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3次元物体情報計測装置 新技術説明会

国内特許コード P200016646
整理番号 (S2017-0364-N0,S2017-0366-N0)
掲載日 2020年2月25日
出願番号 特願2018-567549
出願日 平成30年2月9日(2018.2.9)
国際出願番号 JP2018005604
国際公開番号 WO2018147473
国際出願日 平成30年2月9日(2018.2.9)
国際公開日 平成30年8月16日(2018.8.16)
優先権データ
  • 特願2017-023018 (2017.2.10) JP
  • 特願2017-023023 (2017.2.10) JP
発明者
  • 粟辻 安浩
  • 篠村 将人
出願人
  • 国立大学法人京都工芸繊維大学
発明の名称 3次元物体情報計測装置 新技術説明会
発明の概要 3次元物体情報計測装置(1)は、物体から到来する物体光を直線偏光に変換する直線偏光変換部(22)と、前記物体光をシアリング干渉させるシアリング干渉計(2)と、前記シアリング干渉計による干渉光の垂直偏光と水平偏光とを円偏光に変換する円偏光変換部(28)と、前記円偏光を一度の撮影によって記録する干渉縞取得部(3)と、前記干渉縞取得部(3)の記録画像から前記物体の複素振幅情報を演算する計算部(4)と、を備え、記録画像では、画素によって位相が異なり、計算部(4)は、記録画像から画素を位相毎に抽出して、同一位相の画素と画素値の欠落した画素とからなる複数の抽出データを生成する抽出部(41)と、複数の抽出データの各々に対して画素補間を行うことにより、互いに位相の異なる複数の干渉画像に近似した複数の補間データを生成する補間部(42)と、複数の補間データから複素振幅情報を演算する演算部(43)と、を備える。
従来技術、競合技術の概要

近年の工業、産業、医学の発展に伴い、より高精度、高速な計測技術が求められている。特に、物体の光の複素振幅情報や位相情報は重要な3次元情報として、物体の構造や変形など現象を知る上で非常に有益である。

例えば、蛍光を発する物体や自然光や熱光源からの光で照明された物体などの複素振幅計測は、製品の精密な形状計測、生体の動態観察、生体の内部構造のイメージングなどの用途で重要であり、また、物体の厚み分布、屈折率などの物体構造の3次元形状情報を得ることも重要であり、非侵襲、非接触、高感度、並列処理性などの特長を持つ光計測技術が不可欠となっている。

また、3次元情報として位相情報も重要であり、レーザの出射光の波面を正確に把握する、また、透明物体の構造の情報の把握のため透過した光の波面計測が求められている。例えば、目に見えないガスの噴流計測やレンズの精密検査、細胞や液滴等の透明物体の厚み・屈折率分布計測など、波面の情報(位相情報)は多岐に応用されている。また、反射物体であれば位相情報は物体の表面の形状を精密に計測することが可能である。

(複素振幅情報計測の背景)
物体の動きや微小な形状の変化などの高速で起こる現象を観察する最も簡単な方法として、高速度カメラで物体の明るさ情報(強度情報)のみを直接撮影する方法がある。しかし、物体情報を正確に計測するためには、明るさ情報(強度情報)だけでなく、複素振幅情報(すなわち、明るさ情報(強度情報)と位相情報)が必要である。例えば、高速度カメラによる撮影では、物体の強度情報しか記録できず、また、透明な物体には適用できないという問題がある。

上記の問題点を解決する方法として、干渉計測法による複素振幅情報を得る光計測技術が開示されている。その一例として、ホログラフィ装置を用いた光学系を図19に示す。図19に示すホログラフィ装置50では、可干渉性の高い光源であるレーザ光源51から出射されたレーザ光を、ビームスプリッタ52で計測対象100に照射するための光(物体照射光)と参照光とに分離する。物体照射光は対物レンズ53a、レンズ54a、ミラー55aを介して計測対象100に照射される。計測対象100からの反射光である物体光はビームスプリッタ56を介してCCDカメラ57に入射する。一方、参照光は、計測対象100が存在しない経路、具体的には、ミラー55b、対物レンズ53b、レンズ54b、ミラー55cおよびビームスプリッタ56を介してCCDカメラ57に入射する。これにより、CCDカメラ57では、参照光と物体光との干渉縞が撮影され、この干渉縞に基づいて計算機が既定の計算を行なうことで計測対象100の複素振幅情報(強度情報と位相情報)が得られる。

これらのホログラフィ装置では、CCDカメラ57の撮像素子に対して、参照光を直角に照射することによって干渉縞を作製している。そのため、干渉縞をフレネル変換して得られる再生像には、必要な+1次回折像だけでなく不必要な0次回折像や-1次回折像が重なり、鮮明な再生像を得ることが困難となっている。そこで、0次回折像や-1次回折像を伴わない鮮明な再生像を得るために、参照光の位相を複数段階にシフトさせる位相シフトデジタルホログラフィ装置が提案されている(特許文献1)。例えば、圧電素子によって、参照光の位相を3段階又は4段階にシフトさせる位相シフトデジタルホログラフィ装置が提案されている。また、参照光の位相をシフトさせる手法として、位相板を用いた位相シフトデジタルホログラフィ装置も提案されている。

