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工作機械の幾何誤差測定方法

国内特許コード P200016816
整理番号 5634
掲載日 2020年5月8日
出願番号 特願2017-020876
公開番号 特開2018-128328
出願日 平成29年2月8日(2017.2.8)
公開日 平成30年8月16日(2018.8.16)
発明者
  • 茨木 創一
  • 洪 策符
  • 西川 静雄
  • 下池 昌広
出願人
  • 国立大学法人京都大学
  • DMG森精機株式会社
発明の名称 工作機械の幾何誤差測定方法
発明の概要 【課題】主軸を回転させた状態で、回転軸の幾何誤差を測定することができる測定方法を提供する。
【解決手段】物体を非接触状態で検出する検出装置40をテーブル上に固定した後、主軸8に工具Tを保持させ、回転させた状態で、検出装置40によって検出される、工具TのX軸,Y軸及びZ軸を座標軸とした三次元空間内における検出位置を認識する。次に、回転送り装置により主軸とテーブルとを回転軸回りに予め設定した角度だけ相対的に回転させるとともに、回転後に検出装置40によって検出される工具Tの三次元空間内における検出位置を認識する。ついで、認識された三次元空間内における各検出位置を基に、回転送り装置に係る回転軸の幾何誤差を算出する。
【選択図】図2
従来技術、競合技術の概要

近年、工作機械の分野では、相互に直交する直進3軸方向の送り装置であるX軸送り装置、Y軸送り装置及びZ軸送り装置に加えて、主軸とテーブルとを相対的に回転させる2つの回転送り装置を備えた所謂5軸工作機械が多く用いられるようになってきている。

この5軸工作機械は、複雑な加工を行うことができるという利点を有する反面、単純な直進3軸の工作機械に比べて高い加工精度が得られ難いという一面を有する。その原因の一つとしては、5軸工作機械は直進3軸に加えて2つの回転軸を有し、しかも各軸が直列に繋がった構成を備えているため、各軸の組み立て誤差、即ち、各軸の取り付け位置及び向きに係る誤差が累積的に積み重なって大きな誤差になるものと考えらえる。また、5軸工作機械はこのような機械構造を有するものであるため、熱変形や経年変化の影響を受け易く、このことも一因であると考えられる。

そこで、前記X軸送り装置、Y軸送り装置及びZ軸送り装置の送り精度や各送り軸の幾何誤差、並びに各回転送り装置の送り精度やその回転軸の幾何誤差を機上で測定する試みがなされている。特に、回転軸の幾何誤差の測定については、近時、鋭意研究がなされているところであり、その一つとして、下記非特許文献1に開示される測定方法が提案されている。尚、前記幾何誤差とは、各送り軸及び回転軸に係る軸平均線の位置及び向きの誤差を意味し、ISO 230-7:2015に規定される「location errors」に相当するものである。

この非特許文献1に開示された測定方法は、伸縮可能なバーの両端にそれぞれボールを備えた所謂ダブルボールバーを用いるものである。具体的には、一方のボール側をテーブルに装着し、他方のボール側を工作機械の主軸に装着した状態で、前記回転軸を中心にテーブルを回転させるとともに、これと同期させて、直進送り軸により前記主軸を前記バーの長さが理論上変化しないように3次元空間内で移動させ、そのときのバーの伸縮量を測定する。そして、得られた測定値、及び所定の理論計算式を基に、前記回転軸の幾何誤差を算出する。

