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モザイク荷電複層膜およびその製造方法 UPDATE 外国出願あり

国内特許コード P200016651
整理番号 H21-056D
掲載日 2020年2月28日
出願番号 特願2011-510198
登録番号 特許第5669047号
出願日 平成22年12月27日(2010.12.27)
登録日 平成26年12月26日(2014.12.26)
国際出願番号 JP2010073589
国際公開番号 WO2011081145
国際出願日 平成22年12月27日(2010.12.27)
国際公開日 平成23年7月7日(2011.7.7)
優先権データ
  • 特願2009-298285 (2009.12.28) JP
  • 特願2010-220042 (2010.9.29) JP
発明者
  • 直原 敦
  • 小林 謙一
  • 比嘉 充
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 モザイク荷電複層膜およびその製造方法 UPDATE 外国出願あり
発明の概要 多孔質支持層(A)、多孔質中間層(B)、およびモザイク荷電層(C)を有するモザイク荷電複層膜であって、多孔質支持層(A)、多孔質中間層(B)、およびモザイク荷電層(C)がこの順番で配置されてなり、多孔質支持層(A)および/または多孔質中間層(B)が、親水性繊維を含む繊維層からなり、多孔質中間層(B)の厚さが0.1~100μmであり、多孔質中間層(B)の空隙率よりも多孔質支持層(A)の空隙率が大きく、モザイク荷電層(C)を構成するカチオン性重合体および/またはアニオン性重合体が、イオン基を有するポリビニルアルコールであるモザイク荷電複層膜である。このことにより、塩の透過流束が大きく、かつ機械的強度に優れたモザイク荷電複層膜が提供される。
従来技術、競合技術の概要

モザイク荷電膜は、カチオン交換ドメインとアニオン交換ドメインが交互に配列し、各ドメインが膜の一面から他面まで連続した荷電構造を有する膜である。モザイク荷電膜は、かかる荷電構造によって、外部からの電流を必要とすることなく対象溶液中の低分子量イオンの透過を促進することができる。カチオン交換ドメインとアニオン交換ドメインが交互に並べられると、各ドメインが帯びる電荷が互いに逆であるため、膜の両側の塩溶液部分が抵抗となる電気回路ができる。その回路に流れる電流のようにカチオンとアニオンがそれぞれカチオン交換ドメイン、アニオン交換ドメインを通って輸送されることで循環電流が生じ、塩の輸送が促進される。このことはモザイク荷電膜が、外部からの電流が必要な、一種類の固定電荷を有するイオン交換膜と異なり、イオン輸送を引き起こす機構を膜自体に内在させていることを意味する。

モザイク荷電膜として種々の手法により作製したものが報告されている。特許文献1には、ブロック共重合体のミクロ相分離現象を利用して作製したモザイク荷電膜を用いる有機化合物の脱塩方法が記載されている。しかしながら、ブロック共重合体のミクロ相分離現象を利用してモザイク荷電膜を作製する方法は、所望の構造のブロック共重合体を得るために高度な技術が必要であり、操作も煩雑なため、高コストになり、工業的に実用性のある大面積のモザイク荷電膜を効率よく安価に製造することは困難である。また、カチオン交換ドメインおよびアニオン交換ドメインがそれぞれ膜の一面から他面まで連続するように構造形成することは困難であるため、高い塩選択透過性を達成することは困難である。

特許文献2には、膜形成ポリマー、該膜形成ポリマーを溶解し得る溶媒、陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂を混合し、ポリマー溶液に陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂を分散させて均一なポリマー分散液を調製する工程;および前記ポリマー分散液を基材上に塗布および延伸し、乾燥して凝固させた後、得られた膜から溶媒を除去し、洗浄する工程を行うことを特徴とする、モザイク荷電膜の製造方法が記載されている。この方法により得られたモザイク荷電膜は、圧透析実験において圧力上昇とともに塩透過量も増加することが記載されている。しかし、このモザイク荷電膜では膜マトリックスとイオン交換樹脂との界面において水や中性溶質の漏れが生じる上、カチオン交換ドメインおよびアニオン交換ドメインがそれぞれ膜の一面から他面まで連続するように構造形成することは困難であるため、高い塩選択透過性を達成することは困難である。