このような位相シフトデジタルホログラフィ装置では、参照光の位相を、例えばπ/2[rad]ずつ変化させて、複数の干渉縞をCCDカメラ57に記録する。この複数の干渉パターンを数値計算することにより、0次回折像や-1次回折像を伴わない再生像を得ることができる。しかし、複数の干渉縞を必要とするために、物体の動きが速い場合や微小な形状の変化の速い場合、つまり高速で起こる現象を記録し再生することできないという問題がある。

これに対して、特許文献2は、上記問題を解決するために、互いに位相値が異なる複数の参照光と、光を照射された被写体から放射される物体光とを干渉させることによって得られる位相分布データに基づいて、被写体の再生像を作成する再生像生成部を備えたデジタルホログラフィ装置を提案している。つまり、入射した光を互いに位相値の異なる複数の参照光からなる参照光群に変換して出射する位相シフト素子と、参照光群と物体光とを干渉させることによって生成される位相分布データを記録する撮像面を有する撮像部とを備え、再生像生成部は、位相分布データの情報に基づいて被写体の再生像を生成している。

上記デジタルホログラフィ装置の構成によれば、入射した光から位相値の異なる複数の参照光を同時に得ることができる。複数の参照光からなる参照光群と物体光とを干渉させることによって得られる位相分布データは、各位相値の参照光と物体光とが干渉したデータが混在した状態となっている。そのため、位相分布データの情報を用いれば、1回の撮影で異なる位相値の参照光と物体光とが干渉した複数のデータを得ることができるので、鮮明な再生像を得るために必要な情報を瞬時に得ることができる。それ故、動く被写体や、被写体の瞬時の像の変形など、被写体のリアルタイムでの観察等を実現することができる。

しかし、上記デジタルホログラフィ装置では、
・レーザ光源などの干渉性の高い光源を必要とする
・レーザ光源に伴う雑音が発生する
・参照光と物体光の干渉を利用しているので、用いる光学素子が多いため装置が大きく、複雑になる
・光学素子に高い設置精度が要求されるため設置が難しく設置時間が長くなる
といった問題がある。

レーザ光などの干渉性の高い光源を用いないで、自然光、蛍光、熱光源からの光などの可干渉性の低い光を用いた干渉計測として、非特許文献1や非特許文献2に示す自己干渉法がある。図20は、非特許文献1に記載の計測装置60の概略構成図である。計測装置60では、空間光変調器(SLM)61を用いることにより同一光路上で2種類の光波を生成し、それらが互いに干渉した結果生成される縞を記録する方法であるが、SLM61の表示するパターンを変化させて逐次的に記録する必要がある。従って、計測装置60を簡単にすることができるが、SLM61のような回折光学素子を用いているので回折効率が低下し再生画像が劣化する、回折により多重像を形成させるために形成した多重像には収差が生じ像の歪み等が生じる、また、逐次記録方式であるので、動く被写体や、瞬時に変形する被写体のなど、被写体のリアルタイムでの観察等を実現することができないという問題がある。

非特許文献3では、1度の記録で像を再生するために、2つに光波を分け、光波の一方の波面を傾ける方法が提案されている。非特許文献3では、一方の光波を傾けるため狭帯域バンドパスフィルタを用いて可干渉性を高める必要がある。また、2つに光波を分けた際に2つの光波が異なる光路を通るため、振動などの外部擾乱の影響を受けやすくなるという問題がある。

非特許文献4では、1度の記録で像を再生するために偏光特性をもつレンズを利用する方法が提案されている。しかし、この方法では、理論上、偏光特性をもつ特殊なレンズが必要となるが、この素子を実際に実現するのは困難であり、また実現したとしても極めて高額になるという問題がある。

非特許文献5では、2つの光波を互いに異なる偏光で生成して、ポッケルスセルを用いて位相シフトすることで像を再生する技術も報告されているが、特殊な素子を使用しているので汎用性に乏しく、逐次的に記録する必要があるので動的な物体の計測はできないという問題がある。

(位相情報計測の背景)
位相を計測するために参照光を用いる従来の干渉計測技術は、振動や温度などの外部擾乱に非常に弱く、実用化するには外乱の影響を受けないようにしなければならない。そこで、参照光を用いない、同一光路を通り自己干渉を利用した干渉法で外乱の影響を抑える新たな干渉計測技術が報告されている。しかし、複数枚の干渉縞画像を逐次で記録する必要があり、各画像の取得に時間間隔が必要なため、結局は外部振動の影響を受けてしまうという問題があった。

上記の問題を解決する技術として、近年、瞬時に位相画像を取得可能な技術がいくつか報告されている。例えば、光の波面を計測する方法として、被検面からの反射波面と、その反射波面をわずかにずらした波面を重ね合わせるシアリング干渉計が用いられる。シアリング干渉計は計測する波面とは別の参照光を必要とせず、それ自身との干渉を記録するため、外乱の影響を受けにくいという特長を持つ。また、そのシアリング干渉計の中でも偏光を利用して複数の干渉画像を1ショットで計測できるラジアルシアリング干渉計が提案されている(非特許文献6)。しかし、非特許文献6に記載のラジアルシアリング干渉計は、干渉計に必要な光学素子の数が非常に多く、光学調整が複雑で難しい、また、光学系が大きくなり小型で低価格な装置の実用化は難しいという問題を有する。

