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電気化学的手法による修飾タンパク質の製造方法

国内特許コード P200016619
整理番号 S2018-0325-N0
掲載日 2020年2月25日
出願番号 特願2018-124834
公開番号 特開2020-002095
出願日 平成30年6月29日(2018.6.29)
公開日 令和2年1月9日(2020.1.9)
発明者
  • 佐藤 伸一
  • 中村 浩之
出願人
  • 国立大学法人東京工業大学
発明の名称 電気化学的手法による修飾タンパク質の製造方法
発明の概要 【課題】 酸化剤や触媒を使用せずに、タンパク質を修飾する手段を提供する。
【解決手段】 電気化学的手法により、タンパク質の特定の部位に修飾剤を結合させることを特徴とする修飾タンパク質の製造方法。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要

抗体薬物複合体Antibody-Drug Conjugate (ADC)とは抗体と低分子薬物を共有結合で連結した分子であり、抗体に強力な細胞増殖阻害剤(薬物)を結合させがん組織にデリバリーできる技術であるため、次世代のがん治療法として大きな注目を集めている。ADCは米国を中心に開発が盛んに行われており、世界市場規模の予測では2025年に1兆円を超えるとされているが、解決すべき課題も残されている。

ADC開発において重要な項目として、1)高活性な薬物部位の構造、2)血中では安定であるが腫瘍内では薬物を放出できるリンカー構造、3)抗体との結合部位の制御が挙げられる。これまでに1)と2)については研究が盛んに行われ、有用なものが開発されている。3)抗体との結合部位の制御は残された課題であると言え、抗体の構造上に存在する多点の反応点でランダムに起きる有機化学反応(求電子剤-求核性アミノ酸残基の化学)を利用して薬物と抗体を共有結合させる手法が用いられてきた。しかし、この手法では抗体上の薬物の結合部位と薬物抗体比(drug-to-antibody ratios, DAR)を制御できないという課題を抱えている。実際に、これまでに上市されている薬物や現在臨床試験段階にある多くのADCは化学修飾を用いた手法によって作製されているが、DARの制御や部位特異的な抗体の化学修飾は現在も困難な課題である。具体的な例として、現在上市されている抗HER2のADCであるKadcylaTMを挙げると、抗HER2抗体のトラスツズマブの構造に存在するリジン(Lys)残基に対してランダムな箇所で0~7個のリンカー-薬物が結合されたもの(平均結合個数 :DAR=3.5)である。
抗体はその構造に由来する機能(抗原結合能、血中安定性、エフェクター細胞との結合能等)を有しており、ADCにおいては、これらの機能を損なわずに薬物を結合させる必要が有るため、薬物の結合位置の制御は重要な課題である。近年では、遺伝子工学的に望みの位置に、反応性の官能基を導入し、クリック反応と呼ばれる生体直交性の共有結合形成手法により抗体の部位特異的な薬物結合が可能になっている。しかし、これらの手法は、工業プロセスに求められる大量生産化が困難であるという欠点がある。そのため、理想的なADC作製技術は従来の様に既に製造法が確立された抗体医薬に対して有機化学反応で修飾を施しつつ、部位特異性を制御する技術であり、そのためには、有機化学的な革新的反応開発による新規バイオコンジュゲ―ション法(生体由来分子を化学修飾する手法)の確立が望まれている。

本発明者は従来のバイオコンジューション法で汎用される、求電子的な手法とは異なるタンパク質を修飾する手法を開発している。この手法では一電子酸化的に活性化し、タンパク質のチロシン(Tyr)残基とだけ特異的に共有結合を形成するような試薬(ルミノール誘導体)を開発した(非特許文献1、特許文献1)。また、触媒としてhorseradish peroxidase (HRP)を用いることで、現時点で反応の効率面、Tyr残基の選択性の面で世界最高クラスのバイオコンジュゲーション法(Tyrosine Click Reaction)を開発した(非特許文献2)。

産業上の利用分野

本発明は、修飾タンパク質の製造方法に関する。本発明は、抗体などのタンパク質に部位特異的に修飾剤を導入できるので、抗体薬物複合体の作製に有用である。

特許請求の範囲 【請求項1】
電気化学的手法により、タンパク質の特定の部位に修飾剤を結合させることを特徴とする修飾タンパク質の製造方法。

【請求項2】
タンパク質の特定の部位がチロシン残基であり、修飾剤が下記の一般式(I)、(II)、又は(III)
【化1】
(省略)
〔式中、Aは共役環を表し、Lは水素原子を表すか、又は末端にクリック反応に用いられる官能基を有するリンカー若しくは末端に標識物質を有するリンカーを表し(但し、LがA上に存在する場合LはA上の任意の位置に存在してよい。)、R1は水素原子を表すか、A上の任意の位置に存在する1個の放射性同位体、若しくはクリック反応に用いられる官能基を表すか、又はA上の任意の位置に存在する1個若しくは2個のアミノ基、アセトアミド基、ヒドロキシ基、アルキル基、若しくはアルコキシ基を表し、R2及びR3は、それぞれ水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよい芳香族基を表す。〕
で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の修飾タンパク質の製造方法。

【請求項3】
一般式(I)で表される化合物が、下記の一般式(Ia)
【化2】
(省略)
〔式中、Lは水素原子を表すか、又はベンゼン環上の任意の位置に存在する末端にクリック反応に用いられる官能基を有するリンカー若しくは末端に標識物質を有するリンカーを表す。〕
で表される化合物であることを特徴とする請求項2に記載の修飾タンパク質の製造方法。

【請求項4】
タンパク質の特定の部位が電子の豊富なアミノ酸残基であり、修飾剤が下記の一般式(IV)、(V)、又は(VI)
【化3】
(省略)
〔式中、Lは水素原子を表すか、又は末端にクリック反応に用いられる官能基を有するリンカー若しくは末端に標識物質を有するリンカーを表し、R2及びR3は、それぞれ水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよい芳香族基を表す。〕
で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の修飾タンパク質の製造方法。

【請求項5】
タンパク質の特定の部位がC末端カルボキシル基、アスパラギン酸側鎖のカルボキシル基、又はグルタミン酸側鎖のカルボキシル基であり、修飾剤がマイケルアクセプターであることを特徴とする請求項1に記載の修飾タンパク質の製造方法。

【請求項6】
タンパク質が、抗体であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の修飾タンパク質の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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