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モザイク荷電膜

国内特許コード P200016650
整理番号 H21-022D
掲載日 2020年2月28日
出願番号 特願2011-508388
登録番号 特許第5413689号
出願日 平成22年4月8日(2010.4.8)
登録日 平成25年11月22日(2013.11.22)
国際出願番号 JP2010056364
国際公開番号 WO2010117036
国際出願日 平成22年4月8日(2010.4.8)
国際公開日 平成22年10月14日(2010.10.14)
優先権データ
  • 特願2009-095209 (2009.4.9) JP
発明者
  • 比嘉 充
  • 直原 敦
  • 小林 謙一
  • 藤原 直樹
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 モザイク荷電膜
発明の概要 ビニルアルコール系重合体ブロック(A)及びカチオン性基を有する重合体ブロック(B)を構成成分とするカチオン性ブロック共重合体(P)と、ビニルアルコール系重合体ブロック(C)及びアニオン性基を有する重合体ブロック(D)を構成成分とするアニオン性ブロック共重合体(Q)とを含有することを特徴とするモザイク荷電膜である。このようなモザイク荷電膜は、膜強度が高く、選択透過性、荷電密度が高く、塩の透過流束が大きいため、圧透析用のモザイク荷電膜として有用である。
従来技術、競合技術の概要

モザイク荷電膜は、カチオン交換層とアニオン交換層が交互にかつ並列に配列し、各層が膜の両面まで貫通した膜である。この独特な荷電構造は、外部からの電流を必要とすることなく電解質が溶解した塩溶液中において低分子量イオンの透過を促進することができる。それぞれの電位の方向が互いに逆である正荷電領域と負荷電領域がモザイク状に並んでいるので、膜の両側の塩溶液部分が抵抗となる回路ができる。この回路にカチオンとアニオンがそれぞれ負荷電領域、正荷電領域を通って輸送されることで循環電流が生じ、塩の輸送が促進される。このことはモザイク荷電膜が、外部からの電流が必要な、正荷電領域又は負荷電領域のみの固定電荷を有するイオン交換膜と異なり、イオン輸送を引き起こす機構を膜自体に内在させていることを意味する。

モザイク荷電膜として種々の手法により作製したものが報告されている。特許文献1には、カチオン性基を有するブロックとアニオン性基を有するブロックとからなるブロック共重合体のミクロ相分離現象を利用して作製したモザイク荷電膜が記載されている。しかしながらこの方法は、ブロック共重合体の特定部位を変性させる必要や、異なる電荷を有するブロックを均質にミクロ相分離する必要などがあり、高コストで製造工程が煩雑なだけでなく、工業規模での製造は技術的に困難である。

特許文献2には、膜形成ポリマーの溶液に、陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂を混合、分散させて均一なポリマー分散液を調製し、これを塗布、延伸、乾燥するモザイク荷電膜の製造方法が記載されている。この方法により得られたモザイク荷電膜は、圧透析実験において圧力上昇とともにイオンの透過量も増加する。しかし、このモザイク荷電膜では膜マトリックスとイオン交換樹脂が化学的に結合されていないため、その界面において水や中性溶質の漏れが生じ、高い選択透過性を達成することは困難である。

特許文献3には、カチオン性又はアニオン性のイオン性ポリマーが形成する架橋連続相中に、反対のイオン性を有するポリマーが平均粒子径0.01~10μmの架橋粒子として分散してなるモザイク荷電膜を製造する方法において、前記膜の連続相を形成するイオン性ポリマーの溶液に反対のイオン性を有するポリマーの球状微粒子を分散させた分散液を用いて膜を形成し、該膜中の少なくとも連続相を架橋させ、次いで水又は水溶液浸漬処理することを特徴とするモザイク荷電膜の製造方法が記載されている。この方法で製造される膜は、ドメインサイズや膜厚の調整が容易であり、また比較的容易に大面積の膜の作製が可能である。しかし、この製造方法では、平均粒子径が小さい重合体微粒子を調製しなければならず、高度な技術及び長時間を要するといった問題がある。しかも得られるモザイク荷電膜は、含水性の高いミクロゲルで構成されているため、耐圧性が非常に低く、特に構造上、膜マトリックスとミクロゲルとの界面の接着性を高めることが困難なため、漏れが生じ、イオン透過性が低くなる上、機械的強度も十分とは言えない。そのため、拡散透析用の膜としては使用可能であるものの、圧透析用の膜としては使用に耐えないか、もしくは耐久性に極めて劣るといった欠点を有する。

非特許文献1には、積層法によって作製されたモザイク荷電膜が記載されている。当該積層法では、共重合によりスルホン酸基を導入したポリビニルアルコールから陽イオン交換膜を、ポリビニルアルコールとポリカチオンの混合樹脂から陰イオン交換膜を作製し、これらをポリビニルアルコールを接着剤として交互に貼り合わせることにより積層荷電塊を作製し、得られた塊を積層面と垂直にラボカッターで切断した後、架橋処理を行うことによって、約150μmの膜厚を有する積層モザイク荷電膜を作製している。このようにして得られた積層モザイク荷電膜の拡散透析によるKClの塩流束J(KCl)は3.0×10-9mol・cm-2-1、電解質選択透過性αは2300と非常に高い塩選択透過性を示すことが記載されているが、圧透析用に使用するには、より膜の荷電密度を高める必要がある。

非特許文献2には、ポリビニルアルコールを膜マトリックスとするポリマーブレンド法によって作製されたモザイク荷電膜が記載されている。当該ポリマーブレンド法では、ポリビニルアルコールとイタコン酸基を含有するビニル化合物を2mol%共重合組成として含有する変性PVAポリアニオンの水溶液に、イタコン酸基のカルボキシル基からの水素イオンの解離を抑制するために塩酸を加えて酸性にした溶液と、ポリビニルアルコールとポリアリルアミン塩酸塩水溶液とを混合することでポリマーブレンド水溶液を調製した。この溶液をガラス板などにキャストして膜を得た後、化学的架橋を行うことによってモザイク荷電膜を得ている。このようにして得られたモザイク荷電膜の拡散透析によるKClの塩流束J(KCl)は1.7×10-8molcm-2-1であり、電解質選択透過性αは48であり、比較的高い値を示すことが記載されているけれども、圧透析用に使用するには、より膜の荷電密度を高める必要がある。

産業上の利用分野

本発明は、ポリビニルアルコール系のカチオンブロック共重合体及び、ポリビニルアルコール系のアニオンブロック共重合体をイオン交換層として含有することを特徴とするモザイク荷電膜に関する。より詳細には、塩の透過流束が大きい、圧透析の用途に好適なモザイク荷電膜に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
アニオンを輸送する正荷電領域とカチオンを輸送する負荷電領域がモザイク状に並んでいて、各領域が膜の両面まで貫通したモザイク荷電膜であって;
ビニルアルコール系重合体ブロック(A)及びカチオン性基を有する重合体ブロック(B)を構成成分とするカチオン性ブロック共重合体(P)からなる正荷電領域と、
ビニルアルコール系重合体ブロック(C)及びアニオン性基を有する重合体ブロック(D)を構成成分とするアニオン性ブロック共重合体(Q)からなる負荷電領域と、
を含有することを特徴とするモザイク荷電膜。

【請求項2】
前記カチオン性ブロック共重合体(P)中のカチオン性基を有する単量体の含有量が0.1モル%以上である請求項1記載のモザイク荷電膜。

【請求項3】
前記アニオン性ブロック共重合体(Q)中のアニオン性基を有する単量体の含有量が0.1モル%以上である請求項1記載のモザイク荷電膜。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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