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ヘッドマウントディスプレイ NEW

国内特許コード P200017161
整理番号 (S2019-0198-N0)
掲載日 2020年8月27日
出願番号 特願2020-002348
公開番号 特開2020-118963
出願日 令和2年1月9日(2020.1.9)
公開日 令和2年8月6日(2020.8.6)
優先権データ
  • 特願2019-008855 (2019.1.22) JP
発明者
  • 高木 康博
出願人
  • 国立大学法人東京農工大学
発明の名称 ヘッドマウントディスプレイ NEW
発明の概要 【課題】輻輳調節矛盾に起因する視覚疲労を被ることなく立体像を視ることが可能なヘッドマウントディスプレイディスプレイを提供する。
【解決手段】HMD10は、1つの元画像をシフトすることにより複数の視差画像を画面上に生成する画像生成装置13、画面上に生成される画像の虚像を複数の視点のそれぞれから観察可能にする結像装置11a,11b、及び画像生成装置を制御して複数の視差画像を順次画面上に生成するとともに、この視差画像の虚像を複数の視点のうちの対応する視点から観察可能にする制御装置を備え、複数の視点の間隔はユーザの瞳孔径より小さいとする。複数の視差画像をそれぞれアイボックス内の異なる視点を介して映し出すことで、各視点を介して視ることのできる複数の視差画像のそれぞれについて被写界深度が拡大し、それによって輻輳性調節に応じて眼のピントが自然に立体像に合うようになり、視覚疲労を軽減することができる。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要

近年、仮想現実(VR)技術及び拡張現実(AR)技術の研究開発が進み、医療、設計などのプロフェッショナル分野からゲーム、娯楽などの一般コンシューマ分野までの幅広い分野における利用が期待されるようになった。VR技術及びAR技術では、頭部に装着するディスプレイ装置であり、左右の眼のそれぞれに対応する視差画像を虚像として表示することでユーザに対して立体像を映し出すヘッドマウントディスプレイ(HMD)が使用される(例えば、特許文献1参照)。なお、このように左右の眼に対応する視差画像を表示する立体表示方式を二眼式立体表示(単に、二眼表示とも呼ぶ)と呼ぶ。HMDでは、特に画角が大きい広角な立体像を表示することにより、ユーザに高い没入感を与えることができる。

二眼式立体表示では、輻輳調節矛盾に起因する視覚疲労により長時間の利用が妨げられ、若年者の利用が制限されるという問題がある(例えば、特許文献2参照)。ここで、輻輳は、注視点が網膜の中心にくるように左右の眼球が回転したとき、眼球の回転角情報より三角測量の原理で奥行きを知覚する。調節は、人間の眼は注視点に対して自動的にピントを合わせるが、眼のピント合わせ情報より奥行きを知覚する。左右の眼に対応した視差画像を表示面に表示すると、左右の眼球が回転して立体像を捉えることで輻輳により立体像の奥行きを正しく知覚する一方、両眼のピントは視差画像を表示している表示面に合うため調節によっては立体像の奥行きを正しく知覚することができない。輻輳と調節の間には相互作用があり輻輳により知覚した奥行きに眼のピントを誘導する輻輳性調節と呼ばれる作用があるが、これが二眼式立体表示による立体像に対しては機能できない。このように、輻輳と調節との間の矛盾により視覚疲労が生じると言われている。VR技術及びAR技術においては、虚像を数m先から無限遠までの遠方に結像し、立体像を近方の手作業空間に表示して立体像をインタラクティブに操作することがあり、輻輳と調節との間の矛盾はより深刻である。

上記の問題に対して、非特許文献1には、立体像を高速で時分割表示するDMD及び光軸方向の任意の位置に立体像を結像するための可変焦点距離ミラーを用いて、光軸方向に複数の像を結像する立体表示方式が開示されている。この方式では、それぞれの結像面に対する被写界深度を連結してこれを実質的に広げることで、立体像への眼のピント合わせを可能にする。しかし、高速表示するディスプレイ、可変焦点距離ミラー等の高価なデバイスが必要となる。また、そのようなデバイスの有効径が小さいためHMDの画角が小さくなるという問題もある。

