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グラフェンの面積測定方法及びデバイスの製造方法 UPDATE

国内特許コード P200016784
整理番号 5803
掲載日 2020年4月13日
出願番号 特願2017-103007
公開番号 特開2018-197721
出願日 平成29年5月24日(2017.5.24)
公開日 平成30年12月13日(2018.12.13)
発明者
  • 上野 祐子
  • 小川 友以
  • 関 修平
  • 崔 旭鎮
  • 筒井 祐介
  • 櫻井 庸明
  • 酒巻 大輔
  • 竹内 友宏
  • 西山 颯
出願人
  • 日本電信電話株式会社
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 グラフェンの面積測定方法及びデバイスの製造方法 UPDATE
発明の概要 【課題】ミリメートルスケールを超えるサイズのデバイスにおけるグラフェンの被覆面積を種々の固体基板上において短時間で直接的に定量する方法を提供する。
【解決手段】絶縁体基板上に基準グラフェン膜が被覆された試験片を、基準グラフェン膜の面積を異ならせて複数用意する工程と、空洞共振器摂動法により、入射するマイクロ波の周波数と、マイクロ波の反射波の反射強度又は透過波の透過強度との対応関係である共振曲線を求め、共振曲線のピーク値である共振周波数fと、共振曲線の半値幅Δfとから、式Q=f/ΔfによりQ値を求める工程と、Q値の逆数と基準グラフェン膜の面積との対応関係を求める工程と、絶縁体基板上にグラフェン膜が形成された測定対象物について、共振曲線を求め、Q値を求める工程と、対応関係に基づいて、測定対象物が備えるグラフェン膜の面積を求める工程と、を有する。
【選択図】図3
従来技術、競合技術の概要

グラフェンは炭素のsp結合のみから構成される2次元平面状構造を有する炭素同素体である。Novoselovらによる2004年のグラフェンの単離の報告以降、グラフェンは実用化研究において注目を集めている。グラフェンはその2次元構造に由来する特異な電子構造に基づいて、電子及びホールの高い移動度を有する。また、シリコン用のプロセスと共用できるメリットもある。これらのことから、グラフェンはポストシリコンを視野に入れた次世代材料として期待されている。

このように優れた電導特性を有するグラフェンであるが、その作製は必ずしも容易ではない。例えばNovoselovらが報告した方法は、グラファイトを剥離して転写する極めて単純な方法である(非特許文献1)。しかしながらこの方法は、優れた品質のグラフェンを与える一方で、転写の制御性を著しく欠く。また、この方法では、得られるグラフェンのサイズも極めて限定的である。そのため、デバイス作製に必要な歩留まりはまったく期待できない方法であると考えられる。

実用化においては、ウエハスケールの大面積で均一なグラフェンの作製が求められる。これを実現するいくつかの手法が知られている。代表的なものは化学気相成長法(CVD法)である。この方法を用いると、例えば銅箔やニッケル箔、コバルト箔、ルテニウム箔などの金属基板の表面に1層のグラフェンを大面積に成長させることが可能である(非特許文献2、3)。しかし銅箔などは金属であるから、グラフェンのデバイス応用のためには、銅箔などからグラフェンを剥離し、絶縁体基板上に転写するプロセスが必要である。

別の方法として、シリコンカーバイド(SiC)を熱分解する方法がある(非特許文献4)。SiC基板を高温で加熱することによりSiが昇華し、基板表面にグラフェン薄膜が形成される。しかし、この方法で作製したグラフェンをデバイス応用するためには、半導体であるSiC基板とグラフェンとの結合を切断し、絶縁体基板上に転写するプロセスが必要である。
以上のようにグラフェンはその作製法によらず、デバイス応用において基板への転写というプロセスが必要となっている。

グラフェンを絶縁基板に転写する場合、必要箇所に被覆率100%で転写することが理想的である。ここで「被覆率」とは、基板表面の面積における、グラフェンによって被覆されている面積の比率をいう。
例えば、マイクロメートルスケールの局所領域では、100%に近い被覆率を達成することが可能と考えられる。しかし、合成されたグラフェン膜自体に欠陥がある場合がある。また一方で、プロセスにおいてグラフェン膜がダメージを受ける場合や、剥離する場合もある。
これらの理由から、ミリメートルスケールを超えるサイズのデバイスにおける実際の被覆率は100%に達しない場合がほとんどである。被覆率が100%に達しない場合には、被覆率を100%と仮定して電子及びホールの高い移動度を見積もることとなるため、誤差が生じるおそれがある。

