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低免疫状態の回復機能を有する細胞捕集材及び細胞捕集用カラム NEW

国内特許コード P200016562
整理番号 S2018-0664-N0
掲載日 2020年1月16日
出願番号 特願2018-101822
公開番号 特開2019-205552
出願日 平成30年5月28日(2018.5.28)
公開日 令和元年12月5日(2019.12.5)
発明者
  • 寺本 和雄
  • 小笠原 一誠
  • 上田 祐二
出願人
  • 国立大学法人滋賀医科大学
発明の名称 低免疫状態の回復機能を有する細胞捕集材及び細胞捕集用カラム NEW
発明の概要 【課題】免疫抑制性細胞を選択的に捕集する性能が向上した免疫抑制性細胞捕集材、及び該捕集材が充填された免疫抑制性細胞捕集用カラムを提供する。
【解決手段】芳香族置換基として非極性側鎖アミノ酸残基が10原子以上の長さのスペーサーを介して芳香核200個当たり1~100個の割合で結合した直鎖状芳香族ポリマーを備えた成型体からなる免疫抑制性細胞捕集材、並びに該捕集材が充填された免疫抑制性細胞捕集用カラム。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要

癌及び感染症による死亡の防止は現代医学の大きな課題である。生体には免疫機能が備わっていて、健康な状態では免疫機能が適正に維持されているが、機能が低下しすぎると癌の発生及び難治性の感染症が起こり、逆に、免疫機能が昂進しすぎると自己免疫疾患が発症すると考えられる。平均寿命の延長と共に加齢による免疫機能の低下が癌及び重症感染症の増加の要因になっている。免疫機能の正常状態の維持には、血液中の免疫関連タンパク質類及び白血球サブクラス類が重要な役割を果たしている。

癌の場合は血液中にTGF-β、インターロイキン-10などの免疫抑制性タンパク質の濃度が増加していることが知られており、また、これらを産生する細胞としてCD4+CD25+FoxP3+の制御性T細胞(非特許文献1)、細胞表面にレイタンシイ・アソシエイティッド・ペプチド(latency-associated peptide)(以下LAPと略称する)を発現したCD4+及びCD8+の制御性T細胞(非特許文献2、3)、及びGr1highCD11bhighのミエロイド由来抑制性細胞(非特許文献4) 、制御性B細胞(非特許文献5)等が知られており、免疫を抑えていることが近年明らかになっている。

病原性ウイルス、グラム陰性菌、グラム陽性菌等による感染症の場合、感染初期では免疫が昂進して、血液中にインターフェロン-ガンマ(以下IFN-γと略称する)及び腫瘍壊死因子-アルファ(以下TNF-αと略称する)を産生する免疫活性化リンパ球、単球等が増加して、病原菌等の除去に寄与する。活性化リンパ球等の活性化が強くなり過ぎた場合に、血中のインターロイキン-1β、インターロイキン-6、TNF-α、IFN-γ等の異常上昇が起こり、補体反応と重なって、血管透過性の異常な亢進及び血液凝固能障害が起こって死に至ることがある。また、この免疫活性化の反動として感染数日後から免疫抑制性の細胞が増加し、免疫機能が極度に低下した状態が数日から数週間続く。この間にアシネトバクター、腸球菌、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス、カンジダ等の日和見感染が誘起されることにより死に至ることもある。

細胞が免疫抑制性であることを判定する目安としては、インターロイキン-10及びTGF-βを産生することが最も直接的な判定方法であるが、細胞表面にLAP分子及びT cell Ig and ITIM domain (以下TIGITと略称する)、PD-1、Lag-3、Tim-3等を発現していることも重要な判定方法である(非特許文献6)。

最近、敗血症による死亡は免疫の低下が原因であるという考え方から、メラノーマ等の癌の治療薬として登場した免疫チェックポイント抗体を重症感染症に対しても使用されるようになっているが、抗体試薬は高価であること、自己免疫疾患発症などの副作用の出現が危惧される。

一方、免疫抑制を解除する別の方法としては、原因物質及び抑制物質を除去するための体外循環カラムが考えられる。これまでの感染症治療用カラムとしては、グラム陰性菌感染による重症感染症治療カラムとしてポリミキシンBを吸着リガンドとするエンドトキシン吸着カラムがあり、臨床使用されている。また、グラム陽性菌感染治療にはマンノース結合レクチンをリガンドとするエンテロトキシン吸着カラムが提案されている。これらは毒素を除去する目的で使用される。その他、全身性炎症反応症候群は感染症から誘起される炎症性サイトカインが異常に増加する重篤な症状であるが、この病因物質の一つがヒストンであることから治療用にヒストン除去カラムが提案されている(特許文献1)。このように発病原因となっている液性の病因物質を除去する方法が多数提案されてきたが、十分な治療効果があったとは言い難い。

そこで、本発明者らは、更に有効な方法として液性病因物質を産生する免疫抑制細胞を直接除去する方法を提供してきた。これまで抗体を吸着リガンドとしてビーズ等に固定化したカラムを除けば、有効な吸着材が無かったが、特定のアミノ基をリガンドとするLAP陽性細胞選択吸着カラムを見出し、癌治療を目的とする検討を行なっている(特許文献2)。しかしながら、カラムの有効性向上及び適応範囲を広げるためには更なる性能向上が必要である。

産業上の利用分野

本発明は、主として医療用途で低免疫状態の回復に用いる免疫抑制性細胞捕集材、及び該捕集材が充填された免疫抑制性細胞捕集用カラムに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
芳香族置換基として非極性側鎖アミノ酸残基が10原子以上の長さのスペーサーを介して芳香核200個当たり1~100個の割合で結合した直鎖状芳香族ポリマーを備えた成型体からなる免疫抑制性細胞捕集材。

【請求項2】
前記非極性側鎖アミノ酸残基が、ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン及びこれらを含む直鎖状ペプチドからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の捕集材。

【請求項3】
前記スペーサーが直鎖状ポリアミンである、請求項1又は2に記載の捕集材。

【請求項4】
前記直鎖状芳香族ポリマーが、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミド又はこれらの誘導体である、請求項1~3のいずれか一項に記載の捕集材。

【請求項5】
前記直鎖状芳香族ポリマーが繊維に塗布されたものである、請求項1~4のいずれか一項に記載の捕集材。

【請求項6】
前記免疫抑制性細胞がレイタンシイ・アソシエイティッド・プロテインを細胞表面に有する細胞である、請求項1~5のいずれか一項に記載の捕集材。

【請求項7】
前記免疫抑制性細胞がTIGITを細胞表面に有する細胞である、請求項1~5のいずれか一項に記載の捕集材。

【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の捕集材が充填された免疫抑制性細胞捕集用カラム。

【請求項9】
体外循環用である、請求項8に記載のカラム。

【請求項10】
細胞治療用である、請求項8に記載のカラム。

【請求項11】
感染症の治療、火傷の治療、癌の治療、癌の摘出手術後の癌の再発予防、又は敗血症予防に使用される、請求項8~10のいずれか一項に記載のカラム。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開


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