また、非特許文献2には、センサを用いて眼の輻輳位置を検出し、可変焦点距離レンズを用いることにより又はモータを用いてディスプレイを移動させることにより検出した位置に虚像を結像することで、輻輳と調節による奥行き知覚位置を一致させる表示方式が開示されている。この方式では、眼の輻輳位置を高精度で検出するセンサが必要になる。可変焦点距離レンズを用いる方法では、可変焦点距離レンズの有効径が小さいため画角が小さくなるという問題もある。また、モータを用いてディスプレイを移動させる方法では、ディスプレイの移動量が数mmと大きいため輻輳位置の移動に高速に追従駆動できないという問題もある。

また、非特許文献3には、フラットパネルディスプレイに取り付けられたレンズアレイにより光線の進行方向を制御するインテグラルイメージング方式の立体表示方式が開示されている。光線密度を増して光線群を高密度に制御することで立体像への眼のピント合わせが可能になる。この方式では、高い解像度を有するディスプレイを必要とする。

図11に、メガネなし立体表示を実現する多眼式立体表示(単に、多眼表示とも呼ぶ)の原理を示す。多眼表示では、空間に複数の視点を設定し、各視点位置からその位置に応じた視差を有する視差画像が観察されるようにすることで、立体メガネを装着しなくとも、運動視差を有する立体表示を可能とする。このような立体表示においても、二眼式立体表示と同様に、両眼に異なる視差画像を表示することで立体視を可能にするので輻輳調節矛盾に起因する視覚疲労が生じる。ここで、図12A及び図12Bに示すように視点間隔を眼の瞳孔径以下と小さくして、2つ以上の視点が瞳孔内に入るように複数の視点を設定すると(これを超多眼式立体表示、或いは単に超多眼表示と呼ぶ)、ディスプレイのスクリーンから出射した2本以上の光線が立体像の一点を通り、次いで異なる視点を通って同時に瞳孔内に入る。このとき、図12Aに示すように眼のピントを立体像に合わせた場合、光線が網膜上の一点に集光するのに対して、図12Bに示すようにスクリーン上に合わせた場合、光線は網膜上の一点に集光しない。従って、輻輳性調節により、眼のピントが輻輳により誘導されて立体像に移動した場合にボケが少ない立体像を観察することができ、これにより輻輳調節矛盾が解決して視覚疲労を解消することができる。

眼の被写界深度、すなわち眼球結像系において事実上ボケがない網膜像が得られる物体の光軸方向の存在範囲は、眼球結像系の瞳の大きさによって決まる。図13Aに示すように、視点間隔が瞳孔径より大きい多眼表示では、スクリーンの1点から出射した光線は視点位置において視点間隔程度の広がりを有するため、眼の被写界深度は眼球結像系の瞳である瞳孔径によって決まる。図13Bに示すように、超多眼表示では、光線の広がりとなる視点間隔は瞳孔径より小さくなりこれが実質的な瞳の大きさを与えるため、眼の被写界深度は視点間隔によって決まる。ここで、被写界深度の大きさは瞳孔径に反比例するため、超多眼表示は眼の被写界深度を拡大する効果をもつ。その拡大された被写界深度内に立体像が表示されると、網膜に映る像にボケを知覚されなくなるため、輻輳性調節によって眼のピントが自然に立体像に合うこととなる。
特許文献1 国際公開第2015/137165号
特許文献2 特開平9-297282号公報
非特許文献1 X. Hu and H. Hua, "High-resolution optical see-through multi-focal-plane head-mounted display using freeform optics," Optics Express, vol.22, 13896 (2014).
非特許文献2 N. Padmanaban, R. Konrad, T. Stramer, E. A. Cooper, and G. Wetzstein, "Optimizing virtual reality for all users through gaze-contingent and adaptive focus displays," Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., vol.114, 2183-2188 (2017).
非特許文献3 D. Lanman and D. Luebke, "Near-eye light field displays," ACM Trans. Graph., vol.32, 220 (2013).
非特許文献4 T. Ueno and Y. Takaki, "Super multi-view near-eye display to solve vergence-accommodation conflict," Opt. Express, vol.26, no.23, 30703-30715 (2018).

