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間葉系幹細胞の製造方法、間葉系幹細胞の治療効果マーカー及び治療効果判定方法、並びに間葉系幹細胞を含む細胞製剤 新技術説明会

国内特許コード P200017142
整理番号 (16008-WO01)
掲載日 2020年8月11日
出願番号 特願2019-514592
出願日 平成30年4月25日(2018.4.25)
国際出願番号 JP2018016883
国際公開番号 WO2018199194
国際出願日 平成30年4月25日(2018.4.25)
国際公開日 平成30年11月1日(2018.11.1)
優先権データ
  • 特願2017-086514 (2017.4.25) JP
  • 特願2017-092030 (2017.5.3) JP
発明者
  • 千見寺 貴子
  • 藤宮 峯子
  • 齋藤 悠城
  • 中野 正子
  • 大谷 美穂
  • 水江 由佳
  • 松村 崇史
  • 神谷 梢
出願人
  • 北海道公立大学法人札幌医科大学
発明の名称 間葉系幹細胞の製造方法、間葉系幹細胞の治療効果マーカー及び治療効果判定方法、並びに間葉系幹細胞を含む細胞製剤 新技術説明会
発明の概要 【課題】 本発明は、治療効果の高いMSCを含む細胞製剤を提供することを目的とする。
【解決手段】 ファイバーからなる3次元構造を有する細胞培養担体を用いて、哺乳動物胎児付属物由来の賦活化剤を含む培地中でMSCを培養する工程を含む、賦活化されたMSCの製造方法が提供される。また、p16ink4a、p14ARF、CDK4、CDK6、RB及びCD47よりなる群から選択されるMSCの治療効果マーカー、同マーカーを用いた治療効果判定方法、治療効果を高めるための処理に対するMSCの適応性判定方法、MSCを含む細胞製剤及びその製造方法も提供される。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要

間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cell、以下MSCともいう)は、多分化能及び自己複製能を有する幹細胞であり、骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、筋細胞といった間葉系に属する細胞に分化するだけでなく、神経細胞や肝細胞等にも胚葉を超えて分化する能力を有する。またMSCは、自身が産生する液性因子によるパラクライン効果及び細胞接着相互作用も有することが知られている。MSCは、これらの作用に基づいて、標的組織や細胞の修復・再生能、及び抗炎症等の免疫制御能を発揮し、その結果、様々な疾患への治療効果を示すと考えられている。

MSCは、単離培養が容易かつ増殖力が旺盛で、短期間で移植可能な細胞数を確保できること、免疫拒絶のない自家移植が可能であること、倫理的問題も少ないこと、低免疫原性により前処置を要せず同種移植が現実的であること等から、理想的な細胞移植療法の材料として、多様な疾患に対する治療への応用の検討が進められている。

本発明者らは、MSCを用いた細胞移植療法を確立する過程において、患者例えば糖尿病患者のMSCが異常なMSCであること、具体的には前述のような多様な能力を失った又はこれらの能力が正常なMSCと比べて低減した結果として、疾患治療効果を失った又は治療効果が正常なMSCと比べて低減したMSCであること、哺乳動物の胎児付属物からの抽出物が前記異常なMSCを賦活化して治療効果を回復させることができること、及びかかる賦活化されたMSCを用いた自家移植治療が可能となること等を見出し、哺乳動物の胎児付属物からの抽出物を有効成分として含有する異常なMSCに対する賦活化剤を発明し、特許出願した(特許文献1)。この賦活化剤は、特に、治療が必要となった段階の患者に対してもMSCの自家移植を可能とする点において、重要な意義を有する。

特許文献1に記載の異常なMSCに対する賦活化剤は、哺乳動物の胎児付属物、例えばヒトの臍帯組織や胎盤組織からの抽出物として製造することができる。幸いにも、ヒトを含む哺乳動物の胎児付属物は、比較的入手が容易で一定の供給量も期待し得る生物学的試料ではある。しかしながら、MSCを用いた細胞移植療法の適用が望ましい患者、例えば世界的に増加の一途を辿っている多数の糖尿病患者に対してMSCの自家移植を可能とするには、哺乳動物の胎児付属物及びこれから抽出される賦活化剤の供給量は、十分であるとは言い難い。

産業上の利用分野

本発明は、間葉系幹細胞の製造方法、間葉系幹細胞の治療効果を評価するためのマーカー、間葉系幹細胞の治療効果を判定する方法、治療効果を高めるための処理に対する間葉系幹細胞の適応性を判定する方法及び間葉系幹細胞を含む細胞製剤に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
哺乳動物の胎児付属物からの抽出物を有効成分として含有する賦活化剤で間葉系幹細胞を処理する賦活化工程を含む、賦活化された間葉系幹細胞の製造方法であって、賦活化工程が、ファイバーからなる3次元構造を有する細胞培養担体を用いて、前記賦活化剤を含む培地中で間葉系幹細胞を培養する工程である、前記製造方法。

