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中性子発生装置、中性子発生システム、医療用中性子照射装置、中性子ラジオグラフィ装置、製薬用中性子照射装置 NEW

国内特許コード P200017055
整理番号 S2018-0974-N0
掲載日 2020年7月28日
出願番号 特願2018-165078
公開番号 特開2020-038780
出願日 平成30年9月4日(2018.9.4)
公開日 令和2年3月12日(2020.3.12)
発明者
  • 谷 重喜
出願人
  • 国立大学法人浜松医科大学
発明の名称 中性子発生装置、中性子発生システム、医療用中性子照射装置、中性子ラジオグラフィ装置、製薬用中性子照射装置 NEW
発明の概要 【課題】小型かつ簡単な構成で装置の取扱性にも優れ、水素同位体ガスの無駄を減らして使用量を最小限に抑制できる中性子発生装置の提供。
【解決手段】中性子発生装置21は、炉心ユニット22と格納容器23とを備える。炉心ユニット22は、陽極46を兼ねる真空容器41、中空状の負極42、ガス収容体43、常閉の開放弁44を有する。真空容器41は、減圧状態の内部空間45を有する。負極42は、真空容器41内に配置され高負電圧が印加される。ガス収容空間には水素同位体ガスが充填される。内部空間45とガス収容空間とは流体的に接続される。開放弁44は内部空間45とガス収容空間とを繋ぐ流路55上に設けられ、装置外部から開放操作が可能である。格納容器23は、真空容器41、ガス収容体43、流路55及び開放弁44を全体的に覆うように格納する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要

手術の困難な頭部や臓器内部にできる悪性腫瘍、転移性が高いメラノーマを治療する手法として、中性子捕捉療法(Neutron capture therapy:以下「NCT」)が近年提案されている。NCTは、ホウ素(同位体10B、以下ホウ素と略す。)化合物と中性子との核反応で生じる高LET(Linear Energy Transfer)放射線であるα粒子(ヘリウムイオン)を用いて癌細胞のみを破壊する放射線治療である。ホウ素と中性子との反応で発生するα粒子の組織内での飛程は約10μm~14μmであり、この長さは癌細胞一個の直径にほぼ相当する。このため、癌細胞に特異的に集積するホウ素化合物を用いることにより、癌細胞のみにエネルギーを集中させて癌細胞を選択的に殺傷することが可能な治療が可能であると考えられている。

このようなホウ素中性子捕捉療法(BNCT: Boron Neutron Capture Therapy)は、悪性腫瘍に対する新たな放射線療法として期待されているが、治療技術としてはまだ臨床研究の途上にある。その大きな理由としては、現状では中性子を得るために大型の実験型原子炉や加速器(サイクロトロン)などを用いざるを得なく、他に小型で簡便な中性子発生装置が存在しないことが挙げられる。

従来、小数回(多くは1回)の照射で治療に十分な量の熱中性子や熱外中性子を得るための手段としては、原子炉しか選択肢がなかった。しかし、原子炉施設は本来医療施設として設置されたものではないため、放射線被ばくや安全性の問題もあり、高度な放射線管理が維持されなければならないという特性上の制約があった。このため、患者は不便な場所に造られた原子炉施設までわざわざ赴いて治療を受ける必要があった。それゆえ、BNCTの治療効果を確認することや、厳密な統計学的な臨床治験を行うことが困難な状況にあった。

原子炉を利用したBNCTの困難さを少なくするために代替え利用の目的で考え出されたのが、加速器(サイクロトロン)を利用した治療法である。この加速器も従来は大型であったが、PET検査などの薬剤製造に利用される超小型加速器の登場により、施設規模は100平米にまで縮小されてきている。また、装置の取り扱いも原子炉と比較して簡便化されてきている。しかしながら、加速器の導入はまだ日本の医療施設では数例にとどまっており、殆ど普及していないのが現状である。なお、加速器によるBNCTの検討がされているが、さらなる施設装置の小型化と装置価格とを含めた全般的な治療費の低額化が課題となっている。

そこで近年では、慣性静電封じ込め核融合(IECF: Inertial-Electrostatic Confinement Fusion)を利用した小型の中性子発生装置がいくつか提案されるに至っている(例えば、特許文献1,2を参照)。これらの装置によれば、高電圧印加状態の真空容器内において希薄な重水素ガスをプラズマ化し、重水素原子同士の衝突により核融合反応を誘起することによって、中性子を発生させることができる。従って、これらの装置は、治療に直接必要となる中性子線源として、有効に利用することが可能である。そればかりでなく、これらの装置は、中性子捕捉療法に必要となるホウ素化合物製剤の開発・製造、多くの動物実験を通した新たな知見の集積、癌治療計画の多様化などにも貢献しうると考えられる。

