Top > Search of Japanese Patents > (In Japanese)ペンタセンのラジカル誘導体およびその製造方法

(In Japanese)ペンタセンのラジカル誘導体およびその製造方法

Patent code P200016551
File No. (S2018-0618-N0)
Posted date Jan 15, 2020
Application number P2019-034289
Publication number P2019-201200A
Date of filing Feb 27, 2019
Date of publication of application Nov 21, 2019
Priority data
  • P2018-090846 (May 9, 2018) JP
Inventor
  • (In Japanese)手木 芳男
  • (In Japanese)清水 章皓
  • (In Japanese)加島 源大
  • (In Japanese)加藤 賢
Applicant
  • (In Japanese)公立大学法人大阪
Title (In Japanese)ペンタセンのラジカル誘導体およびその製造方法
Abstract (In Japanese)
【課題】
 本発明は、減圧昇華法のみならずウェットプロセスに適用可能で、かつ光ならびに酸素および/またはオゾンに対して、より高い安定性を有するπ電子共役系化合物としてのペンタセンのラジカル誘導体およびその製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】
 一般式(I):
(式省略)
で表されるペンタセンのラジカル誘導体により、上記の課題を解決する。
【選択図】
 図1-2
Outline of related art and contending technology (In Japanese)

近年、電界効果トランジスタや薄膜トランジスタなどの電子デバイスの分野において、従来から用いられているシリコンに代表される無機半導体材料に代わり、有機半導体材料が注目されている。
有機半導体材料は、シリコンなどの無機半導体材料に比べて、(1)安価に製造できる、(2)薄膜を用いた大面積の電子装置に応用できる、(3)製造工程において高温プロセスを必要とせず、プラスチック基板上に薄膜形成ができる、(4)可撓性を有し、素子特性を劣化させることなくフレキシブルな大面積装置に応用できる、などの有利な特性を有する。

すなわち、有機半導体材料は、軽量で、耐衝撃性および柔軟性を有し、電子デバイスの低コスト化および大面積化を実現し得ることから、これらの特性を活かして、有機エレクトロルミネッセンス素子のような有機発光デバイス、有機電界効果トランジスタ、有機太陽電池、正孔注入輸送層を有する量子発光素子、電子写真感光体およびモバイル情報端末機用の電子素子などの広範な種々の有機電子デバイスの応用に期待できる。

また近年、電子のスピンの自由度を利用する新しいエレクトロニクス分野(スピントロニクス)が注目されている。スピントロニクスは、エレクトロニクス分野の革新技術として期待され、無機材料を中心に研究され、既にハードディスクの磁気ヘッドなどに応用されている。一方、長いスピン拡散長などの特性を備えた有機分子材料も注目され、特に、スピン保有の情報をエネルギー損失なしで伝播できるスピン流に着目されている。

このような有機分子材料の中でも、二重結合と一重結合が交互に並んだ形の部位を有するπ電子共役系化合物としてペンタセンなどのアセン系材料の研究が行われている。
アセン系材料は、高度に拡張されたπ電子系を有するため、ホールおよび電子の輸送性に優れ、例えば、有機半導体材料、エレクトロルミネッセンス材料、有機色素および有機顔料などに広く応用が検討されている。

しかしながら、π電子共役系化合物の多くは、高い平面性を有し剛直であり、分子間の相互作用が非常に強固であることから、水や有機溶媒への溶解性に乏しく、開発の障害になっている。
例えば、π電子共役系化合物を有機顔料として用いる場合には、顔料が凝集し易くなり分散が不安定になるという問題、有機半導体材料およびエレクトロルミネッセンス材料として用いる場合には、溶液プロセスへの適用が難しく、真空蒸着などの気相製膜が必要になり、製造においてコスト増加およびプロセスの煩雑化という問題が生じる。

他方、近年レトロディールスアルダー反応を利用した、溶媒可溶性の高いペンタセンのビシクロ化合物からの脱離反応によりペンタセンなどに変換する方法が提案されている。しかしながら、この方法では煩雑な合成ならびに脱離基の除去工程を必要とするため適用範囲が狭く、より簡便に合成可能な可溶性ペンタセン誘導体の開発が要求されている。
また、ペンタセンの可溶性前駆体を塗布し、加熱などにより製膜する方法も提案されている。しかしながら、この方法では、この前駆体から脱離するテトラクロロベンゼン分子を系外に除去することが困難であり、かつテトラクロロベンゼンの毒性も問題になる。
さらに、脱離性置換基を導入した、ペンタセンなどのベンゼン環を有するπ電子共役系化合物を製膜し、製膜後に脱離性置換基を脱離させてπ電子共役系化合物の膜状体を得る方法が提案されている。しかしながら、この方法によりペンタセンの製膜が可能であっても、得られたペンタセンの光ならびに酸素および/またはオゾンに対する安定性については何ら考慮されていない。

