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ピロール-イミダゾールポリアミド化合物群を用いた内在性制御因子のスクリーニング方法 NEW

国内特許コード P200016805
整理番号 5746
掲載日 2020年5月8日
出願番号 特願2017-100814
公開番号 特開2018-191617
出願日 平成29年5月22日(2017.5.22)
公開日 平成30年12月6日(2018.12.6)
発明者
  • 杉山 弘
  • 上久保 靖彦
出願人
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 ピロール-イミダゾールポリアミド化合物群を用いた内在性制御因子のスクリーニング方法 NEW
発明の概要 【課題】癌等の各種疾患の発症や細胞分化に関連する遺伝子群の発現をより上流で制御する内在性制御因子を効率的に同定する方法を開発すること。
【解決手段】1)遺伝子発現を活性化する物質または遺伝子発現を抑制する物質と複合体を形成しており且つDNA配列を認識して該DNA配列に結合することができる、ピロール-イミダゾールポリアミド化合物群に含まれるポリアミド化合物で細胞を処理する工程、2)工程1)の処理によって細胞応答をもたらすポリアミド化合物を前記ピロール-イミダゾールポリアミド化合物群の中から選択する工程、および3)工程2)で選択された前記ポリアミド化合物が認識するDNA配列に基づいて、該細胞応答に関連する内在性制御因子を同定する工程を含む、内在性制御因子のスクリーニング方法が提供される。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要

癌等の疾患を制御する分子標的薬は、疾患細胞上にある特定の細胞表面抗原、レセプター、シグナル伝達因子等に作用するが、その特定分子の変異等による耐性出現が問題となる。そこで、疾患関連因子群の機能発現をより上流で束ねて制御するような転写制御因子等の内在性制御因子の同定が、耐性が出現しにくい革新的な分子標的薬の研究開発において極めて有望であると考えられる。しかし、このような内在性制御因子の同定は、通常、網羅的な遺伝学的スクリーニングと最先端の遺伝子発現解析技術等の手法を駆使して行われ、手間が掛かる上に、困難を伴う場合が多い。例えば、ある制御因子にパラログが存在している場合、当該パラログが相補的に機能する可能性もあり、その場合には、RNAi等での遺伝学的スクリーニングによって当該制御因子を同定することは極めて困難となる。また、従来の網羅的な遺伝学的スクリーニング法は、変異解析に負うところが大きく、変異が存在していない場合に制御因子を同定することはほぼ不可能である。最先端の遺伝子発現解析技術等でも、その多彩な遺伝子変化パターンにより、実際に疾患特性を担う重要な制御因子を抽出することは極めて困難である。

一方、ピロール-イミダゾールポリアミド(以下、「PIポリアミド」と略す)は、合成オリゴマーであり、ヘアピン連結によって対面するN-メチルピロール(P)およびN-メチルイミダゾール(I)対により、DNAの副溝内に結合して特定の配列を認識することが知られている。PIポリアミドは、P/I対がC・G塩基対を、P/P対がA・TまたはT・A塩基対を、I/P対がG・C塩基対を認識し、これにより任意の二重鎖DNA配列に特異的に結合することができる。したがって、分子構造内にN-メチルピロールおよびN-メチルイミダゾールを適切に配置することによって、PIポリアミドの塩基配列特異性を任意に設計することができる。

PIポリアミドは、その比較的大きい分子量にもかかわらず、細胞膜透過性であり、細胞の核に局在し、ナノモルレベルで内在性遺伝子発現に影響を及ぼす。標的遺伝子に結合したPIポリアミドは、転写因子のDNAへの結合を阻害し、特定の遺伝子発現を制御する人工遺伝子スイッチとして研究されている。近年の研究では、強力なヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤であるスベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)とコンジュゲートしたPIポリアミドが合成された(非特許文献1、非特許文献2)。該SAHAコンジュゲートPIポリアミドは、標的遺伝子の調節領域のアセチル化により、該標的遺伝子の発現を特異的にアップレギュレートすることができる。また、ナイトロジェンマスタード系アルキル化剤であるクロラムブシル(chlorambucil)をPIポリアミドにコンジュゲートすることにも成功した(非特許文献3、非特許文献4)。該コンジュゲートは、ゲノム配列に対する結合能を強化しており、標的遺伝子発現の強力なダウンレギュレーションをもたらすことが分かった。さらに、非特許文献1では、SAHAとコンジュゲートしたPIポリアミドのライブラリーを用いてヒト皮膚繊維芽細胞を処理して、SAHA単独では効果がないが、当該コンジュゲートによって転写が活性化される遺伝子をスクリーニングする研究が報告されている。

