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流体の計測方法、計測装置および計測システム

国内特許コード P200017100
整理番号 (S2017-0677-N0)
掲載日 2020年8月4日
出願番号 特願2019-526683
出願日 平成30年5月18日(2018.5.18)
国際出願番号 JP2018019417
国際公開番号 WO2019003715
国際出願日 平成30年5月18日(2018.5.18)
国際公開日 平成31年1月3日(2019.1.3)
優先権データ
  • 特願2017-127827 (2017.6.29) JP
発明者
  • 畔津 昭彦
  • 北嶋 一慶
  • 倉辻 風樹
  • 落合 成行
出願人
  • 学校法人東海大学
発明の名称 流体の計測方法、計測装置および計測システム
発明の概要 流体(23)の流れを可視化する計測方法であって、変異発生光(31)を照射することで光の吸収量が変化するフォトクロミック化合物を流体(23)に溶解する準備工程と、フォトクロミズムを生じさせる変異発生光(31)を流体(23)に照射する変異発生光照射工程と、変異発生光(31)を照射した後の流体(23)の画像を撮影する変異後画像撮影工程と、を有し、前記変異後画像撮影工程では、変異発生光(31)が照射されることによって光の吸収量が変化する第1の波長領域の第1の光を用いて流体(23)を撮影することで第1画像(B)を生成する。
従来技術、競合技術の概要

一般に、機械的な運動を行う場合、互いに摺動する部材間に薄膜を形成して動作を滑らかにする潤滑剤等の流体を介在させている。例えば、ピストン、シリンダ、すべり軸受などでは機械的に円滑に作動させることが要求され、すべり面には潤滑油が入れられる。ピストン、シリンダ、すべり軸受などを円滑に作動するためには、形状、境界面の間隔、潤滑油の量や質などの最適化が必要になる。

従来、ピストン-シリンダ間の油膜の潤滑状態を把握するために、フォトクロミック反応を生じる物質を用いて油膜内流れの可視化を実現する技術が提案されている(非特許文献1参照)。
フォトクロミック反応とは、紫外光などの光を特定の物質に照射することにより当該物質の色素の分子構造を変化させ、それに伴って吸収スペクトルが変化する現象である。つまり、色素の分子構造を変化する前の物質は吸収スペクトルが無いため、光を照射しても着色されないが、色素の分子構造が変化した物質は特定の波長領域の光を照射すると、光を吸収して着色する。

非特許文献1に記載される技術では、潤滑油(エンジンオイル)にフォトクロミック化合物を含有し、フォトクロミック化合物の色素の分子構造を変化させるための光(例えば、紫外光)をエンジンオイルに照射し、色素の分子構造が変化した部分を時間経過と共に撮影する。ここで、潤滑油の撮影は、観測用の照明光(例えば、白色光)を照射した状態でカメラを用いて行われる。

観測用の照明光を測定部のエンジンオイルに当てることによりエンジンオイルからの反射光(厳密にはエンジンオイルを透過し背面のエンジンから反射してくる光)を得られるが、この反射光は、フォトクロミズムにより吸収スペクトルが変化した影響で、吸収された波長域では反射光強度が低下する。その為、時間経過と共に反射光強度の結果を撮影し、撮影した撮影画像を解析することでエンジンオイルが流れる様子が分かる。
ここで、光の吸収量を表す指標として吸光度があり、撮影画像の解析は吸光度を用いて行われる。吸光度は以下の式で求められる。

着色前後の光強度(撮影画像の強度値)を
before ・・・着色前の光強度
after ・・・着色後の光強度
とすると、吸光度Asの計算式は、以下の式となる。なお、LOGは常用対数である。
s=-LOG(Iafter/Ibefore

産業上の利用分野

本発明は、流体の計測方法、計測装置および計測システムに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
流体の計測方法であって、
変異発生光を照射することで光の吸収量が変化するフォトクロミック化合物を前記流体に溶解する準備工程と、
フォトクロミズムを生じさせる変異発生光を前記流体に照射する変異発生光照射工程と、
前記変異発生光を照射した後の前記流体の画像を撮影する変異後画像撮影工程と、を有し、
前記変異後画像撮影工程では、変異発生光が照射されることによって光の吸収量が変化する第1の波長領域の第1の光を用いて前記流体を撮影することで第1画像を生成する、ことを特徴とする計測方法。

【請求項2】
前記変異後画像撮影工程では、前記吸収量が全くまたは殆ど変化しない第2の波長領域の第2の光を用いて、前記第1画像の撮影と同時刻の前記流体を撮影した第2画像をさらに生成し、
前記変異後画像撮影工程の後で、前記第1画像および前記第2画像を用いて第3画像を生成する画像処理工程を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の計測方法。

