TOP > 国内特許検索 > 弦楽器、弦楽器の製造方法及び弦楽器製造装置

弦楽器、弦楽器の製造方法及び弦楽器製造装置

国内特許コード P200016799
掲載日 2020年4月27日
出願番号 特願2009-200679
公開番号 特開2010-085986
登録番号 特許第5632597号
出願日 平成21年8月31日(2009.8.31)
公開日 平成22年4月15日(2010.4.15)
登録日 平成26年10月17日(2014.10.17)
優先権データ
  • 特願2008-224364 (2008.9.2) JP
発明者
  • 横山 幸雄
出願人
  • 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
発明の名称 弦楽器、弦楽器の製造方法及び弦楽器製造装置
発明の概要 【課題】 弦楽器の演奏者の好みや演奏目的等に可及的に応じることのできる弦楽器を提供する。
【解決手段】 積層造形法によって造形した共鳴箱部と、当該共鳴箱部から突き出すネック部と、を含み、当該共鳴箱部の所望領域における材料定数を、当該所望領域に隣接する隣接領域の材料定数と段階的若しくは連続的に異ならせてある。部分的な材料定数の異なりによって、その楽器の振動特性を変化させ、もって、演奏者の好みや演奏目的等に応じることの弦楽器を提供する。
【選択図】図5
従来技術、競合技術の概要

図13は、本発明の弦楽器の一例としてのヴァイオリンの構造図である。図13(a)は、ヴァイオリンの正面図であり、図13(b)は、ヴァイオリンの右側面図であり、図13(c)は、図13(b)に示すヴァイオリンのM-M´断面図である。図13(a)、(b)、(c)には、説明を容易にするために、ヴァイオリンの長さ方向を定義する矢印70とヴァイオリンの幅方向を定義する矢印71とヴァイオリンの厚さ方向を定義する矢印72とをそれぞれ描いてある。

本明細書において、ヴァイオリンの各部位の詳細名称は、後述の非特許文献1,2,3,4を参照とする。この図13のヴァイオリン1は、楽器本体4と、装着部材群と、によりその全体が構成されている。楽器本体4は、共鳴箱部2とネック部3とにより概ね構成されている。装着部材群は、楽器本体4の各所に装着される、顎当て5と、テールピース6と、テールガット7と、エンドピン8と、アジャスター9と、駒10と、弦11a,11b,11c,11dと、糸巻き12a,12b,12c,12dと、魂柱13と、から概ね構成されている。共鳴箱部2は、2つのf(エフ)字孔14,15があけられた表板部16と、裏板部17と、表板部16と裏板部17との間に位置する横板部18a,18b,18c,18d,18e,18fと、ブロック19a,19b,19c,19d,19e,19fと、点線(隠れ線)で図示されたサドル20と、バスバー21と、パフリング22a,22b,22c,22d,22e,22fと、ライニング23a,23b,23c,23d,23e,23fと、を具えて一体に造形されている。ブロック19a,19b,19c,19d,19e,19fのうち、ブロック19aを上部ブロックと呼称することがあり、ブロック19dを下部ブロックと呼称することがあり、その他のブロック19b,19c,19e,19fをコーナーブロックと呼称することがある。ネック部3は、ネック50と、指板51と、ナット52と、スクロール53と、糸巻き12a,12b,12c,12dを装着するための8つの穴があけられた糸箱54と、を具えて構成されている。尚、本明細書のネック部、共鳴箱部、楽器本体という呼称は、本発明の説明を容易にするために本発明の発明者が定義したものである。本発明は、音の共鳴の効果等を利用して鳴るヴァイオリン属(ヴァイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスの総称)を含めた弦楽器(アコースティックヴァイオリン等)に関するものである。ギターやウクレレ等の弦を指やピック等で弾く形式の楽器も、本明細書でいう弦楽器に含まれるが、以下の説明はヴァイオリン属の典型例であるヴァイオリンを中心に行う。

従来、ヴァイオリンの楽器本体、特に、共鳴箱部は、大略所定の形状に切り出した木材を、接着剤(ニカワや木工用ボンド等)を使用して貼り合わせて製造される。ヴァイオリン属に属するヴァイオリン以外の弦楽器、すなわち、ビオラとチェロとコントラバスの基本的な構造は、図13に示すヴァイオリンの基本的な構造と大略同じである。標準的寸法のヴァイオリンと、ビオラとチェロとコントラバスとをそれぞれ比較した場合の大きな違いの一つは、寸法の大きさである。

また、積層造形法により弦楽器(電気ギター)のボディ構造を製造する例が、後述の特許文献1に開示されている。特許文献1が開示する上記弦楽器(以下、「従来の弦楽器」という)は、積層造形法の構造を年輪と捕らえこの構造を取り入れた共鳴ボディ構造を備えている。一般的に知られている積層造形法とは異なるが、複数の薄いセラミックの板を重ねて焼成して楽器を製造する例が、後述の特許文献2に開示されている。粉末を原材料としたレーザー焼結で立体構造物を形成する積層造形法において、複数のレーザー照射条件を用いて製造される立体構造物に所望される造形精度を確保し、なおかつこの立体構造物に十分な強度を与えることを可能とする積層造形法は、後述の特許文献3に開示されている。従来の木製ヴァイオリンの詳細な構造や楽器各部位の名称や製造方法は、後述の非特許文献1,2,3,4を参照とする。積層造形法についての一般論は、後述の非特許文献5,6,7等を参照とする。

