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繊維強化樹脂組成物、繊維強化成形体及びその製造方法 NEW

国内特許コード P200016879
整理番号 5870
掲載日 2020年5月12日
出願番号 特願2018-117526
公開番号 特開2019-006997
出願日 平成30年6月21日(2018.6.21)
公開日 平成31年1月17日(2019.1.17)
優先権データ
  • 特願2017-122452 (2017.6.22) JP
発明者
  • 矢野 浩之
  • 仙波 健
  • 西岡 聡史
  • 伊藤 彰浩
  • 北川 和男
出願人
  • 国立大学法人京都大学
  • 地方独立行政法人京都市産業技術研究所
  • 日本製紙株式会社
  • 王子ホールディングス株式会社
  • 星光PMC株式会社
発明の名称 繊維強化樹脂組成物、繊維強化成形体及びその製造方法 NEW
発明の概要 【課題】軽量で、且つ強度特性に優れる、繊維強化樹脂組成物、その成形体及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース(MFC)系繊維、(B)無機フィラー及び(C)熱可塑性樹脂を含有する繊維強化樹脂組成物であって、前記(A)化学修飾MFC及び前記(B)無機フィラーが下記(a)及び(b)の要件を満たす繊維強化樹脂組成物:(a)(A)化学修飾MFCが、下式(1):(Lg)Cell-O-R・・・(1)で表される化学修飾セルロース系高分子で構成される繊維のミクロフィブリル化繊維である。(b)(B)無機フィラーが、ガラス繊維、グラスウール、炭素繊維等からなる群から選ばれる1種又は2種以上のフィラーである。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要

地球環境の維持又は改善のために、力学特性及び機能性が確保されると同時に、製造、使用及び廃棄時に人及び環境に負荷の少ない素材の開発が要望されている。

繊維強化樹脂組成物は、金属材料に比べて製造時のエネルギー負荷が小さくまた軽量であることから、金属材料に代えて自動車部品、航空機内部品、家庭用機器、建設材料等の広い分野で使用されてきた。

自動車業界では、地球温暖化対策(炭酸ガス対策)、内燃エンジン搭載車の燃費向上対策、ハイブリッド車並びに電池搭載車のエネルギー効率向上等のために、車体の軽量化が急務である。自動車業界では、従来の鉄鋼製構造体から繊維強化樹脂組成物製の構造体への代替が加速化されている。

このような繊維強化樹脂組成物に使用されるマトリクス樹脂については、種々の樹脂の中でも熱可塑性樹脂が、生産性及び汎用性に優れることからその利用が注目されている。

繊維強化樹脂組成物の成形法として、射出成形法、プレス成形法、RTM(Resin Transfer Molding)法、オートクレーブ法、プリプレグ法等が挙げられる。この中でも射出成形法は、成形速度が高い(生産性が高い)ことから成形工程におけるコストが低く、また複雑な形状の成形が容易であることから、生産性及び製造コストの点で優れている。

このような繊維強化樹脂組成物の構造体(成形体)に用いる繊維には、構造体(成形体)の高剛性、高強度及び耐衝撃性等の性能が要求されることから、ガラス繊維(GF)、炭素繊維(CF)等が幅広く適用されている。しかしながら、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維は、製造時に多大なエネルギーを消費することに加えて、廃棄及びリサイクルシステムが未だ充分には確立されていない。

そこで、更に構造体の軽量化も考えて、これらの無機繊維よりも比重の小さな天然繊維を用いた天然繊維強化樹脂、無機繊維と天然繊維とを併用した繊維強化樹脂組成物等が提案されている。

特許文献1には、微細セルロース繊維又はガラス繊維を含有する樹脂組成物が開示されている。

特許文献2には、炭素繊維及び樹脂を含む複合樹脂組成物が開示され、更に木材繊維、木綿等の天然繊維を複合してもよいことが開示されている。

特許文献3には、ガラス繊維、セルロース及び熱可塑性樹脂からなる組成物が開示されている。

特許文献4には、熱可塑性樹脂と、ガラス繊維1~6重量%と、繊維長が0.3mm以下の植物繊維10~40重量%とを含有する樹脂成形体が開示されている。

特許文献5には、ポリオレフィン、及びガラス繊維に加えて、粒度が約2~500μmの木粉、セルロース繊維、金属粉、酸化物等の群から選択される充填剤を含む複合材料が開示されている。