【請求項2】
細胞培養担体が、ナノメートル~マイクロメートル単位の平均繊維径を有するファイバーによって細胞との接触面上に形成された開口部を有する、請求項1に記載の製造方法。

【請求項3】
開口部の平均径が500nm~1000μmである、請求項2に記載の製造方法。

【請求項4】
細胞培養担体が、生分解性ポリマーからなるナノファイバーを含有してなる細胞培養担体である、請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法。

【請求項5】
培地中の賦活化剤の濃度が、ファイバーからなる3次元構造を有さない細胞培養担体を用いて間葉系幹細胞を培養する賦活化工程における培地中の賦活化剤濃度の1/10~1/100000である、請求項1から4のいずれか一項に記載の製造方法。

【請求項6】
培地中の賦活化剤の濃度が、タンパク質換算で0.01μg/mL~500μg/mLである、請求項1から5のいずれか一項に記載の製造方法。

【請求項7】
賦活化工程における細胞の継代回数が2回以下である、請求項1から6のいずれか一項に記載の製造方法。

【請求項8】
間葉系幹細胞が骨髄由来の間葉系幹細胞である、請求項1から7のいずれか一項に記載の製造方法。

【請求項9】
間葉系幹細胞が疾患を有する対象から分離された間葉系幹細胞である、請求項1から8のいずれか一項に記載の製造方法。

【請求項10】
CD47陽性細胞の割合が2%以下である、間葉系幹細胞を含む細胞製剤。

【請求項11】
間葉系幹細胞が、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法により製造される賦活化された間葉系幹細胞である、請求項10に記載の細胞製剤。

【請求項12】
間葉系幹細胞集団の中からCD47陰性の間葉系幹細胞を濃縮する工程を含む、間葉系幹細胞を含む細胞製剤の製造方法。

【請求項13】
p16ink4a及びp14ARFよりなる群から選択される、間葉系幹細胞の治療効果と正に相関する間葉系幹細胞の治療効果評価のためのマーカー。

【請求項14】
CDK4、CDK6、RB及びCD47よりなる群から選択される、間葉系幹細胞の治療効果と負に相関する間葉系幹細胞の治療効果評価のためのマーカー。

【請求項15】
被験間葉系幹細胞におけるp16ink4a、p14ARF、CDK4、CDK6、RB及びCD47よりなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はタンパク質の発現量を測定する測定工程、測定された発現量を対照間葉系幹細胞における発現量と比較する比較工程、並びにp16ink4a及びp14ARFよりなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子若しくはタンパク質の発現量が対照間葉系幹細胞よりも被験間葉系幹細胞において多い場合並びに/又はCDK4、CDK6、RB及びCD47よりなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子若しくはタンパク質の発現量が対照間葉系幹細胞よりも被験間葉系幹細胞において少ない場合に、被験間葉系幹細胞は対照間葉系幹細胞より治療効果が高いと判定する判定工程を含む、間葉系幹細胞の治療効果を判定する方法。

【請求項16】
測定工程が、被験間葉系幹細胞における
(A)DNMT1、Nanog、SOX2、OCT4、IDO、TSG6、IL-6及びTERTよりなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子若しくはタンパク質、並びに/又は
(B)p53及びα-SMAよりなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子若しくはタンパク質
の発現量を測定することをさらに含み、
判定工程が、p16ink4a及びp14ARFよりなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子若しくはタンパク質の発現量が対照間葉系幹細胞よりも被験間葉系幹細胞において多いこと並びに/又はCDK4、CDK6、RB及びCD47よりなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子若しくはタンパク質の発現量が対照間葉系幹細胞よりも被験間葉系幹細胞において少ないことに加えて、前記(A)の遺伝子若しくはタンパク質の発現量が対照間葉系幹細胞よりも被験間葉系幹細胞において多い場合及び/又は前記(B)の遺伝子若しくはタンパク質の発現量が対照間葉系幹細胞よりも被験間葉系幹細胞において少ない場合に、被験間葉系幹細胞は対照間葉系幹細胞より治療効果が高いと判定する工程である、請求項15に記載の方法。