産業上の利用分野

本発明は、中性子発生装置、中性子発生システム、医療用中性子照射装置、中性子ラジオグラフィ装置、製薬用中性子照射装置に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
水素同位体ガス存在下での高電圧印加により核融合反応を誘起して中性子を発生する中性子発生装置であって、
減圧状態の前記水素同位体ガスがあらかじめ充填された内部空間を有するとともに陽極を兼ねる真空容器と、
前記真空容器内に配置され、高負電圧が印加される中空状の負極と
を有する炉心ユニットと、
中性子取出口を有するとともに、前記炉心ユニットのうち少なくとも前記真空容器を全体的に覆うように格納する格納容器と
を備えたことを特徴とする中性子発生装置。

【請求項2】
水素同位体ガス存在下での高電圧印加により核融合反応を誘起して中性子を発生する中性子発生装置であって、
減圧状態または減圧可能な状態の内部空間を有するとともに陽極を兼ねる真空容器と、
前記真空容器内に配置され、高負電圧が印加される中空状の負極と、
ガス収容空間に前記水素同位体ガスがあらかじめ充填され、前記真空容器の前記内部空間と前記ガス収容空間とが流体的に接続されたガス収容体と、
前記内部空間と前記ガス収容空間とを繋ぐ流路上に設けられ、装置外部から開放操作が可能な常閉の開放弁と
を有する炉心ユニットと、
中性子取出口を有するとともに前記炉心ユニットのうち少なくとも前記真空容器、前記ガス収容体、前記流路及び前記開放弁を全体的に覆うように格納する格納容器と
を備えたことを特徴とする中性子発生装置。

【請求項3】
前記ガス収容体は、前記真空容器の外部に配置されるとともに前記真空容器に対して着脱可能に取り付けられたガスカートリッジであることを特徴とする請求項2に記載の中性子発生装置。

【請求項4】
1つの前記格納容器内に前記炉心ユニットが複数収容されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の中性子発生装置。

【請求項5】
前記格納容器は、前記炉心ユニット全体またはその一部を構成する前記ガスカートリッジを出し入れ可能な開閉構造を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の中性子発生装置。

【請求項6】
前記真空容器は、筒体の一方の開口に第1蓋体を溶接接続し、他方の開口に第2蓋体を溶接接続してなるものであり、
前記ガス収容体は、前記真空容器よりも容積が小さく、
前記第1蓋体側から前記負極に繋がる給電構造部が引き出され、前記第2蓋体の外側に前記ガス収容体、前記流路及び前記開放弁が配置されている
ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の中性子発生装置。

【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の中性子発生装置と、
前記負極に高負電圧を印加する高圧電源と、
前記高圧電源と電気的に接続された制御装置と
を備え、前記制御装置は、前記高圧電源を駆動して前記負極に高負電圧を印加することにより、プラズマを発生させる制御を行う
ことを特徴とする中性子発生システム。

【請求項8】
請求項2乃至6のいずれか1項に記載の中性子発生装置と、
前記負極に高負電圧を印加する高圧電源と、
前記高圧電源及び前記開放弁を駆動制御すべくそれらと電気的に接続された制御装置と
を備え、前記制御装置は、
前記開放弁を駆動して開放状態とすることにより、前記流路を介して前記ガス収容体内の前記水素同位体ガスを前記真空容器内に導入させる制御と、
前記高圧電源を駆動して前記負極に高負電圧を印加することにより、プラズマを発生させる制御と
を行う
ことを特徴とする中性子発生システム。

【請求項9】
請求項2乃至6のいずれか1項に記載の中性子発生装置と、
前記負極に高負電圧を印加する高圧電源と、
前記真空容器内の空気を排出するポンプと、
前記高圧電源、前記ポンプ及び前記開放弁を駆動制御すべくそれらと電気的に接続された制御装置と
を備え、前記制御装置は、
前記ポンプを駆動して前記真空容器内を減圧させる制御を行った後、
前記開放弁を駆動して開放状態とすることにより、前記流路を介して前記ガス収容体内の前記水素同位体ガスを前記真空容器内に導入させる制御と、
前記高圧電源を駆動して前記負極に高負電圧を印加することにより、プラズマを発生させる制御と
を行う
ことを特徴とする中性子発生システム。

【請求項10】
前記中性子取出口に設けられ、中性子を検知する中性子センサと、
前記中性子取出口に設けられ、前記中性子取出口から外部に放出される中性子の量を調整するシャッター装置と
をさらに備え、
前記中性子センサ及び前記シャッター装置は、前記制御装置に対してそれぞれ電気的に接続され、
前記制御装置は、前記中性子センサによる中性子の検知結果に基づいて前記シャッター装置の開度を変更する制御を行う
ことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の中性子発生システム。

【請求項11】
前記シャッター装置は、減速材として作用する流体を溜めるための減速材貯留空間を含んで構成されるとともに、前記減速材貯留空間内における前記流体の量を増減することによって開度変更が可能であることを特徴とする請求項10に記載の中性子発生システム。

【請求項12】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の中性子発生装置を備えたことを特徴とする医療用中性子照射装置。

【請求項13】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の中性子発生装置を備えたことを特徴とする中性子ラジオグラフィ装置。

【請求項14】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の中性子発生装置を備えたことを特徴とする、中性子捕捉療法に用いる薬剤を製造するための製薬用中性子照射装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
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