TOP > 国内特許検索 > 成形品及びその製造方法

成形品及びその製造方法 NEW

国内特許コード P200017177
掲載日 2020年9月7日
出願番号 特願2012-211474
公開番号 特開2014-065939
登録番号 特許第5987152号
出願日 平成24年9月25日(2012.9.25)
公開日 平成26年4月17日(2014.4.17)
登録日 平成28年8月19日(2016.8.19)
発明者
  • 國次 真輔
  • 余田 裕之
  • 中西 亮太
出願人
  • 岡山県
発明の名称 成形品及びその製造方法 NEW
発明の概要 【課題】炭化物粒子を含有する鋼からなる基材表面に硬質皮膜が蒸着されてなる成形品であって、前記基材と前記硬質皮膜の密着性が高く、優れた耐食性を有するとともに、所定の硬度を維持した成形品を提供する。
【解決手段】基材表面に硬質皮膜が蒸着されてなる成形品であって、前記基材が、主相としてマルテンサイト相を含むマトリックス中に炭化物粒子が分散してなる基部と、オーステナイト相を含む表面改質層とを有し、前記基部が、所定の化学組成を有し、前記表面改質層の表面に前記炭化物粒子が露出しておらず、前記表面改質層の厚みが0.1~10μmであり、前記硬質皮膜が、金属窒化物、金属炭化物、金属酸化物及びダイヤモンドライクカーボンからなる群から選択される少なくとも1種からなり、かつ前記硬質皮膜の厚みが0.1~50μmである成形品とする。
【選択図】図2
従来技術、競合技術の概要 鋼からなる工具や金型等における耐食性や機械的特性を向上させる手段として、鋼の表面に硬質皮膜を形成する方法が知られている。この場合に用いられる硬質皮膜として、金属窒化物、金属炭化物、金属酸化物又はダイヤモンドライクカーボンからなる皮膜等が挙げられる。これらの硬質皮膜は、イオンプレーティング法やスパッタリング法等の物理的蒸着(PVD)法や化学的蒸着(CVD)法等により形成することができる。

ところで、高い硬度が要求される、冷間加工用工具鋼、冷間金型鋼等の鋼材は、炭素含有量が非常に多く、粒径の大きい一次炭化物粒子を含有する。鋼材中に炭化物粒子が分散していることにより、所定の硬度が得られる。しかしながら、このような炭化物粒子を含有する鋼からなる基材に硬質皮膜を形成した場合、基材の表面に露出した炭化物粒子により、硬質皮膜が剥離し易かった。また、硬質皮膜を形成することによって、ある程度耐食性が向上するものの、なお耐食性が不十分である場合があった。

これらの問題に対して、硬質皮膜と基材の密着性を向上させる方法がいくつか提案されている。特許文献1には、母材表面に平均径および平均深さがいずれも0.5~8μmである凹部が多数形成されると共に、該母材表面に耐摩耗性硬質皮膜が被覆された硬質皮膜被覆材料が記載されている。当該材料は、表面に一次炭化物が存在する鉄鋼材料を母材として用いた場合であっても、前記硬質皮膜は、前記母材に対して、優れた密着性を有すると記載されている。しかしながら、特許文献1に記載された硬質皮膜被覆材料は、硬質皮膜の密着性がなお不十分であったうえに、耐食性も不十分であった。

特許文献2には、ダイス鋼や高速度工具鋼などの、炭化物を有する鋼からなる工具母材表面に存在する炭化物を化学的溶液処理により溶出させて除去することにより、表面の炭化物成分の量を低下させた後、当該母材表面に硬質膜を被覆してなる硬質膜被覆工具が記載されている。当該硬質膜被覆工具に形成された硬質膜は、密着強度が格段に向上していると記載されている。しかしながら、当該硬質膜被覆工具は、耐食性が不十分であったうえに、硬質膜の密着性も不十分である場合があった。

ところで、鋼からなる基材表面に電子線やレーザーを照射することにより、表面改質を
行う方法が知られている。特許文献3には、鉄合金製機構部品をオーステナイト領域の温度に急速加熱した後、オーステナイト領域以下の温度まで急速冷却する加熱及び冷却工程を少なくとも3回以上繰り返す熱処理を施して焼き入れする鉄合金製機構部品の表面改質
法が記載されている。ここで、前記熱処理の方法として、電子線焼入れによる方法が記載されている。特許文献3には、前記表面改質法によれば、マルテンサイト、炭化物、ベイナイト等の焼入れ組織を従来よりも微細化できると記載されている。そして、前記表面改質法によれば、部品の表面の硬度、耐疲労強度、耐摩耗性、耐食性が向上するとともに、靭性も保持されると記載されている。しかしながら、特許文献3には、鉄合金製機構部品表面に、硬質皮膜を蒸着することについて一切記載されていない。