この他、被加工物の形状を計測するためのタッチプローブを用いて、前記回転軸の幾何誤差を測定する方法も、従来、提案されている。

産業上の利用分野

本発明は、工作機械の幾何誤差を測定する方法に関し、特に、主軸とテーブルとを相対的に回転させる回転送り装置について、その回転軸に係る幾何誤差を測定する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
工具を保持して回転させる主軸と、
ワークが取り付けられるテーブルと、
前記主軸とテーブルとを、前記主軸の軸線に平行なZ軸、該Z軸に直交するX軸、並びに前記X軸及びZ軸に直交するY軸の直交3軸方向にそれぞれ相対的に移動させるZ軸送り装置,X軸送り装置及びY軸送り装置と、
前記主軸とテーブルとを相対的に回転させる少なくとも一つの回転送り装置と、
前記X軸送り装置,Y軸送り装置,Z軸送り装置及び回転送り装置をそれぞれ数値制御する数値制御装置とを備えた工作機械の、前記回転送り装置に係る回転軸の幾何誤差を測定する方法であって、
物体を非接触状態で検出する検出装置を前記テーブル上に固定した後、
前記主軸に工具を保持させ、回転させた状態で、前記検出装置によって検出される前記工具の、前記X軸,Y軸及びZ軸を座標軸とした三次元空間内における検出位置を認識し、
次に、前記回転送り装置により前記主軸とテーブルとを相対的に前記回転軸回りに予め設定した角度回転させるとともに、回転後に前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
ついで、認識された前記三次元空間内における各検出位置を基に、前記回転送り装置に係る前記回転軸の幾何誤差を算出するようにしたことを特徴とする工作機械の幾何誤差測定方法。

【請求項2】
前記工作機械は、前記回転送り装置として、前記テーブル上面に直交し、且つ前記Z軸と平行なC軸を前記回転軸として前記テーブルを回転させるC軸送り装置を備えており、
前記検出装置として、レーザ光を照射し、物体によってレーザ光が遮られたとき当該物体を検知するように構成された検出装置を用い、該検出装置をそのレーザ光が前記テーブル上面と平行になり、且つ前記X軸又はY軸と平行になるように前記テーブル上に固定した後、
前記主軸に工具を保持させ、回転させた状態で、前記レーザ光が前記X軸又はY軸と平行になる回転位置に前記テーブルが在るときに、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
前記C軸送り装置により前記テーブルをC軸回りの一方向に90°回転させた回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
前記C軸送り装置により前記テーブルを更に前記一方向に90°回転させた回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識するとともに、
前記C軸送り装置により前記テーブルを更に前記一方向に90°回転させた回転位置において、前記検出置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
この後、認識された前記三次元空間内における4つの検出位置を基に、前記C軸送り装置に係る前記C軸の幾何誤差を算出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の工作機械の幾何誤差測定方法。

【請求項3】
前記工作機械は、前記回転送り装置として、前記テーブル上面及び前記Y軸と平行なB軸を前記回転軸として前記テーブルを回転させるB軸送り装置を備えており、
前記検出装置として、レーザ光を照射し、物体によってレーザ光が遮られたとき当該物体を検知するように構成された検出装置を用い、該検出装置をそのレーザ光が前記B軸と平行になるように前記テーブル上に固定した後、
前記主軸に工具を保持させ、回転させた状態で、上面が前記Z軸と直交する回転位置に前記テーブルが在るときに、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識するとともに、
前記B軸送り装置により、前記テーブルを、その上面が前記Z軸と直交する回転位置から、B軸回りの一方向に90°回転させた回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
ついで、認識された前記三次元空間内における2つの検出位置を基に、前記B軸送り装置に係る前記B軸の幾何誤差を算出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の工作機械の幾何誤差測定方法。

【請求項4】
更に、前記B軸送り装置により、前記テーブルを、その上面が前記Z軸と直交する回転位置から、前記一方向とは逆の方向に90°回転させた回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
この後、認識された前記三次元空間内における3つの検出位置を基に、前記B軸送り装置に係る前記B軸の幾何誤差を算出するようにしたことを特徴とする請求項3記載の工作機械の幾何誤差測定方法。

【請求項5】
前記工作機械は、前記回転送り装置として、前記テーブル上面及び前記Y軸と平行なB軸を前記回転軸として前記主軸を回転させるB軸送り装置を備えており、
前記検出装置として、レーザ光を照射し、物体によってレーザ光が遮られたとき当該物体を検知するように構成された検出装置を用い、該検出装置をそのレーザ光が前記B軸と平行になるように前記テーブル上に固定した後、
前記主軸に工具を保持させ、回転させた状態で、前記主軸の軸線が前記テーブル上面と直交する回転位置に該主軸が在るときに、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識するとともに、
前記B軸送り装置により、前記主軸を、その軸線が前記テーブル上面と直交する回転位置から、B軸回りの一方向に90°回転させた回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
ついで、認識された前記三次元空間内における2つの検出位置を基に、前記B軸送り装置に係る前記B軸の幾何誤差を算出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の工作機械の幾何誤差測定方法。

