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肝臓における線維化抑制剤 UPDATE

国内特許コード P200016654
整理番号 H29-064
掲載日 2020年3月2日
出願番号 特願2018-127186
公開番号 特開2020-007235
出願日 平成30年7月3日(2018.7.3)
公開日 令和2年1月16日(2020.1.16)
発明者
  • 山本 直樹
  • 高見 太郎
  • 瀬川 誠
  • 藤澤 浩一
  • 松本 俊彦
  • 久永 拓郎
  • 坂井田 功
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 肝臓における線維化抑制剤 UPDATE
発明の概要 【課題】 本発明は生薬を有効成分とする肝線維化抑制剤であって、例えば、非ウイルス性肝炎等の肝線維化を伴う肝疾患に有用な肝線維化抑制剤の提供を課題とする。
【解決手段】 黄ごん、黄連、山梔子、および、黄柏の含有成分である、バイカリン、ベルベリン、および、ゲニポシドを含む、肝臓の線維化抑制剤を提供する。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要

肝線維化は主に肝炎ウイルスやアルコールによる炎症に伴って起こり、特に炎症が慢性化した際に生じやすい。肝線維化を持つ慢性肝炎あるいは肝硬変からは肝細胞がんが発症しやすいことが知られている。
肝臓における慢性的な炎症は、I型コラーゲン(Collagen type I)に代表される細胞外マトリックスの、肝臓における過剰な蓄積として特徴づけられる肝線維化を引き起こし、肝臓の機能障害を招く。肝線維化では、主に、炎症性サイトカインによって活性化された肝星細胞(Hepatic stellate cells; HSCs)によって、I型コラーゲンが産生される。肝星細胞はレチノイド(Vitamin A)を含む脂肪滴と特徴的な星状の突起構造を有し、門脈血が類洞を介して肝小葉内へ流れ込む際の血流透過性を制御している。肝臓が障害を受けると肝星細胞は活性化し、その脂肪滴(レチノイド)の減少と、線維芽細胞や筋線維芽細胞に類似した形態への変化をたどり、コラーゲンなどの細胞外マトリックス生成を亢進する。この細胞外マトリックスが、何らかの刺激により定常的に過剰生成され続けると、細胞外マトリックスが沈着するようになり基底膜様構造物が出現し、この進展過程が肝繊維化と呼ばれる。

一方、アルコール摂取を原因とせず、主に肥満者において肝臓内に過剰な中性脂肪の蓄積(脂肪肝)が認められる病態である非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD: nonalcoholic fatty liver disease)が報告されている。NAFLDは、良性の経過をとる脂肪肝と、一定の割合で肝硬変、肝細胞癌へと進行する非アルコール性脂肪肝炎(NASH:nonalcoholic steatohepatitis)に分類される。近年、わが国においてもNASHが急増しており、脂肪肝が1,500万症例、その10%程度がNASHに進行し、さらに10%程度が肝硬変や肝細胞癌を発症すると想定されている。
しかしながら、どのようにして脂肪肝がNASHに進行するかは未だ明らかになっておらず、NASHの確定診断には侵襲的な肝生検が必要であり、また、有効な治療法も存在しないことが大きな問題となっている。

非特許文献1は、NASH発症メカニズムに関し、コリン欠乏食(CDAA)により誘導されたNASHでは、肝臓においてマクロファージから産生されるTNFαやIL-1βなどの炎症性サイトカインの発現レベルが高いこと、骨髄由来炎症性マクロファージであるLy6c陽性マクロファージが認められることを示している。コリン欠乏食誘導によるNASHモデルで誘導されるマクロファージは炎症性マクロファージが主体であると推定され、当該マクロファージがNASH病態に関わっていることが示唆されている。

古来より様々な慢性炎症疾患に対して漢方薬が用いられてきた。例えば、黄連解毒湯は臨床において抗炎症効果を有する薬剤としてアトピー性皮膚炎等に使用されている。黄連解毒湯に関して、例えば特許文献1には、黄連解毒湯の含有成分が各種培養細胞においてアポトーシス抑制効果を示したことを記載している。黄連解毒湯に含まれる生薬(黄連など)には、含有成分としてベルベリンが含まれていることが知られている。特許文献2は、ベルベリン誘導体含有HSP47合成抑制剤に関する技術を開示しており、ベルベリンは細胞内でのHSP47の合成を抑制し、これにより臓器内でのコラーゲン合成を抑制し、ひいては肝硬変などの細胞外マトリックス産生亢進の病態を示す病気の治療に使用できると記載している。なお、特許文献2は、塩化ベルベリンが、45℃、15分間の熱ショック処理を行った各種ヒト培養癌細胞において、HSP47の発現を抑制したことを示すに留まり、例えば上述のインビボにおける炎症性サイトカインに起因した肝繊維化への進行に対して効果を有するのかについては明らかでない。

産業上の利用分野

本発明は、肝臓における線維化抑制剤に関する。特に、黄連解毒湯、それに配合させる生薬、または、それらの含有成分を含む肝臓の線維化抑制剤に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
バイカリン、ベルベリン、および、ゲニポシドを含む、肝臓の線維化抑制剤。

【請求項2】
黄ごん(オウゴン)、黄連(オウレン)、山梔子(サンシン)、および、黄柏(オウバク)の四つの生薬またはこれらの抽出物を含む、肝臓の線維化抑制剤。

【請求項3】
黄連解毒湯を含む、肝臓の線維化抑制剤。

【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の肝臓の線維化抑制剤であって、
I型コラーゲン、TGFβ、TIMP1、および、TIMP2からなる遺伝子群より選択される少なくとも一つの遺伝子発現を抑制する、肝臓の線維化抑制剤。

【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載の肝臓の線維化抑制剤であって、
I型コラーゲン、TGFβ、TIMP1、および、TIMP2の遺伝子発現を抑制する、肝臓の線維化抑制剤。

【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の肝臓の線維化抑制剤であって、
非アルコール性脂肪性肝炎に罹患した対象における肝臓の線維化抑制剤。

【請求項7】
バイカリン、ベルベリン、および、ゲニポシドを含む、肝臓の発癌抑制剤。

【請求項8】
黄ごん(オウゴン)、黄連(オウレン)、山梔子(サンシン)、および、黄柏(オウバク)の四つの生薬またはこれらの抽出物を含む、肝臓の発癌抑制剤。

【請求項9】
黄連解毒湯を含む、肝臓の発癌抑制剤。

【請求項10】
請求項7~9のいずれか一項に記載の肝臓の発癌抑制剤であって、
I型コラーゲン、TGFβ、TIMP1、および、TIMP2からなる遺伝子群より選択される少なくとも一つの遺伝子発現を抑制する、肝臓の発癌抑制剤。

【請求項11】
請求項7~9のいずれか一項に記載の肝臓の発癌抑制剤であって、
I型コラーゲン、TGFβ、TIMP1、および、TIMP2の遺伝子発現を抑制する、肝臓の発癌抑制剤。

【請求項12】
請求項7~11のいずれか一項に記載の肝臓の発癌抑制剤であって、
非アルコール性脂肪性肝炎に罹患した対象における肝臓の発癌抑制剤。

【請求項13】
黄連解毒湯を含む、肝がんの治療用または予防用組成物。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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