また、回折素子を用いることでより簡易的な干渉計で波面を計測する技術も報告されている(非特許文献7)。この装置は複雑な干渉計を必要としない代わりに回折素子を用いるため、回折素子の影響を大きく受け、偏光方向で回折効率が異なり再生画像が劣化する。また、光路が2つに別れるため、外乱の影響を受けやすいという問題を有する。

また、回折素子を必要とせず、比較的簡易な干渉計であるSagnac干渉計を2つ組み合わせた波面計測技術も提案されている(非特許文献8)。しかし、逐次記録を必要とするため振動の影響を大きく受けてしまい、また瞬時に波面計測をすることはできないという問題がある。

これに対して、特許文献2のデジタルホログラフィ装置の構成によれば、1回の撮影で異なる位相値の参照光と物体光とが干渉した複数の画像を得ることができるので、再生像はもちろん、位相画像も瞬時に再生することができる。そして、動く被写体や、被写体の瞬時の像の変形など、被写体のリアルタイムでの観察等を実現することができる。

しかし、上記デジタルホログラフィ装置では、参照光による干渉を利用しているため、
・用いる光学素子が多いため装置が大きく、複雑になる
・光学素子に高い位置精度が要求されるため設置が難しく設置時間が長くなる
・外部擾乱に対して弱い
といった問題がある。

産業上の利用分野

本発明は、物体の3次元構造情報である光の複素振幅情報または位相情報を計測する計測装置に関し、特に、物体から到来する物体光を波面のずれた2つの光に分けて互いに干渉させるシアリング干渉計を用いた3次元物体情報計測装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
物体から到来する物体光を直線偏光に変換する直線偏光変換部と、
直線偏光に変換された前記物体光をシアリング干渉させるシアリング干渉計と、
前記シアリング干渉計による干渉光の垂直偏光と水平偏光とを円偏光に変換する円偏光変換部と、
前記円偏光を一度の撮影によって記録する干渉縞取得部と、
前記干渉縞取得部の記録画像から前記物体の複素振幅情報を演算する計算部と、
を備えた3次元物体情報計測装置であって、
前記記録画像では、画素によって位相が異なり、
前記計算部は、
前記記録画像から画素を位相毎に抽出して、同一位相の画素と画素値の欠落した画素とからなる複数の抽出データを生成する抽出部と、
前記複数の抽出データの各々に対して画素補間を行うことにより、互いに位相の異なる複数の干渉画像に近似した複数の補間データを生成する補間部と、
前記複数の補間データから複素振幅情報または位相画像を演算する演算部と、
を備えることを特徴とする3次元物体情報計測装置。

【請求項2】
前記シアリング干渉計はラジアルシアリング干渉計である、請求項1に記載の3次元物体情報計測装置。

【請求項3】
前記ラジアルシアリング干渉計は、
前記直線偏光変換部から入射した光を2分割するとともに、前記2分割された光のうち、再入射した一方の光と、前記一方の光と同一の光路を反対方向に進んで再入射した他方の光とを結合する偏光ビーム分割素子と、
前記光路に配置された、お互いに焦点距離が異なる2枚のレンズと、
を備え、
前記偏光ビーム分割素子によって結合された光を前記干渉光として出力することを特徴とする請求項2に記載の3次元物体情報計測装置。

【請求項4】
前記干渉縞取得部は、
入射光の偏光方向および位相シフト量が互いに異なる複数種の偏光領域を有する偏光子アレイと、
前記偏光子アレイと結合され、前記偏光領域の各々と一対一に対応した画素を有する撮像素子と、
を備えた偏光子アレイタイプ撮像装置であることを特徴とする、請求項1に記載の3次元物体情報計測装置。

【請求項5】
前記物体光はフーリエ変換された光であり、
前記シアリング干渉計は前記物体光のフーリエ面同士を干渉させ、
前記干渉縞取得部は前記円偏光の干渉縞を記録し、
前記演算部は、前記複数の補間データから、位相シフト法を用いて、空間コヒーレンス関数の複素振幅を求め、逆フーリエ変換することにより前記複素振幅情報を演算することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の3次元物体情報計測装置。

【請求項6】
前記物体光は可干渉光が前記物体を反射あるいは透過した光であり、
前記シアリング干渉計は前記物体光同士を干渉させ、
前記干渉縞取得部は前記円偏光の干渉縞を記録し、
前記演算部は、前記複数の補間データから、位相シフト法を用いて、前記干渉光の位相差画像を求め、前記位相差画像から、ゼルニケ多項式、ルジャンドル多項式、あるいは、中心部を参照として再構成する方法を適用して波面再構成することにより前記位相画像を演算することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の3次元物体情報計測装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 公開
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