一般に、ペンタセンは、結晶状態において高いホール伝導度を有し薄膜化が容易であることなどから有機半導体のベンチマーク化合物として広く知られている。しかしながら、(1)光化学的安定性が低く、酸素存在下で光により容易に酸化される、(2)ペンタセン単体は、あらゆる有機溶媒に対して難溶性である、という2つの欠点を有し、その実用化の大きな障害になっている(図2参照)

そこで、ペンタセンの光耐久性の向上(安定化)の研究も盛んに行われている。
例えば、特開2014-148483号公報(特許文献1)およびY. Kawanaka, A. Shimizu, T. Shinada, R. Tanaka, Y. Teki, Angew. Chem. Int. Ed., 第52巻, 第26号, 2013年, p.6643-6647(非特許文献1)に記載のラジカル付加による安定化、米国特許第6,690,029号明細書(特許文献2)およびA. Shimizu, A. Ito, Y. Teki, Chem. Commun., 2016年, 第52巻, p.2889-2892(非特許文献2)に記載の嵩高い置換基や電子吸引性の置換基の導入による安定化が挙げられる。
特許文献1および非特許文献1に記載のペンタセン-ラジカル誘導体は、無置換ペンタセンに比べて約1400倍の光耐久性を有し、同じく特許文献2および非特許文献2に記載され、シグマアルドリッチ社から市販されている6,13-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン(TIPS-Pn)は、約1300倍の光耐久性を有する(図3参照)。
図4は、特許文献1のラジカル付加によるペンタセンの安定化のメカニズムを示す図である。すなわち、光照射により励起一重項状態になったペンタセンは、有機πラジカルの付加により励起三重項への非常に速い系間交差が起こり、さらに基底状態へと失活する。そのため電子状態を変えずに酸素との反応を抑制することができる。

このようなことから、光ならびに酸素および/またはオゾンに対して、より安定で、かつ有機溶媒に可溶で、スピンコート、ブレードコート、グラビア印刷、インクジェット塗布、ディップコーティング塗布などのウェットプロセスに適応可能な、有機半導体材料としてのペンタセン誘導体が求められている。

Field of industrial application (In Japanese)

本発明は、ペンタセンのラジカル誘導体およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、安定ラジカルを利用した拡張π電子共役系化合物であって、光、酸素および/またはオゾンに対して、より高い安定性を有するペンタセンのラジカル誘導体およびその製造方法に関する。

Scope of claims (In Japanese)
【請求項1】
 
一般式(I):
【化1】
 
(省略)
[式中、基-X-は、以下の:
【化2】
 
(省略)
を表し、ラジカル基-Y・は、以下の:
【化3】
 
(省略)
を表し、基-Zは、以下の:
【化4】
 
(省略)
(式中、基R1、R2およびR3は、それぞれ同一または異なって、炭素数1~4の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基である)を表す]
で表されるペンタセンのラジカル誘導体。

【請求項2】
 
前記一般式(I)の化合物が、式(1):
【化5】
 
(省略)
(式中、基R1、R2およびR3はすべてイソプロピル基である)
で表される請求項1に記載のペンタセンのラジカル誘導体。

【請求項3】
 
前記ペンタセン誘導体が、有機半導体材料である請求項1または2に記載のペンタセンのラジカル誘導体。

【請求項4】
 
請求項2に記載のペンタセンのラジカル誘導体の製造方法であり、以下の合成スキーム:
【化6】
 
(省略)
に基づき、
(A)6,13-ペンタセンジオンにトリイソプロピルシリルアセチレンを反応させイソプロピルシリル基を導入して、式(2)で表される13-ヒドロキシ-13-((トリイソプロピルシリル)エチニル)ペンタセン-6(13H)-オンを得、
(B)これに2-(4-エチニルフェニル)-1,3-ジオキソランを反応させエチニルフェニルアルデヒド基を導入するために、式(3)で表される6-((4-(1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル)エチニル)-13-((トリイソプロピルシリル)エチニル)-6,13-ジヒドロペンタセン-6,13-ジオールを得、
(C)これを還元剤で処理しペンタセン骨格を導入して、式(4)で表される4-[2-[13-[2-[トリス(1-メチルエチル)シリル]エチニル]-6-ペンタセニル]エチニル]- ベンズアルデヒドを得、
(D)これに1,1-ジメチル-カルボニックジヒドラジドを反応させて、2,4-ジメチル-6-(4-((13-((トリイソプロピルシリル)エチニル)ペンタセン-6-イル)エチニル)フェニル)-1,2,4,5-テトラジナン-3-オンを得、
(E)これをフェティゾン試薬で処理しラジカル置換基を導入して、2,4-ジメチル-6-(4-((13-((トリイソプロピルシリル)エチニル)ペンタセン-6-イル)エチニル)フェニル)-フェルダジル-3-オンを得る
ことを特徴とするペンタセンのラジカル誘導体の製造方法。
IPC(International Patent Classification)
F-term
Drawing

※Click image to enlarge.

JP2019034289thum.jpg
State of application right Published


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close