TOP > 国内特許検索 > クロスバー構造および最適化問題解探索システム

クロスバー構造および最適化問題解探索システム

国内特許コード P200016976
整理番号 3007
掲載日 2020年6月24日
出願番号 特願2017-063895
公開番号 特開2018-166194
出願日 平成29年3月28日(2017.3.28)
公開日 平成30年10月25日(2018.10.25)
発明者
  • 青野 真士
出願人
  • 学校法人慶應義塾
発明の名称 クロスバー構造および最適化問題解探索システム
発明の概要 【課題】ニューラルネットが持つ分類機能と学習機能とを簡便で小型かつ低消費電力の回路を用いて実現するハードウェアの構成を提供する。
【解決手段】固体電解質電極と二つの金属電極との間のnmオーダーの間隙で、金属電極に電圧を印加すると固体電解質電極表面から金属フィラメントが成長することを利用する原子スイッチであり;その原子スイッチでは、固体電解質電極内の金属原子数を一定の値に制限し、固体電解質電極の両表面に成長したフィラメントを構成する原子数の総和を一定にすることで、固体電解質電極に対して、電圧の印加により、一方の金属電極側に新たな金属フィラメントが成長する場合、他方の金属フィラメントは収縮するという綱引き型の動作をする原子スイッチであり;その綱引き型原子スイッチは、並行に並べられた複数の金属電極の層と他の複数の金属電極の層との間に複数の固体電解質電極が並行に並べられた層が挟まれてなるクロスバー構造の結節点において構成されたクロスバー構造。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要

ニューラルネットワークは生物の神経ネットワークの構造と機能を模倣するという観点から生まれた学習アルゴリズムである。ニューラルネットワークにおける学習は、ニューロンと呼ばれる積和演算素子を結合するシナプスの結合強度の係数ベクトルを、入力データと出力データの望ましい対応関係を表現する状態へと収束させる処理である。これを回路として実装する際は、結合強度は設置される抵抗変化素子のコンダクタンスにより表現される。従来、学習処理は外部システムやそこで実行されるソフトウェアを介して行われ、求まった各々の結合強度を事後的に各抵抗変化素子に書き込むことが多い。すなわち、学習処理は回路の外部で行われ、回路は分類処理のためにだけ使用される。このため、回路を組み込まれた機器が外部との通信を介さずにその場でリアルタイムに学習を行うことが要求される応用場面への展開が難しいという問題があった。一方、学習処理を回路の内部で行う技術も少数存在するが、その場合の学習モデルは、「バックプロパゲーション」のように高度な数値計算を要求するものであったために、学習のための回路が複雑化、大規模化してしまうという問題があり、種々の検討がなされている(特許文献1、2および非特許文献1)。

産業上の利用分野

本発明は、原子スイッチを有するクロスバー構造、ならびに学習、組合せ最適化問題および意思決定問題等の最適化問題の解探索システムに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
固体電解質電極と二つの金属電極AおよびBとの間のナノメートルオーダーの間隙において、金属電極に電圧を印加すると固体電解質電極表面から金属原子が析出し金属フィラメントが成長することを利用する原子スイッチであり;
該原子スイッチでは、固体電解質電極内に含まれる金属原子数を一定の値に制限し、電極A側に成長したフィラメントを構成する原子数と電極B側に成長したフィラメントを構成する原子数の総和を一定にすることで、固体電解質電極に対して、金属電極A側または金属電極B側への電圧の印加により、一方の金属電極側に新たな金属フィラメントが成長する場合、他方の金属フィラメントは収縮するという綱引き型の動作をする原子スイッチであり;
該綱引き型原子スイッチは複数の金属電極Aが並行に並べられた層と複数の金属電極Bが並行に並べられた層の間に複数の固体電解質電極が並行に並べられた層が挟まれてなるクロスバー構造の結節点において構成されることを特徴とするクロスバー構造。