【請求項6】
更に、前記B軸送り装置により、前記主軸を、その軸線が前記テーブル上面と直交する回転位置から、前記一方向とは逆の方向に90°回転させた回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
この後、認識された前記三次元空間内における3つの検出位置を基に、前記B軸送り装置に係る前記B軸の幾何誤差を算出するようにしたことを特徴とする請求項5記載の工作機械の幾何誤差測定方法。

【請求項7】
前記工作機械は、前記回転送り装置として、Y軸-Z軸平面内で該Y軸及びZ軸に対して45°の角度で交わるD軸を前記回転軸として前記テーブルを回転させるD軸送り装置を備えており、
前記検出装置として、レーザ光を照射し、物体によってレーザ光が遮られたとき当該物体を検知するように構成された検出装置を用い、上面が前記Z軸と平行になる回転位置に前記テーブルが在るときに、レーザ光が前記Y軸及びZ軸と直交した状態となるように、前記検出装置を前記テーブル上に固定した後、
前記主軸に工具を保持させ、回転させた状態で、前記テーブル上面が前記Z軸と直交する回転位置に該テーブルが在るときに、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識するとともに、
前記D軸送り装置により、前記テーブルを、その上面が前記Z軸と直交する回転位置から、D軸回りの一方向に180°回転させた、前記上面が前記Z軸と平行となる回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
ついで、認識された前記三次元空間内における2つの検出位置を基に、前記D軸送り装置に係る前記D軸の幾何誤差を算出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の工作機械の幾何誤差測定方法。

【請求項8】
更に、前記D軸送り装置により、前記テーブルを、その上面が前記Z軸と直交する回転位置から、前記一方向とは逆の方向に180°回転させた、前記上面が前記Z軸と平行となる回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
この後、認識された前記三次元空間内における3つの検出位置を基に、前記D軸送り装置に係る前記D軸の幾何誤差を算出するようにしたことを特徴とする請求項7記載の工作機械の幾何誤差測定方法。

【請求項9】
前記工作機械は、前記回転送り装置として、Y軸-Z軸平面内で該Y軸及びZ軸に対して45°の角度で交わるD軸を前記回転軸として前記主軸を回転させるD軸送り装置を備えており、
前記検出装置として、レーザ光を照射し、物体によってレーザ光が遮られたとき当該物体を検知するように構成された検出装置を用い、該検出装置をそのレーザ光が前記Y軸及びZ軸と直交するように前記テーブル上に固定した後、
前記主軸に工具を保持させ、回転させた状態で、前記主軸の軸線が前記テーブル上面と平行となる回転位置に該主軸が在るときに、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識するとともに、
前記D軸送り装置により、前記主軸を、その軸線が前記テーブル上面と平行となる回転位置から、D軸回りの一方向に180°回転させた、前記軸線が前記テーブル上面と直交する回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
ついで、認識された前記三次元空間内における2つの検出位置を基に、前記D軸送り装置に係る前記D軸の幾何誤差を算出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の工作機械の幾何誤差測定方法。

【請求項10】
更に、前記D軸送り装置により、前記主軸を、その軸線が前記テーブル上面と平行となる回転位置から、前記一方向とは逆の方向に180°回転させた、前記軸線が前記テーブル上面と直交する回転位置において、前記検出装置によって検出される前記工具の前記三次元空間内における検出位置を認識し、
この後、認識された前記三次元空間内における3つの検出位置を基に、前記D軸送り装置に係る前記D軸の幾何誤差を算出するようにしたことを特徴とする請求項9記載の工作機械の幾何誤差測定方法。

【請求項11】
前記検出装置によって検出される前記工具の検出位置を前記数値制御装置から取得するようにしたことを特徴とする請求項1乃至10記載のいずれかの工作機械の幾何誤差測定方法。

【請求項12】
前記検出装置は、前記テーブルと前記主軸が相対移動する動作領域外の待機位置に配設されており、幾何誤差測定時に、前記検出装置を待機位置から前記テーブル上に搬送して固定するようにしたことを特徴とする請求項1乃至11記載のいずれかの工作機械の幾何学誤差測定方法。

【請求項13】
前記工作機械の加工領域内の雰囲気温度、又は前記工作機械の各構成要素の温度を、該工作機械で実行される加工時の温度と見做せる温度に設定した後、前記幾何誤差測定を行うようにしたことを特徴とする請求項1乃至12記載のいずれかの工作機械の幾何誤差測定方法。
国際特許分類(IPC)
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