【請求項17】
請求項15又は16に記載の方法の測定工程においてCD47遺伝子又はタンパク質の発現量に代えて間葉系幹細胞中のCD47陽性細胞の割合を測定し、判定工程においてCD47遺伝子又はタンパク質の発現量が対照間葉系幹細胞よりも被験間葉系幹細胞において少ないことに代えて間葉系幹細胞中のCD47陽性細胞の割合が対照間葉系幹細胞よりも被験間葉系幹細胞において低い場合に被験間葉系幹細胞は対照間葉系幹細胞より治療効果が高いと判定する、間葉系幹細胞の治療効果を判定する方法。

【請求項18】
被験間葉系幹細胞が、哺乳動物の胎児付属物からの抽出物を有効成分として含有する賦活化剤を含む培地中で培養された間葉系幹細胞である、請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。

【請求項19】
被験間葉系幹細胞が、ファイバーからなる3次元構造を有する細胞培養担体を用いて培養された間葉系幹細胞である、請求項15から18のいずれか一項に記載の方法。

【請求項20】
被験間葉系幹細胞が、間葉系幹細胞の自家移植療法を受けようとする対象から分離された間葉系幹細胞である、請求項15から19のいずれか一項に記載の方法。

【請求項21】
被験間葉系幹細胞が骨髄由来の間葉系幹細胞である、請求項15から20のいずれか一項に記載の方法。

【請求項22】
処理された間葉系幹細胞におけるp16ink4a、p14ARF、CDK4、CDK6、RB及びCD47よりなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子又はタンパク質の発現量を測定する測定工程、測定された発現量を処理されていない間葉系幹細胞における発現量と比較する比較工程、並びにp16ink4a及びp14ARFよりなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子若しくはタンパク質の発現量が処理されていない間葉系幹細胞よりも処理された間葉系幹細胞において多い場合並びに/又はCDK4、CDK6、RB及びCD47よりなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子若しくはタンパク質の発現量が処理されていない間葉系幹細胞よりも処理された間葉系幹細胞において少ない場合に、その間葉系幹細胞は当該処理に適していると判定する判定工程を含む、間葉系幹細胞の治療効果を高めるための処理に対する間葉系幹細胞の適応性を判定する方法。

【請求項23】
測定工程が、処理された間葉系幹細胞と処理されていない間葉系幹細胞のそれぞれにおける
(A)DNMT1、Nanog、SOX2、OCT4、IDO、TSG6、IL-6及びTERTよりなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子若しくはタンパク質、並びに/又は
(B)p53及びα-SMAよりなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子若しくはタンパク質
の発現量を測定することをさらに含み、
判定工程が、p16ink4a及びp14ARFよりなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子若しくはタンパク質の発現量が処理されていない間葉系幹細胞よりも処理された間葉系幹細胞において多いこと並びに/又はCDK4、CDK6、RB及びCD47よりなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子若しくはタンパク質の発現量が処理されていない間葉系幹細胞よりも処理された間葉系幹細胞において少ないことに加えて、前記(A)の遺伝子若しくはタンパク質の発現量が処理されていない間葉系幹細胞よりも処理された間葉系幹細胞において多い場合及び/又は前記(B)の遺伝子若しくはタンパク質の発現量が処理されていない間葉系幹細胞よりも処理された間葉系幹細胞において少ない場合に、その間葉系幹細胞は当該処理に適していると判定する工程である、請求項22に記載の方法。

【請求項24】
請求項22又は23に記載の方法の測定工程においてCD47遺伝子又はタンパク質の発現量に代えて間葉系幹細胞中のCD47陽性細胞の割合を測定し、判定工程においてCD47遺伝子又はタンパク質の発現量が処理されていない間葉系幹細胞よりも処理された間葉系幹細胞において少ないことに代えて間葉系幹細胞中のCD47陽性細胞の割合が処理されていない間葉系幹細胞よりも処理された間葉系幹細胞において低い場合にその間葉系幹細胞は当該処理に適していると判定する、処理に対する間葉系幹細胞の適応性を判定する方法。

【請求項25】
処理が、哺乳動物の胎児付属物からの抽出物を有効成分として含有する賦活化剤を含む培地中で間葉系幹細胞を培養する処理である、請求項22から24のいずれか一項に記載の方法。

【請求項26】
処理が、ファイバーからなる3次元構造を有する細胞培養担体を用いて間葉系幹細胞を培養する処理である、請求項22から25のいずれか一項に記載の方法。

【請求項27】
間葉系幹細胞が、間葉系幹細胞の自家移植療法を受けようとする対象から分離された間葉系幹細胞である、請求項22から26のいずれか一項に記載の方法。

【請求項28】
間葉系幹細胞が骨髄由来の間葉系幹細胞である、請求項22から27のいずれか一項に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
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JP2019514592thum.jpg
出願権利状態 公開


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