産業上の利用分野

本発明は、ヘッドマウントディスプレイに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
複数の視差画像を一面上に生成する画像生成装置と、
前記一面上に生成される画像の虚像を、ユーザの少なくとも一方の眼のアイボックス内に配列される複数の視点のそれぞれから観察可能にする結像装置と、
前記画像生成装置を制御して前記複数の視差画像を順次、前記一面上に生成するとともに、該一面上に生成された視差画像の虚像を前記結像装置を制御して前記複数の視点のうちの対応する視点から観察可能にする制御装置と、
を備えるヘッドマウントディスプレイ。

【請求項2】
前記結像装置は、前記一面を介して、前記アイボックス内の複数の視点にそれぞれ光を送る複数の光源を有し、
前記制御装置は、前記結像装置を制御して前記複数の光源を順次、点灯するとともに、該光源の点灯と同期して、前記画像生成装置を制御して前記複数の視差画像を順次、前記一面上に生成する、請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ。

【請求項3】
前記制御装置は、前記結像装置を制御して前記複数の光源から選択される一部の光源を順次、点灯する、請求項2に記載のヘッドマウントディスプレイ。

【請求項4】
前記結像装置は、前記一面を介して、前記アイボックス内の複数の視点に光を送る共通の光源及び前記アイボックス内又は近傍に配置されて前記共通の光源からの光を遮断する複数のシャッタを有し、
前記制御装置は、前記結像装置を制御して前記複数のシャッタを順次、開放するとともに、該シャッタの開放と同期して、前記画像生成装置を制御して前記複数の視差画像を順次、前記一面上に生成する、請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ。

【請求項5】
前記結像装置は、前記一面を介して、前記アイボックス内の複数の視点に光を送る共通の光源、該光源の光を前記複数の視点のうちのいずれかに集光する少なくとも1つの光学素子、並びに前記共通の光源及び前記光学素子のうちの少なくとも1つを主視線に交差する方向に移動する第1の駆動装置を有し、
前記制御装置は、前記第1の駆動装置を制御して前記共通の光源及び前記光学素子のうちの少なくとも1つをユーザが画像のちらつきを感じない速度で移動するとともに、該移動と同期して、前記画像生成装置を制御して前記複数の視差画像を順次、前記一面上に生成する、請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ。

【請求項6】
前記複数の視差画像は、元画像を、前記複数の視点のそれぞれの位置に応じて前記一面に平行な少なくとも一軸方向にシフトして生成される、請求項1から5のいずれか一項に記載のヘッドマウントディスプレイ。

【請求項7】
前記画像生成装置は、前記元画像を表示する画面を、前記一面に平行な少なくとも一軸方向に移動する第2の駆動装置を含む、請求項6に記載のヘッドマウントディスプレイ。

【請求項8】
前記第2の駆動装置は、前記画面を縦方向及び横方向にそれぞれ移動する2つの駆動装置を含み、前記横方向の移動ストロークは前記縦方向の駆動ストロークより長い、請求項7に記載のヘッドマウントディスプレイ。

【請求項9】
前記画像生成装置は、電界を印加することで前記一面に平行な少なくとも一軸方向に光路シフトする液晶パネルにより元画像を前記一面に平行な少なくとも一軸方向にシフトする、請求項6に記載のヘッドマウントディスプレイ。

【請求項10】
前記複数の視点の間隔は、前記ユーザの瞳孔径より小さい、請求項1から9のいずれか一項に記載のヘッドマウントディスプレイ。

【請求項11】
前記結像装置は、前記複数の視差画像の虚像をそれぞれユーザの左眼及び右眼の一方のアイボックス内に配列される複数の視点から観察可能にする、請求項1から10のいずれか一項に記載のヘッドマウントディスプレイ。

【請求項12】
前記画像生成装置は、さらに、別の複数の視差画像を前記一面に生成し、
前記結像装置は、さらに、前記一面上に生成される画像の虚像を、ユーザの他方の眼のアイボックス内に配列される別の複数の視点のそれぞれから観察可能にし、
前記制御装置は、さらに、前記画像生成装置を制御して前記別の複数の視差画像を順次、前記一面上に生成するとともに、該一面上に生成された視差画像の虚像を前記結像装置を制御して前記別の複数の視点のうちの対応する視点から観察可能にする、請求項1から10のいずれか一項に記載のヘッドマウントディスプレイ。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
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