特許文献6には、炭素繊維、ガラス繊維等の無機繊維、ケナフ、セルロース繊維等の植物系繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリイミド繊維等の合成繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維(フィラー)と生分解性高分子とを混練してなる組成物が開示されている。

特許文献7には、炭素繊維、ケナフ、麻、セルロース系の植物繊維及びバイオマス樹脂を含む繊維強化樹脂成形体が開示され、使用される植物繊維の平均直径は5μm~30μmであることが開示されている。

特許文献8及び9には、ポリアミド11と、シリカ、ウォラストナイト、植物繊維、ガラスフレーク、ガラス繊維、及びタルクからなる群から選択された少なくとも1種類の添加物とからなる植物系樹脂含有組成物が開示されている。

上記特許文献1~9は、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維とセルロース繊維(植物繊維)とを繊維強化樹脂組成物に使用できることを開示している。しかしながら、上記特許文献1~9では、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維とフィブリル化されたセルロース繊維(フィブリル化された植物繊維)とを併用することについて具体的に記載されてもいなければ、その併用により奏される効果についても記載されていない。

特許文献10には、20~79質量%の半芳香族ポリアミド、1~15質量%の少なくとも1つの耐衝撃性改良剤、20~60質量%の炭素繊維、及び0~5質量%の添加剤(ガラス繊維、鉱物粉末等)を含む、ポリアミド成形用組成物が開示されている。しかしながら、特許文献10の組成物は、セルロース系繊維を含有するものではない。

特許文献11には、生物起源の強化材(植物繊維、動物繊維、生物起源のポリマー、生物起源の炭素繊維、生物起源のカーボンナノチューブ等)と芳香族ポリアミドとを含有する組成物が開示され、植物繊維としてセルロースミクロフィブリルを使用した実施例が記載されている。しかしながら、特許文献11には、無機繊維(炭素繊維又はガラス繊維等)とミクロフィブリル化セルロースとを併用した組成物は記載されておらず、また二種の繊維を併用した場合の効果についても記載されていない。

特許文献12及び13には、ガラス繊維、セルロース繊維、炭素繊維及びその組み合わせを含むエポキシ樹脂組成物が開示されている。しかしながら、特許文献12及び13に記載されている発明は、セルロース繊維として、ミクロフィブリル化セルロース又は化学修飾セルロースを使用する技術ではない。

特許文献14は、発明者の中に本発明者が含まれる特許である。特許文献14には、特定の置換度のカルボキシアルキル基で修飾された、ミクロフィブリル化セルロース繊維を含有する、繊維強化熱硬化樹脂が開示されている。

特許文献15は、発明者の中に本発明者が含まれる特許である。特許文献15には、アセチル基で修飾されたミクロフィブリル化セルロース繊維又はミクロフィブリル化リグノセルロース繊維を含有する、繊維強化熱可塑性樹脂が開示されている。

しかしながら、特許文献14及び15には、ガラス繊維又は炭素繊維を含む樹脂組成物について開示されていない。

産業上の利用分野

本発明は、繊維強化樹脂組成物、繊維強化成形体及びその製造方法に関する。

更に詳細には、本発明は、セルロース系繊維及び無機フィラーを含有する繊維強化熱可塑性樹脂組成物、その成形体及びその製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
繊維強化樹脂組成物であって、
当該繊維強化樹脂組成物は、(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維、(B)無機フィラー及び(C)熱可塑性樹脂を含有し、
前記(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維及び前記(B)無機フィラーが下記(a)及び(b)の要件を満たす繊維強化樹脂組成物:
(a)(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維が、
下式(1):
(Lg)Cell-O-R・・・・(1)
〔式中、(Lg)Cell-は、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニンから水酸基を除いた残基を示す。
式中、-O-Rは、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニン中の一部の水酸基の水素原子が置換基Rにより置換されていることを示す。
式中、Rは、炭素数2~4のアシル基、-(CH2)n-1COOH、-CO(CH2)nCOOH、-COCH=CHCOOH、-(CH2)n-1COO-X+、-CO(CH2)nCOO-X+及び-COCH=CHCOO-X+からなる群から選ばれる1種又は2種以上を示し、nは2~4の整数を示す。前記COO-X+は、カルボキシ基が無機又は有機塩の状態になった基を示す。〕
で表される化学修飾セルロース系高分子で構成される繊維のミクロフィブリル化繊維である。
(b)(B)無機フィラーが、ガラス繊維、グラスウール、炭素繊維、ガラス微細粉、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、カオリン及びナノクレイからなる群から選ばれる1種又は2種以上のフィラーである。