【特許文献1】
特開2004-69928(段落0007、0008、図2参照)
【特許文献2】
特開昭60-158489
【特許文献3】
特開2003-321704
【非特許文献1】
川上昭一郎,"新技法シリーズ ヴァイオリンをつくる,"美術出版社,1992年8月10日,第2刷.
【非特許文献2】
ヘロン・アレン著,尾久れも奈訳,"バイオリン製造 今と昔 第1部,"文京楽器株式会社 企画部,平成4年7月,第4版.
【非特許文献3】
ヘロン・アレン著,尾久れも奈訳,"バイオリン製造 今と昔 第2部,"文京楽器株式会社 企画部,平成10年2月,第3版.
【非特許文献4】
ヘロン・アレン著,尾久れも奈訳,"バイオリン製造 今と昔 第3部,"文京楽器株式会社 企画部,平成7年10月,初版.
【非特許文献5】
"3次元CAD実践活用法", 日本設計工学会編, コロナ社, 初版第1刷, 2006.8.28, pp.178-190.
【非特許文献6】
今村正人, "ラピッドプロトタイピング, ラピッドツーリング", 日本機会学会誌, Vol.109, No.1054, 2006.9, pp.742-743.
【非特許文献7】
"特集:ラピッドプロトタイピング技術によるデザインの高度化", 日本設計工学会誌, Vol.41, No.12, 2006.12,pp.601-629.
【非特許文献8】
糸川秀夫,"八十歳のアリア",ネスコ,1992年7月5日,第1冊.

産業上の利用分野

本発明は、弦楽器、弦楽器の製造方法及び弦楽器製造装置に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
合成樹脂粉末を光照射により焼結させる積層造形法によって造形した共鳴箱部と、
当該共鳴箱部から突き出すネック部と、を含み、
当該共鳴箱部の三次元所望領域における材料定数を、光照射の条件変化制御によって、当該所望領域に隣接する三次元隣接領域の材料定数と段階的若しくは連続的に異ならせることにより、
振動特性を調整して弦楽器としての性能を調整してある
ことを特徴とする弦楽器。

【請求項2】
前記共鳴箱部が、表板部と、裏板部と、当該表板部と当該裏板部との間に位置する横板部と、を含めて構成してあり、
前記所望領域が、当該表板部若しくは当該裏板部に少なくとも設けてある
ことを特徴とする請求項1記載の弦楽器。

【請求項3】
前記ネック部が、前記積層造形法により前記共鳴箱部と一体に造形してある
ことを特徴とする請求項1又は2記載の弦楽器。

【請求項4】
前記ネック部が、前記積層造形法により前記共鳴箱部と別体に造形してあり、かつ、前記共鳴箱部との間に形成した組合せ部を介して前記共鳴箱部に取り付けてある
ことを特徴とする請求項1又は2記載の弦楽器。

【請求項5】
前記ネック部と前記共鳴箱部の何れか一方若しくは双方が、焼結造形した外形輪郭部と、当該外形輪郭部に密閉された密閉空間部と、を含めて構成してあり、
当該密閉空間部内には、未焼結合成樹脂粉末を残存させてある
ことを特徴とする請求項記載の弦楽器。

【請求項6】
前記ネック部と前記共鳴箱部の何れか一方若しくは双方が、焼結造形した外形輪郭部と、当該外形輪郭部に包囲された空間部と、を含めて構成してあり、
当該外形輪郭部には、当該空間部に残存していた未焼結合成樹脂粉末を排出するための排出孔を少なくとも1個設けてあり、
未焼結合性樹脂粉末を排出した後の当該排出孔は、開口状態を保持、若しくは、閉鎖部材によって閉鎖してある
ことを特徴とする請求項記載の弦楽器。

【請求項7】
前記ネック部が、内部若しくは外部において、又は、内部及び外部において、長手方向に渡り補強部材によって補強してある
ことを特徴とする請求項3乃至何れか記載の弦楽器。

【請求項8】
合成樹脂粉末を光照射により焼結させる積層造形法によって一体造形した共鳴箱部と、当該共鳴箱部から突き出すネック部とを含む弦楽器の製造方法において、
三次元所望領域における材料定数を、光照射の条件変化制御によって、当該所望領域に隣接する三次元隣接領域の材料定数と段階的若しくは連続的に異ならせることにより、振動特性を調整して弦楽器としての性能を調整しながら共鳴箱部を造形する共鳴箱部造形工程と、
当該共鳴箱部造形工程と並行して、若しくは、前後してネック部を製造するネック部製造工程と、
共鳴箱部造形工程で造形した共鳴箱部に、ネック部を取り付けるネック部取付工程と、
を含む
ことを特徴とする弦楽器の製造方法。

【請求項9】
前記ネック部を、前記積層造形法によって造形する
ことを特徴とする請求項記載の弦楽器の製造方法。

【請求項10】
前記ネック部と前記共鳴箱部の何れか一方若しくは双方は、焼結造形した外形輪郭部と、当該外形輪郭部に密閉された密閉空間部と、に分けて造形し、
当該密閉空間部内には、未焼結合成樹脂粉末を残存させる
ことを特徴とする請求項記載の弦楽器の製造方法。

【請求項11】
前記ネック部と前記共鳴箱部の何れか一方若しくは双方は、焼結造形した外形輪郭部と、当該外形輪郭部に包囲された空間部と、に分けて造形し、
当該外形輪郭部には、当該空間部に残存していた未焼結合成樹脂粉末を排出するための排出孔を少なくとも1個設け、
未焼結合性樹脂粉末を排出した後の当該排出は、開口状態を保持、若しくは、閉鎖部材によって閉鎖する
ことを特徴とする請求項記載の弦楽器の製造方法。

【請求項12】
請求項乃至1何れか記載の弦楽器の製造方法を実施するための弦楽器製造装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2009200679thum.jpg
出願権利状態 登録


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close