よって、実際のデバイスにおいて、グラフェンを有する部材の性能・性質を定量的に見積もるためには、精度よくグラフェンの被覆面積を求める方法が必要となる。以下、グラフェンの被覆面積を単に「被覆面積」と略称することがある。
グラフェンの被覆面積を測定する方法としては、たとえば顕微ラマンイメージングを用いる方法がある(非特許文献5)。ラマンスペクトル法は、グラフェン膜の構造を精密に分析することが可能である。しかし、1回の測定で分析できる面積はレーザースポット径(約1μm)程度であり、測定には1分程度を要する。このため、たとえば10μm四方程度の面積を、レーザースポットを走査してイメージを取得し、グラフェンの被覆面積を求めるためには、1時間~数時間程度も要する。

また原子間力顕微鏡を用いる方法もある。この方法では、厳密には原子・分子の種類を区別することができない。しかし、グラフェンは炭素原子1層(約1nm)の厚さを有するため、被覆箇所と基板が露出している箇所を表面形状イメージから容易に区別できる。この方法では、1回の測定で分析できる面積は、高さ1nmの分解能の条件においては10μm四方程度が限界である。よって、顕微ラマンイメージングや原子間力顕微鏡法を用いてミリメートルスケールを超えるサイズのデバイス全体の被覆面積を正確に見積もることは現実的でなく、いくつかの代表的な測定点から得られるデータを用いて全体の被覆面積を推測することになる。

このほかにラマンスペクトルと光学顕微鏡像を組み合わせて測定する方法がある。光学顕微鏡像はミリメートルスケールを超えるサイズにおいても迅速で簡便な測定が可能である。あらかじめ光学顕微鏡像における特徴的なパターン(濃淡や色の違いなど)を抽出し、各パターンにおける顕微ラマンスペクトルを測定することで、グラフェン膜の状態(膜の有無、重なり等)をパターンと照合することができる。これにより間接的にデバイス全体の被覆面積を見積もることが可能である。しかし、パターンとラマンスペクトルの関連付けを間違えた場合は誤差が大きくなる。また光学顕微鏡像測定においては、特定の基板上(例えばSiOを100nm~300nm程度積層したSi基板)以外では、グラフェンの有無や層数に応じた特徴的なパターン(濃淡や色の違いなど)を得るのが困難であることから、基板材料の選択肢が少ないという課題もある(非特許文献6)。

産業上の利用分野

本発明は、グラフェンの面積測定方法及びデバイスの製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
絶縁体基板上に基準グラフェン膜が被覆された試験片を、前記基準グラフェン膜の面積を異ならせて複数用意する工程と、
複数の前記試験片のそれぞれについて、空洞共振器摂動法により、入射するマイクロ波の周波数と、前記マイクロ波の反射波の反射強度又は透過波の透過強度との対応関係である共振曲線を求め、前記共振曲線のピーク値である共振周波数fと、前記共振曲線の半値幅Δfとから、下記式(1)に従ってQ値を求める工程と、
前記Q値の逆数と前記基準グラフェン膜の面積との対応関係を求める工程と、
絶縁体基板上にグラフェン膜が形成された測定対象物について、空洞共振器摂動法により前記共振曲線を求め、下記式(1)に従ってQ値を求める工程と、
前記対応関係に基づいて、前記測定対象物が備える前記グラフェン膜の面積を求める工程と、を有するグラフェンの面積測定方法。
【数1】
(省略)

【請求項2】
前記基準グラフェン膜が単層であり、
前記測定対象物のグラフェン膜が単層である請求項1に記載のグラフェンの面積測定方法。

【請求項3】
前記基準グラフェン膜が、2層以上に積層された多層グラフェンであり、
前記測定対象物のグラフェン膜が、2層以上の積層された多層グラフェンである請求項1に記載のグラフェンの面積測定方法。

【請求項4】
絶縁体基板上にグラフェンを配置し、グラフェン膜を製造する工程と、
前記グラフェン膜の面積を、請求項1~3のいずれか1項に記載のグラフェンの面積測定方法により測定する工程と、を有するデバイスの製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
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