【請求項2】
対向する金属電極CおよびDの間のナノメートルオーダーの間隙が固体電解質で充填され、さらに固体電解質中に金属電極Eが設けられ、これらの金属電極に電圧を印加すると固体電解質から金属原子が析出して金属フィラメントが成長することを利用する原子スイッチであり;
該原子スイッチでは、電極Eを取り囲む固体電解質内に含まれる金属原子数を一定の値に制限し、電極Cに成長したフィラメントを構成する原子数と電極Dに成長したフィラメントを構成する原子数の総和を一定にすることで、電極Eに対して、金属電極Cまたは金属電極Dへの電圧の印加により、一方の金属電極側に新たな金属フィラメントが成長する場合、他方の金属フィラメントは収縮するという綱引き型の動作をする原子スイッチであり;
該綱引き型原子スイッチは複数の金属電極Cが並行に並べられた層と複数の金属電極Dが並行に並べられた層の間に複数の固体電解質および金属電極Eが並行に並べられた層が挟まれてなるクロスバー構造の結節点において構成されることを特徴とするクロスバー構造。

【請求項3】
金属電極Fとこれに対向する2つの金属電極G1およびG2との間のナノメートルオーダーの間隙が固体電解質で充填され、金属電極に電圧を印加すると固体電解質電極表面から金属原子が析出し金属フィラメントが成長することを利用する原子スイッチであり;
該原子スイッチでは、固体電解質内に含まれる金属原子数を一定の値に制限し、電極G1に成長したフィラメントを構成する原子数と電極G2に成長したフィラメントを構成する原子数の総和を一定にすることで、電極Eに対して、金属電極G1側またはG2側への電圧の印加により、一方の金属電極側に新たな金属フィラメントが成長する場合、他方の金属フィラメントではフィラメントが収縮するという綱引き型の動作をする原子スイッチであり;
該綱引き型原子スイッチは複数の金属電極G1が並行に並べられた層と複数の金属電極G1およびG2が並行に並べられた層の間に複数の固体電解質が並行に並べられた層が挟まれてなるクロスバー構造の結節点において構成されることを特徴とするクロスバー構造。

【請求項4】
固体電解質電極または固体電解質が硫化物系材料、酸化物系材料または高分子系材料である請求項1~3のいずれか1項に記載のクロスバー構造。

【請求項5】
金属電極A~G2がPt、Cu,Au,TiまたはAgである請求項1~4のいずれか1項に記載のクロスバー構造。

【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のクロスバー構造を用いて最適化問題の解を探索するシステムであり;
金属電極に電圧を印加した際には、固体電解質電極表面、あるいは金属表面で金属フィラメントが成長するが、原子スケールの揺らぎにより金属フィラメントの成長の仕方は確率的なばらつきを持ち、その確率を適切な値に調節可能にすることを前提として;
すべてのクロスバー結節点の綱引き型原子スイッチの金属フィラメント成長状態に応じて、所定の規則に従い、個々の金属フィラメントの成長と収縮を誘導する電圧の印加状態を決定する処理を行い、この処理を反復して適用することにより、確率的な挙動により状態空間の探索が行われ;
最終的に金属フィラメント成長状態が変化しないような平衡状態に達したときに最適化問題の解が得られることを特徴とする最適化問題の解探索システム。

