されているが、前述のとおり、回転軸線方向に間隔を隔てた構面内に遊星歯車機構を夫々配置してなる複合遊星歯車機構は、単純遊星歯車機構及びラビニヨ遊星歯車機構に比べ、高減速比を実現する上で好ましく採用し得る歯車機構であると考えられる。しかし、複合遊星歯車機構においては、並置された遊星歯車機構が同軸条件、組立条件、及び隣接条件を夫々充足する必要が生じるので、上記設計条件を充足した上で高減速比を実現することは、実際には、極めて困難である。このため、遊星歯車機構の設計条件を緩和することを意図した複合遊星歯車機構の構成が、例えば、特許文献1~3において提案されている。

特許文献1(PCT国際出願公開公報WO2007-017935号)に記載された複合遊星歯車機構は、太陽歯車、遊星歯車、及び内歯車を有する2組の遊星歯車機構を備えている。この複合遊星歯車機構は、各遊星歯車機構の遊星歯車同士を同軸且つ一体的に連結するとともに、転位歯車の使用によって設計条件を緩和した構成を有する。
特許文献2(特開2008-275112号公報)に記載された複合遊星歯車機構は、太陽歯車、遊星歯車、及び内歯車を有する2組の遊星歯車機構を連結するとともに、遊星歯車を非軸対称に配置することによって設計条件を緩和した構成を有する。

図26は、特許文献3(PCT国際出願公開公報WO2012-060137号)に記載された複合遊星歯車機構の構成を示す概念図である。特許文献3の複合遊星歯車機構は、図26に示す如く、2組の遊星歯車機構の太陽歯車S1、S2を相互連結するとともに、共用のキャリアHによって各遊星歯車P1、P2の支軸及び軸受を独立に支持又は支承することにより、設計自由度を向上した構成を有する。

以上説明した各種形式の遊星歯車機構は、いずれも、内歯車を備えた代表的な遊星歯車機構の構成を有するが、他の構成の遊星歯車機構として、図26に示す如く、内歯車を備えない形式の複合遊星歯車機構が知られている。

図27に示す複合遊星歯車機構は、図25に示すラビニヨ式遊星歯車機構において内歯車I(図25)を太陽歯車S2(図27)に置換した構成の遊星歯車機構として把握し得る。図27に示す遊星歯車機構においては、太陽歯車S1、S2は、キャリアHを基準として逆方向に回転する。

太陽歯車S1の歯数Zs1、太陽歯車S2の歯数Zs2、遊星歯車P1の歯数Zp1、遊星歯車P2の歯数Zp2、遊星歯車P1、P2の個数2Nを設定するとともに、太陽歯車S2を固定し、太陽歯車S1を入力軸に設定し、キャリアHを出力軸に設定した場合、遊星歯車機構の減速比、同軸条件、組立条件、及び隣接条件は、下記数式(3)で表される。なお、隣接条件は、下記のとおり複数の式によって定義されるが、これは、各式のいずれにも適合すべきことを意味する。
下記数式(3)において、角度φは、太陽歯車S1、S2の中心軸線と遊星歯車P1の中心軸線とを結ぶ直線と、太陽歯車S1、S2の中心軸線と遊星歯車P2の中心軸線とを結ぶ直線とが交差する角度である。

【数3】
(省略)

また、図27に示す遊星歯車機構の変形として、中心軸を共有し且つ異なる歯数を有する2つの遊星歯車を備えた複合遊星歯車機構が、特許文献4(特開平7-301288号公報)等に記載されている。

