TOP > 国内特許検索 > 核物質検知装置

核物質検知装置

国内特許コード P200017035
整理番号 14150
掲載日 2020年7月20日
出願番号 特願2018-181563
公開番号 特開2020-051895
出願日 平成30年9月27日(2018.9.27)
公開日 令和2年4月2日(2020.4.2)
発明者
  • 米田 政夫
  • 藤 暢輔
出願人
  • 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
発明の名称 核物質検知装置
発明の概要 【課題】小型の装置を用いて核物質を高精度で検知する。
【解決手段】中性子線源10と試料Sの位置関係は、円板20の回転の位相(角度)で定まる。円板20の回転軸20Aは、モーターで駆動され、この回転はコンピューター40で制御される。コンピューター40には、中性子検出器30の出力も入力する。コンピューター40は、円板20の回転に伴うカウント数の変遷を認識することができる。円板20を回転させることにより、中性子線源10と試料Sとの間の距離が変化し、かつこの動きがこの距離が最小となる状態の前後で対称となるように中性子線源10を移動させ、この際に試料S側から発せられる中性子の中性子検出器30によるカウント数の変遷を検出する。この結果における、距離が最小となる状態の前のカウント数と、距離が最小となる状態の後のカウント数との違いに基づいて、試料Sにおける核物質の存在の有無を認識する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要

核物質(核分裂物質)が発する中性子を認識することによって、核物質を検知する技術が知られている。中性子は物質透過性が高いため、これによって手荷物、コンテナ、車両等の内部に存在する核物質を検知することもできる。図11は、このような核物質検知方法の原理を模式的に説明する図である。

ここでは、容器100の内部に、核物質の存在の有無が検知される対象となる試料Sが収容されている。中性子源110から発せられた中性子線120(一次中性子)は、容器100を透過して試料Sに照射される。これによって、試料S側から発せられる中性子として、一次中性子が試料Sによって散乱された成分である一次中性子成分130と、試料S中に核物質が存在する場合に一次中性子によって核物質が核反応を起こしたために発生した中性子(二次中性子)による二次中性子成分140とが存在する。容器100の外部の中性子検出器150は、一次中性子成分130、二次中性子成分140を共に検出し、特に二次中性子成分140を有意に認識した場合には、試料Sに核物質が存在すると判定することができる。一方、一次中性子成分130は、試料Sにおける核物質の有無に関わらず存在する。なお、図11においては便宜上一次中性子成分130と二次中性子成分140の向きは異なって示されているが、これらが発せられる向きは特に変わらず、実際にはこれらは混在している。

中性子検出器150は、これに入射した中性子を検出することができるが、検出した中性子が一次中性子成分130、二次中性子成分140のどちらであるかを判定することは容易ではない。上記のような二次中性子成分140を認識することにより核物質を検知するための手法として、例えばDDT(Differential Die-Away Technique)法が知られている。DDT法においては、上記の中性子線120として、持続時間の短いパルス(短パルス)状に発せられた中性子線が用いられる。図12は、こうした場合における中性子検出器150のカウント数(対数表示)の時間経過を模式的に示す。この場合においては、中性子線120が制御された短パルス状に発せられれば、一次中性子成分130は、図12においては短い時定数で減衰する破線(1)の成分として観測される。一方、一次中性子による核反応は一次中性子の入射後の一定の時間にわたり発生するため、二次中性子成分140は一次中性子成分130から遅延して検出され、図12においては長い時定数で減衰する点線(2)の成分として観測される。実際にはこの(1)の成分と(2)の成分とは中性子検出器150で区別されずに検出されるため、こうした成分が混在する場合には、実際の検出結果は、図12において(1)と(2)が共に含まれる実線で示されるような特性となる。

実際には図12における(1)の成分の最大強度は(2)の成分の最大強度よりも桁違いに大きいため、特に(2)の成分のみを認識することは一般的には容易ではない。DDT法においては、中性子線120(一次中性子)を短パルス状とし、(1)と(2)における時定数の違いを考慮し、中性子線120がオフとなった後で(1)の成分が十分に減衰した後で支配的となった(2)の成分を検出する。これによって二次中性子成分140を認識することができる。こうした技術は、例えば非特許文献1に記載されている。