特許文献3には、カチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーのいずれか一方のイオン性ポリマーが形成する架橋連続相中に、連続相形成ポリマーと少なくとも反対イオン性のポリマーが平均粒子径0.01~10μmの架橋粒子として分散してなるカチオン性ポリマードメインとアニオン性ポリマードメインからなるモザイク荷電膜を製造する方法において、前記膜の連続相を形成するいずれか一方のイオン性ポリマーの溶液に少なくとも連続相形成ポリマーと反対イオン性のポリマーの球状微粒子を分散させた分散液を用いて膜を形成し、該膜中の少なくとも連続相を架橋させ、次いで水または水溶液浸漬処理することを特徴とするモザイク荷電膜の製造方法が記載されている。この方法で製造される膜は、ドメインサイズや膜厚の調製が容易であり、また最大の利点は比較的容易に大面積の膜の作製が可能である点である。しかし、この製造方法では、平均粒子径が小さい重合体微粒子を調製しなければならず、高度な技術および長時間を要するといった問題がある。しかも得られるモザイク荷電膜は、含水性の高いミクロゲルで構成されているため、耐圧性が非常に低く、特に構造上、膜マトリックスと陽、陰ミクロゲル界面との接着性が完全ではないため、高い電解質透過性を有するモザイク荷電膜の作製が困難であり、また機械的強度も十分とは言えない。そのため、拡散透析用の膜としては使用可能であるものの、圧透析用の膜としては使用に耐えないか、もしくは耐久性に極めて劣るといった欠点を有する。また、球状微粒子として分散させた一方のイオン性ポリマーが膜の一面から他面まで連続するように構造形成することが困難であるため、高い塩選択透過性を達成することは困難である。

特許文献4には、カチオン性ポリマーとアニオン性ポリマーと支持体とからなり、支持体が非対称性多孔質体であって、支持体に両ポリマーが透析可能に充填されているモザイク荷電膜体が記載されており、好適な態様として、カチオン性及びアニオン性の球状ポリマーを混合して得られるポリマー粒子混合分散液を支持体に充填したモザイク荷電膜体について記載されている。これによれば、耐圧性及び機械的強度が向上し、且つ電解質と非電解質の分離或いは塩溶液の脱塩ができる大面積を有するモザイク荷電膜体を簡単な工程で提供することができるとされている。しかしながら、こうして得られるモザイク荷電膜体は、塩の選択透過性の性能が不十分であるとともに、カチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーと、支持体との接着性が不十分な場合があり改善が求められていた。

非特許文献1には、積層法によって作製されたモザイク荷電膜が記載されている。当該積層法では、ポリビニルアルコールとポリアニオンから陽イオン交換膜を、ポリビニルアルコールとポリカチオンから陰イオン交換膜を作製し、これらをポリビニルアルコールを接着剤として交互に貼り合わせることにより積層荷電ブロックを作製し、得られたブロックを積層面と垂直にラボカッターで切断した後、架橋処理を行うことによって、約150μmの膜厚を有する積層モザイク荷電膜を作製している。このようにして得られた積層モザイク荷電膜のKClの塩流束JKClは3.0×10-9mol・cm-2・s-1、電解質選択透過性αは2300と非常に高い値を示すことが記載されている。引張強度は荷電層と平行な方向で5.7MPaであったが、垂直方向で2.7MPaであり、拡散透析用には使用可能であるが、圧透析用に使用するには、より強度を高める必要がある。

