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モザイク荷電膜の製造方法 UPDATE

国内特許コード P200016649
整理番号 H22-031
掲載日 2020年2月28日
出願番号 特願2010-220038
公開番号 特開2012-071286
登録番号 特許第5413683号
出願日 平成22年9月29日(2010.9.29)
公開日 平成24年4月12日(2012.4.12)
登録日 平成25年11月22日(2013.11.22)
発明者
  • 直原 敦
  • 小林 謙一
  • 比嘉 充
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 モザイク荷電膜の製造方法 UPDATE
発明の概要 【課題】生産性に優れ、塩の透過流束が大きく、大面積化、薄膜化が容易で、また機械的強度に優れたモザイク荷電膜の簡便な製造方法を提供する。
【解決手段】カチオン性重合体水溶液とアニオン性重合体水溶液をそれぞれ流路からストライプ状に押し出した後に、該カチオン性重合体水溶液と該アニオン性重合体水溶液を乾燥させることにより、カチオン性重合体領域とアニオン性重合体領域とがそれぞれストライプ状をなして配置されたフィルムを形成し、得られたフィルムを架橋処理してモザイク荷電膜を製造する。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要

モザイク荷電膜は、カチオン交換ドメインとアニオン交換ドメインが交互に配列し、各ドメインが膜の一面から他面まで連続した荷電構造を有する膜である。モザイク荷電膜は、かかる荷電構造によって、外部からの電流を必要とすることなく対象溶液中の低分子量イオンの透過を促進することができる。カチオン交換ドメインとアニオン交換ドメインが交互に並べられると、各ドメインが帯びる電荷が互いに逆であるため、膜の両側の塩溶液部分が抵抗となる電気回路ができる。その回路に流れる電流のようにカチオンとアニオンがそれぞれカチオン交換ドメイン、アニオン交換ドメインを通って輸送されることで循環電流が生じ、塩の輸送が促進される。このことはモザイク荷電膜が、外部からの電流が必要な、一種類の固定電荷を有するイオン交換膜と異なり、イオン輸送を引き起こす機構を膜自体に内在させていることを意味する。

モザイク荷電膜として種々の手法により作製したものが報告されている。特許文献1には、ブロック共重合体のミクロ相分離現象を利用して作製したモザイク荷電膜を用いる有機化合物の脱塩方法が記載されている。しかしながら、ブロック共重合体のミクロ相分離現象を利用してモザイク荷電膜を作製する方法は、所望の構造のブロック共重合体を得るために高度な技術が必要であり、操作も煩雑なため、高コストになり、工業的に実用性のある大面積のモザイク荷電膜を効率よく安価に製造することは困難である。また、カチオン交換ドメインおよびアニオン交換ドメインをそれぞれ膜の一面から他面まで連続するように構造形成することは困難であるため、高い塩選択透過性を達成することは困難である。

特許文献2には、膜形成ポリマー、該膜形成ポリマーを溶解し得る溶媒、陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂を混合し、ポリマー溶液に陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂を分散させて均一なポリマー分散液を調製する工程;および前記ポリマー分散液を基材上に塗布および延伸し、乾燥して凝固させた後、得られた膜から溶媒を除去し、洗浄する工程を行うことを特徴とする、モザイク荷電膜の製造方法が記載されている。この方法により得られたモザイク荷電膜は、圧透析実験において圧力上昇とともに塩透過量も増加することが記載されている。しかし、このモザイク荷電膜では膜マトリックスとイオン交換樹脂との界面において水や中性溶質の漏れが生じる上、カチオン交換ドメインおよびアニオン交換ドメインをそれぞれ膜の一面から他面まで連続するように構造形成することは困難であるため、高い塩選択透過性を達成することは困難である。

特許文献3には、カチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーのいずれか一方のイオン性ポリマーが形成する架橋連続相中に、連続相形成ポリマーと少なくとも反対イオン性のポリマーが平均粒子径0.01~10μmの架橋粒子として分散してなるカチオン性ポリマードメインとアニオン性ポリマードメインからなるモザイク荷電膜を製造する方法において、前記膜の連続相を形成するいずれか一方のイオン性ポリマーの溶液に少なくとも連続相形成ポリマーと反対イオン性のポリマーの球状微粒子を分散させた分散液を用いて膜を形成し、該膜中の少なくとも連続相を架橋させ、次いで水または水溶液浸漬処理することを特徴とするモザイク荷電膜の製造方法が記載されている。この方法で製造される膜は、ドメインサイズや膜厚の調製が容易であり、また最大の利点は比較的容易に大面積の膜の作製が可能である点である。しかし、この製造方法では、平均粒子径が小さい重合体微粒子を調製しなければならず、高度な技術および長時間を要するといった問題がある。しかも得られるモザイク荷電膜は、含水性の高いミクロゲルで構成されているため、耐圧性が非常に低く、特に構造上、膜マトリックスと陽、陰ミクロゲル界面との接着性が完全ではないため、高い電解質透過性を有するモザイク荷電膜の作製が困難であり、また機械的強度も十分とは言えない。そのため、拡散透析用の膜としては使用可能であるものの、圧透析用の膜としては使用に耐えないか、もしくは耐久性に極めて劣るといった欠点を有する。また、球状微粒子として分散させた一方のイオン性ポリマーが膜の一面から他面まで連続するように構造形成することが困難であるため、高い塩選択透過性を達成することは困難である。