産業上の利用分野

本発明は、ピロール-イミダゾールポリアミド化合物群を用いて疾患等の内在性制御因子をスクリーニングする方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
1)遺伝子発現を活性化する物質または遺伝子発現を抑制する物質と複合体を形成しており且つDNA配列を認識して該DNA配列に結合することができる、ピロール-イミダゾールポリアミド化合物群に含まれるポリアミド化合物で細胞を処理する工程、
2)工程1)の処理によって細胞応答をもたらす前記ポリアミド化合物を前記ピロール-イミダゾールポリアミド化合物群の中から選択する工程、および
3)工程2)で選択された前記ポリアミド化合物が認識するDNA配列に基づいて、該細胞応答に関連する内在性制御因子を同定する工程
を含む、内在性制御因子のスクリーニング方法。

【請求項2】
前記ピロール-イミダゾールポリアミド化合物群は、遺伝子発現を活性化する物質と複合体を形成している活性化ポリアミド化合物および遺伝子発現を抑制する物質と複合体を形成している抑制化ポリアミド化合物を含み、
前記工程2)において、相反する細胞応答をもたらし且つ同一のDNA配列を認識して該DNA配列に結合することができる前記活性化ポリアミド化合物および前記抑制化ポリアミド化合物を前記ピロール-イミダゾールポリアミド化合物群の中から選択する、
請求項1記載の方法。

【請求項3】
前記相反する細胞応答をもたらし且つ同一のDNA配列を認識して該DNA配列に結合することができる前記活性化ポリアミド化合物および前記抑制化ポリアミド化合物が、互いに共通するDNA配列認識部分を有する、請求項2に記載の方法。

【請求項4】
前記工程3)において、前記工程2)で選択されたポリアミド化合物が認識するDNA配列と、前記工程1)に供した細胞の遺伝子発現プロファイルから、該細胞応答に関連する内在性制御因子を同定する、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。

【請求項5】
前記細胞応答が、細胞生存率、細胞増殖率、疾患関連遺伝子もしくは疾患関連タンパク質の発現レベル、または分化マーカー遺伝子もしくは分化マーカーの発現レベルの増加または減少、あるいは細胞形態上の変化である、請求項1~4のいずれか1項記載の方法。

【請求項6】
前記細胞が疾患細胞または幹細胞である、請求項1~5のいずれか1項記載の方法。

【請求項7】
前記工程3)において、細胞の増殖、疾患関連遺伝子または遺伝子群の発現、または分化関連遺伝子または遺伝子群の発現を制御する内在性制御因子が同定される、請求項1~6のいずれか1項記載の方法。

【請求項8】
疾患または細胞分化を制御する因子をスクリーニングするための、請求項1~7のいずれか1項記載の方法。

【請求項9】
前記内在性制御因子がシスエレメントまたはトランス制御因子である、請求項1~8のいずれか1項記載の方法。

【請求項10】
前記遺伝子発現を活性化する物質がヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であり、前記遺伝子発現を抑制する物質がアルキル化剤である、請求項1~9のいずれか1項記載の方法。

【請求項11】
前記疾患が、癌、神経変性疾患、代謝内分泌系疾患、またはウイルス感染症である、請求項5~10のいずれか1項記載の方法。

【請求項12】
遺伝子発現を活性化する物質がコンジュゲートされたピロール-イミダゾールポリアミド化合物群からなるライブラリー、および遺伝子発現を抑制する物質がコンジュゲートされたピロール-イミダゾールポリアミド化合物群からなるライブラリーを含む、2以上のピロール-イミダゾールポリアミド化合物ライブラリーのセットであって、該ピロール-イミダゾールポリアミド化合物群が該2以上のライブラリー間で共通するDNA配列認識部分のパターンを含む、セット。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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