【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載のクロスバー構造を用いて、複数の論理変数(x1~xN)からなる論理式で記述された複数の論理的制約条件をすべて充足できるような論理変数に対する真偽値の割り当てを解とする組合せ最適化問題を最適化問題として解く際に;
各論理変数の真の値(xi=1)と偽の値(xi=0)を、クロスバー結節点の各綱引き型原子スイッチにおいて、それぞれ固体電解質電極の金属電極A側もしくはB側表面、金属電極Eの金属電極C側もしくはD側表面、または金属電極G1もしくはG2表面で金属フィラメントが成長した状態に対応させ;
金属電極に電圧を印加した際には、固体電解質電極表面、あるいは金属表面で金属フィラメントが成長するが、原子スケールの揺らぎにより金属フィラメントの成長の仕方は確率的なばらつきを持ち、その確率を適切な値に調節可能にすることを前提として;
各論理的制約条件に対し、それに関与する論理変数の現時点での真偽値の割り当てによってはその論理的制約条件を充足できないときは、対応する各綱引き型原子スイッチにおいて固体電解質電極の金属電極A側もしくはB側表面、金属電極Eの金属電極C側もしくはD側表面、または金属電極G1もしくはG2表面に形成された金属フィラメントが収縮するように金属電極B側もしくはA側、金属電極D側もしくはC側、または金属電極G2もしくはG1に電圧を印加する処理を行い、この処理を反復して適用することにより、確率的な挙動により状態空間の探索が行われ;
最終的に金属フィラメント成長状態が変化しないような平衡状態に達したときに最適化問題の解が得られることを特徴とする最適化問題の解探索システム。

【請求項8】
請求項1~5のいずれか1項に記載のクロスバー構造を用いて、多層のニューラルネッ
トによる学習を行う際に;
第k層にニューロンがN個あり、第k±1層にニューロンがM個ある二層のオートエンコーダーにおいて、第k層のニューロンは第k±1層のすべてのニューロンに結合されており、このとき結合部の数はN×Mになり、各結合部の正の重み係数Xi,j,+と負の重み係数Xi,j,-を、クロスバー結節点の各綱引き型原子スイッチにおいてそれぞれ金属電極A側またはB側で成長した金属フィラメントの成長高さによって決まるコンダクタンスに対応させ、ここで綱引き型原子スイッチの排他的性質から、各結合部が正の重み係数と負の重み係数を同時にとることはない;
第k層に2値の教師データ(U’1,U’2, …U’N)が与えられており、第k±1層に2値の教師データ(U’N+1,U’N+2,…U’ N+M)が与えられている場合に、オートエンコーダーは、第k層のあるデータが与えられたときに、それらの重み付け線形和に閾値関数fを適用して得られる第k±1層のデータが、第k±1層の教師データと一致するような重み係数行列(X1,N+1,+, X1,N+1,-,…. XN,M,+, XN,M,-)を解として求める処理を行い;
金属電極に電圧を印加した際には、固体電解質電極表面、あるいは金属表面で金属フィラメントが成長するが、原子スケールの揺らぎにより金属フィラメントの成長の仕方は確率的なばらつきを持ち、その確率を適切な値に調節可能にすることを前提として;
第k±1層のニューロンjに対し、それと結合されている第k層のすべてのニューロンiに対する状態値(U1, …Ui, …UN)の重み付け線形和に閾値関数f(x)を適用して得られる値(0または1)
=f(Σi,j,++Xi,j,-
ここで、f(x)=1 (x>θ(閾値)のとき);0(それ以外のとき)
が、教師データU’jと一致しないときは、クロスバー結節点の対応する各綱引き型原子スイッチにおいて固体電解質電極の金属電極A側もしくはB側表面、金属電極Eの金属電極C側もしくはD側表面、または金属電極G1もしくはG2表面で成長した金属フィラメントが収縮するように金属電極B側もしくはA側、金属電極D側もしくはC側、または金属電極G2もしくはG1に電圧を印加することを第k±1層のすべてのニューロンについて反復して適用することにより、確率的な挙動により状態空間の探索が行われ;
最終的に、第k±1層のニューロンのベクトル(UN+1,UN+2, …UN+M)と教師データ(U’N+1,U’N+2, …U’ N+M)がすべて一致するような、重み係数行列(X1,N+1,+, X1,N+1,-,…. XN,M,+, XN,M,-)が解として得られることを特徴とする最適化問題の解探索システム。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2017063895thum.jpg
出願権利状態 公開
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、下記問合せ先にご相談下さい。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close