非特許文献1には、積層法によって作製されたモザイク荷電膜が記載されている。当該積層法では、ポリビニルアルコールとポリアニオンから陽イオン交換膜を、ポリビニルアルコールとポリカチオンから陰イオン交換膜を作製し、これらをポリビニルアルコールを接着剤として交互に貼り合わせることにより積層荷電ブロックを作製し、得られたブロックを積層面と垂直にラボカッターで切断した後、架橋処理を行うことによって、約150μmの膜厚を有する積層モザイク荷電膜を作製している。このようにして得られた積層モザイク荷電膜のKClの塩流束JKClは3.0×10-9mol・cm-2・s-1、電解質選択透過性αは2300と非常に高い値を示すことが記載されている。引張強度は荷電層と平行な方向で5.7MPaであったが、垂直方向で2.7MPaであり、拡散透析用には使用可能であるが、圧透析用に使用するには、より強度を高める必要がある。また、モザイク荷電膜の厚さが切断の幅によって決まるため、薄い膜を形成することは困難であり、工業的製造にも不向きである。さらに実用性の高い大面積のモザイク荷電膜を得ることも困難である。

非特許文献2には、ポリビニルアルコールを膜マトリックスとするポリマーブレンド法によって作製されたモザイク荷電膜が記載されている。当該ポリマーブレンド法では、ポリビニルアルコールとイタコン酸基を含有するビニル化合物を2mol%共重合組成として含有する変性PVAポリアニオンの水溶液に、イタコン酸基のカルボキシル基からの水素イオンの解離を抑制するために塩酸を加えて酸性にした溶液と、ポリビニルアルコールとポリアリルアミン塩酸塩水溶液とを混合することでポリマーブレンド水溶液を調製した。この溶液をガラス板などにキャストして膜を得た後、化学的架橋を行うことによってモザイク荷電膜を得ている。このようにして得られたモザイク荷電膜のKClの塩流束JKClは1.7×10-8mol・cm-2・s-1であり、電解質選択透過性αは48を示すことが記載されているが、より高い電解質選択透過性が望まれている。また、酸性溶液では塩選択透過性が低下するという問題も有している。また、カチオン交換ドメインおよびアニオン交換ドメインをそれぞれ膜の一面から他面まで連続するように構造形成することは困難であるため、高い塩選択透過性を達成することは困難である。

産業上の利用分野

本発明は、モザイク荷電膜の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
カチオン性重合体水溶液とアニオン性重合体水溶液をそれぞれ流路からストライプ状に押し出した後に、該カチオン性重合体水溶液と該アニオン性重合体水溶液を乾燥させることにより、カチオン性重合体領域とアニオン性重合体領域とがそれぞれストライプ状をなして配置されたフィルムを形成し、得られたフィルムを架橋処理することを特徴とするモザイク荷電膜の製造方法。

【請求項2】
前記カチオン性重合体水溶液を押し出すための流路と前記アニオン性重合体水溶液を押し出すための流路が交互に並べられたダイから該カチオン性重合体水溶液と該アニオン性重合体水溶液を押し出す請求項1記載のモザイク荷電膜の製造方法。

【請求項3】
前記カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体が親水性重合体である請求項1または2記載のモザイク荷電膜の製造方法。

【請求項4】
前記カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体が、イオン基を含有するポリビニルアルコールである請求項1~3のいずれか記載のモザイク荷電膜の製造方法。

【請求項5】
前記カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体が、イオン性単量体を重合してなる重合体成分とポリビニルアルコール成分とを含有する、ブロック共重合体またはグラフト共重合体である請求項4記載のモザイク荷電膜の製造方法。

【請求項6】
前記カチオン性重合体および/またはアニオン性重合体が、0.1モル%以上のイオン性単量体単位を含有する請求項1~5のいずれか記載のモザイク荷電膜の製造方法。

【請求項7】
流路から押し出される前記カチオン性重合体水溶液および/またはアニオン性重合体水溶液の粘度が500~90000mPa・sである請求項1~6のいずれか記載のモザイク荷電膜の製造方法。

【請求項8】
前記モザイク荷電膜のカチオン性重合体領域の幅およびアニオン性重合体領域の幅が10~10000μmである請求項1~7のいずれか記載のモザイク荷電膜の製造方法。

【請求項9】
前記フィルムを1.2倍から20倍の全延伸倍率で延伸する請求項1~8のいずれか記載のモザイク荷電膜の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
山口TLOは平成11年11月に山口大学の教官50名の出資により設立された、リエゾン一体型のTLO活動会社です。山口大学を主とし、山口県内の大学・高専の研究成果をご紹介致します。特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


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