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活性フィラーとして焼成カオリンを配合するジオポリマー高強度硬化体及びその製造方法 UPDATE

国内特許コード P200017080
掲載日 2020年8月3日
出願番号 特願2007-095862
公開番号 特開2008-254939
登録番号 特許第5066766号
出願日 平成19年3月31日(2007.3.31)
公開日 平成20年10月23日(2008.10.23)
登録日 平成24年8月24日(2012.8.24)
発明者
  • 三國 彰
  • 水沼 信
  • 橋本 雅司
  • 斉藤 孝義
  • 小川 友樹
出願人
  • 地方独立行政法人山口県産業技術センター
発明の名称 活性フィラーとして焼成カオリンを配合するジオポリマー高強度硬化体及びその製造方法 UPDATE
発明の概要 【課題】ジオポリマー法により、高強度、多機能な硬化体を得る。
【解決手段】活性フィラーとして850℃~950℃で熱処理した焼成カオリンを配合したフィラーと、ジオポリマーと水とを混合し、成形し、高温で養生することにより、ジオポリマー高強度硬化体を得る。硬化体は、さらに機能性フィラーを配合することにより、脱臭・調湿、VOC吸着機能、光触媒機能、断熱機能、調湿機能を付与できる。
【選択図】図4
従来技術、競合技術の概要

近年の居住環境は断熱性の向上や暖房の設備の充実に伴い、内部結露が発生し、壁材の強度を劣化させ、腐食する場合ある、また、ダニやカビの発生に伴いアレルギー問題が発生している。

このようなことから、建材自体に、調湿機能を持たせ、空調設備や電力を必要とせず、室内の湿度調節を行い,防露性、防カビ性を得ることができる調湿建材の開発が行われている。また建材から発生するVOCの発生からシックハウス症候群の問題からそのような有害な物質を吸着除去する建材も開発が期待されている。

このような建材はすでに開発されているが水熱処理、高温焼成処理することにより得られる建材が主流でコスト高等の問題がある。またケイ酸カルシウム系材料のようにナノメートルオーダーの細孔がなされず湿度が飽和して能力が低下する材料(調湿能力が低い)も多い。またナノメートルオーダーの細孔制御のため製造工程が非常に煩雑な材料が多い。

ジオポリマー法と呼ばれる粉体の硬化技術がある。
ジオポリマー法とは、珪酸の縮重合体を糊のようなバインダーとして利用することにより粉末同士をつなぎ合わせて、人造岩石を造る技術である。珪酸モノマー、すなわちポリマー源として珪酸ナトリウム水溶液(水ガラス)を主体的に使用する。
フィラー粉末が水と接するとフィラー自身から金属が溶出し、特にアルカリ性溶液中では顕著になる。セメントの場合は、クリンカー鉱物から主としてカルシウムが溶出するのと似ているが、ジオポリマーの場合は、主としてアルミニウムが溶出する。カオリンという粘土鉱物を仮焼して得られる脱水カオリン、すなわちメタカオリンはこの溶出が顕著な鉱物である。このように溶出が比較的高いフィラーを活性フィラーと呼ぶ。
活性フィラーにはアルミニウムを溶出するカオリン系フィラーとカルシウムを溶出する微粉炭燃焼ボイラー灰(OF灰)や加圧型流動床灰(PF灰)等が知られている。
活性フィラーから溶出した金属は水ガラス成分を含む水と接すると、珪酸錯体を架橋しポリマー化する。この反応は天然現象でも多く見られ、例えば埋立地の真砂土が硬化したり、窓ガラスに付着した砂塵がなかなか取れないのも同じ理屈である。地殻中の堆積岩の生成機構はまさにジオポリマー反応で、ジオポリマーの語源もこれに由来する。セメントの場合は水の吸収、ジオポリマーの場合は水の蒸発であるから、原理上、両者は逆である。
反面、石英や赤鉄鉱等は溶出がほとんど無く、不活性フィラーと呼び、この場合は反応性がなくいつまでも硬化することはない。

