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新生血管に対する標的化剤 UPDATE 外国出願あり

国内特許コード P200016715
整理番号 2570
掲載日 2020年4月1日
出願番号 特願2011-518581
登録番号 特許第5721140号
出願日 平成22年6月11日(2010.6.11)
登録日 平成27年4月3日(2015.4.3)
国際出願番号 JP2010059917
国際公開番号 WO2010143708
国際出願日 平成22年6月11日(2010.6.11)
国際公開日 平成22年12月16日(2010.12.16)
優先権データ
  • 特願2009-140757 (2009.6.12) JP
発明者
  • 中村 健太郎
  • 田畑 泰彦
出願人
  • 富士フイルム株式会社
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 新生血管に対する標的化剤 UPDATE 外国出願あり
発明の概要 本発明の目的は、新生血管部位への集積効果を利用して新生血管部位に対する薬物送達やイメージングを可能とする標的化剤を提供することである。本発明によれば、ゼラチン様タンパク質を含む、新生血管部位に対する標的化剤が提供される。
従来技術、競合技術の概要

血管新生とは、主に、既存の血管から新しい血管を形成する現象のことを表している。正常な生理的血管新生としては、胎生期における血管形成や、子宮内膜や黄体形成、創傷治癒等に関与する血管新生が存在する。一方、病的な血管新生は、固形腫瘍の増殖や転移、糖尿病性網膜症、関節リウマチ等の慢性炎症などに深く関与していることが知られている。特に腫瘍血管新生に関する研究は、治療・診断の両側面から精力的に行われている。腫瘍径が1~2mmの腫瘍では既存血管からの拡散で酸素や栄養素を得られると考えられているが、それ以上の増殖には血管新生が必須となる。成人の健常人においては、血管新生というイベントは限られた部位、限られた場合でしか存在しないため、腫瘍血管新生を標的にした治療薬やイメージング剤は、腫瘍特異的かつ普遍的な薬剤・診断剤になることが期待されている。

現状、腫瘍の診断においては、FDG(フルオロデオキシグルコース)を用いた腫瘍部位のPET(positron emission tomography)診断が実施されているが、FDGはグルコース代謝活性の高い細胞・組織部位を標的としているに過ぎず、腫瘍特異性は十分なものではない。FDGは生理的集積により、脳・心臓・肝臓などにも高い集積を示す為、腫瘍の診断が困難な場合が問題となっている。又、腎臓、尿管、膀胱など尿路系では、尿中に排出される大量のFDGによってバックグランドが上がり、診断が困難である。その為、糖代謝によるターゲティングとは別の機構によるターゲティング、主に血管新生を標的としたターゲティング剤(標的化剤)の開発が行われている。

一方、血管新生のイベントを治療へ利用することが、血管新生療法等として実施されている。創傷治癒、虚血性疾患等の治療法として、又、臓器再生や細胞移植、自然治癒効果の増強など、広く再生医療といわれる治療においても、血管新生の重要性が明らかとなっている。血管新生そのものが治療効果を示す、あるいは血管新生が治療効果を増強する。 その為、血管新生を標的とした治療薬やターゲティング剤・イメージング剤は、様々な治療、再生医療における薬剤・診断剤・治療効果評価手段になることが期待されている。

特に再生医療分野においては、その治療効果を詳細に検討する術が乏しく、その治療効果の真偽については、従来存在する診断法の組合せにより、非直接的な評価を行うに止まっている。特に前述の如く、血管新生は再生医療における重要な役割を有しているが、既存血管と新生血管を区別して評価する手法は乏しい。とりわけ新生した血管のみを可視化するイメージング手段が求められているが、イメージング剤の新生血管特異性の欠如、あるいはその持続性の欠如等、種々の問題によって未だ充分な結果を提供するに至らない。

血管新生を標的とする手段としては、血管新生中の内皮細胞(及び一部の腫瘍細胞)で高発現することが報告されているαVβ3インテグリンを標的としたターゲティング剤・イメージング剤の開発が実施されている。αvβ3 インテグリンは、アルギニン-グリシン-アスパラギン酸の配列からなるペプチド(RGD)を認識する。そのため、RGD 配列を基として、特に種々の環状RGD 類似化合物や環状RGD 含有ペプチドが開発されており、例えばミュンヘン工科大学のKessler らによって開発された環状ペンタペプチドc-RGDfVをリード化合物とするcyclo-RGDfK、cyclo-RGDyV、cyclo-RGDfY、cyclo-RGDyK等の多数の化合物が存在する(非特許文献1)。