産業上の利用分野

この発明は、遊星歯車装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
複数の太陽歯車によって基本軸が構成される複合遊星歯車機構を備え、
前記複合遊星歯車機構は、
前記複数の太陽歯車として、少なくとも相互の中心軸が同軸に配置される第1内歯車および第2内歯車と、
前記第1内歯車に噛み合い、前記第1内歯車の半径よりも大きな直径を有する第1遊星歯車と、
前記第2内歯車に噛み合い、前記第2内歯車の半径よりも大きな直径および前記第1遊星歯車の歯数と異なる歯数を有する第2遊星歯車と、
前記第1遊星歯車および前記第2遊星歯車を、各々の中心軸を回転中心として回転可能に支持するキャリアと、を備え、
前記第1遊星歯車および前記第2遊星歯車は相互の回転速度が同期されるように形成されており、
前記キャリアは、
前記第1内歯車および前記第2内歯車の各々の前記中心軸に同軸に配置される回転中心軸と、前記回転中心軸から直交方向の第1の方向に所定距離だけずれた位置に偏心して設けられるとともに前記第1遊星歯車を回転可能に支持する第1偏心部と、前記回転中心軸から前記直交方向の第2の方向に前記所定距離だけずれた位置に偏心して設けられるとともに前記第2遊星歯車を回転可能に支持する第2偏心部と、を備え、
相互に前記直交方向に前記所定距離の2倍だけずれて配置されるとともに前記第1遊星歯車および前記第2遊星歯車を回転可能に支持する第1軸および第2軸を具備することによって、前記第1遊星歯車および前記第2遊星歯車の相互の回転速度を同期させる同期部材を備える、
ことを特徴とする遊星歯車装置。

【請求項2】
前記複合遊星歯車機構は、
2つの前記太陽歯車(K)および1つの前記キャリア(H)によって前記基本軸が構成される2K-H型の複合遊星歯車機構であって、
前記2つの前記太陽歯車(K)として、相互の中心軸が同軸に配置される第1内歯車および第2内歯車を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の遊星歯車装置。

【請求項3】
前記複合遊星歯車機構は、
3つの前記太陽歯車(K)によって前記基本軸が構成される3K型の複合遊星歯車機構であって、
前記3つの前記太陽歯車(K)として、相互の中心軸が同軸に配置される第1内歯車、第2内歯車、および外歯車を備え、
前記第1遊星歯車は、
前記第1内歯車に噛み合い、前記第1内歯車の半径よりも大きな直径を有する外歯車部と、前記外歯車に噛み合う内歯車部とを備え、
前記第1偏心部および前記第2偏心部を、前記外歯車の前記中心軸を回転中心として回転可能に支持する支持部材を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の遊星歯車装置。

【請求項4】
3つの太陽歯車(K)によって基本軸が構成される3K型の複合遊星歯車機構を備え、
前記複合遊星歯車機構は、
前記3つの太陽歯車であって、相互の中心軸が同軸に配置される第1内歯車、第2内歯車、および外歯車と、
前記第1内歯車に噛み合い、前記第1内歯車の半径よりも大きな直径を有する外歯車部と、前記外歯車に噛み合う内歯車部とを具備する第1遊星歯車と、
前記第2内歯車に噛み合い、前記第2内歯車の半径よりも大きな直径および前記第1遊星歯車の歯数と異なる歯数を有する第2外歯車部と、前記外歯車に噛み合う第2内歯車部とを具備する第2遊星歯車と、
前記第1遊星歯車および前記第2遊星歯車を、各々の中心軸を回転中心として回転可能に支持するキャリアと、を備え、
前記キャリアは、
前記第1内歯車および前記第2内歯車の各々の前記中心軸から直交方向の第1の方向に所定距離だけずれた位置に偏心して設けられるとともに前記第1遊星歯車を回転可能に支持する第1偏心部と、前記第1内歯車および前記第2内歯車の各々の前記中心軸から前記直交方向の第2の方向に前記所定距離だけずれた位置に偏心して設けられるとともに前記第2遊星歯車を回転可能に支持する第2偏心部と、前記第1偏心部および前記第2偏心部を、前記外歯車の前記中心軸を回転中心として回転可能に支持する支持部材と、を備える、
ことを特徴とする遊星歯車装置。
国際特許分類(IPC)
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