カルシウム系活性フィラー(カルシウムイオンを溶出する。)の場合、常温で作用し、硬化する特徴を有するが、反応に時間がかかると言った欠点がある。
カルシウム系活性フィラーの代表的なものにフライアッシュ(OF灰)がある。 主として塩基性成分であるCaOが水和し、消石灰となり、カルシウムイオンを溶出し、硬化するものである。しかしながら、OF灰は、CaOの含有量が少なく十分に硬化できない。
また加圧型流動床ボイラーを使用している発電所から排出される、加圧型流動床灰(PF灰)がある。加圧型流動床ボイラーは、塊状の石炭と石灰石を同時に混合し、850℃前後の低温で緩やかに循環し燃焼し、SOxは混合した石灰石と反応し、外に出ない構造になっている。循環燃焼中に灰は微粉状態になり、やはりフライアッシュとして回収されている。このフライアッシュは、融点以下で燃焼させるために融解せず角張った外観を呈し、ガラス質物質を含んでおらず、例えば、硬セッコウ(CaSO4)、水酸エレスターダイト(Ca10(SiO4)3(SO4)3(OH)2)、ポートランダイト(Ca(OH)2)を含有しており、フライアッシュと比較して多くのカルシウムイオンを溶出するため、高強度のものが得られる。
これらのカルシウム系フィラーを用いた場合、常温で硬化できるといった特徴を有しているが、その反面、硬化するために非常に長時間を要する。
そのため、収縮率が大きくなるという最大の欠点があり、調湿材料等の機能材を作製する上での最大の欠点となっている。
また、カルシウム系フィラーではアルミニウム系フィラー(アルミニウムイオンを溶出する。)と比較してNaイオンを結晶に取り込む量が少なく、Naイオンを過剰に抱えることができなくなり、再溶出し、強度の劣化や白華現象の原因にもなっている。

アルミニウム系活性フィラーにはメタカオリンがある。メタカオリンはカオリンを仮焼することにより得られる物質であり、アルミニウムを溶出する活性フィラーである。
このフィラーは弱アルカリ溶液中で加熱することで溶出量が増加することは認められているがその溶出量は少ない。
そのため強アルカリを添加する方法が取られている。
しかし、ISO(国際標準化機構、JISの国際版)等の関係でこのような強アルカリを使用する場合、使用条件が限定されてしまう。
またアルカリを使用した場合、アルカリ添加で溶出速度を制御することは困難で成形時に硬化してしまう欠点があり、機能材等を配合し、十分な強度を発現できない等の問題がある。また、多量のメタカオリンを使用しなければならず緻密な硬化体しか得られない欠点がある。
先行特許文献には、次のような技術が開示されている。
特許文献1には、PF灰(加圧流動床ボイラー灰)とOF灰(微粉炭ボイラー灰)とゼオライト粉末と1号珪酸ナトリウムの2倍水希釈液を混合して、室温で成形、養生して硬化すること(実施例1参照)、メタカオリンがアルカリ処理されて人工ゼオライトになること(段落〔0014〕、〔0018〕)が開示されている。

特許文献2には、メタカオリンに機械的エネルギーを作用させて得られる粉体とアルカリ金属珪酸塩と水とを含む組成物を硬化させた後、粉砕して得られる粉体と石膏とに水を混合して硬化した調湿建材が記載され、メタカオリンは、カオリン鉱物を500~900℃で脱水加熱によって得られる旨(特許請求の範囲1-4参照)、また、詳細な説明(段落〔0014〕-〔0016〕)には、次の記載があるが、加熱脱水温度は、600~800℃が好ましいとしている。
(1)加熱脱水工程 本発明において、必要に応じて、無機質粉体を得る工程に先だって、加熱脱水工程を行うことができる。上記加熱脱水工程は、カオリン鉱物を500~900℃で加熱脱水してメタカオリンを得る工程である。
上記工程で用いるカオリン鉱物としては、特に限定されるものではなく、化学式:Al2SiO5(OH)4で表される1:1層状珪酸塩鉱物が用いられる。具体的には、カオリナイト、デッカナイト、ナクライト、ハロイサイト等が挙げられる。
上記工程で用いる加熱温度は、500~900℃であり、600~800℃が好ましい。すなわち、加熱温度が500℃未満では、カオリン鉱物の水酸基が脱離しないのでメタカオリンへの変成が起こらない。一方、加熱温度が900℃を超えると、結晶化がおこりアルカリとの反応性が著しく低下するので、加熱硬化でのゼオライト構造物の生成率が下がる。
【特許文献1】
特開2005-60175号公報
【特許文献2】
特開2005-343751号公報

産業上の利用分野

本発明は、ジオポリマー法により、高強度、多機能な硬化体を得るもので、さらに詳しくは、新規活性フィラーを配合することで高強度の硬化体を作製する技術である。

特許請求の範囲 【請求項1】
活性フィラーとして850℃~950℃で熱処理した焼成カオリンと石膏を配合したフィラーと、ジオポリマーと水とを混合し、成形し、高温で養生することにより硬化して得られることを特徴とするジオポリマー高強度硬化体。

【請求項2】
石膏の成分として、PF灰を用いることを特徴とする請求項1記載のジオポリマー高強度硬化体。

【請求項3】
活性フィラーとして焼成カオリンと石膏を配合したフィラーと、ジオポリマーと水とを混合し、成形し、高温で養生することにより硬化することを特徴とするジオポリマー高強度硬化体の製造方法。

【請求項4】
石膏の成分として、PF灰を用いることを特徴とする請求項3記載のジオポリマー高強度硬化体の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2007095862thum.jpg
出願権利状態 登録


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