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(In Japanese)遺伝性疾患の予防・改善剤 foreign

Patent code P200016721
File No. 6172
Posted date Apr 2, 2020
Application number P2012-522455
Patent number P5950818
Date of filing Jun 27, 2011
Date of registration Jun 17, 2016
International application number JP2011003655
International publication number WO2012001941
Date of international filing Jun 27, 2011
Date of international publication Jan 5, 2012
Priority data
  • P2010-146699 (Jun 28, 2010) JP
Inventor
  • (In Japanese)萩原 正敏
  • (In Japanese)松尾 雅文
  • (In Japanese)片岡 直行
  • (In Japanese)西田 篤史
Applicant
  • (In Japanese)国立大学法人京都大学
Title (In Japanese)遺伝性疾患の予防・改善剤 foreign
Abstract (In Japanese)本発明は、遺伝子のエクソンの変異に起因し、かつ、該変異が含まれるエクソンをスキッピングさせて機能性トランケート型タンパク質を生成させ得る遺伝性疾患の予防・改善剤を提供することを目的とする。遺伝子のエクソンの変異に起因し、かつ、該変異が含まれるエクソンをスキッピングさせて機能性トランケート型タンパク質を生成させ得る遺伝性疾患の予防・改善剤であって、分子量1500以下の化合物を含有することを特徴とする予防・改善剤を用いる。
Outline of related art and contending technology (In Japanese)

筋ジストロフィーは、筋線維の破壊・変性(筋壊死)と再生を繰り返しながら、次第に筋萎縮と筋力低下が進行していく遺伝性筋疾患の総称であり、中でも、進行性筋ジストロフィーがよく知られている。進行性筋ジストロフィーの1種であるデュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy:DMD)は、筋ジストロフィーの中でも最も一般的であり、X染色体上のジストロフィン遺伝子の変異によって発症する(非特許文献1参照)。幼少期から発症する進行性筋萎縮により、DMD患者は通常20歳代で、心不全又は呼吸器不全により死亡するとされている。

ジストロフィンタンパク質(以下、単に「ジストロフィン」とも表示する。)は、筋細胞の細胞膜の内側に存在して、アクチン-ミオシンによる筋肉の収縮により生じる機械的なエネルギーを、細胞膜や周りの結合組織、腱などにバランス良く伝え、過度の衝撃が加わらないように調節することによって、筋細胞の構造を保つ役割等を果たしている。DMD患者の場合、そのジストロフィン遺伝子の変異のため、筋繊維の中に全く、あるいはほんの少ししかジストロフィンが存在しないので、筋肉の収縮により筋細胞の細胞膜が壊れて、通常より多量のカルシウムイオンが筋繊維中に流入してしまう。過度のカルシウムは、カルペインやプロテアーゼ等の、筋肉を壊したりアポトーシスを誘導する酵素を活性化し、その結果、線維芽細胞が活性化されて繊維化が生じ、組織が瘢痕化して、筋細胞が再生されにくくなり、筋萎縮が進行していく。

一方、進行性筋ジストロフィーの1種であるベッカー型筋ジストロフィー(Becker muscular dystrophy:BMD)も、ジストロフィン遺伝子の変異により発症するが、その発症時期は通常成人であり、症状の進行もDMDと比較して緩徐である。DMDとBMDは、いずれもジストロフィン遺伝子の変異により発症するにもかかわらず、症状の程度や進行速度が異なっている。DMDとBMDのこの違いは、読み枠ルールによって説明される。ジストロフィンmRNAにおいて中途終止コドン(premature termination codon:PTC)を生じる変異(ナンセンス変異)では、重篤なDMD表現型(デュシェンヌ型)を通常もたらすが、ジストロフィンmRNAの元々の読み枠が維持される変異(インフレームの変異)では、より軽症のBMD表現型(ベッカー型)となる(非特許文献2参照)。しかし、意外なことに、いくつかの軽症BMD患者では、ジストロフィン遺伝子上にナンセンス変異を有しているにもかかわらず、そのナンセンス変異を含むエクソンがスキッピングされることによって、新規なインフレームのジストロフィンmRNAが産生されているとの報告がされている(非特許文献3~6参照)。スキッピングにより一部のエクソンを欠いたこのジストロフィンmRNAがコードするジストロフィン(トランケート型ジストロフィン)は、正常なジストロフィンよりも短いが、筋細胞の構造を保つ機能がある程度残存しているため、筋ジストロフィーの症状は比較的軽く、また、筋萎縮の進行速度も緩やかとなる。

筋ジストロフィーの根本的な治療法は未だ確立されておらず、従来、機能訓練や関節拘縮予防のためのストレッチのほか、心不全・呼吸障害に対する対症療法が行われていたに過ぎなかった。しかし、近年、本発明者らや、他の研究者らによって、DMDに対する新たな治療法が開発され、期待が集まっている。この治療法は、ジストロフィンmRNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)を用いて、エクソンスキッピングを誘導することによって、DMD表現型からBMD表現型への転換を図り、症状を軽減させる方法(非特許文献3)である。DMD患者の細胞でエクソンスキッピングを誘導するために、スプライス部位又はスプライシング促進エレメントのいずれかに対して何種類かの異なるAONがデザインされた。これらのAONは、ジストロフィンmRNAの読み枠を修復することができた。例えば、エクソン19のエクソンスプライシングエンハンサー(ESE)に対するAONによって、前述のDMD患者細胞におけるエクソン19のスキッピングが生じ、トランケート型ジストロフィンの生成が観察された(非特許文献3~5参照)。また、エクソン51に対するAONもまた患者細胞に対して多く使用され、現在、これらのAONは臨床研究段階にある(非特許文献6~8参照)。