ただし、(2)の成分も時間経過と共に指数関数的に減衰するという点は(1)の成分と同様であるため、中性子線120がオフとなってからの時間経過が長くなった場合には、(1)に対する相対的な(2)の成分の検出強度(カウント数)は大きくなるものの、(2)の成分の絶対的な検出強度は大きく減少する。このため、(2)の成分を十分な検出強度で検出するためには、中性子線120(一次中性子)のパルス幅を十分に短く制御することにより(1)の成分が十分早く減衰するようにした上で、比較的短い時間経過の後に検出を行う必要がある。

ただし、電子線やX線等と比べて、中性子を短時間のパルス状に制御して発することは容易ではない。一般的にはこのようにパルス状に制御された中性子線120を発する中性子源としては加速器を用いて中性子を発するものや、より小型の中性子発生管が知られている。しかしながら、加速器は大型かつ非常に高価な設備となるため、この場合には核物質検知装置全体が非常に大型かつ高価となる。中性子発生管は、加速器を用いた場合よりも小型となるが、非常に高価であり、かつパルス形状の中性子線を安定して発生させることは困難である。一方、上記のように手荷物等の内部の核物質の検知を行うための核物質検知装置としては、小型で移動可能であり、かつ安定した測定が可能なものが望ましく、このような中性子源を用いたものは適さない。

このため、特許文献1には、加速器や中性子発生管を利用せずに同様の分析を行う核物質検知装置が記載されている。この装置においては、測定対象となる試料及び中性子検出器は中性子減速材で囲まれる。一方、放射性同位体(Cf-252等)で構成された安価かつ小型の中性子線源が回転する円板に装着され、回転に応じて中性子減速材内部の試料に近接する。この中性子線源は中性子を連続的に発するが、上記の構成により、回転の際に中性子が中性子減速材の内部に留まる時間を例えば1ms程度に制限することができ、前記のパルス状の一次中性子を疑似的に実現することができる。このため、この時間の経過後に中性子検出器で検出された成分は、前記の二次中性子成分140(図12における(2)の成分)となり、この試料における核物質の検知をすることができる。この技術においては、試料を囲む中性子減速材と、回転により移動する中性子線源を用いて上記のような疑似的なパルス状の一次中性子を実現するため、前記のような大型、高価な中性子源を用いた場合と比べて、これによって小型、安価な核物質検知装置を得ることができる。

産業上の利用分野

本発明は、核物質が発する放射線を検出することによって試料中の核物質を検知する核物質検知装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
試料における核物質を検知する核物質検知装置であって、
前記核物質に核反応を発生させる一次放射線を連続的に発する放射線源と、
前記一次放射線が照射された前記試料から発せられた放射線を検出する放射線検出器と、
前記放射線源と前記試料との間の距離が変化し、前記距離の変化に伴って前記放射線検出器の検出強度が極大となる状態の前後で対称となる動きで前記放射線源、前記試料の少なくともいずれかを移動させる移動手段と、
前記試料側から発せられた放射線を検出する放射線検出器と、
前記距離の変動に伴う前記放射線検出器のカウント数の検出結果における、前記検出強度が極大となる状態の前の前記カウント数と、前記検出強度が極大となる状態の後の前記カウント数との間の違いに基づいて、前記核物質の有無又は前記核物質の量を検知する判定手段と、
を具備することを特徴とする核物質検知装置。

【請求項2】
前記判定手段は、
前記検出強度が極大となる状態の後の前記カウント数が、前記検出強度が極大となる状態の前の前記カウント数よりも大きな場合に、前記試料に前記核物質が存在すると認識することを特徴とする請求項1に記載の核物質検知装置。

【請求項3】
前記移動手段は前記放射線源を前記試料に対して移動させ、
前記判定手段は、
前記放射線源の移動速度を変えて前記放射線源の移動に伴う前記検出結果を取得し、前記検出強度が極大となる状態の前の前記カウント数と前記検出強度が極大となる状態の後の前記カウント数を前記移動速度毎に認識し、
前記検出強度が極大となる状態の後の前記カウント数の、前記検出強度が極大となる状態の前の前記カウント数に対する比率が、前記移動速度の上昇に伴って高くなった場合に、前記核物質が存在すると認識することを特徴とする請求項1に記載の核物質検知装置。

【請求項4】
前記移動手段において、前記放射線源が回転体に固定されたことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の核物質検知装置。

【請求項5】
前記検出強度が極大となる状態において、前記距離が極小とされたことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の核物質検知装置。

【請求項6】
前記一次放射線は中性子線であり、前記放射線検出器は中性子を検出することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の核物質検知装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2018181563thum.jpg
出願権利状態 公開
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、下記問合せ先にご相談下さい。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close