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α1マイクログロブリン阻害剤

国内特許コード P200016780
整理番号 5815
掲載日 2020年4月13日
出願番号 特願2017-204960
公開番号 特開2019-077632
出願日 平成29年10月24日(2017.10.24)
公開日 令和元年5月23日(2019.5.23)
発明者
  • 伯野 大彦
出願人
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 α1マイクログロブリン阻害剤
発明の概要 【課題】心血管系疾患の新規予防及び/又は治療剤を提供する。また、心血管系疾患の新規予防及び/又は治療剤の開発のためのスクリーニング方法を提供する。
【解決手段】ヘパトカインの1種であるα1マイクログロブリン(AM)阻害剤を有効成分とする心血管系疾患の予防及び/又は治療剤による。本発明においてAMの心血管系への新規作用として、心線維芽細胞及びマクロファージのAkt、NFκB活性化、マクロファージの遊走促進、細胞接着、催炎症、急性期の線維化修復阻害を有することを確認した。心血管系におけるAMの機能的結合パートナーが細胞膜リン脂質であることも確認した。そこで、AMとの結合パートナーである細胞膜リン脂質とAMとの結合を阻害することで、MI後左室リモデリングの改善や、各種疾患マーカーの発現が改善されることを確認した。
【選択図】図7
従来技術、競合技術の概要

急性心筋梗塞(Acute myocardial infarction:AMI)の死亡率は20%弱であるが、死亡例の約半数は発症数時間以内に集中しており、その多くが重症不整脈によるものである。また梗塞巣が左室心筋の40%を越えると心原性ショックに陥り、死亡率は70~90%にものぼる。従って心筋梗塞発症時の治療の目的は不整脈死を予防し、梗塞巣を最小限にとどめ、ポンプ失調の出現を防ぐことである。特に、発症後6時間以内であれば再潅流療法(PTCR・PCI)等の虚血心筋の救援療法(salvage)により、梗塞範囲の縮小・心破裂などの合併症の発生率を減少させることができるので、迅速な対応が大切である。

心筋梗塞が進行すると、梗塞領域の心筋細胞が壊死・脱落し、コラーゲン線維などの線維組織に置換される。この梗塞領域は収縮力を欠き、心収縮に伴い上昇する心内圧に耐え切れず、線維壁が薄く伸展していく。その結果、機能低下を補うため非梗塞領域において心内腔の肥大が起こり、左室全体が拡張する。この現象は左室リモデリングと呼ばれ、心機能をさらに低下させ、その後の心不全罹患率および死亡率を増加させることが知られている。そのため心筋梗塞の予後改善のためには、できる限り早くから進行中の左室リモデリングを抑制することが重要とされており、有効な治療方法の構築が望まれている。

しかしながら、急性心筋梗塞発症後、心筋壊死を軽減する薬物療法はなく、左室リモデリングの進行を予防する薬物療法は不十分であり、その増悪による心不全の罹患者数は増加の一途である。また、超高齢化社会に伴い、心不全パンデミックが到来したが、その約半数を占める左室収縮能の保たれた心不全(主に拡張性心不全)の予後を改善する薬物療法もないのが現状である。

ヘパトカイン(hepatokine)の1種であるα1マイクログロブリン(α1- microglobulin:以下単に「AM」という場合もある。)は、分子量が約3万の低分子量タンパク質である。α1マイクログロブリン/ビクニン前駆体(AMBP)は、肝臓で合成され分泌される高度に保存された糖タンパク質である(非特許文献1)。 肝臓から分泌されたのちAMは血清、単球、滑膜液、脳脊髄液、腸、腎臓、脳、心臓、皮膚、肝臓などに広く分布し、腎臓から排泄される(非特許文献1)。AMは機能的にはヘム結合抗酸化タンパク質であり、培養細胞におけるヘム誘発細胞内酸化を阻害し、例えばヘモグロビン又はヘム誘導性ラット腎臓傷害及び子癇前症モデルにおける構造的損傷を減少させる作用を有することが報告されている。しかし近年の研究では、AMが非ヘム誘発傷害を軽減しないだけでなく、in vitro及びin vivoの両方で腎障害を悪化させるので、AMが普遍的な抗酸化剤として有用であることが疑問視されている(非特許文献2)。心血管系におけるAMの作用について示す報告はない。

産業上の利用分野

本発明は、α1マイクログロブリン阻害剤を有効成分とする心血管系疾患の治療剤及び/又は予防剤に関する。さらに本発明は、心血管系疾患の新規治療剤及び/又は予防剤のスクリーニング方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
α1マイクログロブリンと細胞膜リン脂質の結合阻害剤。

【請求項2】
α1マイクログロブリンと細胞膜リン脂質の結合阻害剤を有効成分とする、心血管系疾患の治療剤及び/又は予防剤。

【請求項3】
α1マイクログロブリン阻害剤を有効成分とする、心血管系疾患の治療剤及び/又は予防剤。

【請求項4】
α1マイクログロブリン阻害剤が、免疫学的α1マイクログロブリン阻害剤、α1マイクログロブリン発現抑制剤、である、請求項3に記載の心血管系疾患の治療剤及び/又は予防剤。

【請求項5】
細胞膜リン脂質阻害剤を有効成分とする、心血管系疾患の治療剤及び/又は予防剤。

【請求項6】
細胞膜リン脂質阻害剤が、免疫学的細胞膜リン脂質阻害剤である、請求項5に記載の心血管系疾患の治療剤及び/又は予防剤。

【請求項7】
細胞膜リン脂質阻害剤が、細胞膜リン脂質合成阻害剤である、請求項5に記載の心血管系疾患の治療剤及び/又は予防剤。

【請求項8】
細胞膜リン脂質合成阻害剤が、細胞膜リン脂質合成酵素阻害剤である、請求項7に記載の心血管系疾患の治療剤及び/又は予防剤。

【請求項9】
細胞膜リン脂質がフォスファチジン酸である、請求項5~8のいずれかに記載の心血管系疾患の治療剤及び/又は予防剤。

【請求項10】
細胞膜リン脂質合成酵素阻害剤が、フォスファチジン酸合成酵素阻害剤である、請求項8に記載の心血管系疾患の治療剤及び/又は予防剤。

【請求項11】
細胞膜リン脂質合成酵素阻害剤が、ジアシルグリセロールキナーゼ阻害剤である、請求項8に記載の心血管系疾患の治療剤及び/又は予防剤。

【請求項12】
心血管系疾患が、急性心筋梗塞、左室リモデリング、左室収縮能の保たれた心不全、動脈硬化、大動脈弁狭窄症より選択される1又は2以上の疾患である、請求項2~11のいずれかに記載の心血管系疾患の治療剤及び/又は予防剤。

【請求項13】
α1マイクログロブリンを含む心筋細胞の培養系に候補化合物を加えて培養し、α1マイクログロブリンの作用及び/又は細胞膜リン脂質合成量を確認することを特徴とする、心血管系疾患の治療剤及び/又は予防剤のスクリーニング方法。

【請求項14】
α1マイクログロブリンを含む心筋細胞の培養系に候補化合物を加えて培養し、心血管系疾患マーカーを確認することを特徴とする、心血管系疾患の治療剤及び/又は予防剤のスクリーニング方法。

【請求項15】
候補化合物による、α1マイクログロブリン及び細胞膜リン脂質との相互作用抑制能を確認することを特徴とする、心血管系疾患の治療剤及び/又は予防剤のスクリーニング方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 公開
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