【請求項2】
前記(a)要件の式(1)におけるRが、アセチル基、プロピオニル基、カルボキシメチル基、カルボキシメチル基の塩、カルボキシエチル基、カルボキシエチル基の塩、カルボキシエチルカルボニル基、カルボキシエチルカルボニル基の塩、カルボキシビニルカルボニル基、又はカルボキシビニルカルボニル基の塩である、請求項1に記載の繊維強化樹脂組成物。

【請求項3】
前記(a)要件の式(1)におけるRが、アセチル基である請求項1又は2に記載の繊維強化樹脂組成物。

【請求項4】
前記(b)要件の(B)無機フィラーが、ガラス繊維又は炭素繊維である、請求項1~3のいずれかに記載の繊維強化樹脂組成物。

【請求項5】
前記(a)要件の式(1)における(Lg)Cell-が、リグノセルロースを構成する多糖及びリグニンから水酸基を除いた残基である、請求項1~4のいずれかに記載の繊維強化樹脂組成物。

【請求項6】
前記(C)熱可塑性樹脂が、ポリアミド、ポリオレフィン、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリカーボネート-ABSアロイ(PC-ABSアロイ)及び変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂である、請求項1~5のいずれかに記載の繊維強化樹脂組成物。

【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の繊維強化樹脂組成物からなる成形体。

【請求項8】
請求項1~6のいずれかに記載の繊維強化樹脂組成物の製造方法であって、
(i)下式(1):
(Lg)Cell-O-R・・・・(1)
〔式中、(Lg)Cell-は、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニンから水酸基を除いた残基を示す。
式中、-O-Rは、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニン中の一部の水酸基の水素原子が置換基Rにより置換されていることを示す。
式中、Rは、炭素数2~4のアシル基、-(CH2)n-1COOH、-CO(CH2)nCOOH、-COCH=CHCOOH、-(CH2)n-1COO-X+、-CO(CH2)nCOO-X+及び-COCH=CHCOO-X+からなる群から選ばれる1種又は2種以上を示し、nは2~4の整数を示す。前記COO-X+は、カルボキシ基が無機又は有機塩の状態になった基を示す。〕
で表される化学修飾セルロース系高分子からなる化学修飾セルロース系パルプ、
(ii)(B)無機フィラー、及び
(iii)(C)熱可塑性樹脂
を溶融混練することで、(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維、(B)無機フィラー及び(C)熱可塑性樹脂を含有する繊維強化樹脂組成物を製造する方法であり、 前記(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維及び前記(B)無機フィラーが前記(a)及び(b)の要件を満たす繊維強化樹脂組成物の製造方法。

【請求項9】
請求項1~6のいずれかに記載の繊維強化樹脂組成物の製造方法であって、
工程(1):
下式(1):
(Lg)Cell-O-R・・・・(1)
〔式中、(Lg)Cell-は、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニンから水酸基を除いた残基を示す。
式中、-O-Rは、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニン中の一部の水酸基の水素原子が置換基Rにより置換されていることを示す。
式中、Rは、炭素数2~4のアシル基、-(CH2)n-1COOH、-CO(CH2)nCOOH、-COCH=CHCOOH、-(CH2)n-1COO-X+、-CO(CH2)nCOO-X+及び-COCH=CHCOO-X+からなる群から選ばれる1種又は2種以上を示し、nは2~4の整数を示す。前記COO-X+は、カルボキシ基が無機又は有機塩の状態になった基を示す。〕
で表される化学修飾セルロース系高分子からなる化学修飾セルロース系パルプ、及び (C)熱可塑性樹脂を混練する工程、及び
工程(2):
前記工程(1)で得られた混練物と、(B)無機フィラーと熱可塑性樹脂とを含む樹脂組成物とを溶融混練する工程
を含む方法により、(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維、(B)無機フィラー及び(C)熱可塑性樹脂を含有する繊維強化樹脂組成物を製造する方法であり、
前記(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維及び前記(B)無機フィラーが前記(a)及び(b)の要件を満たす繊維強化樹脂組成物の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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