【請求項3】
前記変異後画像撮影工程で撮影した第1画像を構成する画素の光強度を「I11」とし、
前記変異後画像撮影工程で撮影した第2画像を構成する画素の光強度を「I21」とした場合に、
前記画像処理工程では、次式(1)を用いて各画素における吸光度A1を計算し、各画素の計算結果を2次元パターン化することで前記第3画像を生成する
A1=-LOG(I11/I21)・・・式(1)
ことを特徴とする請求項2に記載の計測方法。

【請求項4】
前記変異発生光照射工程の前で、前記変異発生光を照射する前の前記流体の第1画像および第2画像を撮影する変異前画像撮影工程を有し、
前記変異前画像撮影工程で撮影した第1画像を構成する画素の光強度を「I10」とし、
前記変異前画像撮影工程で撮影した第2画像を構成する画素の光強度を「I20」とした場合に、
前記画像処理工程では、次式(2)を用いて各画素における吸光度Aを計算し、各画素の計算結果を2次元パターン化することで前記第3画像を生成する
A=-LOG(I11/I21)-(-LOG(I10/I20))・・・式(2)
ことを特徴とする請求項3に記載の計測方法。

【請求項5】
前記変異後画像撮影工程では、前記吸収量が全くまたは殆ど変化しない第2の波長領域の第2の光を用いて、前記第1画像の撮影と同時刻の前記流体を撮影した第2画像をさらに生成し、
前記変異後画像撮影工程の後で、前記第1画像および前記第2画像を用いて前記流体の厚さを算出する流体厚さ算出工程を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の計測方法。

【請求項6】
前記変異後画像撮影工程で撮影した第1画像を構成する画素の光強度を「I11」とし、
前記変異後画像撮影工程で撮影した第2画像を構成する画素の光強度を「I21」とし、
前記フォトクロミック化合物を溶解した後の前記流体の吸光係数を「μ」とした場合に、
前記流体厚さ算出工程では、
次式(1)を用いて変異発生光が照射された領域の画素における吸光度A1を計算し、
A1=-LOG(I11/I21)・・・式(1)
さらに、次式(3)を用いて流体厚さlを計算する、
l=A1/μ ・・・式(3)
ことを特徴とする請求項5に記載の計測方法。

【請求項7】
前記変異発生光照射工程の前で、前記変異発生光を照射する前の前記流体の第1画像および第2画像を撮影する変異前画像撮影工程を有し、
前記変異前画像撮影工程で撮影した第1画像を構成する画素の光強度を「I10」とし、
前記変異前画像撮影工程で撮影した第2画像を構成する画素の光強度を「I20」とした場合に、
前記流体厚さ算出工程では、
次式(2)を用いて変異発生光が照射された領域の画素における吸光度Aを計算し、
A=-LOG(I11/I21)-(-LOG(I10/I20))・・・式(2)
さらに、次式(4)を用いて流体厚さlを計算する、
l=A/μ ・・・式(4)
ことを特徴とする請求項6に記載の計測方法。

【請求項8】
フォトクロミズムを生じさせる変異発生光が照射されることによって特定の波長領域の光の吸収量が変化するフォトクロミック化合物が溶解された流体の流れを可視化する計測装置であって、
前記吸収量が変化する第1の波長領域の第1の光を用いて前記流体を撮影した第1画像を記憶する第1画像記憶手段と、
前記吸収量が全くまたは殆ど変化しない第2の波長領域の第2の光を用いて、前記第1画像の撮影と同時刻の前記流体を撮影した第2画像を記憶する第2画像記憶手段と、
前記第1画像および前記第2画像を用いて前記流体の流れを可視化した第3画像を生成する画像処理手段と、を備え、
前記画像処理手段は、前記変異発生光を照射した後の前記流体を撮影した前記第1画像および前記第2画像を用いて第3画像を生成する、
ことを特徴とする計測装置。

【請求項9】
前記変異発生光を照射した後の第1画像を構成する画素の光強度を「I11」とし、
前記変異発生光を照射した後の第2画像を構成する画素の光強度を「I21」とした場合に、
前記画像処理手段は、次式(1)を用いて各画素における吸光度A1を計算し、各画素の計算結果を2次元パターン化することで前記第3画像を生成する
A1=-LOG(I11/I21)・・・式(1)
ことを特徴とする請求項8に記載の計測装置。

【請求項10】
前記変異発生光を照射する前の第1画像を構成する画素の光強度を「I10」とし、
前記変異発生光を照射する前の第2画像を構成する画素の光強度を「I20」とした場合に、
前記画像処理手段は、次式(2)を用いて各画素における吸光度Aを計算し、各画素の計算結果を2次元パターン化することで前記第3画像を生成する
A=-LOG(I11/I21)-(-LOG(I10/I20))・・・式(2)
ことを特徴とする請求項9に記載の計測装置。

