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高靭性高耐熱モリブデンシリサイド合金

国内特許コード P200016751
整理番号 6048
掲載日 2020年4月8日
出願番号 特願2017-241257
公開番号 特開2019-108573
出願日 平成29年12月16日(2017.12.16)
公開日 令和元年7月4日(2019.7.4)
発明者
  • 乾 晴行
  • 岸田 恭輔
出願人
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 高靭性高耐熱モリブデンシリサイド合金
発明の概要 【課題】、破壊靭性値等の高温特性の優れたMoSi/MoSi二相共晶合金を提供する。
【解決手段】本発明は、二珪化モリブデン合金(化学式MoSi:以下、化学式で記載)および三珪化五モリブデン合金(化学式MoSi:以下、化学式で記載)を含むモリブデンシリサイド合金において、前記合金中の固溶限が5原子(at.)%以上の不純物元素(グループ1元素(G1元素)と称する)および前記合金中の固溶限が2原子(at.)%以下の不純物元素(グループ2元素(G2元素)と称する)を添加元素として含み、前記モリブデンシリサイド合金はMoSiおよびMoSiの2相共晶合金であることを特徴とするモリブデンシリサイド合金である。
【選択図】図8
従来技術、競合技術の概要

2015年のパリ協定<フランスのパリで開催された国連気候変動枠組条約 第21回締約国会議(COP21)>ですべての国の温室効果ガス排出量の削減への取り組みが採択された。温室効果ガスの中で特に重要なものは二酸化炭素(CO)であり、このCOの総排出量をどのように大幅に削減するのかが喫緊の課題である。日本国内のCO総排出量のうち約30%は発電プラントから発生し、そのうち約99%は火力発電が関与している。従って、火力発電からのCO削減が最も有効と考えられる。最新型の火力発電システムはコンバインドサイクル型であり、ガスタービンを使って発電した後、その排熱を利用して作った蒸気により蒸気タービンを使って再度発電させるシステムである。現行はガスタービン材料にNi基超合金を用いて、約1500℃の高温で動作させ熱効率約52%を得ている。ガスタービンの入り口温度を上昇すれば、熱効率の増大も見込まれており、たとえば、約1700℃以上の耐熱性を実現できれば、熱効率が約60%以上になると予想される。この1700℃を越えるガスタービンならば、発電所からのCO発生量は11~19%は削減可能と考えられており、これに耐える新規の超耐熱材料(合金)の実現が望まれている。

そこで注目されている材料として、モリブデンダイシリサイド(2珪化モリブデンとも言う)(MoSi)合金が挙げられる。MoSi合金は優れた塑性変形能、高い融点(2020℃)、優れた耐酸化性を有しており、また軽量(Ni基超合金の密度約8g/cmに対して、約6.2g/cm)であり、戦略的元素を含まないという点で安価である。しかしながら、室温靭性が乏しく(約2MPam1/2)、クリープ強度が不十分である。本発明者はMoSi相にMoSi相を加えたMoSi/MoSi合金に着目した。図19は、Mo-Si二元系合金の状態図である。MoSi相は正方晶C11構造で、MoSi相は正方晶D8構造である。この状態図は共晶系であり、1900℃という非常に高い共晶温度を持っている。

図20は、このMoSi/MoSi二相共晶複相材料のクリープ特性を示す図である。MoSi/MoSi二相共晶複相材料は一方向凝固(DS:Directional Solidification)で作製したものである。縦軸のクリープ特性は1200℃で歪み速度が1×10-6/sとなる応力値である。他のMoSi基複相材料(18at.%SiC、20at.%SiC、30at.%SiC、+WSi)を比較として示す。粉末冶金法(PM:Powder Metallurgy)で作製したMoSi/MoSi合金および他のMoSi基複相材料より優れたクリープ特性を示し、高温ガスタービン材料として使用可能である。(非特許文献1)

図21は二元系MoSi/MoSi二相一方向凝固(DS)共晶合金のクリープ特性を示す図である。二元系MoSi/MoSi二相一方向凝固(DS)共晶合金は、組織が共晶組織(ラビリンス(スクリプトラメラとも言う))であるからラビリンス合金と記載しているが、その耐用温度はNi基超合金よりはるかに高く1400℃を達成する。(耐用温度は、137MPaでクリープ破断が2%塑性歪で生じるとして算出した。)このように、二元系MoSi/MoSi一方向凝固(DS)共晶合金はクリープ特性に関しては、現行のNi基超合金を越える高温材料として使用できる。