しかし、前述環状RGD化合物は、主に腎排泄によって投与後迅速に体外へ排出される為、生体内での滞在時間が短い。従って、ドラッグデリバリー剤やイメージング剤などのターゲティング剤として用いる際、そのターゲティング能を利用し得る時間が短く、標的部位への到達以前に、そのほとんどが体外へ排出されてしまうことが問題である。一方、新生血管イメージング、画像化や診断においては、ターゲティング剤に蛍光色素や放射性同位元素のプローブで標識するため、安全性の観点から、当該部位の検出・診断後には可能な限り早期にシグナルがなくなる、つまり診断後には、当該部位から早期に消失することも要求される。しかし、環状RGDペプチドは、標的部位へ到達したとしても、新生血管に発現しているIntegrinへ強固な結合を形成することから、新生血管部位からのシグナル消失が長引くケースが存在し、問題となっている。これらから、「生体内での滞在時間が長く」かつ「新生血管部位からのシグナル消失が迅速な」イメージング材料が求められている。

一方、ゼラチンをはじめとする生体高分子はこれまで広く医療材料として用いられてきたが、新生血管のイメージングに利用できることはこれまで知られていなかった。また、近年の遺伝子工学手法の進歩により、大腸菌や酵母に遺伝子を導入することによるタンパク質の合成が行われている。該手法により、種々の遺伝子組み換えコラーゲン様タンパク質が合成(例えば特許文献1及び2)されており天然のゼラチンと比較して、非感染性には優れ、均一であり、配列が決定されているので強度、分解性を精密に設計することが可能であるなどの優位点を有する。しかし、提案されているこれらの用途は天然ゼラチンの代替の域を超えるものではなく、当然ながら新生血管イメージング剤としての用途も知られていなかった。

産業上の利用分野

本発明は、ゼラチン様タンパク質を用いた新生血管に対する標的化剤に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する遺伝子組み換えゼラチンを含む、新生血管部位に対する標的化剤。

【請求項2】
新生血管部位を標的としたイメージング剤である、請求項1に記載の標的化剤。

【請求項3】
新生血管部位を標的としたドラッグデリバリー剤である、請求項1に記載の標的化剤。

【請求項4】
細胞接着シグナルを一分子中に2配列以上含む、請求項1から3の何れか一項に記載の標的化剤。

【請求項5】
細胞接着シグナルがArg-Gly-Aspで示されるアミノ酸配列である、請求項4に記載の標的化剤。

【請求項6】
遺伝子組み換えゼラチンのアミノ酸配列が、セリン及びスレオニンを含まない、請求項1から5の何れかの何れか一項に記載の標的化剤。

【請求項7】
遺伝子組み換えゼラチンのアミノ酸配列が、セリン、スレオニン、アスパラギン、チロシン、及びシステインを含まない、請求項1から6の何れかの何れか一項に記載の標的化剤。

【請求項8】
遺伝子組み換えゼラチンのアミノ酸配列が、Asp-Arg-Gly-Aspで示されるアミノ酸配列を含まない、請求項1から7の何れかの何れか一項に記載の標的化剤。

【請求項9】
遺伝子組み換えゼラチンが架橋されている、請求項1から8の何れかの何れか一項に記載の標的化剤。

【請求項10】
架橋がアルデヒド類、縮合剤、又は酵素により施される、請求項9に記載の標的化剤。

【請求項11】
さらに標識プローブまたは薬剤を含有する、請求項1から10の何れかの何れか一項に記載の標的化剤。

【請求項12】
標識プローブが、蛍光色素、放射性同位体、PET用核種、SPECT用核種、MRI造影剤、CT造影剤、又は磁性体である請求項11に記載の標的化剤。

【請求項13】
蛍光色素が、量子ドット、インドシアニングリーン又は近赤外蛍光色素であり、放射性同位体、PET用核種及びSPECT用核種が、11C、13N、15O、18F、66Ga、 67Ga、68Ga、60Cu、61Cu、62Cu、67Cu、 64Cu、48V、Tc-99m、241Am、55Co、57Co、153Gd、111In、133Ba、82Rb、139Ce、Te-123m、137Cs、86Y、90Y、185/187Re、186/188Re、125I、又はそれらの錯体、あるいはそれらの組み合わせであり、MRI造影剤、CT造影剤及び磁性体が、ガドリニウム、Gd-DTPA、Gd-DTPA-BMA、Gd-HP-DO3A、ヨード、鉄、酸化鉄、クロム、マンガン、又はその錯体・キレート錯体、あるいは又はそれらの組み合せである、請求項12に記載の標的化剤。

【請求項14】
遺伝子組み換えゼラチンと標識プローブとが、直接又はリンカーを介すことにより物理的又は化学的に結合されている、請求項11から13の何れか一項に記載の標的化剤。

【請求項15】
該結合が、配位結合、共有結合、水素結合、疎水性相互作用、又は物理吸着である、請求項14に記載の標的化剤。

【請求項16】
遺伝子組み換えゼラチンが、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなる、請求項1から15の何れか一項に記載の標的化剤。

【請求項17】
配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する遺伝子組み換えゼラチンを対象(ヒトを除く)に投与することを含む、新生血管部位に対して物質を標的化する方法。

【請求項18】
新生血管部位に対する標的化剤の製造のための、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する遺伝子組み換えゼラチンの使用。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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