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癌幹細胞における薬物耐性の低減剤、癌幹細胞における転移能の抑制剤及び癌の転移性再発リスクを予測する方法 UPDATE

国内特許コード P200016658
整理番号 H30-012
掲載日 2020年3月2日
出願番号 特願2018-153470
公開番号 特開2019-034940
出願日 平成30年8月17日(2018.8.17)
公開日 平成31年3月7日(2019.3.7)
優先権データ
  • 特願2017-157349 (2017.8.17) JP
発明者
  • 恒富 亮一
  • 永野 浩昭
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 癌幹細胞における薬物耐性の低減剤、癌幹細胞における転移能の抑制剤及び癌の転移性再発リスクを予測する方法 UPDATE
発明の概要 【課題】本発明の課題は、肝癌転移性再発に特異的な遺伝子を同定して転移性再発リスクを予測する方法を提供すると共に、肝癌転移性再発の抑制に有効な癌幹細胞に対する薬物耐性の低減剤や癌幹細胞における転移能の抑制剤を提供することにある。
【解決手段】(I)RAB3B遺伝子の発現を抑制する核酸分子;(II)配列番号1に示されるRAB3Bタンパク質に結合する抗体若しくは低分子化合物;の(I)又は(II)のいずれかを有効成分とする、癌幹細胞における薬物耐性の低減剤を作製する。また、被検者から採取した生体試料中のRAB3B遺伝子のmRNAの発現量、前記mRNAがコードするタンパク質の発現量、又はRAB3B遺伝子を標的とするmicroRNAの発現量を指標として、癌の転移性再発リスクを予測する。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要

肝細胞癌(hepatocellular carcinoma:HCC)を含む肝癌 (hepatoma)は、治癒切除にもかかわらず再発率の高い癌である。この再発率の高さは、肝炎ウイルス感染を素地とするde novoによる再発に加えて、血行性転移による原発巣除去後の術後肝内再発の2つがあるためである。患者QOLにおいて癌の発生防止が第一であり、外科手術後は再発を怖れずに安心して暮らせる術後補助療法が求められるが、肝癌においては標準的な術後補助療法は確立出来ていない。なお、肝細胞癌においては、遺伝子の解析により発症又は再発を予測する技術が開発されている(特許文献1-3参照)。

近年、自己複製能、多分化能、造腫瘍能、再発、転移能、又は治療抵抗性などを持つ癌の根本ともいえる癌幹細胞(cancer stem cells:CSC)の存在が報告され、癌幹細胞をターゲットとする新たな癌治療の概念が報告されている。一方、癌幹細胞の研究の困難な点は、癌組織中の癌幹細胞の割合が少ないため、多くの癌幹細胞を用いた研究を行うことが難しかった。そこで本発明者らは、血清を含有しない動物細胞培養用基礎培地に、神経生存因子-1(NSF-1)を添加した培地を用いた消化器系癌幹細胞の増殖方法(特許文献4参照)を提案した。これによって、CSCの特性を有するがん幹細胞様細胞(cancer stem-like cells; CSLC)を効率的に得ることが出来るようになった。

また、癌治療において、癌細胞だけでなく癌幹細胞も治療標的とすることが重要である。しかしながら、癌幹細胞は癌細胞集団において極めて少数であるということだけでなく、癌細胞における不均一性(heterogeneity)と同様に、癌幹細胞においてもheterogeneityがあることが分かってきており、コンセプトに基づく癌治療法の開発は困難であった。これまでに、幾つかの癌幹細胞マーカーが報告されているが、これらの癌幹細胞マーカーを用いての癌幹細胞の選択では真に癌の再発又は転移の責任細胞を解析することは困難であった。

ところで、癌幹細胞の中には、薬剤耐性を獲得しているものがあることが報告されている(非特許文献1参照)。したがって、治療によって大部分の癌細胞を除いても、ごく少数の癌幹細胞が生き残っていれば再発が起こりうることになり、これが癌においてしばしば再発が起きる理由の一つとして考えられている。したがって、癌幹細胞における抗癌剤耐性を弱めて癌細胞と同時に癌幹細胞も除去することができれば、癌の転移や再発の防止にも有用な治療法の開発につながることが期待されている。

