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嫌気性細菌などの細菌と上皮細胞との共培養装置及び共培養方法 外国出願あり

国内特許コード P200016892
整理番号 5450
掲載日 2020年5月14日
出願番号 特願2018-547839
出願日 平成29年10月30日(2017.10.30)
国際出願番号 JP2017039206
国際公開番号 WO2018079793
国際出願日 平成29年10月30日(2017.10.30)
国際公開日 平成30年5月3日(2018.5.3)
優先権データ
  • 特願2016-211626 (2016.10.28) JP
発明者
  • 片山 高嶺
  • 神戸 大朋
出願人
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 嫌気性細菌などの細菌と上皮細胞との共培養装置及び共培養方法 外国出願あり
発明の概要 嫌気性細菌などの細菌と上皮細胞との共培養を行う手段を提供するため、嫌気性細菌などの1種又は複数種の細胞から構成される第1の細胞群を、上皮細胞などの1種又は複数種の細胞から構成される第2の細胞群で形成された細胞層または組織と嫌気条件下で共培養する第1培養槽と、好気状態の培養液を貯留する第2培養槽と、前記第1培養槽と前記第2培養槽とを接続するように配される1又は複数の物質交換構造と、前記物質交換構造の第1培養槽側の表面を覆うように配される前記細胞層または組織と、を有することを特徴とする、1種又は複数種の細胞から構成される第1の細胞群を、それとは異なる1種又は複数種の細胞から構成される第2の細胞群で形成された細胞層または組織と共培養するための培養システムとする。
従来技術、競合技術の概要

腸内細菌は、ヒトや動物の腸内に共生しながら常時存在する細菌類の総称である。腸内細菌の数や種類は大変多く、ヒトにおいては、糞便1gあたり約1000億超もの腸内細菌が存在し、その種類は少なくとも約100種程度はあり、未同定の菌も数多く存在するといわれている。腸内が嫌気性条件下にあることから、それら腸内細菌の多くは嫌気性細菌であると考えられている。

これら腸内細菌は、腸内に存在する様々な物質を吸収し、ヒトや動物にとっては有用な代謝物を腸内へと排出することで、摂取した食物の消化における補助的役割を果たしている。また、腸内細菌は、腸内に常在して安定した腸内細菌叢を構成することで、ヒトや動物の腸内に侵入する外来の病原菌の生育を妨げ、それら病原菌に起因する疾患の発生を防ぐ役割を担っていると考えられている。その一方で、腸内細菌は、その代謝物として、毒性物質や発癌物質などのような、ヒトや動物の生存に悪影響を与える有害物を産生することもある。これら有害物がヒトや動物の腸内に直接作用し、さらには腸から吸収され血流を通じて全身に運搬されて作用すると様々な障害や疾患が引き起こされることなり、ヒトや動物の健康が損なわれてしまう。

このように、腸内に共生する数や種類が様々な腸内細菌と、それら腸内細菌より形成される腸内細菌叢は、ヒトや動物が健康な状態を保ちながら生存し続けるために必須の存在となっているとともに、疾患を引き起こす原因ともなっており、ヒトや動物において、その健康の善し悪しを左右する極めて重要な存在であると考えられている。

一方で、腸内細菌の数や種類、並びに腸内細菌叢の具体的構成は、各個人・個体ごとに異なり、また、同一の個人・個体であっても、食環境や生活環境などの外的要因や体調などの内的要因の変化により、構成する腸内細菌の種類や比率が随時変動するとされている。そのため、腸内細菌叢の具体的構成がヒトや動物の健康状態に及ぼす影響も、日々変化し続けているものと考えられている。

近年、このような腸内細菌や腸内細菌叢の存在とヒトや動物の健康状態に及ぼす影響との関連の重要性が大きな注目を集めている。そして、腸内細菌と腸内細菌叢が有するであろう健康に寄与する要因や健康に悪影響を及ぼす要因を解明し、腸内細菌によるヒトや動物の健康増進と、各種疾患の治療および予防方法の確立を図ろうとする機運が非常に高まっている。そこで、腸内細菌叢の全貌を解明すべく、ヒトや動物の腸内から腸内細菌を採取して単離培養するとともに、種類や特性を同定する試みがなされ、好気性の条件下でも培養可能な一部の腸内細菌については、解析が進められ、腸上皮細胞との共存下における特性の確認試験も行われている。しかし、腸内細菌は、絶対嫌気性である場合が多く、またその半数以上が培養困難であることから、菌の同定や特性の確認が未だなされていないものが多い。そのため、腸内細菌の種類や比率の変動に与える外的要因、内的要因との関係についても、正確に把握されるには至っていない。