しかしながら、AONは、定期的に筋肉注射又は静脈注射しなければならず、患者にとって煩わしいという問題点や、多量の調製には高額な費用がかかるという問題点があった。さらに、筋ジストロフィーモデルマウスであるmdxマウスにAON処理を行ったところ、骨格筋ではジストロフィンの発現がある程度回復したが、心臓におけるジストロフィン発現の回復は困難であった(非特許文献9)。したがって、エクソンスキッピングを調節する低分子が臨床上非常に望まれている。低分子の非アミノグリコシドナンセンス変異サプレッサー化合物であるPTC124(登録商標)(3-[5-(2-フルオロフェニル)-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル]安息香酸)が、ナンセンス変異を持つ一部のDMD患者を治療し得ることが報告されており(非特許文献10や11)、現在、米国等において、フェーズ2bの臨床試験が行われている。PTC124は、リボゾームが翻訳時に中途終止コドン(PTC)を読み飛ばす(read-through)ように誘導することにより、全長の機能的なジストロフィンの発現をある程度回復させる治療薬であるが、他の遺伝子のナンセンス変異依存mRNA分解機構に与える影響については、まだ不明である。

ところで、本発明者らは、Cdc-likeキナーゼ(Clk)特異的なキナーゼ阻害剤として、TG003(後述の一般式(1)において、R1及びR2がメチル基であり、R3がメトキシ基である化合物)を同定した。TG003は、インビトロとインビボの両方でスプライシングに影響を及ぼす化合物であり(非特許文献12及び13参照)、本発明者らが関わる特許出願(特許文献1参照)には、TG003がSRタンパク質のリン酸化反応を介して、オルタナティブスプライシングを調節する作用を有していることや、かかる作用を利用して、がん等の疾患の予防や治療を行いうることが記載されている。しかし、TG003が、ジストロフィン遺伝子のエクソンのスキッピングを促進し得ることはこれまで知られていなかった。

Field of industrial application (In Japanese)

本発明は、遺伝子のエクソンの変異に起因し、かつ、該変異が含まれるエクソンをスキッピングさせて機能性トランケート型タンパク質を生成させ得る遺伝性疾患の予防・改善剤であって、分子量1500以下の化合物を含有することを特徴とする予防・改善剤に関する。

Scope of claims (In Japanese)
【請求項1】
 
遺伝子のエクソンの変異に起因し、かつ、該変異が含まれるエクソンをスキッピングさせて機能性トランケート型タンパク質を生成させ得る遺伝性疾患の予防・改善剤であって、分子量1500以下の化合物を含有し、
前記化合物が、
(i)スプライシング調節作用を有する化合物であり、
(ii)前記変異が含まれるエクソンのスキッピングを誘導・促進させる効果を有する化合物であり、
(iii)一般式(1)
【化1】
 
(省略)
[式中、R1及びR2メチル基を示し;R3はメトキシ基を示す。]
で表されるCdc-likeキナーゼ阻害化合物であり、かつ、
(iv)前記変異が含まれるエクソンをスキッピングさせて機能性トランケート型タンパク質の発現を誘導及び/又は上昇させるための化合物であることを特徴とする予防・改善剤。

【請求項2】
 
前記変異が、ナンセンス変異であることを特徴とする請求項1に記載の予防・改善剤。

【請求項3】
 
前記ナンセンス変異が、前記遺伝子におけるエクソンスプライシングエンハンサー活性を抑制し、及び/又は、前記遺伝子におけるエクソンスプライシングサイレンサー活性を上昇させる、ナンセンス変異であることを特徴とする請求項2に記載の予防・改善剤。

【請求項4】
 
前記遺伝子がジストロフィン遺伝子であり、前記機能性トランケート型タンパク質が機能性トランケート型ジストロフィンタンパク質であり、前記遺伝性疾患がデュシェンヌ型筋ジストロフィーであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の予防・改善剤。

【請求項5】
 
前記ジストロフィン遺伝子のエクソンが、ジストロフィン遺伝子のエクソン31又はエクソン27であることを特徴とする請求項4に記載の予防・改善剤。

【請求項6】
 
前記ジストロフィン遺伝子のエクソン31の変異が、配列番号1のポリヌクレオチド配列のヌクレオチド番号4303におけるグアニンのチミンへのナンセンス変異であり、エクソン27の変異が、配列番号1のポリヌクレオチド配列のヌクレオチド番号3613におけるグアニンが欠失したアウトオブフレーム変異であることを特徴とする請求項5に記載の予防・改善剤。
IPC(International Patent Classification)
F-term
State of application right Registered
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