【請求項11】
フォトクロミズムを生じさせる変異発生光が照射されることによって特定の波長領域の光の吸収量が変化するフォトクロミック化合物が溶解された流体の厚さを測定する計測装置であって、
前記吸収量が変化する第1の波長領域の第1の光を用いて前記流体を撮影した第1画像を記憶する第1画像記憶手段と、
前記吸収量が全くまたは殆ど変化しない第2の波長領域の第2の光を用いて、前記第1画像の撮影と同時刻の前記流体を撮影した第2画像を記憶する第2画像記憶手段と、
前記第1画像および前記第2画像を用いて前記流体の厚さを算出する流体厚さ算出手段と、を備え、
前記流体厚さ算出手段は、前記変異発生光を照射した後の前記流体を撮影した前記第1画像および前記第2画像を用いて前記流体の厚さを算出する、
ことを特徴とする計測装置。

【請求項12】
前記変異発生光を照射した後の第1画像を構成する画素の光強度を「I11」とし、
前記変異発生光を照射した後の第2画像を構成する画素の光強度を「I21」とし、
前記フォトクロミック化合物を溶解した後の前記流体の吸光係数を「μ」とした場合に、
前記流体厚さ算出手段は、
次式(1)を用いて変異発生光が照射された領域の画素における吸光度A1を計算し、
A1=-LOG(I11/I21)・・・式(1)
さらに、次式(3)を用いて流体厚さlを計算する、
l=A1/μ ・・・式(3)
ことを特徴とする請求項11に記載の計測装置。

【請求項13】
前記変異発生光を照射する前の第1画像を構成する画素の光強度を「I10」とし、
前記変異発生光を照射する前の第2画像を構成する画素の光強度を「I20」とした場合に、
前記流体厚さ算出手段は、
次式(2)を用いて変異発生光が照射された領域の画素における吸光度Aを計算し、
A=-LOG(I11/I21)-(-LOG(I10/I20))・・・式(2)
さらに、次式(4)を用いて流体厚さlを計算する、
l=A/μ ・・・式(4)
ことを特徴とする請求項12に記載の計測装置。

【請求項14】
請求項8ないし請求項10の何れか1項に記載された計測装置と、
前記第1の光および前記第2の光を含む照明光を前記流体に照射する照明手段と、
前記流体を透過した後の前記照明光を前記第1の波長領域の第1の光と前記第2の波長領域の第2の光とに分離する分離手段と、
前記分離手段により分離された前記第1の光を撮像し、前記第1画像を生成する第1撮像手段と、
前記分離手段により分離された前記第2の光を撮像し、前記第2画像を生成する第2撮像手段と、を備え、
前記照明手段は、前記第1撮像手段および前記第2撮像手段が撮影を行うタイミングに前記照明光を照射するタイミングを合わせたパルス光として前記照明光を照射する、
ことを特徴とする計測システム。

【請求項15】
前記変異発生光を照射する変異発生光源を備え、
前記変異発生光源は、前記流体の流れを可視化する領域を決定するために光のサイズを任意の大きさに調整する機能と、前記変異発生光を前記流体の任意の位置に照射する機能とを備え、
前記任意の大きさの前記変異発生光を前記流体の流れを可視化する前記任意の位置にパルス光として前記流体に照射する、ことを特徴とする請求項14に記載の計測システム。

【請求項16】
往復動または回転する駆動部が前記流体の中にある場合に、前記駆動部の位置情報を受信し、前記照明手段または前記変異発生光源が前記流体に照射するタイミングを制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記駆動部が特定の位置にあるときに前記変異発生光をパルス光として照射するとともに、前記駆動部が特定の撮影位置にあるときに撮影する、ことを特徴とする請求項15に記載の計測システム。

【請求項17】
前記照明手段は、前記第1の光と前記第2の光とを別々の光として選択的に発生させる、ことを特徴とする請求項14に記載の計測システム。

【請求項18】
請求項11ないし請求項13の何れか1項に記載された計測装置と、
前記第1の光および前記第2の光を含む照明光を前記流体に照射する照明手段と、
前記流体を透過した後の前記照明光を前記第1の波長領域の第1の光と前記第2の波長領域の第2の光とに分離する分離手段と、
前記分離手段により分離された前記第1の光を撮像し、前記第1画像を生成する第1撮像手段と、
前記分離手段により分離された前記第2の光を撮像し、前記第2画像を生成する第2撮像手段と、
前記変異発生光を照射する変異発生光源と、を備え、
前記変異発生光源は、前記流体の厚さ方向に対して、フォトクロミック化合物を完全に変異させる、
ことを特徴とする計測システム。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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