そこでまず、腸内細菌が、ほぼ無酸素の絶対嫌気性条件下の腸内にて生息していることを踏まえ、培養液を入れた培養皿を無酸素チェンバー内に保持して腸内の無酸素条件を再現することで、絶対嫌気性である腸内細菌を培養する方法が提案され利用されている。この方法は、培養液中で増殖する一部の腸内細菌には有効である。しかし、この方法では、培養液の組成を菌に合わせて至適化する必要があり、他方、至適化すると一部の種類の腸内細菌のみが増え、腸内細菌叢を構成しているその他の難培養性の嫌気性腸内細菌を同時に増殖させることは困難となるため、改善が求められていた。

そこで、腸内細菌は、腸内にて腸管の上皮細胞と接しながら生存していることを考慮し、腸内細菌を、単に培養液中で培養するのではなく、腸内と同様に、腸管の上皮細胞と共存させるよう、腸管の上皮細胞もしくはそれと同等の細胞による単層膜を作成し、または、細胞培養インサートを用いた細胞培養システムのフィルター上に腸管の上皮細胞もしくはそれと同等の細胞の単層膜を作成したシステムを構築することが試みられた。しかし、腸管の上皮細胞もしくはそれと同等の細胞の単層膜は、無酸素状態にして腸内の環境を再現すると、作成された単層膜における細胞間のタイトジャンクションが1日で壊れ、48時間以内には細胞が死滅し単層膜が剥離してしまうので、腸内細菌を腸管の上皮細胞と共存させて培養することはできない(特許文献1)。

そこで、より天然の腸の状態を模倣するようにして腸上皮細胞と腸内細菌との同時培養を可能とするものとして、一層の腸上皮細胞を備えた多孔膜により上下に分割されたマイクロ流路を有し、該上下に分割されたマイクロ流路に異なる流体供給源から培養液が供給され続けるようにし、マイクロ流路の両側に設けた真空チャンバにより該一層の腸上皮細胞を備えた多孔膜を伸張させるようにした、腸内細菌と腸上皮細胞の培養システムが提案されている(特許文献1)。

産業上の利用分野

本開示は、嫌気性細菌などの細菌と上皮細胞との共培養装置および当該装置を用いた嫌気性細菌などの細菌と上皮細胞との共培養方法に関するものであり、特に、嫌気チェンバー内に静置された状態で嫌気性細菌などの細菌と上皮細胞との共培養を行う培養装置及び当該装置を用いた共培養方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
1種又は複数種の細胞から構成される第1の細胞群を、それとは異なる1種又は複数種の細胞から構成される第2の細胞群で形成された細胞層または組織と共培養するための培養システムであって、
前記第1の細胞群を、前記第2の細胞群で形成された細胞層または組織と嫌気条件下で共培養する第1培養槽と、
好気条件で培養液を貯留する第2培養槽と、
前記第1培養槽と前記第2培養槽とを接続するように配される1又は複数の物質交換構造体であって、その第1培養槽側の表面を覆うように前記細胞層または組織を保持する物質交換構造体と、
を有する、培養システム。

【請求項2】
前記物質交換構造体を除き、前記第2培養槽の内部が閉鎖状態となるように、当該第2培養槽と前記第1培養槽との間で開放されている部分を閉じた状態とし、前記第1培養槽と前記第2培養槽との接続部にガス非透過性の封止部材を備える、請求項1に記載の培養システム。

【請求項3】
前記第2培養槽が、当該第2培養槽において外部に開放されている部分を密封するガス透過性の保湿部材を備え、当該保湿部材で密封された部分の他に外部に開放されてない、請求項1または2に記載の培養システム。

【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の培養システムであって、
前記第1培養槽が、
その内部に複数の部分構造と、
前記物質交換構造体とは別の物質交換構造体と
を備え、
当該部分構造の各々が、培養槽として機能し、
当該部分構造の各々が、前記別の物質交換構造体によって相互に接続され、
当該複数の部分構造のそれぞれが、前記第2培養槽に接続している、培養システム。

【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の培養システムであって、
嫌気チェンバー内の環境に配置して使用される、培養システム。

【請求項6】
第1培養槽と、第2培養槽とを有する、細菌を、上皮細胞から形成される細胞層との共培養を行う培養システムであって、
前記第1培養槽は、その底面に設けられた1又は複数の物質交換構造体と、前記細胞層がその物質交換構造体の頂面を覆うようにして配されたものであり、
前記第2培養槽は、好気条件の培養液を貯留する槽であって、前記第1の培養槽がその槽内に挿入されるための開口部を有し、
前記第1培養槽が前記第2培養槽の開口部から、前記第1培養槽の底面に配された物質交換構造体がその槽に貯留された前記好気条件の培養液に浸漬するよう挿入され、
前記物質交換構造体を除き、前記第2培養槽の内部が閉鎖状態となるように、当該第2培養槽と前記第1培養槽との間で開放されている部分を閉じた状態とし、前記第1培養槽と前記第2培養槽との接続部にガス非透過性の封止部材を備え、
前記第2培養槽の頂面にある外部に開放されている部分を密閉するように設けられるガス透過性の保湿部材を備え、前記第1培養槽が嫌気条件下となる、培養システム。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
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