非特許文献2には、ポリビニルアルコールを膜マトリックスとするポリマーブレンド法によって作製されたモザイク荷電膜が記載されている。当該ポリマーブレンド法では、ポリビニルアルコールとイタコン酸基を含有するビニル化合物を2mol%共重合組成として含有する変性PVAポリアニオンの水溶液に、イタコン酸基のカルボキシル基からの水素イオンの解離を抑制するために塩酸を加えて酸性にした溶液と、ポリビニルアルコールとポリアリルアミン塩酸塩水溶液とを混合することでポリマーブレンド水溶液を調製した。この溶液をガラス板などにキャストして膜を得た後、化学的架橋を行うことによってモザイク荷電膜を得ている。このようにして得られたモザイク荷電膜のKClの塩流束JKClは1.7×10-8mol・cm-2・s-1であり、電解質選択透過性αは48を示すことが記載されているが、より高い電解質選択透過性が望まれている。また、酸性溶液では塩選択透過性が低下するという問題も有している。

産業上の利用分野

本発明は、モザイク荷電複層膜およびその製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
平均繊維径1μm以上100μm以下の繊維からなる多孔質支持層(A)、平均繊維径0.01μm以上1μm未満の繊維からなる多孔質中間層(B)、およびカチオン性重合体のドメインとアニオン性重合体のドメインとから構成されるモザイク荷電層(C)を有するモザイク荷電複層膜であって、
多孔質支持層(A)上に多孔質中間層(B)を形成した後に、該多孔質中間層(B)上に印刷することによってモザイク荷電層(C)を形成することにより、多孔質支持層(A)、多孔質中間層(B)、およびモザイク荷電層(C)がこの順番で配置されるか、または多孔質中間層(B)内にモザイク荷電層(C)が形成されてなり、
多孔質支持層(A)および/または多孔質中間層(B)が、親水性繊維を少なくとも50質量%含む繊維層からなり、
多孔質中間層(B)の厚さが0.1~100μmであり、
多孔質中間層(B)の空隙率よりも多孔質支持層(A)の空隙率が大きく、
モザイク荷電層(C)は、カチオン交換ドメインとアニオン交換ドメインが交互に配列し、各ドメインがモザイク荷電層(C)の一面から他面まで連続した荷電構造を有し、
モザイク荷電層(C)を構成するカチオン性重合体および/またはアニオン性重合体が、イオン基を有するポリビニルアルコールであることを特徴とするモザイク荷電複層膜。

【請求項2】
前記親水性繊維がポリビニルアルコール繊維である請求項1記載のモザイク荷電複層膜。

【請求項3】
多孔質支持層(A)が、疎水性重合体を含む請求項1または2記載のモザイク荷電複層膜。

【請求項4】
前記疎水性重合体がポリオレフィン、ポリエステルおよびポリアミドからなる群から選択される少なくとも1種である請求項3記載のモザイク荷電複層膜。

【請求項5】
多孔質支持層(A)が疎水性重合体を少なくとも50質量%含む繊維層からなり、多孔質中間層(B)が親水性繊維を少なくとも50質量%含む繊維層からなる請求項1~4のいずれか記載のモザイク荷電複層膜。

【請求項6】
モザイク荷電層(C)を構成するカチオン性重合体および/またはアニオン性重合体が、イオン基を有する重合体ブロックとビニルアルコール重合体ブロックとを含むブロック共重合体である請求項1~5のいずれか記載のモザイク荷電複層膜。

【請求項7】
請求項1~6のいずれか記載のモザイク荷電複層膜の製造方法であって、
多孔質支持層(A)上に多孔質中間層(B)を形成した後に、該多孔質中間層(B)上に印刷することによってモザイク荷電層(C)を形成することを特徴とするモザイク荷電複層膜の製造方法。

【請求項8】
前記多孔質中間層(B)上にモザイク荷電層(C)を印刷によって形成した後に熱処理および/または架橋処理を行う請求項7記載のモザイク荷電複層膜の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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JP2011510198thum.jpg
出願権利状態 登録
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