産業上の利用分野

本発明は、発電用タービン等の高温で使用する耐熱合金に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
二珪化モリブデン合金(化学式MoSi:以下、化学式で記載)および三珪化五モリブデン合金(化学式MoSi:以下、化学式で記載)を含むモリブデンシリサイド合金において、前記合金中の固溶限が5原子(at.)%以上の不純物元素(グループ1元素(G1元素)と称する)および前記合金中の固溶限が2原子(at.)%以下の不純物元素(グループ2元素(G2元素)と称する)を添加元素として含む、モリブデンシリサイド合金。

【請求項2】
前記モリブデンシリサイド合金はMoSiおよびMoSiの2相共晶合金であることを特徴とする、請求項1に記載のモリブデンシリサイド合金。

【請求項3】
前記G1元素は、MoSiとMoSiとのテラス部における格子ミスフィットを増大させる元素であり、前記格子ミスフィットはテラス部におけるMoSiの(110)面間距離(d110)とMoSiの(002)面間距離(d002)との差であることを特徴とする、請求項1または2に記載のモリブデンシリサイド合金。

【請求項4】
前記G1元素は、Ta、NbおよびWから選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1~3のいずれかの項に記載のモリブデンシリサイド合金。

【請求項5】
前記G2元素は、Ni、Co、BおよびCから選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1~4のいずれかの項に記載のモリブデンシリサイド合金。

【請求項6】
前記G1元素の添加量は、4原子(at.)%~10原子(at.)%の範囲であることを特徴とする、請求項1~5のいずれかの項に記載のモリブデンシリサイド合金。

【請求項7】
前記G2元素の添加量は、0.01原子(at.)%~1.5原子(at.)%の範囲であることを特徴とする、請求項1~6のいずれかの項に記載のモリブデンシリサイド合金。

【請求項8】
前記G1元素およびG2元素を添加したモリブデンシリサイド合金は、一方向凝固装置を用いて、成長速度を制御して作製されることを特徴とする、請求項1~7のいずれかの項に記載のモリブデンシリサイド合金。

【請求項9】
前記一方向凝固装置は浮遊帯域溶融装置であることを特徴とする、請求項1~8のいずれかの項に記載のモリブデンシリサイド合金。

【請求項10】
前記成長速度は2mm/h以上であることを特徴とする、請求項8または9に記載のモリブデンシリサイド合金。

【請求項11】
2珪化モリブデン合金(化学式MoSi:以下、化学式で記載)および3珪化5モリブデン合金(化学式MoSi:以下、化学式で記載)を含むモリブデンシリサイド合金において、前記合金中の固溶限が5原子(at.)%以上の不純物元素(グループ1元素(G1元素)と称する)を添加元素として含むとともに、前記G1元素添加モリブデンシリサイド合金は成長速度が制御された状態で作製されたものであることを特徴とする、モリブデンシリサイド合金。

【請求項12】
前記一方向凝固装置は浮遊帯域溶融装置であり、前記成長速度は5mm/h以上であることを特徴とする、請求項11に記載のモリブデンシリサイド合金。

【請求項13】
前記モリブデンシリサイド合金はMoSiおよびMoSiの2相共晶合金であることを特徴とする、請求項11または12に記載のモリブデンシリサイド合金。

【請求項14】
前記G1元素は、MoSiとMoSiとの格子ミスフィットを増大させる元素であり、
前記格子ミスフィットはMoSiの(110)面間距離(d110)とMoSi)の(002)面間距離(d002)との差であることを特徴とする、請求項11~13のいずれかの項に記載のモリブデンシリサイド合金。

【請求項15】
前記G1元素は、Ta、NbおよびWから選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項11~14のいずれかの項に記載のモリブデンシリサイド合金。

【請求項16】
前記G1元素の添加量は、4原子(at.)%~10原子(at.)%の範囲であることを特徴とする、請求項11~15のいずれかの項に記載のモリブデンシリサイド合金。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
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