特許文献4には、金型用合金工具鋼に対し、電子線を照射してごく微小な表層部分のみを瞬間的に溶融させた後に、急冷することにより、表面近傍に微細凝固組織を生成する工程と、窒化処理もしくは炭化物被覆処理により、表層下方に化合物を析出させる表面改質工程からなる金型用合金工具鋼の強化方法が記載されている。そして、表面改質をすべき領域に対する前処理として、予め当該領域に微細組織の化合物を生成することによって、熱間工具鋼からなる金型表面での摩耗損失や熱疲労によるき裂の生成が抑止され、寿命が向上すると記載されている。特許文献4には、前記方法により、冷間加工用工具鋼や高速度工具鋼における、欠けや摩耗の防止を図ることができると記載されている。しかしながら、特許文献4には、鋼の表面に硬質皮膜を形成することについて、一切記載されていない。

特許文献5には、電子線を金型材料の表面に照射する金型の表面処理方法が記載されている。当該表面処理方法によれば、金型表面の平滑性、耐食性、光沢性、及び、表面硬さが向上すると記載されている。さらに、特許文献5には、炭素鋼に電子線を照射して、当該炭素鋼の表面をマルテンサイト変態させることにより、当該表面を硬化させることができると記載されている。しかしながら、特許文献5には、金型表面に硬質皮膜を形成することについて、一切記載されていない。

特許文献6には、金属からなる被処理体に電子線を照射して、当該被処理体の表面の改質を行った後に、前記被処理体の表面にスパッタ粒子を堆積させ被覆処理を行う表面処理方法、及び、前記処理を行うことができる処理装置が記載されている。そして、電子線パルスにより、金属の表面を急速加熱冷却して清浄化、平滑化、鏡面化、アモルファス化すると記載されている。さらに、前記処理装置によれば、電子線照射された被処理体が外気に曝されることなく次の表面被覆処理が行われるので、付着力が強い良質な被膜が形成されると記載されている。しかしながら、特許文献6には、前記被処理体の種類について具体的に記載されていない。さらに、前記被処理体を被覆する皮膜として、チタン皮膜が記載されているのみである。
産業上の利用分野 本発明は、炭化物粒子を含有する鋼からなる基材表面に硬質皮膜が蒸着されてなる成形品及びその製造方法に関する。
特許請求の範囲 【請求項1】
基材表面に硬質皮膜が蒸着されてなる成形品であって、
前記基材が、主相としてマルテンサイト相を含むマトリックス中に炭化物粒子が分散してなる基部と、オーステナイト相を含む表面改質層とを有し、
前記基部が、炭素を0.8~3質量%含有し、クロム、モリブデン、バナジウム及びタングステンからなる群から選択される少なくとも1種を1~20質量%含有し、シリコンを0.1~2質量%含有し、マンガンを0.1~2質量%含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなる化学組成を有し、
前記表面改質層の表面に前記炭化物粒子が露出しておらず、
前記表面改質層の厚みが0.1~10μmであり、
前記硬質皮膜が、金属窒化物、金属炭化物、金属酸化物及びダイヤモンドライクカーボンからなる群から選択される少なくとも1種からなり、かつ
前記硬質皮膜の厚みが0.1~50μmであることを特徴とする成形品。

【請求項2】
炭素を0.8~3質量%含有し、クロム、モリブデン、バナジウム及びタングステンからなる群から選択される少なくとも1種を1~20質量%含有し、シリコンを0.1~2質量%含有し、マンガンを0.1~2質量%含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなる基材表面に、電子線を照射した後に、金属窒化物、金属炭化物、金属酸化物及びダイヤモンドライクカーボンからなる群から選択される少なくとも1種を蒸着することを特徴と
する請求項1に記載の成形品の製造方法。

【請求項3】
前記基材表面に電子線をパルス照射する請求項2に記載の成形品の製造方法。

【請求項4】
電子線が照射された前記基材の表面に、イオンプレーティング法又はスパッタリング法により、金属窒化物、金属炭化物、金属酸化物及びダイヤモンドライクカーボンからなる群から選択される少なくとも1種を蒸着する請求項2又は3に記載の成形品の製造方法。

【請求項5】
冷間加工用工具である請求項1に記載の成形品。

【請求項6】
冷間金型である請求項1に記載の成形品。
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

thum_JPA 426065939_i_000002.jpg
出願権利状態 登録


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close