産業上の利用分野

本発明は、癌幹細胞における薬物耐性の低減剤や、癌幹細胞における転移能の抑制剤や、癌の転移性再発リスクを予測する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下の(I)又は(II)のいずれかを有効成分とする、癌幹細胞における薬物耐性の低減剤。
(I)RAB3B遺伝子の発現を抑制する核酸分子;
(II)配列番号1に示されるRAB3Bタンパク質に結合する抗体若しくは低分子化合物;

【請求項2】
癌幹細胞が、肝癌幹細胞であることを特徴とする請求項1記載の癌幹細胞における薬物耐性の低減剤。

【請求項3】
核酸分子がRAB3B遺伝子を標的とする二本鎖siRNA、microRNA、shRNA、アンチセンス核酸、及びリボザイムからなる群から選択される少なくとも1種の核酸分子であることを特徴とする請求項1又は2記載の癌幹細胞における薬物耐性の低減剤。

【請求項4】
核酸分子がRAB3B遺伝子を標的とする二本鎖siRNAであることを特徴とする請求項3記載の癌幹細胞における薬物耐性の低減剤。

【請求項5】
薬物が、抗腫瘍性抗生物質、微小管阻害剤、プラチナ製剤、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤、又はキナーゼ阻害剤であることを特徴とする請求項4記載の癌幹細胞における薬物耐性の低減剤。

【請求項6】
薬物が、ドキソルビシン、ドセタキセル、カルボプラチン、ボリノスタット、又はスニチニブであることを特徴とする請求項5記載の癌幹細胞における薬物耐性の低減剤。

【請求項7】
核酸分子がRAB3B遺伝子を標的とするmicroRNAであって、該microRNAがhas-miR-15a-5pであることを特徴とする請求項3記載の癌幹細胞における薬物耐性の低減剤。

【請求項8】
薬物が、抗腫瘍性抗生物質、微小管阻害剤、プラチナ製剤、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤、キナーゼ阻害剤、又はトポイソメラーゼ阻害剤であることを特徴とする請求項7記載の癌幹細胞における薬物耐性の低減剤。

【請求項9】
薬物が、ドキソルビシン、ドセタキセル、カルボプラチン、ボリノスタット、スニチニブ又はイリノテカンであることを特徴とする請求項8記載の癌幹細胞における薬物耐性の低減剤。

【請求項10】
以下の(I)又は(II)のいずれかを有効成分とする、癌幹細胞における転移能の抑制剤。
(I)RAB3B遺伝子の発現を抑制する核酸分子;
(II)配列番号1に示されるRAB3Bタンパク質に結合する抗体若しくは低分子化合物;

【請求項11】
癌幹細胞が、肝癌幹細胞であることを特徴とする請求項10記載の癌幹細胞における転移能の抑制剤。

【請求項12】
被検者から採取した生体試料中のRAB3B遺伝子のmRNAの発現量、前記mRNAがコードするタンパク質の発現量、又はRAB3B遺伝子を標的とするmicroRNAの発現量を指標として、癌の転移性再発リスクを予測する方法。

【請求項13】
癌が肝癌であることを特徴とする請求項12記載の癌の転移性再発リスクを予測する方法。

【請求項14】
生体試料が、原発肝腫瘍組織又は血液であることを特徴とする請求項12又は13記載の方法。

【請求項15】
請求項12~14のいずれか記載の方法に用いるためのキットであって、以下の(I)又は(II)を含むキット。
(I)被検者から採取した生体試料中のRAB3B遺伝子のmRNAの発現量、又はRAB3B遺伝子を標的とするmicroRNAの発現量を検出するためのプライマー対若しくはプローブ、又はそれらの標識物;
(II)被検者から採取した生体試料中のmRNAがコードするタンパク質の発現量を検出するための抗体、又はそれらの標識物;

【請求項16】
配列番号1に示されるRAB3Bタンパク質のアミノ酸配列のうち、連続する5-50個のアミノ酸からなるペプチドを有効成分とする癌ペプチドワクチン。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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